梅雨は雨が続き、晴れ間も少なくなり出かけるにしてもなかなか気分が乗りません。雨の中の運転は気も使いますし、濡れた傘を車内に持ち込まなくてはいけないというのも気になりますよね。さらに、気になるのが梅雨のシーズンにつきもののカビです。

雨が続いてしばらく晴れ間がないな、などと思っていたら、いつのまにか自宅のキッチンやバスルームにカビが生えていた、なんて経験はありませんか。そう、じめじめした梅雨といえばこのカビの発生に注意しなくてはいけません。カビは見た目が悪いだけでなく、健康被害にもつながりかねません。場合によってはアレルギーや肺炎などの原因になることもあるのです。

そんな厄介なカビですが、自宅同様クルマでも実は気を付けなくてはいけないものなのをご存じでしょうか。そもそも濡れた傘などを車内に持ち込めば車内には湿気がこもります。クルマは密閉された空間なので車内の水分はなかなか乾燥しません。そうなれば当然のごとく車内にもカビは発生しやすくなります。土足で踏むフロアマットや湿気のこもりやすいシートの中、汚れた荷物を乗せっぱなしのラゲッジスペースや空気を循環させるエアコンの内部などはカビの格好の住処です。

そして、一度車内でカビが生えてしまうと今度はそれを完璧に取り除くのは結構大変です。そうなる前にできればカビが生えないよう対策をしておくのが一番です。でもそのためにはどうすればいいのでしょうか。カビの発生を防ぐ方法はあるのでしょうか。また、車内にカビが生えてしまったら、対処はどうすればいいのか。今回はそんな車内のカビ対策についてご紹介します。

本当に車内でもカビは発生するのか
どんな場所にカビは生えるのか

車内のカビ発生

ドアを開け車に乗り込んだらなぜかカビの嫌なにおいがする。きっと車内のどこかにカビが発生しているのでしょう。そもそもカビは湿気があればどんなところにも生えてきます。日本は特に湿気の多い国なのでカビはいたるところに生えてきます。それは車内でも同様なのです。

車内は密閉された空間です。その中に水分や湿気が閉じ込められるとカビが生えやすい環境になります。特に生えやすいのがフロアマットです。カーペット状のフロアマットには水分が閉じ込められやすいうえにカビの餌になるゴミやホコリ、食べこぼしなども付着しています。湿度が保たれた密閉空間となればカビはあっというまに繁殖してしまいます。

また、やっかいなのがフロアマットは黒やグレーなどのカビの目立ちにくい色のものが多くカビが生えても見た目ではわかりにくいということ。そのためついつい掃除を忘れカビがさらに繁殖してしまうのです。

そのカビですが、どこからやってくるのかというと空気中です。空気中には常にカビの胞子が浮遊しています。車内や室内の空気 1㎥ 中には数十から数千個のカビが存在するといわれています。さらにホコリ1g中にも一万個から百万個のカビが存在するといわれています。つまり環境さえ整えばどこでもカビは発生してしまうのです。

車内で特にカビが繁殖しやすい場所がカーエアコンの内部やフロアマットの中、さらにシートとラゲッジスペースです。なぜならこれらの場所は温度と湿度が適度に高く、カビの餌になるゴミやホコリ、食べこぼしなどの有機物があるというカビが繁殖するための条件がそろっているためです。これらの場所は梅雨時特に掃除を徹底して水分や汚れを取り除いておくべきでしょう。

カビによって重大な
健康被害にあってしまうことも

車内のカビによる重大な健康被害

黒やグレーなどのインテリアのクルマだとカビの発生に気づきづらいかもしれません。しかし、カビが発生するといわゆるカビ臭さをかじるはずなので、そうなる前に対処するのがベストです。カビ臭さを感じるようになればすでにどこかにカビが発生しているはずです。

ただ、毎日そのクルマに乗っているオーナーの場合、微妙な車内の臭いの変化に気づきづらいかもしれません。でも、車に酔いやすい方を乗せることがあれば、臭いに敏感ですのですぐに気づくでしょう。カビ臭さは車酔いの原因にもなりますし、同乗者にも不快感を与えることは間違いありません。

