小さなお子さんを持つファミリードライバーにとって、車を使う際になくてはならないものがチャイルドシートです。しかし、そのチャイルドシートはいざ買うとなるとこれが意外に高価なもの。子供が何人もいると、その金額もばかになりません。もっとコスパ良くチャイルドシートを手に入れる手段はないのでしょうか。

もしクルマをカーリースで利用しているならチャイルドシートも買うのではなく、同じように借りるというのはどうでしょう。そこで、販売価格やレンタル料金などを比較しながらチャイルドシートは買うべきものなのかそれと借りたほうが合理的なのか検証してみました。

チャイルドシートを使用しないと
事故による致死率は11.1倍に!

いまだに街中で、助手席で小さなお子さんを抱っこしているシーンを見かけます。でもこれは言語道断の行為。いざというときに大切な子供をエアバッグがわりにするのか! と目を疑ってしまいます。でも、なぜそのようなことをするのでしょうか? 衝突時の危険性を理解していないからでしょうか? それともチャイルドシートを買うのが惜しいのでしょうか。

そういった方は勘違いしているのでしょう。チャイルドシートは子ども用の単なる椅子ではありません。万が一の事故の際、大切な子どもの命を守るために子供の身体を座席にしっかりと固定する「幼児用の補助装置」だということを。

もしチャイルドシートを使用せずに事故にあった場合、子供の死亡率はなんと約11.1倍

警視庁 子供を守るチャイルドシートよりhttps://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/childseat.html)も高くなってしまうのです。子どもの安全ためにも、チャイルドシートは必ず使用するようにするべきなのです。

というか道路交通法第71条の3第3項では幼児用補助装置を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない、となっています。法律で使用が義務付けられているのです。子供をクルマに乗せるのにチャイルドシートを使用しないという選択肢はありません。6歳未満の子どもをクルマに乗せるときにチャイルドシートを使用しないと、違反となり違反点数が1点加算(罰金はない)されます。

このように、チャイルドシートの使用は義務なのですが、だからといって絶対に購入しなければならないのかというと、決してそうではありません。

買うとなると結構な金額ですし、例えば新生児用のチャイルドシートは成長すればわずか数カ月で使えなくなってしまうもの。できるだけ家計の負担を減らしたいなら、買わずに済んだ方がありがたいですよね。

そもそも家計の負担が軽いのが魅力でカーリースを利用しているのなら、チャイルドシートの購入費用も気になるはずです。良い選択肢があるなら買う以外の方法を選びたくもなりますよね。どういった選択肢があるのか探ってみましょう。

その前に、まずはチャイルドシートの種類について整理します。国土交通省では、チャイルドシートに関して「乳児用」、「幼児用」、「学童用」、の3種類に分類しています。そしてそれぞれの対象年齢と、使用期間はどのようになっているのかまずそこから知っておく必要があります。

ベビーシートやチャイルドシートは
対象年齢に合ったものを選ぶ

まず生まれたばかりの新生児から1歳くらいまで使用できるのが「乳児用チャイルドシート」や「ベビーシート」です。これらは首がすわらない赤ちゃんにも使えるように、寝かせた状態でしっかりと固定できたり、幼児用よりも深くリクライニングが可能な設計となっています。

使用する場合はクルマの進行方向に対してチャイルドシートを後ろ向きに固定するようになっています。対応するのは新生児から15か月ごろまで乳幼児。体重なら13kg未満、身長は70cmくらいまでが目安がとなっています。ベビーシートはその名の通り赤ちゃんに期間に使用できるものなので使う期間が短くコスパ的にはあまりよくありません。しかし乳児用と幼児用の兼用タイプなら長く使用できます。

そして、幼児用チャイルドシートはひとりで座れるようになったお子さん向きのものです。車のシートに対して前向きに固定します。対象年齢は1~4歳くらいまでで、体重は9~18kg、身長は65~100cmに対応します。

さらに学童用ジュニアシートは4~10歳くらいまでのお子さんの使用に適したものです。座席部分をかさ上げすることでお子さんの背の低さを補いクルマのシートベルトを直接使用して体を固定します。体重は15~36kgまで、身長135cm以下が目安となっています。

