ランドクルーザープラドといえば今どきのクロスオーバーSUVとは一味違った、昔ながらの本格派SUV(というよりもクロカン4WD)です。兄貴分としてフラッグシップの300系ランドクルーザーがありますが、それよりも少しボディが小さく日本の狭い道路でも扱いやすいのがランドクルーザー150系のランドクルーザープラドという位置づけです。

プラドの現行モデルは2009年に登場しており、すでにかなりのロングセラーモデル。そもそもランドクルーザーシリーズがトヨタ車の中でも非常に長い歴史のある伝統的なモデルであり、初代にあたるBJ・BF型トヨタ・ジープ(1954年にランドクルーザーに改名)の誕生は1951年ですので昨年2021年に70周年を迎えています。

そしてそんなランドクルーザー生誕70周年を記念して、新たに用意されたのが特別仕様車「ランドクルーザープラドTX Lパッケージ 70th Anniversary limited」です。プラド自体非常に人気の高いSUVですが、その特別仕様車となればどんなモデルでベース車とは何が違っているのか気になるファンも多いはずです。

そこで、今回はそんなプラド生誕70周年記念特別仕様車にスポットを当てて、何が違っているのか? どんな特別な装備が採用されているのか? など詳細にチェックしてみましょう。

人気のTX”Lパッケージ”をベースに
さらに高級感高めた特別仕様車

ランドクルーザー生誕70周年高級感高めた特別仕様車
(引用:トヨタ公式HP)

現行型の150系ランドクルーザープラドは、兄貴分であるランドクルーザー300よりは一回りコンパクトなモデルです。ただコンパクトとはいってもフラッグシップの300系に比べればというもので、実際のサイズは全長4,825mm×全幅1,885mm×全高1,850mmもありますから十分大型で、車重も2tオーバーで重量級です。今どきのクロスオーバーSUVと比べると見た目もごつく、威圧感を感じさせる堂々としたサイズとスタイリングを持っています。

現行モデルは2009年に登場し、現在まで幾度かのマイナーチェンジを実施しています。直近のマイナーチェンジは2021年6月で、インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]が新たに標準装備されたほか、19インチアルミホイールのデザインが変更となっています。

2020年のマイナーチェンジに比べると小規模な変更で、一番のトピックは特別仕様車「TX”Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」が投入されたことでしょう。

これはランドクルーザーシリーズ生誕70周年を記念した特別仕様車で、プラドの中でも人気の高いグレードTX”Lパッケージ”をベースに、主に高級感を向上させる魅力的なアイテムを追加したというものになっています。では価格はどれだけ違っていて、さらに具体的などんな装備が追加されたどのような仕様となっているのでしょう。

ベースモデルに対して価格は
12万1,000円~13万円アップ

ランドクルーザー生誕70周年特別仕様車価格
(引用:トヨタ公式HP)

まず「TX”Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」のベースになったTX”Lパッケージ”ですが、こちらは、プラドの中間グレード的な位置づけで、エントリーグレードである「TX」にエクステリアやインテリアなどに人気の装備を追加したものです。

そして「TX”Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」はTX“Lパッケージ”にさらに特別仕様車だけの特別なアイテムを追加しています。

価格はベースモデルのTX”Lパッケージ”の最も安い2.7Lガソリンエンジン(5人乗り)が416万9,000円。そして最も高い2.8Lクリーンディーゼル(7人乗り)が499万7,000円となっています。

そして「TX”Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」の価格は2.7Lガソリンエンジン(5人乗り)で429万9,000円。同7人乗りが444万8,000円。そして2.8Lクリーンディーゼル(5人乗り)が496万円で同7人乗りが511万8,000円となっています。

ベースモデルと特別仕様車の差額は12万1,000円~13万円 ほどです。思いのほか大きくはありませんが、ではその差額に見合った装備の違いはあるのでしょうか。細かく見てみましょう。

黒を基調とした特別なアイテムで
エクステリアをドレスアップ

ランドクルーザー生誕70周年黒を基調とした特別なアイテム
(引用:トヨタ公式HP)