また、カビは健康にも重大な影響を及ぼす可能性があります。カビが呼吸器や皮膚などで増殖することによって感染症を発症することもあります。さらにもしカビが人体に入って増殖してしまえばカビが産み出すカビ毒(マイコトキシン)で中毒になることもあります。また、カビに対してアレルギーを持っている方もおり過剰な免疫反応を起こしてしまうこともあります。呼吸器が弱い方は特にカビには注意が必要です。

車内のカビの発生、繁殖を
防ぐにはどうすればいいのか

車内のカビの発生や繁殖を防ぐ方法

カビは温度が25~30℃で、湿度60~80%で最も活発に増殖します。つまり梅雨時の車内は格好の繁殖環境といえます。空気中の水分はエアコンなどを使わないと除去するのは難しいので駐車中の車内でのカビ繁殖を完全に防ぐのは簡単ではありません。また一旦繁殖したカビは掃除をしても完全に消滅させることは難しいでしょう。

しかし、カビが繁殖しにくい環境にすることは可能です。当たり前ですまずは車内に濡れているものを持ち込まないのがベストです。水分の多いもの、濡れた荷物や傘などを極力車内に持ち込まないようにしましょう。傘などは仕方ありませんが、もし車内に水分の多いものや濡れたアウトドアグッズなどを積まなくてはいけない場合は、密閉できる箱や食品ならクーラーボックスなどの容器にいれてからトランクに積み込むようにするといいでしょう。

さらに、こまめに掃除をして車内を清潔に保ち、晴れた日を狙って定期的に車内の換気を行ってできるだけ乾燥した環境を保ちます。そうすることでカビの繁殖を抑えることが可能です。換気の際は窓をあけるだけでなくフロアマットや車内の荷物などを車外に出して、日光などにあててそれらもしっかり乾燥させて湿気を取りましょう。

カビの繁殖原因となるホコリや食べこぼしなども取り除くため掃除も行います。特に念入りに掃除しなくてはいけないのがフロアマットです。雨などでぬれた靴で踏みしめるフロアマットは特に汚れや湿気のたまりやすいポイントでありカビにとっては最高の繁殖場所です。晴れた日を狙ってこまめに洗って清潔にしておきます。

そして肝心なのは洗ったあとにしっかり乾燥させること。水分が残っていると、カビが繁殖してしまうので洗車の際は真っ先に洗い完全に乾くまで天日に干します。やってはいけないのが、フロアマットが半乾きの状態で車内に持ち込むこと。せっかく洗ったフロアマットが原因で車内にカビが広がってしまいかねません。注意してください。

車用の除湿剤を使うほか、カビ予防スプレーを
活用するのもある程度の効果が期待できる

車用の除湿剤やカビ予防スプレーを活用

車内の湿気を取り除くのであれば、家庭でも湿度対策にも使われますが除湿剤や除湿器(車専用の)を使うという手もあります。除湿剤には使い捨てタイプと繰り返し使えるものがありますが、使い捨てのタンク型は中に水分がたまってしまうので、それが走行中の振動でこぼれる可能性があるのであまりおすすめできません。繰り返し使える除湿器のほうが使いやすいでしょう。

他にも、抗菌効果を持つ薬剤を噴霧してカビの発生を抑える車用の防カビスプレーなどあります。こういったものと活用してもいいかもしれません。車内の掃除や換気した際に、フロアマットやシートカバーを外した状態でカビ予防のスプレーを車内に噴霧しておきます。完全にカビの発生を抑えることは難しいでしょうが効果は期待できます。

気を付けていたのにカビが繁殖してしまった
とりのぞくにはどうすればいい?

繁殖してしまったカビを取り除く方法

気を付けていてもカビが発生してしまうこともあるでしょう。特にフロアカーペットや内装などと共に車内でカビが繁殖しやすいカーエアコンの内部は気が付かないうちにカビが繁殖してしまうことがあります。カーエアコンは内部に温度と湿度の高い空気を取り入れて熱交換器で冷やすので、その際空気中に含まれていた水分が冷却され水滴になり、内部にはどうしても水分がたまってしまうからです。そのため放置しておくとエアコンの内部でカビが発生しやすいのです。