幼児用チャイルドシートと学童用ジュニアシートを兼用したタイプもあります。このタイプは台座部分が分割式で、お子さんが成長し背が伸びたら台座部分だけをジュニアシートとして使用します。

チャイルドシートの固定方法には
2つのタイプがあるので注意を

このようにチャイルドシートやジュニアシートには対象年齢の目安はありますが、実際には使用期間を年齢だけで判断するのはNGです。お子さんによって成長度合いは違うので6歳になったからといってすぐにクルマのシートベルトを使わせるのは危険です。

クルマのシートベルトは、身長140cm以上の体型を想定した設計となっているため140cm以下のお子さんに使用すると本来の効果が期待できないどころか肩ベルトの位置が高くなりすぎて、急ブレーキの際に首を圧迫してしまう可能性があります。十分な背の高さに成長するまではジュニアシートを使った方がいいでしょう。

また、チャイルドシートを選ぶ際の注意点として、チャイルドシートには座席への取り付け方に2つのタイプがあるということも覚えておきましょう。一つがシートベルトで固定するタイプ。そしてもう一つがISOFIX(アイソフィックス)というクルマに搭載されている専用のコネクターで固定するタイプです。

現在の主流はISOFIXタイプです。チャイルドシートはしっかりと固定しないとその効果が期待できませんが、ISOFIXタイプはコネクターを差し込むだけで確実に固定ができるのでチャイルドシートがぐらつきにくく安全性も高くなっています

2012年7月以降に発売されたクルマはこのISOFIX固定金具の装着が義務付けられています。カーリースでクルマをご利用なら新しいクルマばかりのはずなのでほぼISOFIX固定金具があるはずです。もし中古でチャイルドシートの購入を検討されている場合は、そのチャイルドシートがISOFIXタイプかどうかを確認する必要があるでしょう。

購入なら安全性の高い最新モデルが
選べるのは大きなメリット

<p購入を想定してチャイルドシートの価格がどれくらいなのか調べてみました。乳児用チャイルドシートでは1万円以下のものもありますが、乳児・幼児兼用タイプなどになると3万円~8万円までと価格帯は非常に幅広いようです。ボリュームゾーンとしては1万5,000円~2万5,000円くらいになるでしょうか。

いずれにしても購入するとなるとやはりかなりの負担ですね。安いものもありますが、安全にかかわるものですからあまり安すぎるものはできれば避けたいでしょう。でも、どの製品を選択するのか自由度が高いのは購入ならではの利点です。最新の製品が使用できますし、より安全性の高いものをチョイスできるというメリットもあります。

さらに、リサイクル品や、レンタルで借りるよりも衛生面で安心ですし、購入したものなら万が一汚してしまっても気にする必要はありません。また二人目、三人目のお子さんがもし生まれればおさがりとして使う回すこともできます。ただ、歳が近い場合追加で購入する必要もありますが。

デメリットとしてはやはり前述したように購入に費用が掛かるということですね。また、お子さんが成長してチャイルドシートの使用期間が終わった後の処分が大変ということもあります。チャイルドシートはクルマから降ろすと思いのほかかさばるので、保管しておくのも大変です。ではやっぱりレンタルで利用するのがいいのか?

ひと月3,000円~借りることが可能
短期の利用ならメリットも大きい

そこで、チャイルドシートをレンタルで利用した場合どれくらいの費用がかかるのか調べてみました。こちらも業者やチャイルドシートのタイプによって幅はありますが、ひと月あたり3,000円(乳児用)~8,000円(乳児・幼児兼用)くらいが目安のようです。

ただ、ほとんどの場合半年など、より長期間の利用となると40%OFFなど大幅な割引が適用され1万円強で半年利用できるケースも少なくありません。低価格な乳児用なら長期のレンタル費用はさらに安くなります。

しかし、半年や1年という単位でレンタルした場合、購入した場合の金額と比べると、それほどお得感はありません。購入すれば2万円程度で手に入るものが、半年レンタルして1万円強なのであれば、やっぱり借りるより買った方がお得な感じはしますよね。

