日産のSUV「エクストレイル」はハイブリッドやプロパイロットなど日産の最新機能もいち早く搭載されてきた日産にとっても重要なクルマです。そんなエクストレイルが2020年10月マイナーチェンジを実施しました。メカニズム面での変更点は少ないのですが、ダーククロームメッキを採用するなどディテールに手が入れられ、デザインがグレードアップしています。

その姿を見て「次のマイカーとして新型エクストレイルを是非手に入れたい!」と惹かれている方もきっといるはずです。

でも、そうなったときに気になるのがどのグレードを選ぶべきなのかということ。エクストレイルにはガソリンエンジンもハイブリッドもあるし、5人乗り、7人乗りも選べます。なにが正解なのか選択は簡単ではありません。

そこで、今回は誰もが重視するであろうコスパ面にスポットを当て選ぶべきエクストレイルのおすすめグレードはどれになるのか、筆者なりに考えてみました。

現行エクストレイルは20Sと20Xi
2つを基本に全12グレードを設定


(引用:日産公式HP)

現行型のエクストレイルは2013年に登場した3代目モデルです。すでにマイナーチェンジを何度か経ており、最新の改良は2020年10月7日に実施されています。マイナーチェンジのたびにグレード体系も変更を受けていますが現在はどのようになっているのかまずは簡単に整理してみましょう。

おもなグレードですが、「20S」と「20Xi」の2種類が基本で、以前設定されていた中間グレードの20Xは今回のマイナーチェンジで廃止されています。また、20Sに関しても素のベースグレードは廃止となり以前の装備を充実させたVセレクションのみが用意されています。またガソリン4WDモデルも20Xi Vセレクション(とそのレザーエディション)のみの設定になっています。

20S VセレクションとXiにはそれぞれにガソリンエンジン車とハイブリッドエンジン車、2WD車と4WD車(ガソリンエンジンはVセレクションのみ)が用意されておりレザーエディションのカラー違いを省くと、現在12のグレードが設定されています。

エクストレイル価格表
駆動 エンジン シート グレード 価格
2WD 2Lガソリン 2列 20Xi ¥3,161,400
20Xi レザーエディション(タンorブラック) ¥3,359,400
3列 20Xi ¥3,235,100
4WD 2列 20S Vセレクション ¥2,482,700
20Xi Vセレクション ¥3,256,000
20Xi レザーエディション(タンorブラック)Vセレクション ¥3,503,500
3列 20Xi Vセレクション ¥3,329,700
2WD ハイブリッド 2列 20Xi HYBRID ¥3,414,400
20Xi HYBRID レザーエディション(タンorブラック) ¥3,612,400
4WD 20S HYBRID ¥2,975,500
20Xi HYBRID ¥3,624,500
20Xi HYBRID レザーエディション(タンorブラック) ¥3,822,500

 

カスタマイズ車を除いて最も高価なのが、ハイブリッドの4WDモデルである「20Xi HYBRID レザーエディション」の382万2,500円です。そして最もリーズナブルなのがガソリンエンジン2列シートの4WDモデル、「20S Vセレクション」248万2,700円となります。その価格差は約150万円です。

現行エクストレイルはすでに登場から8年経っているうえ、パワーユニットも2種のみしかなく、そのグレード体系はかなり整理されていますが、それでも結構なグレード数が用意されていることがわかります。

ではこの中から、最もコスパの良いグレードを選ぶとなるとどれになるのでしょうか? ポイントはいろいろあるでしょうが、今回は走行性能や装備内容、さらに価格やリセールバリューなどを考慮したうえで、コスパ的にベストなグレードはどれになるのか筆者的に導き出してみましょう。

ガソリン車の2WDと4WDモデルの
燃費差はわずか0.6㎞/L


(引用:日産公式HP)

まず駆動方式は2WDか4WDどちらを選ぶべきか。エクストレイルはクロスオーバーSUVの中でもどちらかというとハードよりなイメージ。トヨタのハリアーやマツダのCX-5などはどちらかというと都会派SUVでオフロードユースは少ないでしょうから2WDも問題ないと思います。

しかし、エクストレイルの4WDは路面状況に合わせて前後駆動力を100:0から50:50まで駆動力を自動配分してくれるうえ、前後50:50でロックも可能な「インテリジェント 4×4」システムを搭載。いわゆるクロスオーバーSUVよりもレベルの高いオフロード走破性を持っているというのが売りです。

ということはエクストレイルを選ぶ方はアウトドアスポーツなどの用途に使いたいというニーズも多いはず。となればやはり4WDから選ぶべきでしょう。

でも、4WDとなると、気になるのは燃費です。ガソリンエンジンの20Xi(4WD車は20Xiがないので20XiVセレクション)の2列シート車で比較してみましょう。カタログ燃費を見ると2WDグレードがWLTCモード燃費13.2㎞/Lなのに対して4WDグレードはWLTCモード燃費12.6㎞/Lです。意外なことに4WDになっても燃費の悪化はわずか0.6㎞/L。その差と思いのほか少ない。これくらいだったら、ほとんどの方は気にならないのではないでしょうか。やっぱり4WDがいいですね。

ハイブリッドはパワフルだけど
燃費面でのメリットは少ない?


