カーリース車両を
契約者以外が運転してもいい?

カーリースの魅力は、レンタカーやカーシェアと違いマイカーのように自由にクルマを使えることです。自宅の車庫で管理しているなら、いつでも好きな時にクルマに乗って出かけたい場所に移動することができる。それでいてメンテナンスや車検などの管理はカーリース会社任せでOK。さらに費用に関しても月々定額のリース代の支払いだけで済みます。購入するよりもずっとスマートな新たなクルマの利用方法といえるでしょう。

でも、一つ気になることがあります。それは、カーリース車両はそのクルマ契約した人以外の人間が運転してもいいのかということ。例えば旦那さんがカーリースを契約したとして、土日以外は奥さんがそのリース車両で買い物に出かける、などということも多分あり得ますよね。その場合使用者ではない人間がそのカーリース車両を運転するということになります。これって果たして何も問題ないのでしょうか?

マイカーを持つのは
あまりにもお金がかかりすぎる

クルマを購入して所有するのではなく、必要な時に手軽に利用できるのがレンタカーやカーシェアリングです。マイカーを維持するためのコストを考えれば、こういったサービスを利用するのは確かに賢いことといえるでしょう。

今どきクルマを持つのは容易ではありません。手続きなど様々な面倒ごとやクルマ維持のための負担は大きく、マイカーを所有するためのハードルは決して小さくありません。例えば手続きでいえば登録に車庫証明の取得、保管場所の確保が必要です。お金の面では、税金や自賠責保険に任意保険、さらに車検に整備費用などがかかります。ほかにもガソリンやオイルなどの消耗品もばかになりませんし加えて都市部に住んでいると月極駐車場の問題も大きい。例えば東京23区内なら、スペースを見つけるだけでも大変なのに2~3万円/月費用が最低限かかるでしょう。自宅にいくらでもクルマを置く場所がある、などという方には信じられないかもしれませんが高額なことで知られている東京港区の六本木ヒルズなら月極駐車場の賃料は10万円/月もかかるそうです。実際にいまネットの募集されているのを見つけました。それでも借りたい人がいるからこの金額が成り立つわけなのですが驚きます。都市部でクルマを持つのはこのように簡単なことではないのです。車両購入のためのローンの支払いよりも、毎月の維持費のほうが高いなんてことも決して珍しくないのです。恐ろしいことです。

これではよほど金銭的な余裕がないと、都市部でクルマを持つなど夢のまた夢です。所得の低い若い世代にとってはまったく現実的ではないでしょう。そのため、クルマは好きだけどマイカーも持つことはあきらめた、などということを言う方も残念ながら少なくないのです。

だからでしょう、面倒なクルマの管理が不要で、必要な時だけレンタル代を払ってクルマに乗ることができるレンタカーやカーシェアリングが人気となっているのは。たしかに最近はカーシェアリングの利用者も拡大していますし、サービスを提供する会社も増えています。それに最近注目のクルマのサブスクである、カーリースなどもありますからわざわざクルマを購入しなくてもクルマを利用する手段はいろいろとあるのですから。

レンタカーやカーシェアリングでは
契約者以外が運転するのはNG

でも、こういったカーシェアリングなどのサービスは確かに手軽で便利ではあるのですが、好きな時に気軽にクルマが必ずしも使えるわけではありません。また、クルマを使う上での制限も少なからずあります。例えばレンタカーなら借りるにも返すにも立ち合いや手続き必要ですし、その都度いちいち予約などもしなくてはいけません。

会員ならスマホとカードだけで簡単に利用できるカーシェアリングに関しても必ずしも必要な時にクルマがあいているわけでもないのです。今必要なのに、空いているクルマがない!なんてこともしょっちゅうです。それに使用頻度が高ければ相応の費用もかかり、結果的にずいぶんと高くついてしまったなどということもあります。

さらに双方ともそのクルマを借りた(契約した)人間しか基本的には運転することができません。当然といえば当然なのですが、例えばドライブに出かけて運転に疲れたからといって、帰りは奥さんや恋人、友人などに運転を変わってもらう、などということは原則としてNGなのです。

そんなルールを無視して友人や奥さんなどにいつも運転してもらっている、などという人もいるかもしれませんがそれは契約違反です。もし、事故などが起きたときには大きな問題になる可能性もあるので、絶対にやめておいた方が賢明です。

マイカーのように自由に使えるのが
カーリースの大きな魅力

では、カーリースの場合はどうなのでしょう。カーリースはレンタカーやカーシェアリングと違って、リース契約者がクルマをいつでも自由に使うことができるというのが大きなメリットです。リース会社からクルマを借りて、一定期間リース契約者だけがそのクルマを使用することになるので、ほぼマイカーのように乗ることができるというのが大きな魅力となっています。つまり常に手元に自分だけの一台を持つことができるということ。

では、その手元にあるリース車両をリース契約者以外の人間が運転してもいいのでしょうか。これってカーリースを利用していても、あらためて聞かれるとキチンと答えられない意外な盲点ではないでしょうか。

そこで調べてみました。まず、カーリース車両というのは当然ですがリース契約者の所有物ではありません。所有者名義はカーリース会社にあって、リース契約者はあくまで使用者です。車検証を見てもそうなっています。つまりカーリース会社の買ったクルマを一定期間借りているという形になっているのです。そして、個人向けのリース契約というのは法人向けのリースとは異なり、個人の名義でリース会社とリース契約を結んでいるものです。ということは、リース契約者以外のものが、そのクルマを使うのは契約違反、つまりNGであるような気もします。

