Lクラスミニバンにおいて圧倒的な人気を誇るトヨタのアルファード/ヴェルファイア。かつては他社にも売り上げを競い合うライバルがいましたがもはや国産ブランドのLクラスミニバンといえばアルファードとヴェルファイアを指すといってもいいくらいです。
その人気は国内にとどまらずアジア圏では、高級ミニバンとして大人気で、中古車が高値で買い取られ海外に多数輸出されています。そして日本での価格の倍以上で取引されているといいますから驚きます。
そんなアルファード/ヴェルファイアが、先日2021年4月にマイナーチェンジを実施しました。現行モデルは2015年登場なのでおそらくこれが最後のマイナーチェンジになるのではと噂されています。そして、なんと次期モデルではヴェルファイアが廃止されるという噂も出ています。それは本当なのでしょうか。だったらヴェルファイアは今買っていいのか、どうなのか。筆者なりに検証してみました。
目次
マイナーチェンジでヴェルファイアが
単一グレードに整理された
(引用:トヨタ公式HP)
アルファード/ヴェルファイアは登場以来ほぼ毎年マイナーチェンジを実施してきました。直近は2021年4月28日で、変更点としてはわずかで一部改良といったもの。
具体的にはどのようなものかというと、トヨタのプレスリリースを見るとワンタッチスイッチ付デュアル(両側)パワースライドドア、アクセサリーコンセントを、全車標準装備に拡大となっています。装備変更点に関してはこれだけです。本当に一部改良といったレベル。
ただし、ヴェルファイアに関しては別の衝撃的なニュースもありました。それはグレードが整理されてガソリンとハイブリッドの特別仕様車「GOLDEN EYES II」のみに絞られてしまったということ。
つまり、これからヴェルファイアが欲しい! となってももはや新車では選択肢がGOLDEN EYES IIのバリエーション3つしかないということです。
シンプルな装備のエントリーグレードや、豪華装備満載の最上級グレードエグゼクティブラウンジが欲しいとなったら、アルファードを選ばなくてはならないということ。これはヴェルファイアファンとしては由々しき事態ではないでしょうか。でもなぜそうなってしまったのか。
ライバルよりも売れているけれど
バカ売れアルファードには大敗
(引用:トヨタ公式HP)
理由は簡単です。アルファードに比べてヴェルファイアの売り上げが良くないからです。といってもあくまでバカ売れのアルファードに比べてなので、他社のライバルに比べれば圧倒的に売れています。
例えば、日産のエルグランド(さすがにモデルが古いですが)は昨年の1年間の登録台数ランキングでは50位圏外。そして、ホンダのオデッセイは9,717台で47位です。それに対して、ヴェルファイアは1万8,007台で37位。オデッセイの倍も売れています。400万円クラスのミニバンがそれだけ売れていればたいしたものではないでしょうか。
しかし、ヴェルファイアのライバルは身内にいる。そうアルファードです。アルファードの2020年販売台数ランキングは、驚くしかない第5位! なんと9万748台でヴェルファイアのざっと5倍。大敗です。
そもそも高額な高級ミニバンがこんなに売れていること自体異常なのですが、兄弟車種がここまで売れてしまうと、ヴェルファイアの影が薄くなってしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
逆転のきっかけはアルファードの
デザインが大きく変わったこと
(引用:トヨタ公式HP)
ちなみに現行のアルファード/ヴェルファイアが登場した当時はここまでの差はありませんでした。というかむしろヴェルファイアのほうが売れていました。おそらくアルファードのエクステリアデザインの印象が今とはちょっと違っていたからです。
当初のアルファードはクラウンのミニバン版というような、どちらかというと上品なフロントフェイスでした。アルファードの特徴ともいうべき巨大なメッキグリルはありましたが、今よりギラギラ感が弱く、バンパーもすっきりとしていてシンプル。迫力という意味ではヴェルファイアに完全に劣っていました。
そのため、金属の塊から削り出したような大胆なフロントグリルを持ち、バンパーにまで大きなメッキグリルを配したヴェルファイアに人気が集中したのです。
しかし、それが逆転したのが2018年1月のマイナーチェンジです。アルファードが大幅にそのフロントフェイスのデザインを変更したのです。
具体的にはフロントグリルです。グリルの面積を大幅に増やし、格子パターンのクロームメッキの縦方向バーを鋭い牙のように太くして多数配置。まるで鉄仮面のような表情に変わりました。
さらに、ディテールにもメッキを多数使用してインパクトが格段にアップ。押し出し感では間違いなくヴェルファイア以上となったのです。そして、それが多くのミニバンファンに受けた。それ以後徐々に販売台数を増やし気が付けば5倍もの差にまで逆転されてしまったというわけです。
ヴェルファイアはアルファードに
統合されてしまうのか?