それに前に誰が使ったのかわからないチャイルドシートを使うのは嫌だという方もきっといるでしょう。レンタル商品ならクリーニング済みですがそれでも衛生面が気になることもあるでしょうし、さらにレンタルの場合必ずしも希望するチャイルドシートが借りられるかどうかわかりません。借りることのできるものの中からある程度妥協して選ばざるを得ないのです。

新品購入なら、使い終えたあとに
リサイクルショップに売ることもできる

新品で購入したチャイルドシートなら使い終えた後リサイクルショップなどに買い取ってもらうことも可能です。もちろんきれいなことが前提ですが、それなら処分費用も掛かりませんし、運が良ければ5,000円程度で買い取ってもらえる可能性があります。

ということは、結局は長く使うなら購入した方がお得ということになりますね。カーリースでクルマを利用されているのが前提なら、自宅にクルマが常にあるわけですから、子供を乗せる機会も多いはず。基本チャイルドシートはクルマに乗せっぱなしになるのでしょう。だったらレンタル期間などを気にする必要のない、購入のほうが良いという結論になるのでしょう。

購入価格が気になるという場合は、リサイクルショップなどで中古品を買うという選択もあります。使い終わった後の買い取りは期待できませんが、一流ブランドの高機能タイプが1万円以下で手に入るなど単純に負担額を考えると一番お得かもしれません。

ただし、小さなお子さんがいても普段クルマに乗せる機会がほとんどない、使うのは夏休みや年末年始の帰省のときだけというなら、買うよりもレンタルをするほうがお得かもしれません。必要が時にだけ借りて利用すればクルマのスペースを有効に使えますし、保管の手間もいりません。

また、別の選択としては使用期間の短い新生児用ベビーシートはレンタルで使い、1歳~6歳まで使用可能なジュニアシーと兼用チャイルドシートは購入するというのもありです。新生児用のベビーシートの使用期間は半年もないでしょう。それなのに新品を購入するのはちょっともったいないですよね。レンタルなら子供の成長に合わせて買い替える必要もありませんし費用的な負担も減ります。非常に合理的ではないでしょうか。おすすめです。

自治体がチャイルドシートの
補助制度を実施している可能性も

最後に、条件はありますが、チャイルドシートをよりお得できるかもしれない方法をご紹介します。それは自治体によるチャイルドシートの貸出制度や補助金制度を利用するというものです。

自治体が実施しているチャイルドシートの支援制度には大きく3種類の方法があります。それが「補助金の給付」、「貸し出しによる支援」そして「不用品の譲渡や斡旋」です。補助金はチャイルドシートを購入する際に一定額を補助してもらえるというもの。金額は自治体によって異なりますが、チャイルドシート1台につき約3,000円から1万円程度の金額が補助してもらえたり、購入したチャイルドシートの半額が支給されるというものがあるようです。

補助金制度が実施されていない自治体でも、チャイルドシートそのものを貸し出してくれたり、レンタル料金の一部を補助してもらえる制度がある場合もあります。

そしてチャイルドシートの貸し出しによる支援は、有料のものと無料のものがあり、例えば神奈川県小田原市では、乳児用チャイルドシートなら最長で4カ月、幼児用チャイルドシートなら最長で3カ月間、無料で貸出しを行っています。こういったレンタル制度は自治体によって実施内容に差があり、貸し出しが数日のみであったり、1年間という長期で借りられる場合があるようです。

さらに、鳥取県琴浦町のように自治体が不要となったチャイルドシートを必要な人に無料で譲渡する「チャイルドシート無料譲渡会」を実施していることもあるようです。希望するチャイルドシートが必ずしも入手できるとは限りませんが利用できるなら利用した方が間違いなくお得でしょう。

もしかしたらこういった制度が使えるかもしれないのでチャイルドシートを購入する前に、一度お住まいの自治体のホームページでチャイルドシートに関する補助制度について実施されていないかどうか是非確認してみてください。