皆さんはクルマで街中を走っているときに見慣れないナンバーを装着したクルマを見たことはないでしょうか。周囲が赤い枠で囲われていたり、斜めに赤い斜線が引かれたりしている派手なナンバーです。他の車とは明らかに違うナンバーなのはまちがいありませんが、何のお咎めもなく公道を走行しているのですから、違法なものではなく正式なものだというのは理解できるでしょう。
では、このナンバープレートは何なのか。実はそのナンバーはいわゆる「仮ナンバー」と呼ばれるものです。でも、仮ナンバーはいったいどんな目的のもので、どういった時に使われるものなのでしょうで。今回はそんな仮ナンバーについて詳しく解説します。
目次
車検切れの車で公道を
走行するために必要なのが仮ナンバー
実際に使用したことはなくても、ドライバーであれば仮ナンバーという言葉はどこかで聞いたことがないでしょうか。知らない、見たこともないという方も中に入るかもしれません。でも、仮ナンバーは、個人で使うことはあまりないかもしれませんが、私たちでも申請すれば使用することが可能ですし、今後使用する機会もあるかもしれません。でも、そもそも仮ナンバーとはいったいなんなのか。
まず、仮ナンバーの正式名称は「自動車臨時運行許可番号標」です。その目的は、本来公道を走行することができない車検切れ車などに道路運送車両法第35条に定められた条件の下で、「特例的に一時的に」運行許可を与えるというもの。陸運局ではなく市区町村などが臨時に貸し出す仮のナンバープレートで使用目的としては主に前述したように車検切れ車両の移動ですが、他にも以下のような場合にも使用されます。
- ・新規登録・新規検査のための陸運支局等へのクルマの回送
- ・ナンバープレートが盗難等された場合の再交付・再封印のための陸運支局等への回送
- ・中古車販売業者などが、仕入れや顧客への提示等のために回送する場合
- ・廃車のための車の回送
公道を走る車にはナンバープレートを装着することが義務付けられており、これを破ると罰金刑に処されます。もし、不注意で車検が切れてしまった場合に、公道を走行して車検場に車を持ち込もうとなったとき、この仮ナンバーがないと車検切れの違法となるので自走ができません。そのため、その都度申請して仮ナンバーを取得し、その仮のナンバープレートを装着して車検場にいかなくてはいけないのです。
仮ナンバーの申請には
どんな手続きが必要なのか
そんな仮ナンバーですが、実は1種類ではなく主に2種類あります。それが「臨時運行ナンバー」と「回送運行ナンバー」です。一般のドライバーが使用する仮ナンバーは臨時運行ナンバーで、プレートの上に赤い斜線が引いてあるものです。そして回送運行ナンバーは、販売業者や整備業者など限られた業者が使用するものでプレートの周囲が赤く囲われています。
仮ナンバーが発行対象の車は「普通自動車」と「小型自動車」、さらに「軽自動車」と「大型特殊自動車」、「二輪の小型自動車」となります。仮ナンバーの対象とならない車両もあってそれは「二輪の軽自動車(250㏄以下のバイク)」、「小型特殊自動車」です。また、いわゆる原付、原動機付自転車は原付一種、原付二種関係なく対象になりません。
この仮ナンバーですが、取得(申請)するにはどうすればいいのかといいうとご自身の車を管轄する市区町村で行います。申請に必要な書類や取得までの流れをご紹介します。
1.自賠責保険に加入する
仮ナンバーが必要となるもっとも多いであろうケースは、車検切れで仮ナンバーを必要となったというものでしょう。そういった場合はまず仮ナンバー申請のために自賠責保険への加入が必要です。車検が切れているということは=自賠責保険も切れているということですからそのままでは公道を走ることができません。
もし、自賠責保険に未加入のまま公道を走行すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科され、違反点数6点と30日間の免停処分となります。そして仮ナンバーを交付してもらうこともできません。
以前加入していた自賠責保険が切れているという場合は、保険会社の窓口で再加入の手続きを行いましょう。ちなみに自賠責保険は1カ月単位で加入することもできます。
再加入の際は、「車検証」、「自賠責保険証明書」、「保険料」が必要となります。窓口に行き申込書に必要事項を記入すると、早ければ数十分ほどで手続きが終了して自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険)がもらえます。仮ナンバーを申請する場合はこちらの原本が必要です。
2.必要書類を準備する
自賠責保険に加入したら、仮ナンバーの申請手続に必要な以下のような書類を準備します。
・自動車臨時運行許可申請書
自動車臨時運行許可申請書は役所の窓口でもらえます。この申請書に住所、氏名、電話番号、車名、形状、車台番号、運行の目的、運行の経路、運行の期間、自動車損害賠償責任保険などについて記入しましょう。自動車臨時運行許可申請書ですが、役所の窓口だけでなくホームページでも入手が可能です。プリントアウトして記入しておきましょう。
・自動車検査証(車検証)
車検証は車名や車体番号、車の形状などが確認できる書類であれば代用が可能です。以前の車検証のコピーでも大丈夫です。また、一度抹消登録をしていて車検証が手元にない場合は、廃車証明を用意しておきましょう。
・自動車損害賠償責任保険証明書
先に加入しておいた自賠責保険の保険証です。コピーは使えません。必ず原本が必要です。
・身分証明書・印鑑