まずエクステリアのデザインですが、ベースのTX“Lパッケージ”と基本的には大きく変わっていません。ただしカラーが違っています。70周年記念特別仕様車には、高級感を高めてくれるシックなブラックの加飾が施されているのです。具体的には以下のようなポイントが特別仕様となっています。

  • ●ラジエターグリル(ブラック塗装)
  • ●グリルインナーバー(漆黒メッキ)
  • ●反吐ランプガーニッシュ(漆黒メッキ)
  • ●専用フォグランプベゼル(ピアノブラック塗装)
  • ●18インチアルミホイール(ブラック塗装)
  • ●専用ルーフレール(ピアノブラック塗装)
  • ●サイドターンランプ付きオート電動格納式リモコンドアミラー(ブラック塗装)
  • ●バックドアガーニッシュ(漆黒メッキ)
  • こちらのアイテムが特別装備となっていて、さらに70周年記念特別仕様車だけのオプションとして70周年エンブレム(2万3,100円)を装着することが可能となっています。

    ホワイトパールやブロンズメタリック、レッドマイカメタリックなどの明るい色のボディカラーと組み合わせるとブラックの加飾がクールなアクセントとなり、そのコントラストが高級感をさらに高めてくれます

    ただ、これらの特別仕様車のアイテムを見て「どこかで見たことがあるぞ?」などと感じるプラドファンもいるかもしれません。実は2020年に設定されていた特別仕様車である「TX”Lパッケージ・Black Edition”」とほぼ同じ内容となっています。正直エクステリアはエンブレム以外はほぼ変わっていません。

    ようするに評判の高かったBlack Editionの仕様をそのまま受けつぎ、さらに70周年記念特別仕様車だけのアイテムを追加したのが「TX”Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」というわけなのです。

    前回の特別仕様車とほぼエクステリアが変わらないというのはちょっと残念感もあるかもしれません。ただ、これはエクステリアに限ってのこと。インテリアに関してはBlack Editionとは大きく変わっています。

    サドルタンの本革シートで
    インテリアはより上質に

    ランドクルーザー生誕70周年サドルタンの本革シート
    (引用:トヨタ公式HP)

    まずシートの表皮が、一般的なファブリック素材ではなく高級感のある本革仕様となっています。こちらは最上級グレードのTZ-GやベースとなったTX”Lパッケージと同様なのですが、大きく違っているのがそのカラー。しっとりと落ち着いたサドルタンが採用されているのです。

    ベージュやブラックといった従来からあるカラーではなく、これは70周年記念特別仕様車だけの特別なカラー

    さらにこのシートはフロントに8ウェイのパワーシート機能を搭載し、加えて快適温熱シート+シートベンチレーション機能も搭載。また、電動ランバーサポート(運転席)やアクティブヘッドレスト(運転席、助手席)まで装備されているゴージャスな仕様。機能的にはベースのTX”Lパッケージと同じなのですがカラーが違うだけで印象が大きく異なります。

    前述のBlack Editionはその名の通り内装も黒一色で、本革シートもブラックだったので落ち着きはありましたが華やかさはそれほどではありませんでした。スポーティではあったので黒のほうが良いという方もいるかもしれませんが。

    ただ、そもそも黒内装や黒の本革シートは通常モデルでも選べたカラーなので、特別感という意味ではやはりサドルタンのほうが上、所有欲もそそってくれるでしょう。

    なんといっても単に高級感があるだけでなく、さらにワンランク上の高級車的な雰囲気を醸し出していますし、シート表皮だけでなく、シフト周りのセンタークラスターサイドニーパッドやドアトリムオーナメント、大型フロントアームレストなども同じサドルタンの本革仕様になっているという点も、高級感の演出に大きく貢献しています。ドアを開けインテリアを眺めるだけで「この車は高級車なんだ!」という気分にさせてくれます。

    また、通常のTX”Lパッケージ”では、木目調となっているダッシュボード周りのオーナメントパネルも、落ち着いたトーンを抑えたシルバー塗装となっているのも高級感の演出に一役買っているといえるでしょう。

