12月に入り本格的に気温が下がってきたタイミング、やっておかなくてはならないのが冬支度です。衣替えに暖房の準備、加湿器の用意やまた結露対策なども必要ですね。

そして、クルマに関しても同じように、冬に向けての対策を行っておかなくてはいけません。なぜなら冬特有のクルマのリスクがあるからです。でもクルマの冬支度とはどのようなことなのでしょうか。

そんないますぐにやっておくべきクルマの冬対策に関して、気を付けるポイントや、具体的に何を行えばいいのかなど、7つのポイントに絞って詳しくご紹介します。

冬は気温の低下や雪などによって
クルマのトラブルが起きやすい

ウィンタードライブ前の冬対策

気温が極端に下がり、また天候も安定しない冬は、何かとストレスのたまりやすい季節です。寒い中、外に出かけるだけでもつらいですし、もし雪が降れば転倒や交通機関のマヒなどのトラブルも起こりやすくなる。そもそも気温が低いというだけでも、身体がつらいという方も多いはずです。

そんな寒さによるストレスを少しでも緩和するにために、皆さんもきっと暖房器具を準備し冬用のコートやブーツなどを用意して、冬対策や寒さ対策を行っているはずです。

では、マイカーに関してはどうでしょう。冬という季節は人間にとっても大変な季節ですが、実はクルマにとってもストレスがたまる季節なのです。

気温の低下や雪は、車にとっても故障や様々なトラブルの原因になります。バッテリーの性能は低下しますし、ワイパーやウォッシャー液が凍り付いてしまうこともあるでしょう。

そして、タイヤです。気温が下がればタイヤのコンパウンドも固くなりグリップ力は低下しますし、夏タイヤのまま雪が降り始めたらもうお手上げです。もしチェーンがなければそのまま立ち往生となり、身動きが取れなくなってしまうでしょう。

普段の生活の中でそのようなクルマのトラブルが起きるだけでも大変なストレスですが、もし、それが年末年始の帰省や、スキーやスノボなどのレジャースポットへの道中に起きてしまったらどうでしょう。せっかくの休日が台無しですよね。ですから、そんなことがないように、あらかじめクルマも冬に向けての対策を行っておくべきなのです。

では、クルマの冬対策とはいったいどのようなものなのか。前述したバッテリーやタイヤなどがすぐに思いつくでしょうがほかにもいくつかやっておくべきことがあります。そんな冬に入ったらすぐにでもやっておくべき冬対策について、次のパートからは7つのポイントに分けて詳しく紹介していきます。

【ポイント1】
雪が降る前にスタッドレスに交換! タイヤの冬対策

タイヤの冬対策

クルマの冬対策として、まずやっておくべきなのが、雪道走行への対策。そう冬タイヤやチェーンの準備です。夏タイヤのままで、もし走行中に雪が降り始めたら、どんなに運転技術の優れたドライバーでもどうしようもありません。グリップしないタイヤではクルマは前に進むこともできませんし、曲がることも止まることもできません。

さらに、タイヤがスリップしてクルマがスピン、そして事故という最悪のケースも考えられます。そんなことになっては全てが台無しです。そうならないように、雪が降り始める前にタイヤは早めにスタッドレスへ交換しておきましょう。シーズンに入るとタイヤショップやカー用品店も込み合うのでとにかく早めに行動を起こすのが吉です。

もし、スタッドレスタイヤは用意してあるという場合も、そのスタッドレスタイヤがまだ問題なく使用できるのかというのも確認してください。スタッドレスタイヤはトレッドが50%摩耗すると、氷雪路でのグリップ性能が大きく低下します。

スタッドレスタイヤには、スリップサインの他に、溝の間に50%摩耗の目安を知らせてくれるプラットホームと呼ばれるギザギザが刻まれた突起があります。この突起の高さがブロック(タイヤの表面)に近づいたら、タイヤ交換の目安です。

また、ちゃんと溝が残っていても、経年によってコンパウンド(ゴム)が硬化していることがあります。スタッドレスタイヤは低温化でも専用のコンパウンドの高い柔軟性を使って路面にトレッドを接地させグリップ力を発揮しています。それなのにそのコンパウンドが硬化してしまっていれば本来の性能を発揮できません。

スタッドレスタイヤの寿命(本題の雪道性能を発揮できるのは)は製造から4年といわれています。4年以上経過しているなら交換を検討しましょう。スタッドレスタイヤに交換してからどれくらいたっているのかわからないなら、タイヤの製造年月を確認してください。

タイヤの製造年月は、タイヤのサイドウォール(側面)に刻まれた4ケタの数字で確認可能です。例えばX0518などと書かれていた場合は、下4ケタの数字を前後2ケタずつに分け、前の2ケタ05が製造週、後ろの2ケタ18が西暦を表します。ということは、この例ではそのタイヤは2018年の5週(2月)に製造されたということ。そして、スタッドレスタイヤが製造されてから4年近くになっている場合は新しく買い替えを検討してください。

