クルマの買い替えや、カーリースでの新しいクルマへの乗り換えをきっかけに、ガソリンエンジン車からハイブリッドカーに乗り換えたという方がどんどん増えています。最新のハイブリッドカーは価格もお手ごろでなんといっても燃費が良い

それに高機能な安全機能やハイテク装備が満載でとても便利。よほど思い入れがあるか、出費を抑えたいという以外あえてガソリン車を選ぶ利用はもうないのかもしれません。

ただ、ハイブリッドカーはクルマいじりが好きな人にとってはあまり面白くない存在です。ボンネットを開けてもパワーユニットがカバーで覆われていて、ハイテクすぎてDIYでのメンテナンスやカスタイマイズもハードルが高すぎる。

じゃあメンテナンスフリーなのかというとそんなわけはありませんね。中にはハイブリッドカーはオイル交換もあまり必要ないと誤解をされている方もいるという話も聞きますが大きな間違いです。ハイブリッドカーはむしろエンジンへの負担が大きく、エンジンオイルの管理にも気を使わなくてはいけないものなのです。でも、それはなぜなのか知っていますか?またそれならオイル交換はどれくらいの頻度で行うべきなのでしょうか。

ハイブリッドカーは頻繁に
オイル交換をする必要がない!?

2020年12月、東京都の小池知事はこんな発言をしました。それは今後EV車(電動自動車)の普及を強力に推進し2030年には東京都での純ガソリン自動車の新車販売を禁止するというものです。カーボンニュートラル社会を目指すのであれば、それは確かに正しいことなのでしょう。日本政府も同じように2035年までに純ガソリン車の販売を禁止すると発表しています。驚きはありましたが社会の流れとしてはもはや当然のことなのかもしれません。

むしろこのように具体的に示してくれれば自動車メーカーも、そしてクルマを使用する私たちも具体的な行動をとりやすいといえます。もちろん「急過ぎる!」、「 軽自動車やバイクはどうすればいいのだ」、などという批判もあるようですが、カーボンニュートラル化は世界的な流れなので、いずれにしても私たちも受け入れるしかありません。

とはいえさすが10年やそこらで日本中のクルマを一気にEV化というのは現実的ではありません。ですからあくまで2030年以降の純ガソリン車の新車販売禁止であって、中古車の取引は禁止とはならないようです。

また、EVではないけれど、モーターを併用するPHEVやハイブリッドカーなども当面はOKとのこと。となると、現実的なのは導入コストやインフラの整備を考えてハイブリッドカーでしょうか。しばらくはハイブリッドカーやPHEVが主力となる可能性が高いのかもしれません。実際ハイブリッドカーの普及は近年急速に進んでいます。

例えばトヨタなどはほとんどのモデルにハイブリッドを設定していますし、他のメーカーでもその流れは加速しています。価格もお手頃になり始めていますし、新車販売でも、カーリースの利用でもハイブリッドカーを選ぶという方も増えているようです。ただハイブリッドカーに乗り換えた方の中にはハイブリッドカーのメンテナンスに関してちょっと勘違いされている方も中にはいるようです。そのため乗りっぱなしにして、結果エンジントラブルなどを起こしてしまうことがあるというのです。

ハイブリッドカーこそオイル管理が重要。
交換はまめに行うべし

純ガソリン車からハイブリッドカーに乗り換えて、そのハイテク感ぶりを体感すると「今までのクルマとはやっぱり違う!」という感覚が味わえます。もちろんすぐになれるのですが。

しかし、そのせいなのか、ハイブリッドカーは、従来のガソリンエンジンに比べてエンジン関係のメンテナンスがあまりいらないと思ってしまう人もいます。まるで家電製品のようで従来のアナログなガソリンエンジン車とは違うものと考えてしまうのかもしれません。

