カーリース契約でクルマを選ぶ際に非常に重要なポイントとなるのがクルマの残価です。単純に、この残価が高ければトータルでよりお得にクルマに乗ることができる可能性が高くなります。またリース車両を乗り換える際にも、より有利な条件で、乗り換えることができるでしょう。
そして、その残価が高いクルマとはどのようなクルマかというと、いわゆるリセールバリューの高いクルマです。このリセールバリューが高ければ、残価も高く設定でき、高額なクルマであって差し引き月々のリース料金は結果的にお得になります。
そんな気になるリセールバリューですが、そもそもどういうものなのでしょう? またリセールバリューの高いクルマとは、例えばどのようなクルマなのか、あらためて解説します。
目次
リセールバリューが高いと
残価も高く設定できる?
カーリースでは、リース契約時に3年、5年、7年後の契約終了時の価値を想定した「残価」が設定されます。車両の価格からその残価を引き、残りの金額を毎月のリース料金として払っていくのですね。この残価とはリース車両の返却時の価値を想定した残存価値のこと。簡単にいえばリースが終わった時にそのクルマにいくらの価値が残っている(中古車としていくらの査定がつきそうなのか)というものです。
クローズド契約の場合、この残価はリース会社が設定するものですからリース利用者はいくらか知りません。しかし、普通にクルマを使っていれば(事故によるクルマダメージや無断の改造などでクルマの価値を損ねていない限り)、精算時に追加料金が発生することはほとんどありませんので安心ではあります。
オープンエンド契約の場合、この残価はリース契約者がリース会社と相談の上に設定します。つまり残価がわかる。価格がオープンになっているのでオープンエンド契約というわけです。もしオープンエンド契約のカーリースなら毎月のリース料金を少しでも安くするために、この残価を高く設定することもできます。でも、高くしすぎるとリース車両の返却時に査定額が設定していた残価を下回って、最終的に高い精算金を払うことになる可能性があります。自分で残価を決められるけれどその分リスクもあるというわけですね。
とはいえオープンエンド契約のカーリースでも、はじめから適切なリース料金が提示されている場合がほとんどですので無理に自分で決める必要もありません。また、そのクルマに見合った適切な残価を設定し、クルマを大切に扱っていれば高額な精算金を払うこともほとんどありません。
ただし、リスクとしては最終的に精算金を請求される可能性はあるわけで、安易に残価を高く設定するのは絶対に避けるべきでしょう。
毎月のリース料金が抑えられるので、リース期間中は良いですが、クルマの返却時にその分のツケを払うことになるかもしれません。そのようなリスクを避けるには残価を高く設定しすぎないということも大切です。また、あらかじめリセールバリューの高いクルマを選んでおくというのも良い選択です。
クルマのリセールバリューが高いと、その分残価も高く設定できる(設定される)のですから。そんなリセールバリューと残価の関係について、また、どんなクルマが、リセールバリューを期待できるのか、さらになぜそれがカーリースにとって重要なのかなどを解説します。
値落ち率が低いイコール
リセールバリューが高い
リセールバリュー(resale value)とは直訳すると再販価値となります。クルマの世界では、主に中古車としてのそのクルマの価値や、新車の残価率のことを意味しています。ようするに中古車として売ったらどれくらいの価値あるのか、または新車で購入したクルマが月日を経てどれくらいの価値が残っているのかを示したもの。つまり、このリセールバリューが高いクルマは下取りや買取価格が高いクルマという意味になるわけです。
クルマを新車としてリース、または購入されると、高級スポーツカーや限定車などの例外はありますが、基本的に時間がたつごとにその価値は下がっていきます。
しかし、同じ年式でもとは同じくらいの新車価格であってもクルマごとにその値落ち率は大きく違います。たいていは人気車の値落ち率は低く、人気のないクルマは値落ち率が高くなっています。今ならミニバンやSUVなどはリセールバリューが高いですが、需要が限定的なセダンは、プリウスなどのハイブリッドカーを除いて残念ながらあまり高くありません。
