ここ数年前例のないレベルの局地的な大雨による被害が拡大しています。いわゆるゲリラ豪雨ですが、このゲリラ豪雨による土砂崩れに地すべり、洪水による住宅への浸水などの被害が日本各地で広がっています。

こういったリスクはいつ私たちの身に降りかかるかわかりません。今のところ自分の住む地域には被害がなくても、線状降水帯やゲリラ豪雨の情報には常に警戒しておく必要があります。

豪雨による被害はなにも住宅だけではありません。道路の冠水によってクルマが水没などということも起きています。冠水による水没は何もガレージや一般道だけではありません。最近は高速道路を走行中にゲリラ豪雨で冠水の被害にあうというケースも起きています。

もしあなたが、そのような高速道路の走行中に道路冠水に遭遇した場合はどうすればいいのでしょう。高速道路上にクルマを停めてもいいものなのか、それとも別に正しい方法があるのか。今回はそんな高速道路上でゲリラ豪雨に走行した場合の正しい行動について解説します。

誰もがゲリラ豪雨の被害に
あう可能性がある

ゲリラ豪雨の被害

ここ数年毎年のように過去の記録を更新するような豪雨がたびたび発生しています。特に今年、2022年の夏は、日本各地で観測史上1位の記録的な大雨が続きました。

豪雨によって土砂崩れが発生し道路が冠水。さらに、住宅への浸水被害も広がっており、こういった豪雨に対して今後どのように対応していくべきなのか、被害を拡大しないためにはどのような対策をとるべきか今も議論が続いています。

豪雨による被害ですが、今まで経験してことがないという方ももちろんいるでしょう。しかし、ここ最近の突発的で想像を絶する規模のゲリラ豪雨の発生を見ると、今までは大丈夫でも、いつ誰もが被害にあう可能性があります。

特にドライバーの方はクルマで地方に出かけることも多いでしょう。地元では水害など起きたことがないとしても、もし、高速道路を運転中に豪雨に見舞われ道路が冠水してしまったら、どうすればいいか、あなたは考えたことはありますか。

そんなことめったいないなどと甘く考えていては危険です。例えばつい先日の2022年8月4日、前日からの大雨の影響で、北陸・東北地方で道路の通行止めとなりました。さらに東北地方でも多くの箇所で豪雨による通行止めや道路冠水、土砂崩れなどが発生しています。

もしあなたがそのタイミングでクルマを運転していたら、大きな被害にあった可能性があるわけです。では、上記のように高速道路上で前が見えないほどの豪雨に遭遇した場合、あなたはどのような行動をとるでしょうか。

そもそも正しい行動がどのようなものなのか知っているでしょうか。雨で前が見えないからブレーキを踏んでクルマを停める? 高速道路上でそのようなことをしてもいいのか。危険はないのか。

知っているようで意外に知らないのではないそんな高速道路上で豪雨に遭遇した場合の正しい行動について、具体的にはそうすべきなのか、それはどのような理由からなのか、次のパートから解説していきます。

高速道路を運転中にゲリラ豪雨になったら
まずはSAやPAに避難を

高速道路を運転中にゲリラ豪雨になったら

高速道路走行中に遭遇する可能性のある豪雨に関してですが、まずその豪雨が、台風が原因である場合は、おそらく高速道路に侵入する前にNEXCOが通行止めにするでしょう。

また、すでに高速道路を走行中なら、強制的に下道に降ろされる指示がなされるはずです。ただし、それは豪雨が予測できる場合です。近年増えている突発的で、雨量が極端に多いゲリラ豪雨の場合はNEXCOの対応も間に合いません。

もし、そういった指示がなくても天候が急激に悪化し、豪雨に遭遇しそうだなと自分で判断できるなら、SAやPAにとりあえず避難するのが賢明です。

とはいえ、そのような冷静な判断をできる方というのはまれでしょう。天気は悪くなってきても、道路情報掲示板、道路交通情報などで通行止めの情報がなければ、「走っていればきっとやり過ごせるはず」と、そのまま走り続ける方のほうが多いのではないでしょうか。

そして気が付いたら豪雨の中に突入、ということになるわけです。雨で視界が悪化したらまずはヘッドライトを点灯させましょう。フォグランプやリヤフォグランプが装備されているなら、そちらも点灯させて周囲のクルマに自分がそこにいることをアピールして衝突を防ぎます。

運転を続けるのが危険なレベルの雨なら、スピードを落としてとにかく最寄りのSAやPAを目指しましょう。できるだけ車間距離を取り、周りのクルマに接触しないように慎重に走行して安全を確保します。

突然にゲリラ豪雨の際、高速道路でも
安全確保ためにクルマを停めてもいい?