そのため例えばスマホのように動力源であるバッテリーの劣化に関しては皆さん気にしているのに、なぜかもう一つの動力源エンジンの血液ともいうべきエンジンオイルの管理に関して、意外なほど無頓着になっているケースが少なくないといいます。

確かにハイブリッドカーは走行中常にエンジンが動いているわけではありません。スタート時や加速時、低速走行時はモーター駆動によってエンジンが停止しています。だから、エンジンの負担も少ないだろうということなのでしょう。負担が少ないからエンジンオイルの交換もそれほど気を使う必要はない、と誤解されているのです。

でも、それは違います。ハイブリッドカーやアイドリングストップ機構付きのクルマは、頻繁にエンジンの停止、再始動が繰り返されるため、むしろ普通のガソリンエンジン車に比べてエンジンへの負担は大きくなります。そしてその分エンジンオイルの劣化も進みやすいのです。

エンジンオイルはある程度温まった状態で潤滑効果が働くようになっています。ハイブリッドカー用の低粘度オイルは温度が低くても潤滑性能を発揮できるようにはなっていますがそれでも冷えた状態では、十分に温まったオイルほどの潤滑効果は期待できません。

ハイブリッドカーは頻繁にエンジンを停止するのでどうしてもオイルの油温が上がりにくい。そして冷えたオイルのままエンジンの再始動を繰り返せばエンジン内部の抵抗多き状態で部品同士の摩擦することになる。結果エンジン内部のスラッジ等の堆積物が増え、そのせいでさらにオイルが劣化しやすくなってしまうのです。

アイドリングストップのせいで
エンジンが温まりにくいのが原因

さらに、燃料希釈という問題もあります。燃料希釈とはピストンリングの隙間から漏れたごく少量の混合気(燃料と空気を混ぜたもの)が、クランクケースを介してエンジンオイルに交じり、オイルが燃料で薄められて(希釈されて)本来の潤滑効果を落としてしまうというもの。

エンジンオイルの温度が高ければ、混入した燃料はオイルの熱で蒸発するのですが、エンジンオイルが低温だと燃料が蒸発しないため、エンジンオイルが燃料で希釈されてしまうということが起きるのです。この燃料希釈は、エンジンオイルの潤滑性能を低下させ、結果エンジンにダメージを与えることもあります。

ハイブリッドカーのようにエンジンの停止と再始動を繰り返すのでオイルが十分に温まりにくい。そして再始動時の燃料噴射によって、燃料希釈が起きやすくなってしまうというわけなのです。

そうなればエンジン内部でオイルの潤滑低下が起き油膜を保持することができず、パーツが摩耗したり、エンジンの熱によって最悪の場合は焼き付きを起こすなどということも。エンジンオイルの交換を怠っていると当然劣化も進み、余計にダメージを与えてしまうかもしれないのです。つまり、ハイブリッド車こそエンジンオイルが汚れやすく、量や汚れのチェックを頻繁に行うべきで、またオイルの交換も定期的に、確実に行うほうが良いというわけなのです。

クルマのコンディションキープのために
エンジンオイルの管理は自ら行うべし

では、カーリースでハイブリッドカーに乗り換えたばかりというあなた。マイカーのエンジンオイル、ちゃんとチェックしていますか。また交換はいつ行いましたか? カーリースの場合、基本的に車検などはリース会社にお任せです。

また、メンテナンスリースの契約をしていれば、定期点検もリース会社で行ってもらえるのでその時にオイル交換を行ってもらっているのでしょうか。だから、メンテやクルマの管理はノータッチ。全部お任せしているということも当然あるのかもしれません。

でも、それで十分かというと、そうではありません。理由は前述しましたね。ハイブリッドカーこそエンジンオイルの管理を徹底しないといけないからです。ハイブリッドカーや、アイドリングストップ機構付きのクルマに乗るならエンジンオイルの汚れ具合や減りなどを定期的に確認して、なおかつエンジンオイルの交換も積極的に行った方がいいのです。たとえ走行距離が少なくても、半年に一度はエンジンオイルの交換をすることを強くおススメします。