でも、家にクルマがあって、運転できる人間もいるのにリース契約者以外のほかの家族は運転してはいけない、なんて不便でしかありません。カーリースがマイカーと同様に自由にクルマを使えるのが魅力なのに、それがNGというのは理不尽ですよね。

例えば、リース契約を結んだその家のご主人が、週末仕事が深夜まで及んでしまい終電を逃してしまったなどという場合に、家には先日リース契約をしたクルマがある。じゃあ家族にクルマで迎えに来てもらおう、なんていうこともできないのでしょうか。

リース車両は名義人以外の
家族が運転してもOK

カーリース車両は原状回復が不可能なクルマの改造やパーツの取外し、取り付けなどは原則禁止となっています。ですが、それ以外のことに関しては基本的には通常のマイカーと同じように自由に使うことが認められています。いうまでもなくリース期間中に限りますが。

ということは、そのカーリース車両の契約者、つまり使用者名義人となっている方でなくても運転することはNGではないということになります。リース会社によってこのルールが変わる場合もあるかもしれませんが、ほとんどの場合、運転は制限されていません。旦那さんがリース契約を結んでいれば奥さんやお子さんがそのリース車両を運転しても構わないということです。当然ですよね、家族で使うクルマとしてカーリースを利用してしているのですから。

一部サイトでは「カーリース車両は契約者以外原則運転してはいけない」などと書かれているものもありました。しかしこれはどうやら「使用者名義と使用者は同一でなければならない」という言葉を誤解したもののようです。あくまで使用者名義人である契約者以外が、そのクルマの主な使用者となることがNGというだけで、そのカーリース車両をほかの人が運転をしてはいけない、ということでは決してありません。契約者がそのクルマを全く運転せずに、家族や他の人にクルマを貸し出すということは認められないということです。

例えば、旦那さんがカーリース会社と契約を結び、車検証の使用者名義も旦那さんになっているのに、実際にはそのクルマを旦那さんが運転することはほとんどなく、奥さん用のクルマとして使用している、というようなことが禁止となっているのです。

その場合は奥さんの名義ではじめからカーリース契約を結ぶべきです。ちなみにカーリース契約では、原則としてリース期間中の名義変更はできません。ですから旦那さんがリース契約したカーリース車両の使用者名義を途中で奥さんに変更するといったこともできないのです。なぜならそのクルマの名義人はあくまでカーリース会社であるためです。カーリース会社から借りているクルマの一時的な使用者がリース契約者なのだからですね。

ただし、例外的にリース契約を結んでいた方が、結婚などによって苗字が変わった場合は、使用者名義(苗字)の変更手続きなどは可能となっています。もしそのようなケースに該当するのであれば、手続きのしかたなどはリース会社によって違うので、個別にリース会社に問い合わせてみてください。

ただし、任意保険の
補償範囲の確認が必要

ということで、当初の疑問に対しての答えは、カーリース車両は、主な使用者以外の家族が運転することに関しては問題ありません、となります。

ただし、気を付けなくてはいけないこともあります。それは任意保険に関してです。任意保険はその名の通り、任意で契約する自動車保険です。任意保険は自賠責保険ではカバーされない、手厚い補償が受けられるもので、クルマを使うのであればもはや必須といってもいいでしょう。ただし、保険料は決して安くはありません。

もし、リース車両を本人や奥さんなど配偶者以外の方が絶対に運転しないのであれば、この任に保険の被保険者に「本人・配偶者限定特約」をつければ保険料をあるていど節約することができます。しかしその場合、本人と奥さん以外の方、例えばお子さんなどが運転した場合補償がうけられません。補償範囲を限定しているのですから当然ですね。その場合はお子さんにはカーリース車両を運転させてはいけません。そもそも若い人の保険料が高いのは事故のリスクが高いからです。そんな事故のリスクが高い、若いドライバーに対して、任意保険の補償がないままハンドルを任せるのはあまりにもリスキーです。やめましょう。

かといって、任意保険を年の若いお子さんに合わせた年齢条件とすると、保険料は各段に高くなります。特に30歳未満となると、保険料はいきなり高くなります。しかし、万が一のリスクを考えるのであれば、家族の中で最も年齢が若い免許保有者に合わせて、任意保険の年齢条件を設定しておくべきなのです。それが無理なら、運転は絶対にさせないようにしなければなりません。加えて任意保険の補償対象外となるような親族や友人などにも絶対に運転させてはいけません。これもリスクが高すぎます。

任意保険の保険証券で
年齢条件などを再確認

カーリース車両を契約者ではない他人が運転することは確かにNGではありませんが、事故などのリスクを考えれば、できれば避けたほうが賢明といえるでしょう。

また、もし家族にハンドルを任せる可能性があるのならば、任意保険の年齢条件などもしっかりと確認しておく必要があります。くれぐれも「(任意保険の補償対象じゃないけど)ちょっとそこまでならいいだろう」なんて軽い気持ちでハンドルを他人に任せるのは絶対に避けましょう。もし契約している任意保険の年齢条件などがわからないという場合は、あらためて保険証券で確認してみてください。