クルマに乗っていれば、ちょっとしたトラブルに見舞われることは珍しくありません。例えばパンクやガス欠、キーの閉じ込めなど、ドライバーなら一度くらいは経験があるはずです。
中でも、おそらく最もたくさんの人が経験しているであろうトラブルがバッテリーに関するもの。いわゆるバッテリー上がりではないでしょうか。
その根拠はJAFが出している過去の救援データにあります。JAFは毎年どのようなトラブルに対して救援を行ってきたか、というデータをWEBサイトで公開していますが、その第1位は、ほぼ毎年バッテリートラブルです。なんと、JAFの出動理由の3件に1件はバッテリートラブルなのだそうですからかなりのものですね。
では、あなたのクルマがバッテリー上がりを起こしてしまった場合には、どのように対処していますか?やっぱりJAFに救援を頼む?それともご近所さんにバッテリージャンプをお願いする?自力ならはやりのモバイルバッテリーで充電するという方法もありますね。
でも、こういった方法はあくまで一時的なもの。いくら充電しても、一度ダメージを受けたバッテリーは元の性能は発揮できないと言われています。そのバッテリーがすでに2年以上使用したものであればなおさらです。やはり素直に交換するのがベスト。でもバッテリー交換するにはどうすればいいのでしょう。お得にDIYで交換する方法はあるのでしょうか。そこでバッテリーの方番の見方や購入の際注意点、さらに古いバッテリーの処分方法など、バッテリー交換の際に役立つ情報をご紹介します。
目次
バッテリーの寿命は2年~5年
劣化の症状はこんなことかわわかる
ところでクルマのバッテリーの寿命はどれくらいか存知でしょうか。意外に短くだいたい2年~5年と言われています。ただし、クルマの使用頻度や使い方によって、これは大きく左右されるので全てのケースにあてはまるわけではありません。でも、交換をしてから(または新車を購入してから)3年以上経過していたら、寿命は間近。交換を考えるのが賢明でしょう。
バッテリーが寿命に近づくと、どうなるのか。様々な症状が現れます。それは以下のようなものです。
①スタート時のセルモーターの回転音が鈍い。
②パワーウィンドウの動きが遅くなった。
③ヘッドライトが暗い。
④バッテリー本体が膨らんでいる。
⑤バッテリー液が減ってきている。
⑥バッテリーの天板にバッテリー液が漏れている。
⑦バッテリーの端子に粉がふいている。
心当たりがあるなら交換時期です。では、バッテリー交換が必要となった時、皆さんはどうしていますか。もっとも簡単なのはクルマを購入したディーラーにクルマを持っていき、交換をお願いするという方法でしょう。交換バッテリーの品質も心配いりませんし、そのクルマの扱いに精通したプロですから作業も安心です。
でも、ネックはバッテリーの価格が高めな上、工賃もかかってしまうということですね。
もう一つの選択はカー用品店で交換するというものです。プライベートブランドのバッテリーなら価格自体も安いですし、バッテリー購入時に交換を頼めば工賃もディーラーなどの半額程度で済みます。費用が抑えられますね。近所にカー用品店があるのであればオススメです。
でも、さらに費用を安く済ませたいというなら、DIYで交換するという方法もあります。最近はネット通販などでとてもリーズナブルなクルマ用バッテリーも販売されています。交換作業も自分で行ってしまえば工賃だって不要です。トータルでの出費をかなり抑えることができるでしょう。作業もさほど難しくなく、スパナやドライバーなど基本的な工具さえあれば、思いのほか簡単に交換が行えるはずです。ではどのようにすればいいのか、購入方法や実際の交換の手順を説明していきます。
新品のバッテリーは
どこで購入するのがベスト?
DIYでバッテリーを交換する場合、まずは新品のバッテリーを手に入れなくてはいけません。近所にカー用品店があればそちらにいけばすぐに購入することが可能です。購入する際、どのバッテリーが自分のクルマにマッチしているのかはバッテリー品番で確認します。
バッテリーの品番は、クルマの使用説明書にも書かれていますが、バッテリー自体にも『40B19L』(国産車の場合)などという数字とアルファベットが記載されているはずです。この品番と同じ仕様のバッテリーであれば交換が可能です。ちなみにこの品番の見方は以下になります。
標準車用バッテリーは②、③、④、アイドリングストップ車用バッテリーは①と③がバッテリーそのものの大きさと、端子の位置を示しています。これらが同じ仕様でないと、クルマのバッテリーボックスやトレイに収まらず、また端子にも接続ができない(困難)ので注意してください。
標準車用の①と、アイドリングストップ車用の②の2ケタの数字はバッテリーの性能ランクですが、もともと指定されているランクよりも低い数字ランクのバッテリーは使用できません。逆に大きな数字の物は性能が上がる(その分値段も高い)のでサイズと端子位置が合っていれば装着は可能です。
同じ仕様のバッテリーでも、値段は製品によってまちまちです。一概にはいえませんが高価なものほど性能や品質に優れていると考えていいでしょう。だからといって高価なバッテリーを積めばクルマの性能が上がるわけではありません。どの価格帯のバッテリーにするかは懐具合と相談してください。
ネット通販でもクルマ用のバッテリーは購入可能です。カー用品店の店頭価格よりも安く買えるものもたくさんあります。ただし、あまりに安いバッテリーは正直オススメできません。筆者の経験として、海外製の低価格バッテリーは新車装着時のバッテリーよりも、性能の低下が早い傾向があります。
