GWも終わり、そろそろ気温も上がりはじめてきたなと思っていたらあっという間にやってくるのが暑い夏です。しかし、夏がやってくる前には、ドライバーにとって非常にやっかいな梅雨もまっています。

なぜやっかいなのか? 梅雨の時期は天気が崩れやすくマイカーをせっかく洗車しても雨ですぐに汚れてしまいますし、雨で滑りやすくなった路面は運転にも気を使うからです。

さらに、雨で視界を遮られないよう、ウインドウの手入れにも気を使わなくてはいけません。ポイントはウインドウの油膜です。日ごろウインドウの手入れを怠っていると、覆う油膜覆われがフロントウインドウに対向車のヘッドライトや街灯などが乱反射し、大きく視界を悪化させてしまうこともあるのです。

それでは運転に支障が出ますし、車載カメラを使った衝突被害軽減ブレーキの作動に悪影響を及ぼす可能性もあります。本格的な梅雨がやってくる前にしっかり油膜を落として、さらにウインドウコーティングもやっておくべきです。

そこで今回は、梅雨前にやっておくべきウインドウのケアについてそのやり方と注意点をご紹介します。

運転中油膜でギラついたウインドウで
前方の視界が遮られると危険

油膜でギラついたウインドウ

日ごろから洗車を定期的に行い、ウインドウコーティングも欠かさないという人でも、意外に忘れがちなのがウインドウの油膜落としです。ウインドウコーティング剤は使っていても、その下地である肝心のフロントウインドウの油膜について案外見落としてはいませんか。

ウインドウの油膜は、晴れている時なら特に気にならないかもしれません。しかし、いざ雨が降るとこの油膜というのが思いのほか厄介なモノなのです。

油膜のせいで、雨が降った際にウインドウ越しの景色が歪み、ぼやけて見えづらくなることもあります。また、対向車のライトが油膜にギラギラと反射して、いつも以上に眩しく見える、などということもあるでしょう。たかが油膜ですが、そこに雨が付着するとことで視界を大きく遮る原因になってしまうのです。

さらに、人間の視界が悪くなるだけではありません。最近はカメラを使用した衝突被害軽減ブレーキが多くのクルマに装着されていますが、カメラはウインドウを通して前方を撮影しています。しかし、極端にウインドウが油膜で汚れていると、カメラのレンズを遮ることになり、その結果衝突被害軽減ブレーキ機能が正しく働かない、などということにもなりかねません。

たかが油膜ですが、重大な事故につながりかねない危険も潜んでいるのです。だからこそしっかり取り除かなくてはならないのです。

しかし、一旦油膜ができてしまうと簡単には除去できません、ウォッシャー液を噴射して、ワイパーを作動させても簡単には解消されないでしょう。むしろワイパーによって油膜が塗り広げられてしまいかえって視界が悪くなってしまったなんて経験は誰しもが一度はあるはずです。

そんな危険な状態で、梅雨の季節に突入するのはやはり避けたいですよね。雨の日に安全で快適なドライブ行うには、何よりクリアな視界の確保が最優先。フロントガラスにこびりついた油膜は、クリアな視界を妨げる大きな要因なのですから、すぐに除去しましょう。

でも、このウインドウにこびりついてしまうやっかいな油膜とは、そもそもなんでできしまうのか。また、その正体はなんなのでしょう。

大気中の排気ガスやアスファルトの油分が
ウインドウにこびりつき油膜になる

ウインドウにこびりつく油膜

油膜の正体は、その名称からわかるようにウインドウガラスの表面にできてしまう油の膜です。でも、油なんて別に使っていないのになんでフロントウインドウの表面に、油の膜ができてしまうのでしょうか。その理由は、大気中の油分「シリコン」などが原因です。それがガラスに付着してしまうのです。

シリコン系の油は、排気ガスやアスファルトなどに含まれています。それが大気中に漂い、雨と共に巻き上げられ、クルマのフロントウインドウに付着して油膜になってしまうのです。他にもボディワックスやコーティング剤などが雨などでフロントウインドウに流れ落ちそれが油性の皮膜になってしまうこともあります。

油分がフロントウインドウに付着した状態で、それが乾燥するとやがてやっかいな油膜となってしまうわけなのです。

そして、一旦ウインドウに油膜ができてしまうと、水洗いやスポンジでこすった程度では除去はできません。洗車でもなかなか落とせません。じゃあ専用のスプレーを使えばいいのか。

確かに緊急時に便利なスプレー式油膜除去剤などもありますが、これも根本的な油膜解消にはなりません。なぜならこういったスプレー式の油膜除去剤は、薬剤を使い油膜で覆われたガラス表面の親水性を高めているだけだからです。

つまり、あくまで一時的に油膜による乱反射を軽減しているだけなのです。しばらく雨の中を走ればやがてスプレーの効果がなくなり、同じようなギラギラとした油膜によって視界が遮られた状態に戻ってしまうでしょう。

こういったアイテムは緊急時などにはとても便利ですが、しっかりこびりついてしまったやっかいな油膜はちゃんとケアを行い取り除くしかないのです。ではどのように取り除けばいいのでしょうか?

