オフロードに向けの本格SUVはやっぱりディーゼルエンジンじゃないと! そんなこだわりのSUVファンにとって、もはや最後の砦ともいうべき存在がトヨタのランドクルーザープラドです。そんな、ランドクルーザープラドが2020年8月マイナーチェンジを受けました。一番の魅力ともいうべきディーゼルエンジンにも大幅な変更があったという今回のマイチェン。いったい何が変わったのか? また、新たに設定された特別仕様車にはどのような魅力があるのか、探ってみました。

最新のディーゼルエンジンは
排気もクリーンでエコ性能も高い


(引用:トヨタ公式HP)

かつてはSUVの定番エンジンだったディーゼルエンジン。しかし、石原都知事時代にディーゼルエンジンの排気ガスがやり玉に挙げられたこともあって、そのイメージ悪化が進み、いつのまにかクルマをよく知らない一般の方にはディーゼル=悪者のイメージが植えつけられてしまいました。

でも、もちろんそんなことは全くありません。それなのに、気が付けば乗用車でディーゼルエンジンを搭載するクルマがどんどん減り、国産車に関しては、マツダ車をのぞけば今や数えるほどになってしまいました。

例えばトヨタで見てみると、バンやトラック(ハイラックス含む)などの商用車を除くと、乗用車ではグランエースと、ランドクルーザープラドくらいしかカタログにのっていません。ディーゼルエンジン車が欲しい! と思っても、そもそも選ぶことさえできないのです。

最新のディーゼルエンジンは燃費の良さはガソリンエンジン車以上。燃費がいいのでエコですし、CO2の排出量もガソリンエンジンよりもむしろ少ないです。またNOx(窒素酸化物)なども、EGR(排ガス循環処理) や酸化触媒を使用することで排ガスをクリーン化しています。また、DPF (ディーゼルパティキュレートフィルター)が装備されているので黒煙の元であるPM (Particulate Matter: 粒子状物質) のほとんどを除去してくれます。もはやディーゼル車の排気管から吐き出される黒い煙は過去のものなのです。

プラドのディーゼルエンジンはパワーで27PS
トルクで5kgf・mの大幅スペックアップ!


(引用:トヨタ公式HP)

ディーゼルエンジンというと、トラックなどに搭載されているので遅いというイメージがあるかもしれませんが、ヨーロッパではスポーツカーにもディーゼルエンジンが搭載されています。有名なルマン24時間レースでも過去にはアウディのディーゼル車が優勝しています。

そもそも同じ排気量ならトルクはガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンの方が上。高回転まで回すのには適していませんがその豊富な低速トルクを生かせば、低速域からもりもりと加速することができる。あとはギア比で最高速などなんとでもなるのです。

また、オフロード走行でも力を発揮してくれます。ディーゼルエンジンは低回転で大きなトルクを発揮してくれるのでエンジン回転数を上げる必要がなく、低速でも粘り強い走りが可能。勾配のきつい不整地でもぐいぐいと登ってくれます。そのうえタフで数十万キロ走っても壊れない。そのためディーゼルエンジン車はリセールバリューが高いという特徴もあります。

そんな魅力にあふれるディーゼルエンジン車の選択肢が年々減っているというのは非常に残念なことではないでしょうか。

しかし、トヨタはランドクルーザープラドのディーゼル車をいまだにラインナップしています。それどころか2020年8月のマイナーチェンジによってそのディーゼルエンジンのパワーを大幅に向上させているのです。ではどれくらいパワーがアップしたのか? マイチェン前とマイチェン後のスペックを比べるとこうなります。

ランドクルーザープラドディーゼルエンジンのスペック比較
マイナーチェンジ前 マイナーチェンジ後
エンジン形式 1GD-FTV直列4気筒直噴ディーゼルエンジン 1GD-FTV直列4気筒直噴ディーゼルエンジン
排気量 2,754㏄ 2,754㏄
最高出力 177PS(130kW)/3,400rpm 204PS(150kW)/3,000~3,400rpm
最大トルク 45.9kgf・m(450N・m)/1,600~2,400rpm 51kgf・m(500N・m)/1,600~2,800rpm

 