狙うべきはもちろん人気車です。需要の高い人気車を新車で購入しておけば、手放す際にも高く売ることができ、購入のために多くの金額を払ったとしても結果的にお得にクルマを所有できたということになるわけです。
だからといって、クルマそのものの魅力に注目せずに、リセールバリューだけでクルマを選ぶというのもちょっと味気ない気もしますが、リセールバリューが高いクルマ=人気車でもあるわけです。人気の新車なら周囲からも注目されますし、満足度もきっと高いはず。特にクルマにこだわりがない方ならむしろ迷わなくていいと思うかもしれません。それに最終的に高く売れるのですからお得にクルマに乗れるということになります。賢い選択であるのは間違いないでしょう。
では、そんなリセールバリューがカーリースになぜ関係あるのか。リース車両は最終的に返すものであって、中古車として売るものじゃない。確かにそうです。しかし、新車をリースで貸し出し、一定期間使用され返却されたあと、そのクルマたちはその先どうなるのか?査定を受けて、値段がつけられリース会社によって中古車として再販されるのですね。
リセールバリューが高いクルマには、中古で販売する際に価格を高く設定できますから、リース会社も当然そのクルマに設定する残価を高く設定できます。また、オープンエンド契約で残価を高く設定していても、車両返却後の査定によって、高い値段がつく可能性が高く、高額の精算金を払う可能性も低くなるというわけです。
このようにメリットが大きいのですからリース車両としてもリセールバリューの高いクルマこそ狙うべきクルマであるといえるわけなのです。では、現在リセールバリューの高いクルマとはいったいどのような車種なのでしょう。
トヨタ車は全般的に
リセールバリュー高し
(引用:トヨタ公式HP)
リセールバリューの高いクルマとはどのようなものなのか。おおよその傾向ですが、まずはモデルチェンジしたばかりのクルマです。新しいものならリース契約終了時でも古さがないので人気も落ちません。次に海外でも人気のあるクルマです。アルファードやヴェルファイアや、トヨタのランクル、ハイエース、またスバル車やホンダのタイプRなどは海外でも引き合いが多いので売りやすい、つまり高い値段が付きます。
また、今ならスズキのジムニーなども相当にリセールバリューが高いといえるでしょう。現在人気過ぎて新車が購入できないくらい。中古車市場では新車価格以上で取引される例もあるくらいですから当然ですね。それにジムニーは歴代ロングセラーで過去のモデルも値段が落ちないことで知られています。国産車としてはトップレベルのリセールバリューを持つといってもいいかもしれません。ただし、現状では手に入れること自体が難しいので、リース車両が用意されている可能性はかなり低いですが。
そして、リセールバリューの高いクルマがそろっている自動車メーカーというとやはりトヨタです。国内のシェアナンバーワン(世界ではナンバー2)で、人気車も豊富にそろっている。加えて信頼性も抜群で経済性にも優れていますし、海外での人気も抜群に高い。なのでトヨタ車が中古車としても人気が高いのでリセールバリューも高いわけです。
そんなトヨタ車の中でも特に人気があるとされているのが、プリウス、アクアなどのハイブリッド車や、Lクラスミニバンで圧倒的なシェアを誇るアルファード、ヴェルファイアです。そして、SUVでは絶大な人気を誇るランドクルーザーシリーズやワンボックスではもはや敵なしのハイエースなどもそうですね。
需要の高くないセダンは
リセールバリューも期待できない
もちろんトヨタだけにリセールバリューの高いクルマがそろっているわけではありません。日産ならミニバンのセレナや、ノートeパワーなどは評価が高いです。またかつてはリセールバリューがあまり高くないことで知られていたマツダも、最近はブランドとしての価値が高まり、CX-8やCX-5などのSUVは以前よりもリセールバリューが高くなっているようです。