ゲリラ豪雨の安全確保

では、避難のために走行を続けるのも危険なくらい、まったく前方が見えないレベルの豪雨となった場合はどうすればいいのか。前に進むのが危険なのであれば、高速道路上でもその場にクルマを停めてもいいのでしょうか?

これはNGです。いくら視界が悪くても高速道路の本線上にクルマを停めるのは違反です。もちろん路肩であっても同様にNG。道路交通法によって高速道路上は、路肩や路側帯を含めて駐停車禁止です。特別な場合を除いてクルマを停めることはできないとなっているからです。

では特別な場合とはどんな場合なのか。こちらです。

  1. 危険防止のため一時停止するとき。(地震などによって大きな揺れを感じた場合、ゆっくりと減速し、左側路肩にクルマを停め、エンジンを切ります。)
  2. 故障などのため十分な幅のある路肩や路側帯にやむを得ず駐停車するとき。
  3. 料金の支払いなどのため停車するとき。

これだけです。つまり、豪雨によって前方で事故が起きており、やむを得ずブレーキを踏んでクルマを停車した、ということでない限り、豪雨であっても高速道路上でクルマを停めることはできません。

ただし、豪雨で視界が完全に遮られていたり、前方の道路が冠水していて進むのが危険という場合は、例外的に高速道路上での路肩停止が認められることもあるようです。

いずれにしても大雨で視界が極端に悪化したらとにかく近くの出口で降りるか、SAやPAで避難するのが正解です。ワイパーでは拭いきれないほどの雨でも、とりあえず進み続けて、安全を確保するために避難するしかありません。

そのような緊急事態はできるだけ避けたいですよね。ドライブの際は、事前に天気予報をチェックするだけでなく、移動中もまめに確認して、なおかつ目視で空も観察することを忘れず、進行方向の先で豪雨の可能性があるな、となったら早めにSAやPAに避難して天気や通行止めなどの情報確実に確認するようにしましょう。それ以上進むのは危険だとなればあきらめて帰宅するのが賢明です。

突然の道路冠水で停止できず
冠水路に突入してしまったらどうすればいい?

突然の道路冠水

どんなに気を付けていても、ゲリラ豪雨の被害を完全に免れることは難しいでしょう。予測できないくらいに突発的に発生するのがゲリラ豪雨だからです。では、もしクルマを運転中に冠水路に突入してしまったらどうすればいいのでしょう。

その場合は車が動くようならゆっくりと減速しつつ、慌てずに左側の路肩に停車します。この場合は前述の危険防止のための一時停止になります。左側の路肩に停車させることができたら、ハザードランプをつけて三角板を後続車から見えやすい位置に置きます。

そして、構想駆動路上には非常電話がありますのでそちらを使用するか、携帯電話から道路緊急ダイヤルに電話をかけ高速道路会社に連絡をしてください。

高速道路ではなく、一般道で目の前の道路が冠水しているのに発見が遅れ、クルマがその冠水路に突っ込んでしまったらどうすべきか。水深がそれほど深くなく、Uターンが可能なら元に道に戻りましょう。もちろん他のクルマに注意を払いながらです。

しかし、明らかに水深が浅く、通り抜けたほうが安全と判断できればそのまま通過してしまうという方法もあります。どれくらいの水深なら通過が可能なのか。一般的にはタイヤの半分くらいの深さ、クルマの底面に水面が触れるくらいの水深が限界だとされています。だいたい30cm程度でしょう。それ以上の深さとなるとマフラーの出口が水でふさがれてしまい、排気ができずエンジンが停止してしまう可能性があります。

ちなみにセダンやミニバンではなく、車高の高いSUVならもっと深い水深でも大丈夫ではないか、と考える方もいるかもしれませんが、車高が高い分、多少はSUVのほうが有利ではありますがその差は数センチ程度で実際にはほとんど変わりません。