過去に2度、別のブランドの低価格バッテリーを購入しましたが、どちらも1年半ほどで急激に性能が低下し交換を余儀なくされました。値段自体は一般的なカー用品店で売られている標準的なバッテリーの半額以下でしたが、結果的に元々のバッテリーの半分も持ちませんでした。
もちろん全てがその限りではありません。キチンと吟味すれば低価格かつ品質に問題のない物もあるでしょう。でも、不安があるのなら、通販で購入する場合はある程度名前の知られたブランドの、安すぎないバッテリーを購入することをオススメします。バッテリーが入手できたら次は交換作業です。
バッテリー交換作業の際は
端子を取りはずす順番に注意を
●準備する物
・新品バッテリー
・工具(スパナ、ボックスレンチ、ドライバーなど)
・※メモリーバックアップ
※バッテリーの変わりに乾電池などで一時的に電源を供給時計やカーナビ、オーディオ、クルマのコンピューターの学習機能などの設定がリセットされるのを防ぐ装置。1,000円程度で購入可能。
①バッテリーを固定しているステーを外す
まずエンジンを切ります。さらにルームランプなどエンジンを切っていても通電している電装品も全てスイッチをOFFにします。次にクルマのバッテリー搭載位置とバッテリーを車体に固定しているトレイやステーなどを確認し、バッテリー端子に工具などが触れないように注意しながら、バッテリーを固定しているステー等をスパナやボックスレンチで外してください。
②メモリーバックアップを取り付ける
バッテリーの端子からケーブルを取り外す前に、電池をセットしたメモリーバックアップを取り付けます。まず、プラス側に繋がっているケーブル端子にメモリーバックアップのワニ口クリップ(赤)を挟んで取り付けます。プラス側はプラスチックやゴムなどのカバーがされていることもありますが、そのカバーを外してから接続します。
さらにマイナス側にも同じようにメモリーバックアップのワニ口クリップ(黒)を挟んで取り付けましょう。繋ぐ順番は必ず先にプラス端子、次にマイナス端子です。気を付けてください。これでバッテリーを外す準備ができました。
③バッテリーから端子を取りはずす
バッテリーケーブルを取り外す際は最初にマイナス側から外すようにします。マイナス側がアースになっているので先に取り外すことでショートを防ぐことができます。
ケーブルはナットなどで固定されているのでスパナなどでナットを緩めてから、ケーブルを取り外します。ケーブルを外す際、メモリーバックアップのワニ口が外れないように注意してください。
マイナス端子が外れたら同じようにプラス端子側のケーブルも外します。外したケーブルの端子がクルマのボディに触れないように注意しながら端に寄せてください。
④バッテリーを載せ替える
ケーブルが外せたら古いバッテリーを垂直に持ち上げて取り外します。その際バッテリーは非常に重いので注意しましょう。コンパクトカーにも多く使われている40B19Lサイズでも、約10kgもあります。落とさないように気を付けてください。
古いバッテリーを取り外せたら、用意しておいた新しいバッテリーに交換します。端子の向きを間違わないよう新しいバッテリーをトレイに載せ、固定金具で確実に固定します。
⑤ターミナルにケーブルを接続する
次にバッテリーターミナルにケーブルを接続します。接続の順番は最初にプラス、次にマイナスです。取りはずした順番の逆になるので気をつけてください。
ケーブル端子からメモリーバックアップのクリップが外れないよう注意しながらターミナルにケーブルの端子を取り付け、ナットで固定します。ナットは締めつけないように注意しましょう。
プラスが終わったら次にマイナス端子側も同じ用にケーブルを固定します。接続ができたら、メモリーバックアップを取りはずします。外す順番は最初にマイナス端子側、次にプラス端子です。最後にプラス側の赤いゴムカバーを元に戻せば完了です。
古いバッテリーの処分は
どうすればいいのか?
クルマのバッテリーは自治体などでは回収してもらうことはできません。ゴミなどに出すと不法投棄になってしまうので注意しましょう。ではDIYでバッテリー交換した際、残った古いバッテリーはどのように処分すればいいのでしょうか。
まず、店頭でバッテリーを購入したのならそのお店が古いバッテリーの処分を引き受けてくれるはずです。交換を終えたら、古いバッテリーを店頭に持ち込めばOKです。ほとんどの場合無料のはずです。
通販で購入した場合も、新品の購入と引き換えに古いバッテリーの処分をその店にお願いできる場合がほとんどです。ただし宅配便などで古いバッテリーを送付する手間がかかる上、送料は無料の場合と自己負担の場合があります。バッテリーは非常に重く、自己負担の場合は送料が思いのほかかります。バッテリーを通販で購入する際は、古いバッテリーの引き取りがどうなっているのか確認しておいた方が良いでしょう。
バッテリーを送る送料が思いのほか高いという場合や、過去にDIYバッテリー交換を行い、その処分に困っている、という場合はどうすればいいのか。そのようなケースでもカー用品店やガソリンスタンド、自動車修理工場などで回収してもらえる可能性があります。
筆者は先日、近所の大手カー用品店で処分に困っていた古いバッテリーを無料で回収してもらえました。全ての店舗で同じように対応してもらえるかは分かりませんが、困っているなら一度問い合わせてみるといいでしょう。無料ではなく有料の場合でも500円程度です。それにカー用品店やガソリンスタンド、自動車修理工場なら回収したバッテリーもキチンとリサイクルされるはずなので安心です。