では逆にリセールバリューが期待できないクルマとはどんなクルマなのか。簡単です。人気のない車です。ジャンルでいうとセダンですね。新車でも売れていませんし、新型車両の投入もほとんどない。ようは需要がないのですから今後もリセールバリューが高くなる可能性は低いでしょう。また一時期はやった全高のあまり高くないミニバンも期待薄です。
ミニバンは背が高く広くて押し出し感のある強面顔に人気が集中しています。中途半端に背の低いものはあまり注目されません。例えばホンダのオデッセイやステップワゴンなどはかつての大ヒットモデルでしたが現行モデルは人気が低迷しているのでリセールバリューも正直あまり期待できないでしょう。
それともう一つ注意したいのが輸入車です。フェラーリやポルシェなどの雲上ブランドや絶大な人気を誇るベンツは別として、輸入車は全般的にリセールバリューが低めです。イタリア車、フランス車などは値落ちが早いことで知られています。また、ちょっと意外なのがBMW。ベンツと並ぶドイツの一流ブランドですが、中古車となると値落ちが激しいため、リセールバリューはあまり期待できません。その分中古車で購入するならお得、というメリットはありますが。
車種の違いだけでなく
ボディカラーにも注目
それと注意しておきたいのが色、ボディカラーです。いくら人気車であっても不人気のボディカラーを選ぶとリセールバリューはその分低くなる傾向があります。人気の色とはどのような色かというと街中を走るクルマや、大型ショッピングモールの駐車場などを見れば一目瞭然です。白や黒、シルバー、ガンメタリックなどですね。ようするに万人受けする無難な色です。こういってしまうとネガティブな印象がありますが、多くの人に好まれる色ということです。
中でも特に人気なのは白でしょう。ただ、白といっても営業車のようなソリッドな白ではなく、高級感のあるパールホワイトです。高級感がありますし、白は日本のナショナルカラーというイメージもあるからかもしれません。
逆に人気のないのが赤や黄色、グリーンなどといったビビットな色です。これは、目立つことを嫌う日本人のメンタリティに理由があるのかもしれませんが、査定価格で数万円の差がつくこともあるようです。もしリース車を選ぶ場合は、多くの人好まれる色にしておくのが間違いないでしょう。
ただし、ビビットな色だから必ず不人気であるとは限りません。例えばビビットカラーの代表の赤ですが、ミニバンやSUVでは違和感があってもスポーツカーであればむしろ人気色となります。また、コンパクトカーも、明るいカラーが似合うのでさほどマイナスポイントになりまさせん。さらに、限定色であればビビットなカラーがかえってプラスとなる可能性もあります。例えばかつてクラウンアスリートに設定されたG“ReBORN PINK”というピンクですが、その希少性から高値となっています。このピンクのクラウンはわずか一カ月間のみ販売された特別な色なので、例外かもしれませんが。
リセールバリューが期待できなくても
好きでもないクルマを選ぶ必要はない
カラー以外にも、同じ車種でも、グレードや装備などでもリセールバリューは変わってきます。例えば自分にはハイブリッドも、カーナビやETCも必要ないから、と人気の装備をあえて選ばないというのはカーリースにおいては避けるべきです。リースでは極力万人から受けいれられる選択をしておくのが間違いありません。理由は前述したとおり最後の査定に響く可能性があるからです。人気装備やグレードなどについてはリース会社側で把握しているはずなので聞いてみて下さい。
とはいえ、「どうしても乗りたいクルマがあるけど、市場ではあまり人気がなくてリセールバリューが期待できないから仕方なく別のクルマを選ぶか…。」などということをおすすめしているわけではありません。いくらそのクルマのリセールバリューが期待できるとはいっても、好きでもないクルマと5年や7年といった長期間付き合っていくのでは気持ちの良いカーライフはおくれませんよね。
クルマは実用品ですが、人によっては大切な趣味のパートナーでもあります。しかし、そうでなく、あくまで実用目的のみでカーリースを利用するのであれば、経済的なメリットを重視して、リセールバリューにプライオリティをおいてクルマを選ぶというのも一つの選択として間違いありません。