また交換の際はオイル選びにもこだわって、低温時にも優れた潤滑機能を発揮するハイブリッドカーに適した高性能なSNグレード以上、0W-16や0W-20といったエンジンオイルを入れるのが間違いありません。

オイルは高価なものなら良いというわけではなく、ハイブリッドカーに適した性能を持つものと使うというのが肝心です。

リーズナブルな鉱物油でも
ハイブリッドカーに適したものならOK

どのオイルが自分のクルマに適しているのかよくわからないという場合はディーラーやカー用品店で相談してみてください。エンジンオイルの価格はベースオイルの違いによって変わってきますが、比較的ベーシックな鉱物油ベースのオイルなら4Lでだいたい2,000円~2,500円くらいです。エコカーやハイブリッドカー用もあるので、予算を抑えたいならこちらがいいかもしれません。

ミドルクラスが部分合成油ベースのオイルです。鉱物油と全合成油を組み合わせたもので価格と性能のバランスがよいとされています。価格はだいたい4Lで3,000円~5,000円くらいです。幅広いクルマに適しています。もちろんハイブリッドカーに適したものもあります。

そして全合成油はこの中でも最も高級とされている高性能オイルです。液体チタンの配合など最新技術が導入されていてエンジン保護性能や耐久性に優れたオイルがそろっています。主にハイパフォーマンスなスポーツカーなどに使われますが、ハイブリッドカーに最適化されたものもあります。

しかし、価格は4Lで4,500円~8,000円と高価なので普段使いのクルマに使うのはちょっともったいないかもしれません。高いオイルを使えばパワーユニットの性能が上がるというわけではありませんので、無理のない範囲でハイブリッドカーに適したオイルを使用すればいいでしょう。

安くあげたいならDIYでも可能
不安ならカー用品店を利用しよう

ハイブリッドカーこそ、オイル交換は積極的に行うべきだとして、交換自体はどこで行えばいいのか。カーリースの場合はちょっと悩みますよね。リース車であっても正規ディーラーにメンテナンスを任せている場合はそちらで行うのが最も簡単でしょう。工賃やオイルの値段は多少高いかもしれませんが安心なのは間違いありません。また、カーリース会社が指定する整備工場があればそちらに依頼するのも間違いありません。

カーリース車は整備も指定業者を使用するというのがセオリーですが、エンジンオイルのような消耗品であれば、ユーザーサイドで行のも問題ないはずです。ガレージジャッキやジャッキスタンド、工具などをお持ちなら自分でやってみるという手もあります。これならオイルやオイルフィルター代だけで済みます。

ただ、ドレンボルトの締め忘れなどによって万が一エンジンのトラブルなどが起きた場合、自分の責任になりますし、カーリースの場合はのちのち違約金などの問題につながる場合もあります。整備の経験がないのなら、安易に自分でオイル交換を行うべきではないでしょう。

それでもできるだけ交換費用を安く済ませたいというなら、大手のカー用品店のピットサービスをつかうのもよいでしょう。正規ディーラーなどよりも工賃は安めですし、オイルの種類も豊富です。サービス会員などになると工賃の割引なども受けられるので、頻繁に利用するならお得かもしれません。

クルマのコンディションキープするために
オイル管理を習慣づけよう

オイル交換はクルマのメンテナンスの基本です。ついついディーラーや整備工場任せにしてしまいがちですが、こまめなチェックはドライバーが行うべきことです。

特にハイブリッドカーの場合、エンジンオイルのコンディション管理は重要なことなので、是非自分でチェックする習慣をつけてみてください。5年や7年など、長くカーリースで利用するなら、オイルをしっかり管理しておくことでクルマのコンディションを長くキープすることができます。量や汚れの点検などは簡単なので、やったとのないという方も是非一度実践してみてください。