本人の現住所や氏名など確認ができる運転免許証やマイナンバーカード、在留カードなどが必要です。また印鑑も用意しておきます。
3.市区町村の窓口で申請する
必要な書類が揃ったら、お住まいの市区町村の窓口へ向かい申請手続きを行いましょう。申請は仮ナンバーを使用する当日または前日に行います。もし、仮ナンバーを使いたい日の前日が役所の休みだった場合は、その休みの前日に申請することが可能です。
窓口で自動車臨時運行許可申請書の用紙が渡されたら必要事項を記入して、持参した書類と共に提出すれば手続きは完了です。記載内容の不備や、書類が足りないなどということがなければ、その場で仮ナンバーは発行されるはずです。この仮ナンバーの発行には手数料がかかりますが、発行手数料は、地域によって異なるので詳しくはお住いの自治体の窓口で確認してください。
渡された仮ナンバーは
どうやってクルマに取り付ければいいのか
仮ナンバーは通常のナンバーと同じく2枚1組(二輪などの場合は1枚)で渡されます。この仮ナンバーですが、取り付けは通常のナンバープレートの位置に取り付けてください。
取り付け方法ですが、前のナンバープレートはナンバーをとめているボルトを外して付け替えるだけです。後ろのナンバープレートは留め具が封印されているので、前のナンバープレートのように簡単に取り外すことができません。この封印ですが無理に外さないでください。仮ナンバーを片側のネジだけを使ってまず取り付けたら、封印側は運転中に外れないようワイヤーや養生テープでなどで仮固定すれば大丈夫です。取り付けたら外れないか確認しておきましょう。
うまく取り付けられないから、つけるのが面倒だからなどといった理由で仮ナンバーをダッシュボードなどの上に置いて運転している方もたまに見かけます。しかし、ダッシュボードの高さによっては外部からナンバーが確認できないこともあるので、違反と判断される可能性もあります。特別な理由がない限り仮ナンバーは本来のナンバー取り付け位置にちゃんと固定してください。
また、仮ナンバーが交付された際、紙の「臨時運行許可証」も同時に渡されるはずなのでこちらはクルマの外からでも目視できるように、ダッシュボードの上などに置いておきましょう。
仮ナンバーを使用する際に
注意するべきこととは
仮ナンバーはあくまで仮のナンバーであり、通常のナンバーとは違うものです。そのため、使用するにあたっていくつかの制限があり注意しておかなくてはいけないことがあります。
そもそも仮ナンバーは車検切れ自動車の継続検査を受けるために運輸支局などまで運行する目的や、未登録自動車の新規検査・新規登録や場合などといった特定の目的のために、特例的に一時的に市区町村が貸し出すものです。正当と判断される理由以外では申請は受理されません。
たとえば、ドライブで使用したいなどや、引っ越しのために1日だけ車検切れの車を使用したい、などといった目的で申請しても仮ナンバーの許可は下りないでしょう。また、利用目的を偽って申請することも規約に違反します。注意しましょう。
申請を行う際には、自動車臨時運行許可申請書に使用目的と走行ルートも記載します。この書類で指定したルート以外を、仮ナンバーを付けて走行することは原則としてできません。もし走行中に警察官に止められてルートを確認された場合、違反となります。気を付けましょう。
他には仮ナンバーの紛失や返納漏れにも注意してください。仮ナンバーの有効期限は最長で5日間です。この有効期限は、出発地と目的地までの距離や車検が通らなかった際の再整備時間などを考慮して決定されたものです。仮ナンバーの交付を受けた後は、この有効期限内に必ず申請した市区町村の窓口へ仮ナンバーを返納しなくてはいけません。
もし仮ナンバーを使って車検に臨んだのに、車検に通らず仮ナンバーの有効期限内に再度車検を受けるのがむつかしいとなった場合は、一旦仮ナンバーを返却して、再度車検をうける日に合わせて再申請しましょう。
もし、仮ナンバーの期限を過ぎても返却しなかった場合、道路運送車両法第35条に違反し、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に処されることがあります。くれぐれも気を付けて下さい。
また、仮ナンバーの返納前に万が一紛失してしまった場合は、仮ナンバーを失くした地域を管轄する警察署にその旨を届け出ましょう。その上で仮ナンバーの許可を受けた窓口にも届け出ます。そして実費で弁償することになります。
車検切れで仮ナンバーの世話になりたくないなら
車検手続きが不要なカーリースがオススメ
今回は仮ナンバーについてご紹介しました。知らなくても困るものではありませんが知っておいて損はありません。通常仮ナンバーは車検切れの車が継続検査を受ける際に必要となるものです。一般の方は不注意で車検を切らしてしまったなどといことがない限りお世話になることはないかもしれませんが。
もし、乗っている車の車検が不注意で切れてしまったなどということになると、継続検査を受けるのには思いのほか面倒なものなのです。仮ナンバーの申請などもその一つです。そんなことがないように次の車検がいつなのか日ごろから管理をしておくようにしておきましょう。
もし、そういった車検の手続きや管理が面倒だというのであれば、いっそカーリースを利用するというのもおすすめです。例えばリースナブルなどのカーリースなら、車検の手続きも自賠責保険や税金なので支払いもすべてリース会社に任せることができます。車検時期が来るとお知らせが来るので車検忘れで困ることもありません。これだったら不注意で車検切れ等になることもないはず。是非検討してみてください。