    さらに特別仕様車らしい気分を味わいたいならディーラーオプションの70周年記念ロゴ入りのフロアマット(ブラック/5人用3万5,200円、7人用4万700円)を追加してもいいかもしれません。

    Toyota Safety Sense他、
    装備内容はTX”Lパッケージと同等

    ランドクルーザー生誕70周年装備内容
    (引用:トヨタ公式HP)

    その他基本的な装備はTX”Lパッケージと同じです。先進安全装備もToyota Safety Senseが標準装備で内容はプリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)やレーンディパーチャーアラート(ヨーアシスト機能付)、オートマチックハイビームとレーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)、ロードサインアシストなどがセットになっています。

    カーナビとオーディオに関しては、プラドはもともと全グレードがオプション設定。446,600円で追加することで、9型液晶搭載のディスプレイオーディオ+T-Connectナビキット&プラド・スーパーライブサウンドシステムを追加することが可能です。スピーカーは6スピーカーが標準で、ナビのオプションにはETC車載器や通信機能のDCMもついてきます。

    価格がちょっとお高めですが、もう少しリーズナブルにカーナビを搭載したいなら、ディーラーオプションでトヨタ純正ナビが豊富にそろっているのでそちらを追加するといいでしょう。

    パワーと燃費、リセールバリューを
    考えるとねらい目はやはりディーゼル

    ランドクルーザー生誕70周年ディーゼル
    (引用:トヨタ公式HP)

    「TX”Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」のパワーユニットには、2.7Lガソリンエンジンと2.8Lクリーンディーゼルターボエンジンが用意されています。

    ガソリンエンジンはパワーが120kW(163PS)で、トルクは246 N・m(25.1 kgf・m)です。ディーゼルターボは2020年のマイナーチェンジで大幅にパワーアップしており、ガソリンエンジンよりも力強い150kW(204PS)、トルクが500 N・m(51 kgf・m)といったスペックを持っています。

    ディーゼルターボで注目すべきはそのパワーより強大なトルクかもしれません。51 kgf・mは、ガソリンエンジンなら5LのNA並みの数値。それがわずか1,600~2,800回転で発揮されるのですから、オフロードでは素晴らしい走破力を発揮してくれること間違いありません。

    ただ、気になるのはその燃費です。ガソリンエンジンもディーゼルエンジンもどちらも十分にパワフルなのですが、WLTCモード燃費はガソリンエンジンが8.3㎞/Lで、燃費が良いとされているディーゼルエンジンでもWLTCモード燃費は11.2㎞/Lとなっています。

    優れた走破性を発揮するフルタイム4WDシステムや車両総重量2.3~2.6tという重さを考えればこの数値も仕方がありませんが、燃費の悪さはプラドの泣き所かもしれません。

    もし、わずかでも燃料費を節約したいのであれば、ディーゼルエンジンを選んだほうがいいかもしれません。ランクルシリーズはディーゼルエンジンの人気が高いので、のちのちのリセールバリューもきっと期待できるはずです。

    装備内容を見るとコスパは優秀
    売り切れないうちにディーラーへ

    ランドクルーザー生誕70周年コスパ優秀
    (引用:トヨタ公式HP)

    ランドクルーザープラドの70周年記念特別仕様車「TX”Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」を細かくチェックしてみましたが、その装備や特別な仕立てなど、とても魅力的な内容になっていることがわかりました。

    ベースモデルに対してわずか12万1,000円~13万円のアップでこのクルマが買えるならとてもお買い得ですし、コスパ的にも優秀といっていいでしょう。前回の特別仕様車Black Editionを買い逃して後悔している、というプラドファンは是非注目すべきでしょう。

    そもそも品薄のプラドですし、前回のBlack Edition同様、この70周年記念特別仕様車はいつまで購入できるかわかりません。気になる方は早めに注文を入れたほうがいいかもしれません。争奪戦となる可能性もあるので行動するなら早めが吉です。