(引用:日産公式HP)

次に燃費が期待できるハイブリッドかガソリンエンジンかどちらを選ぶべきか。こちらも20Xi HYBRIDの2列シート、4WD車と先ほどのガソリンエンジン4WDの20XiVセレクションでWLTCモード燃費を比べてみましょう。

まずガソリンエンジン車のほうは前述のとおり12.6㎞/Lでしたね。ではハイブリッド車どうなのか。こちらのWLTCモード燃費13.8㎞/Lとなります。その差は意外に小さい1.2㎞/Lです。

確かに明らかに違いはありますが正直ハイブリッドでこの数値は物足りないですよね。というか同グレードのガソリン2WD車との比較だとたった0.2㎞/Lしか差がないというのも驚きです。

エクストレイルのハイブリッド車はスムーズな走行感でパワーも2.5Lガソリン車並みとその走りの良さに定評がありますが、ガソリンエンジン車だってパワーは108kW(147PS)/6,000rpmで、トルクは207N・m(21.1kgf・m)/4,400rpmですから十分に余裕はあります。それでいて燃費の差が期待したほどではないとなれば、ガソリンエンジン車を選んだ方がコスパ的にはやはり賢明なのではないでしょうか。なんといってもガソリン車の方が価格も安いですから。

実際に価格を比べてみまるとガソリン4WDの20Xi Vセレクションが325万6,000円なのに対して、ハイブリッド4WDの20Xi HYBRIDは362万4,500円。つまりその価格差は36万8,500円です。この金額を、燃費だけで取り戻すのは非常に困難ですというかまず無理でしょう。例えば買うにしても、リースで利用するにしても5年乗るなら、車両価格のお得なガソリン車を選ぶ方がコスパという意味では結局は正解と言えるのではないでしょうか。

最廉価グレード20S Vセレクションが
おすすめできない理由


(引用:日産公式HP)

エクストレイルの4WDのガソリンエンジン車には、20Xi Vセレクションだけでなくさらに価格の安い20S Vセレクションというグレードもあります。安さを求めるならこちらのほうが良いということにはならないのか? 確かに20S Vセレクションの248万2,700円は魅力的です。

しかし、筆者的にはこちらはおすすめしません。その理由は装備内容が貧弱すぎるからです。マイチェンで新採用のダーククローム系の加飾も20Sだけ施されません。それに、エアコンもマニュアルでヘッドライトも今どきハロゲンランプ。

さらに、踏み間違い防止アシストやインテリジェント エマージェンシーブレーキ、車線逸脱警報など基本的な先進安全機能は搭載されていますが、車線逸脱防止支援システムや後側方車両検知警報、後退時車両検知警報は非搭載でオプションでも装着できません。

なにより日産自慢のプロパイロット(高速道路の単一車線での運転支援技術)がオプションでも搭載できないというのは大きな欠点でしょう。これはエクストレイルの売りのポイント。20S Vセレクション以外のグレードにはすべて標準搭載なのにです。となればわざわざ20S Vセレクションを選ぶべきではないでしょう。

廉価グレードはリセールバリューも期待できない可能性が高いです。下取り価格が安くなるということはリースの場合も設定残価が安く見積もられることになるわけですから、安いからと選択しても、結果支払総額では大して安くならないということになりかねません。それでは意味がないですよね。

おすすめは20Xi Vセレクション!
3列シートが選べるのも魅力的


(引用:日産公式HP)

以上、いろいろ検討してみた結果、エクストレイルを購入またはリースするにあたって、筆者が考えるコスパ的に最もおすすめグレードは「ガソリンエンジン&4WDの 20Xi Vセレクション」ということになりました。

いろいろご意見はあると思いますがこのグレードを選ぶべき理由はもう一つあります。それは、3列シートが選べるのは、ガソリンエンジン&2WDの20Xiと、このガソリンエンジン&4WDの20Xi Vセレクションだけだからです。

SUVで実用的な3列シート車というのは希少です。3列目は決して広くはありませんがあるとないとでは大違い。ファミリーカーとしても使いたいなら、いざというときにきっと役に立ってくれるはずです。

ということでこの結果です。ご納得いただけたでしょうか?

とはいえもちろん好みや使用環境によっては別の選択もありです。ただ、エクストレイルは欲しいけれど、どのグレードを選べばいいのか現時点で迷っている、とい方がいたら、この結果をちょっと参考にしてみてください。決して的外れの選択とはならないはずです。