国内のLクラスミニバン市場において、圧倒的な人気とシェアを誇っているのが、トヨタのヴェルファイアと兄弟車であるアルファードです。現行モデルのヴェルファイアが登場したのは2015年1月。アルファードとともにフルモデルチェンジが行われ2代目となりました。

これが30系と呼ばれるモデルで、迫力のあるそのエクステリアデザイン存在感満点のボリューミーな車体サイズ、そしてラグジュアリー感漂う豪華で広々とした居住空間から、先代を超える人気を呼び、ミニバンファンにとってのあこがれの存在となっています。

そんな30系ヴェルファイアは登場以来変わらぬ高い人気をキープし続けていましたが、2018年1月に大幅なマイナーチェンジが施されました。そして、このバージョンアップによってその人気がさらに加速しているのです。

新たに設定されたのが
エグゼクティブラウンジZ

最新ヴェルファイアはグレードのバリエーションもさらに豊富になりましたが、その中でも注目度が高いのが最上級グレードに位置づけられている「ヴェルファイア エグゼクティブラウンジZ」です。

これは従来モデルにもあった最上級グレードであるエグゼクティブラウンジにさらにエアロパーツを装着した新たなグレード。ただでさえゴージャスなヴェルファイアのエアロモデルに、エクステリアやインテリアが専用のデザインにグレードアップしてさらに充実した装備もおごられているのですから、いわば国産Lクラスミニバンの頂点といっていいでしょう。もちろんそれだけにその価格も相当なもの。なんと驚きの718万3080円(ハイブリッドエグゼクティブラウンジZ ならさらに750万8,60円!)です。

ヴェルファイアはガソリンエンジンのベースモデルでさえ335万4480円となかなかの高額車。そのさらに最上級モデルとなるわけです。さすがによほど余裕がなければ簡単には手が出ない金額ですが、その装備の内容を考えると十分買い得だとも言われています。

では、そんなヴェルファイア エグゼクティブラウンジZとは、具体的にどのようなクルマなのでしょうか。おそらくヴェルファイアファンにとっては気になるところでしょう。そこで、エグゼクティブラウンジZならではのその特別な装備や、他のグレードとの違いになどついて詳しくチェックしてみましょう。

そもそも30系フェイルア
マイナーチェンジで何が変わった?


(引用:トヨタ公式HP)

ヴェルファイアのエグゼクティブラウンジZにクローズアップする前に、まず2018年1月に行われたヴェルファイアのマイナーチェンジの内容について整理してみます。変更点は以下のようなメニューになります。

まずは第2世代の予防安全パッケージである「Toyota Safety Sense」が全車に標準装備となりました。これによって搭載された単眼カメラとミリ波レーダーの性能も向上し、自転車や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ」機能を実現しています。

さらに、レーダークルーズコントロール作動時に車線維持に運転の支援を行う新機能「レーントレーシングアシスト」や先行車や対向車に迷惑をかけずにハイビームを照射する「アダプティブハイビームシステム」なども装備。加えて道路標識をマルチインフォメーションディスプレイに表示して標識の見落としを減らす「ロードサインアシスト」なども採用されています。

ヴェルファイアオーナーにとって何より気になるエクステリアに関しては、ヘッドランプやバンパー、フロントグリル、リアガーニッシュなどのデザインを大幅に変更。また、流れるウインカー(シーケンシャルウインカー)の採用も見逃せないポイントでしょう。

そして同様にインテリアグレードアップ。素材や質感が向上し、デザインも変わっています。

パワーユニットに関しても3.5リッター V6に新開発の直噴エンジンが採用され、トランスミッションも従来の6速ATからより滑らかな変速が可能な8速ATにバージョンアップ。ボディ剛性も向上し操縦安定性と優れた乗り心地も実現しました。

他にはカメラがとらえた標識をインパネに表示するロードサインアシストやインテリジェントパーキングアシスト2なども採用されています。

そして、新しいグレードとして、従来最上級グレードであったエグゼクティブラウンジの、さらにエアロモデルとなる「Executive Lounge Z(エグゼクティブラウンジZ」がヴェルファイアに新設定されました。エグゼクティブラウンジZ専用インテリアとして「ブラック&ホワイト」の内装色を採用し、シルバー木目調の専用加飾や、防汚処理加工を施したホワイト色のプレミアムナッパ本革シートとともに、先進的でモダンな室内空間を演出しています。

また、これ以外にもハイブリッドのエアロ仕様にエントリーグレードのヴェルファイアZも設定されています。機能やデザインがバージョンアップしたうえ、より幅広いグレードから自分に適したヴェルファイアが選べるようになったというわけです。