(引用:トヨタ公式HP)
とはいえ、前述したようにヴェルファイアだって十分売れています。ヴェルファイアのクールで都会的なイメージの方が良いという支持者だって少なくありません。
しかし、マイナーチェンジによってグレードが整理され、事実上単一グレードとなってしまいました。おそらく、次期型ではヴェルファイアは廃止となりアルファードに統合されてしまう可能性が高いでしょう。
なぜなら、2020年5月にトヨタの販売体制が変更されたからです。国内すべての販売店が、トヨタの全車種を販売することが可能となったのでわざわざ基本ベースが同じクルマを2車種も展開する必要がない。販売店側にしてみたら売りにくいだけですから。
実際、同じトヨタの小型ミニバン、タンクとルーミーはマイナーチェンジを機に統合され、今はルーミーのみとなってしまいました。
ということはヴェルファイアも同じように残念ながらその車名が消滅してしまうのでしょう。つまりヴェルファイアとして購入可能なのはこのGOLDEN EYES IIが最後のチャンスかもしれないということになるわけです。
唯一残ったGOLDEN EYES IIは
さすがに素晴らしい完成度
(引用:トヨタ公式HP)
ちなみにGOLDEN EYES IIがどんな車なのかというと、その名の通りゴールドをアクセントとした特別仕様車(ベース車がないのに特別仕様車というのも変ですが)です。エクステリアではフロントグリルやバックドアガーニッシュに漆黒めっき加飾を採用し、LEDフォグランプモールやリアランプガーニッシュにも同じく漆黒めっき加飾が使用されています。
またヘッドライトにはゴールドの加飾が施された3眼LEDヘッドランプを搭載。シーケンシャルタイプのLEDターンランプ(フロント・リア)や、アダプティブハイビームシステムなども装備されています。見た目にはかなりゴージャズな雰囲気。
さらに、インテリアにはメタルウッドタイプの本革巻き4本スポークステアリングホイールを装備。そしてルーフやピラーにブラックを採用するなどクールな印象でまとめています。
あらためて見てみると完成度はかなり高く、非常にお買い得なLクラスミニバンと言っていいでしょう。
ヴェルファイアファンであるなら、次期型で消滅してしまう可能性のあるレアなクルマなのですから、今のうちに買っておくべきではないでしょうか。その価値は十分にあるといいでしょう。
ただ、完全にヴェルファイアが消滅してしまうのかというと、もしかしたら別の形で生き残る可能性もあります。
ヴェルファイアはアルファードの
いちグレードとして生き残る?
(引用:トヨタ公式HP)
それは、アルファードのバリエーションとしてヴェルファイアのデザインが生き残るというもの。これはタンクが廃止されルーミーに統合されたパターンと同様のことが起こるのではないかという筆者の予想です。
タンクはなくなりましたがそのデザインは現在もルーミーの標準モデルとして残っています。ということは例えばベースモデルとしてアルファードデザインがあって、カスタムグレードとしてヴェルファイアデザインのアルファードが設定されるなんてありそうではないですか。完全に消滅となる可能性はありますが、デザインとしては引き継がれる可能性は残っている。筆者はそう考えています。
とはいえ「ヴェルファイア」という名前を持つクルマが買えるチャンスはおそらくあまり残っていない可能性が高い。マイナーチェンジ直後なので今すぐに廃止、というのはないでしょうがおそらく早晩消えてしまうのは避けられないと思います。
そういう意味ではやはり今のうちに買っておく、もしくはリース契約を結んでおくというのも悪くないでしょう。
いずれにしても、ヴェルファイアファンで、マイカーとしての導入を本気で検討しているなら早めに行動に移した方がいいかもしれません。とりあえず日々の情報収集は怠らないようにしておきましょう。