自分のクルマのマフラーの高さを一度確認してみてください。SUVであっても地面からの高さに関しては、セダンやミニバンとさほど変わらないはずです。自分のクルマはSUVだから甘く見て冠水路に突っ込むのは絶対に避けてください。

もし、冠水路を通過せざるを得ないことになった場合は、スピードは出してはいけません。10㎞/hから20㎞/hの速度をキープして止まらずに通過します。

スピードが高すぎると跳ね上げた水しぶきが吸気口からエンジン内部に侵入してエンジンを壊してしまうことがあるからです。かといって遅すぎるとマフラーからの排気圧が低く、マフラーの出口から水が浸入してしまうこともあります。

速度を保ち、安全を確認しながらできるだけ速やかに冠水路を通過しましょう。その際エンジンは絶対に止めてはいけません。エンジンが止まると排気圧がなくなってしまうので、マフラーから水が侵入する可能性があります。アイドリングストップ機能を搭載しているクルマはアイドリングスイッチを手動でオフにしましょう。

冠水路を抜けることができたら速やかに避難してください。もし、目の前に冠水路を見つけ、「深そうだな」と感じたら、できるだけその場所は避けて通るようにしましょう。

冠水路にはまってしまったら
命を守るためにどのような行動をとるべきか

冠水路にはまってしまったら

慎重に運転していたのに、ブレーキが間に合わず冠水路に突っ込みエンジンが止まってしまった、という最悪のケースではその後どうするべきか。言うまでもありませんすぐに脱出を図りましょう。とにかく命を守ることを考えてください。

まずは落ちついてシートベルトを外します。そしてすぐに窓を開けます。エンジンが止まっても電気系統はすぐにダメになるわけではないので、速やかな操作を行えばパワーウインドウはまだ動作するはずです。窓を先に開けるのはドアが開かなかった場合(後述)に窓から脱出できるようにです。

そして、ドアを開けて脱出を試みます。ただし、水深がドアの半分以上になると人の力ではドアを開けるのは困難になります。JAFによる実験では水深60cmを超えると大人の男性でもドア(ヒンジドアでもスライドドアでも同様)を開けるのが困難になるという結果が報告されています。

ドアが開かない場合は先に開けておいた窓から脱出を試みましょう。とにかく、あわてず、それでいて速やかに車外に出るようにしてください。もたもたしているとドアも窓をあかなくなってしまいます。

対応が間に合わずすでに窓も開かないとなった場合は、次に窓ガラスの破壊を試みます。窓の破壊は簡単にはできませんが、車内に脱出用ハンマーを常備しているならそちらを使用すれば容易に割ることができます。

割る窓はサイドウインドーです。フロントガラスは合わせガラスになっていて、割れた破片が車内に飛び込むのを防ぐため、ガラスの間にフィルムが挟まれているのでヒビが入るだけで完全に割るのが困難だからです。サイドウインドーなら脱出用ハンマーで簡単に割ることができます。

脱出用ハンマーはシートベルトカッターなども備わっており、こういった万一の事態に非常に役に立つので日ごろからクルマに装備しておくことをおすすめします。

無事車外に出ることができたら、あわてずに足元を確認しながら慎重に冠水路の外まで脱出してください。豪雨の際には、路上のマンホールなどが外れている場合があります。不用意にその穴の上を通ってしまうとマンホール内に落下してしまうので、一歩ずつ進行方向の先に穴がないことを確認しながら慎重に脱出を試みましょう。

最悪のケースを想定して、日ごろから
いざというときの行動を予習しておく

最悪のケースを想定

昨今の異常気象を考えると、いまや日本のどこに住んでいても誰もが豪雨の被害にあう可能性があります。何の準備もしていないとそうなった場合に、慌てて正しい行動ができず、結果最悪の自体になってしまうかもしれません。

しかし、ゲリラ豪雨に対してある程度の心づもりをしておき、多少の準備と、いざというときにどのような行動をとるべきか予習をしておけば、万が一の際にも最悪の事態を切り抜けることができるはずです。

まずは車内に脱出用ハンマーを用意していない方は用意をしておくことをおすすめします。脱出用ハンマーは、ネット通販でも1,000円~2,000円程度で購入できるので、この機会に是非手に入れておくことをおすすめします。