エグゼクティブラウンジZの目玉
ラグジュアリーな2列目シートとは


(引用:トヨタ公式HP)

ヴェルファイアは2列目シートに、8人乗りベンチシートや7人乗りのリラックスキャプテンシート、同じく7人乗りのエグゼクティブパワーシートなどが用意されていますが、エグゼクティブラウンジZは最上級のVIP仕様となるエグゼクティブラウンジシートが装備されています。

このシートはまるで旅客機のビジネスクラスを思わせるゴージャスなもの。3人がけのベンチシートが設置できるセカンドシートの空間に、大ぶりのシート2脚がすき間なく並んでいます。これぞVIP仕様ともいうべき豪華版。

専用カラーのホワイトも選べるシートには電動でスライド位置や背もたれのリクライニング、オットマンの出し入れなどの操作が行える格納多機能リモコンが付いています。

 

また上質なウッドテーブルに加えアームレスト部分には、専用のドリンクホルダーやスマホを収納できる収納ポケットも用意。加えて読書灯や、冬に座面を温めてくれるシートヒーター、そして暑い夏には風を通し、蒸れを抑えてくれるベンチレーション機能までも標準装備。まさに旅客機のビジネスクラスやファーストクラス並みの豪華なシートです。

その上従来のエグゼクティブ ラウンジシートではできなかった、ワンアクションでシートを前方にスライドできるマニュアルウォークイン機能も搭載。3列シートの使い勝手も向上しています。これならどんなVIPを乗せても満足してもらえること間違いなしです。

ヴェルファイアのエグゼクティブラウンジZには、できればドライバーとしてではなく、後席に座るVIPとして乗車したいものですね。

ゴージャスなセカンドシート以外の
魅力的な専用装備とは

エグゼクティブラウンジZにはエアロパーツが標準装備となっていますが、他のエアログレードと違うのがヘッドライトとリアランプです。ヘッドランプは3眼LEDヘッドランプ(ハイ・ロービーム/オートレベリング機能付)となっており、リアにもLEDシーケンシャルターンランプが装着されています。これは他のエアログレードでは10万円以上するオプションアイテムです。これがはじめから装着されています。

さらにインテリアが専用デザインのシルバー木目調パネルを採用しています。スタイリッシュでクールなイメージのこのシルバー木目パネルは、エグゼクティブラウンジZ専用で、他のグレードでは例え欲しくてもオプションで選ぶこともできません

さらに、メーターも専用のオプティトロンメーター(メーター照度コントロール付)で、フロントシートはこれまたゴージャスなプレミアムナッパ本革シート(3.5リッターのZGグレードにオプション装着すると33万1560円。ベースモデルはオプション選択も不可。)が標準です。

また、AVシステムには他のグレードにオプションで装着すると73万4400円もする、T-Connect SDナビゲーションシステム(高精細9.2型タッチ液晶、FM多重VICS、T-Connect DCMパッケージ)+17スピーカー(12chアンプ)のJBLプレミアムサウンドシステムがこれまた標準。

加えて12.1型リヤシートエンターテインメントシステム(VTR入力端子、HDMI入力端子付。ベースグレードにオプションで追加するとこれだけで18万3600円)まで付いています。そもそもAVシステムの価格だけでほぼ100万円というのも驚きですが。

他にはカメラとモニターを使用したデジタルインナーミラーも標準装備ですし、ブラック&ホワイトの内装色を選べるというのもエグゼクティブラウンジZだけの特別なメニュー。とにかくこれでもかというほどの充実した装備が満載です。これだけの内容ならば、オプションで追加するべきものは何もありませんね。なんといっても他のグレードではオプションでも選択できない魅力的な専用アイテムの数々もオーナーの心をくすぐるのは間違いありません。ヴェルファイアファンがあこがれるのも理解できますね。

ただ、そうはいっても700万円オーバーですからやっぱり高価です。装備は驚くほど充実していますが、それだって必ずしも必須の物ばかりではありません。それにどんなにゴージャスなセカンドシートであっても、悲しいかなドライバーはその恩恵にあずかれることはほとんどないでしょう(家族は喜ぶかもしれませんが…、)。もしあなたがヴェルファイアという車種自体に魅力を感じていて、なおかつ自分なりにドレスアップも楽しみたいのならば、手ごろなベースモデルを選び、本当に欲しいオプションや社外のカスタマイズパーツを追加して楽しむという方法も悪くないかもしれません。