ガラスコンパウンドでウインドウを研磨
しつこい油膜を削り落とす

ガラスコンパウンドでウインドウを研磨

最も確実なのは、ガラスコンパウンドを使ってガラス表面を研磨し、油膜を削り落としてしまうことです。これならどんなにしつこくこびりついて油膜でも確実に除去することが可能です。

その手順ですが、まずは洗車を行います。ウインドウの表面の付着した汚れを、カーシャンプーを使ってキレイに洗い流しましょう。

また、油膜以外のウインドウ撥水剤の残りや、ホコリ、砂、鳥のフン、虫の死骸などが残っていると、油膜がきれいに落とせませんし、コンパウント掛けでガラスにキズをつけてしまうことになるのでこれらも徹底的に洗浄し洗い流してください。

洗浄ができたら、ガラスコンパンドを使用して油膜を除去します。ガラスコンパウンドはカー用品店などにいけばウインドウ撥水剤と一緒に売られていると思います。

ウインドウクリーナーなどと名称が違う場合もありますがガラスの下地作りに使用できる研磨剤入りの液剤がそれにあたります。これらを使えば、洗車では落とせないしつこい油膜や、古いコーティング剤を落とすことが可能です。

その使い方はとても簡単です。洗車のあとに水分を拭き取ったらガラスコンパウンドを少量、専用のスポンジに取って、丁寧にガラス面を磨いていくだけです。隅々までしっかり磨いて油膜を削り落としていきます。ボディなどにキズをつけないよう気を付けて研磨して下さい。気になる場合は塗装面をマスキングしておくと安心です。

研磨ができたらガラス表面に残ったコンパウンドを水洗いで流し落とします。研磨剤が残っていると傷の原因になるので丁寧に洗い流してください。

洗い流し終えたらガラス表面の水分を拭き取ります。しっかり油膜が除去できたかどうかはガラスに水をかけてみるとすぐにわかります。水をかけてみてウインドウガラス表面で水が弾かれることなくベターと広がるようなら油膜や古いコーティング剤はしっかりと除去できているということ。いわゆる親水状態になっています。

もし、そうでなく水が弾かれているようなら油膜は取り切れていません。水洗い後に再度研磨作業を繰り返しましょう。

油膜がしっかり除去できたら、油膜の再付着を防ぐためにもウインドウ撥水剤を使用して表面を保護してやるといいでしょう。

油膜の除去に合わせて
ウインドウのコーティングもやっておくべし

ウインドウのコーティング

ウインドウの撥水コーティングは雨の日の視界確保にとても役立ちます。梅雨前に施工しておくのがベストですので、油膜取りを終えたら合わせて作業しておくのがベストでしょう。油膜や古いウインドウコーティング剤をしっかり除去した状態で施工を行うと、撥水効果もより高まります。

コーティング作業のやり方ですが、コーティング剤によって施工の仕方が違いますのでまずはコーティング剤の説明書をしっかり読んでください。理解したらコーティング作業をはじめましょう。

コーティング作業中に特に気を付けるべきなのが、決してガラス面に手を付けないことです。せっかく油膜を落としたのに手の油分がついてしまうと意味がないからです。油が付着した状態でコーティングを行ってもせっかくの液剤を油が弾いてしまいしっかりとした撥水被膜できません。気をつけましょう。

コーティング剤は適量使用するのがコツです。厚く塗ればその分効果が高くなると勘違いしている人もいますが、厚塗りしたとしても撥水被膜が厚く形成されるわけではないので意味はありません。かえってムラになる可能性が高いので使う量は説明書に書かれている通り適量にしてください。

ガラスの全面にムラなくコーティング剤を塗り込むことができたら乾燥を待ち、乾燥したことが確認できたらしっかり拭き上げて(拭き上げのいらないものもあります)コーティング作業は終わりです。

ウインドウ用の撥水コーティング剤には大きく分けてシリコン系とフッ素系がありますが、シリコン系は施工後すぐに乾燥するので作業もあっという間に終わり簡単です。ただし撥水効果の耐久性はちょっと短めです。

もう一方のフッ素系の場合は、被膜の硬化に時間がかかるので作業に時間がかかります。しかし、その分耐久性も高く、撥水効果が長持ちします。

フッ素系コーティング剤であっても、最近は短時間で硬化するものもありますが、多くの場合12時間から24時間ほどの硬化時間が必要とされているので、その間は表面に触れたり雨にあたらないように気を付けてください。

作業前に翌日の天候なども把握しておいたほうがいいかもしれません。油膜を完璧に除去し、撥水コーティングを施せば、フロントウインドウはしっかりと水を弾き、雨でもクリアな視界を確保してくれるでしょう。

また、コーティング効果の耐久性も上がり、油膜ができるのを防止してくれる効果も期待できます。油膜取りをしたら、撥水コーティングセットで行うのがベストです。

油膜取りと作業は決して難しくない
もし自信がないならプロの任せよう

油膜取り

ウインドウの油膜取りや、撥水コーティングの施工は、専用のアイテムさえ手に入れれば作業自体は難しくありません。作業前にウインドウの洗浄を完璧に行うこと。そして作業中雨にあたらないよう、天気を翌日分までチェックしておくこと。さらに、素手でウインドウに触らないことなど基本的なことを守れば、失敗することはまずないはずです。

そうはいっても、過去に油膜取りに挑戦したけどうまくできなかった、また撥水コーティングしたのにあっという間に効果がなくなってしまった、などという経験があるのなら、いっそプロに任せてしまうのもいいかもしれません。

プロに任せればお金はかかりますが、施工は完璧ですし、なんといっても面倒がありません。自信がないならいっそプロに任せるそういった選択も間違いではありません。

作業はカー用品店やフルサービスのガソリンスタンド、洗車専門ショップなどに依頼すると油膜落としと撥水コーティングをセットで行ってもらえるはずです。料金はクルマのサイズやウインドウの大きさで変わってきますが3,000円~程度と決して高くはありません。是非ご自宅近くのショップを検索してみてください。

いずれにせよ、油膜は放置しておくと間違いなく悪化していってしまいますので、梅雨に入る前に早目のケアを心がけてください。ウインドウがクリアなら、雨の日の運転もいつもより間違いなく快適なものになるはずです。安全のためでもありますので自分でやるなりプロに任せるなり何かしらの手は打っておくのが間違いありません。