カビが発生した状態でエアコンを使用すればカビの胞子を車内にまき散らすことになり、さらにカビが繁殖してしまいます。とても危険です。では、エアコンからのカビ臭さに気づいた場合どうすればいいのか。まずはエアコンフィルターを交換しましょう。フィルターは空気中のホコリなどの汚れをろ過するものですので当然汚れがたまっています。エアコン内部の水分がこもってしまうとフィルターのそれらの有機物を餌にしてカビが繁殖するのです。

エアコンフィルターの交換は比較的簡単です。フィルター自体もディーラーだけでなくカー用品店やネット通販で簡単に入手可能で値段も2000~3000円と手ごろです。エアコンフィルターがある場所は車種によって違いはありますが、多くの場合グローブボックスを取り外した奥などにあるボックスの中に設置されています。場所がわからない場合はクルマの説明書で確認してください。ネットなどで検索してみてもいいでしょう。

フィルターの交換は古いものを取り外して新しいものを交換するだけです。ちなみにクルマのエアコンフィルターは折りたたまれた濾紙でできており家庭用のエアコンフィルターのように再利用は基本的にできません。必ず交換するようにしてください。できれば年に一回は交換する習慣をつけておくのがいいでしょう。

もしフィルターを交換してもカビ臭さが取れない場合はエアコンの内部でカビが繁殖している可能性があります。エアコンの内部で特にカビが発生しやすい場所がエバポレーター(熱交換器)です。エアコンはここで取り入れた空気を冷やしているで、どうしても水滴がたまりやすく、カビも繁殖しやすいのです。

エバポレーターに発生したカビを取り除くのはDIYでは困難です。ネットなどではエアコン部分を分解して掃除する手順などが紹介されていることもありますが技術がないとエアコンやインパネ壊してしまう可能性があるので素人は手を出さないのが賢明です。プロに掃除を頼むのが間違いないでしょう。その際の料金ですがショップによっても変わってきますがだいたい5,000円から10,000円くらいです。

シートに繁殖してしまったカビは
どのように取り除けばいい?

シートに繁殖してしまったカビを取り除く方法

汗などの水分がしみ込みやすいシートもカビが発生しやすい場所です。シートにカビが発生してしまった場合はどうすればいいのか。DIYでもエタノールや酸素系漂白剤を使うことでシートのカビを除去することは可能です。

やり方はエタノールや酸素系漂白剤を染み込ませた布などでカビの部分をトントンと叩くようにします。そして漂白剤をシートに染み込ませしばらく放置した後、乾いた布や濡れた布でエタノールや漂白剤をしっかり落とします。これを数回繰り返しましょう。カビが取り除けたらドライヤーやアイロンなどの熱でしっかり乾かせば完了です。水分を残したままだとまたカビが発生してしまうので気を付けてください。

作業手順を説明すると簡単ですが、実際の作業は簡単ではありません。使うのであればエタノールや酸素系漂白剤のほうがまだ良いですがそれでもシート地にダメージを与える可能性がないわけではありませせん。使う場合はまずは目立たない場所でテストしてから作業するようにしてください。自信がない場合はプロに任せた方が間違いないでしょう。

換気や掃除を徹底しカビの発生を予防
もしカビを見つけたら適切に対処しよう

換気や掃除を徹底しカビの発生を予防

梅雨の時期は油断していると車内でもカビは発生してしまいます。頻繁にクルマを使う人であれば乗り降りするたびに車内が換気でき、カビが発生してもすぐに対処できますが、週末にしか車に乗らないという方は気が付いた時にはカビの繁殖がかなり進んでいたなど言うこともあり得ます。気を付けましょう。ただ、カビの発生直後であれば紹介したような適切な対処を行うことによってカビを取り除くこともできます。被害がひどい場合は素直にプロに任せるという判断も重要です。

この時期は車内にカビが生えにくい環境を作ることがなにより大切です。余計な荷物や車内に積みっぱなしにしない、換気を定期的に行う。フロアマットの掃除を欠かさず洗車も定期的に行いましょう。そしてエアコンのフィルターは年に1度は交換するようにします。こういったまめな手入れを欠かさなければカビの発生や繁殖は防げます。プロの手を煩わせることもないでしょう。とにかく適切な準備や対処を行ってカビの無い快適なカーライフを是非お過ごしください。