エンジン型式は変わらず1GD-FTV型で、排気量も2,754㏄ですが、パワーで27PS、トルクでは5kgも向上しています。トルク5kgはガソリンエンジンなら500㏄排気量アップ相当です。よりパワフルで余裕のある走りが味わえるわけですね。これは素晴らしいでしょう。

ちなみに2,693㏄ガソリンエンジンのスペックはこうです。

  • ●最高出力:163PS(120kW)/5,200rpm
  • ●最大トルク:25.1kgf・m(246N・m)/3,900rpm

これでもパワーやトルクは十分ともいえますが、トルクが約半分ですからディーゼルエンジンと比べて物足りない感は否めません。オフロード4WDらしい、力強い走りを味わうにはちょっと力不足かもしれません。

やはりディーゼルですね。もちろんマイチェン前のディーゼルエンジンも十分すぎるスペックでしたがマイチェンによっていっそうパワフルになったプラドのディーゼルエンジン車は相当魅力がアップしたのは間違いないでしょう。

安全装備もレベルアップ!
夜間の歩行者と昼間の自転車運転車も検知


(引用:トヨタ公式HP)

マイチェンによる変更点はそれだけではありません。なにより安全装備が充実したという点もポイントでしょう。まず、トヨタの最新安全装備Toyota Safety Sense(セーフティセンス)の機能が向上しています。プリクラッシュセーフティの検知範囲を拡大し、夜間の歩行者と昼間の自転車運転車にも対応しました。

また、ヨーアシスト機能付きレーンディパーチャーアラートやロードサインアシスト(RSA)、先行車発進告知機能が全車に標準装備されています。ほかにはトップグレードのTZ-GとTX Lパッケージにリヤクロストラフィックアラートがオプション装着できるようになりました。これは駐車場などで後退する際に、左右から接近してくるクルマを検知して、ドアミラー内のインジケーターの点滅とブザーで注意を喚起してくれるというもの。価格は、ブラインドスポットモニター(BSM)とセットで6万6000円ですが車高が高く、車体の大きなプラドには頼りになるオプションとかもしれません。

他にはスマートフォンと連携できる9インチDA(ディスプレイオーディオ)もオプションとして設定されています。トヨタはこのDAを新型車への搭載を進めているのでその一環ですね。

ブラックで精悍にドレスアップ
TX“Lパッケージ・Black Edition”


(引用:トヨタ公式HP)

このマイナーチェンジと合わせて新たに設定されたのが特別仕様車「TX“Lパッケージ・Black Edition”」です。人気グレードのTX“Lパッケージ“をベースにその名の通り黒を基調とした各種ドレスアップアイテムを追加しています。

例えばグリルやヘッドランプ周り、さらにバックドアガーニッシュには漆黒メッキとブラック塗装が施されています。また、アウターミラーやドアモールディングはブラック、ルーフレールはピアノブラックに塗装。加えて専用の18インチアルミホイールもブラック仕様の専用品を装着。

インテリアも、センタークラスターパネルやフロントカップホルダー、センターコンソールエンドパネルがブラックにインサイドドアハンドルやオーナメントがシルバーに塗装されより精悍でスポーティなイメージにまとめられています。

基本はTX“Lパッケージ”なのでエンジンはディーゼル、ガソリン双方が設定されて5人乗り7人乗りも選べます。人とはちょっと違ったプラドが欲しいという方には人気となるのは間違いないでしょう。こちらも要注目です。

長い目で見ればプラドに乗るなら
ディーゼルエンジンで決まり


(引用:トヨタ公式HP)

ディーゼルエンジンの強化によってその魅力をさらに磨いたランドクルーザープラド。登場から10年以上を経過したロングセラーモデルですが、数少ないディーゼルエンジン搭載車ということもあってその人気はさらに加速していくかもしれません。

なんといっても最新のクリーンディーゼル搭載車はディーゼル規制もクリアしていますし、リセールバリューがとにかく高いのも魅力。エントリーグレードTXの5人乗りでも362万1,000円~と車両価格は決して安くありませんが、購入するにしても、カーリースで利用するにしても、長い目で見れば結果お得に乗れるというのも見逃せないポイントでしょう。

オフロードよりも都会が似合う最近のクロスオーバーSUVは物足りない! と感じている方は、是非このマイナーチェンジ後のランドクルーザープラドに注目してみてください。