もし降雪地域にお住まいでなく、また雪道を走る機会がほとんどなく、スタッドレスタイヤは持っていないというのなら、せめてタイヤチェーンを用意しておくべきです。最近は異常気象も多く、東京のようなめったに雪の降らない地域でも突然の大雪となるケースが増えてきています。

万が一のことを考えてタイヤチェーンを購入し、またできれば一度くらい装着を試しておいてください。用意しておいたのにいざというときに装着できなかった、では意味がありません。是非事前に装着の手順を予習しておきましょう。

【ポイント2】
低温で性能が低下する。バッテリー上がりに注意

バッテリー上がりに注意

気温が下がると、トラブルが起きやすくなるのがバッテリーです。バッテリーは、バッテリー液(希硫酸)の化学反応によって電気の充電や電装品への供給を行っています。しかし気温が低くなるとその化学反応が鈍くなってしまいバッテリーの性能が下がってしまうのです。

新品のバッテリーであれば多少性能が落ちても問題は起きにくいのですが、交換から3~4年経過し、劣化進んでいるバッテリーだと気温の低下による性能低下によってエンジンをスタートさせるための最低限の電圧すら確保できなくなることがあります。そうなれば出先で突然エンジンがかからない、などといったトラブルを起こすこともあるのです。

バッテリーはとにかく寒さに弱いため、できれば本格的に寒くなる前に劣化していないか電圧のチェックなどを行っておきましょう。電圧計やバッテリーチェッカーが手元にないとDIYでは点検はできませんが、ディーラーやフルサービスのガソリンスタンド、カー用品店などにいけばバッテリーチェックのサービスを無料、もしくはわずかな料金で提供しているのでそちらを利用するといいでしょう。

もし、バッテリーが明らかに性能低下している場合は、速やかに交換するべきです。もし今使用中のバッテリーが、交換から3年以上経過している場合は、いつバッテリー上がりが起きるかわからないので早めに交換しておきましょう。

【ポイント3】
万が一のバッテリー上りに備えてブースターケーブルを用意

ブースターケーブル

バッテリーを新品に交換していても、渋滞などで長時間身動きできないような状況に巻き込まれた場合は、エアコンや電装品による電力消費が発電量を上回りバッテリー上がりを起こしてしまう可能性があります。

そんなこと、めったにないだろうとは思いますが、ここ数年突然の大雪で道路が通行止めとなり、長時間クルマが立ち往生するというケースが増えています。そのような事態に備え、バッテリーの点検や交換に合わせて、ブースターケーブルも準備しておくのが良いでしょう。

ブースターケーブルはバッテリーが上がってしまった場合に、他のクルマのバッテリーと自分のクルマのバッテリーをケーブルでつなぐことで、一時的に電気を分けてもらうことができるというアイテムです。用意しておけば、他の人のクルマがバッテリー上がりを起こした場合にもその人を救助してあげることができます。

ただし、注意点として、もしマイカーがハイブリッドカーだった場合です。ハイブリッドカーは、他のクルマからバッテリーを分けてもらう(この場合は電装品など補機用のバッテリーの事です)事はできますが、他のクルマ、ガソリン車などのバッテリー上がりを救援することはできないということです。

ハイブリッドカーの種類によっては可能な場合もあります、ガソリン車のブースターケーブルでつなぎ、ガソリン車がエンジンをスタートした際に、大電流がハイブリッドカーに流れてハイブリッドカーのコントロールユニットが壊れてしまう可能性があるからです。基本ハイブリッドカーは他のクルマのバッテリー上がりを救援できないと覚えておきましょう。

【ポイント4】
エンジンオイルやクーラントの点検&交換もしておくべし

エンジンオイルやクーラントの点検交換

エンジンオイルや冷却液(LLC/ロングライフクーラント)も気温の低下による影響があります。どちらも必ずチェックしておきたいポイントでしょう。まず量が適正かどうか確認します。減っているようであれば補充が必要ですが、極端に少なくなっている場合はオイル漏れやクーラント漏れなど重大なトラブルが起きている可能性があるので、ディーラーや修理工場でチェックしてもらいましょう。

エンジンオイルの場合、わずかに減っている程度であれば特に問題はありません。ただ前回の交換から5,000㎞以上走行しているならオイルの潤滑性能が低下している可能性があります。エンジンオイルは気温が下がると、余計にオイルの流動性も悪くなり、エンジンがかかりにくくなるなどトラブルが起きる可能性があるので交換を検討して下さい。

なお、エンジンオイルの交換の際はそのクルマに適した粘度のオイルを選ぶようにしてください。オイル交換はディーラーやカー用品店などで行うのが簡単です。DIYでも上抜き用のオイルチェンジャーがあれば比較的簡単に行えます。

冷却液は通常寒冷地などでも凍らないように、LLC(ロングライフクーラント)という、添加剤が混入された専用の冷却液が使用されています。濃度によって対応できる温度が変わってくるのですが濃度が下がっていると、その効果も低下してしまいます。

例えば以前点検した際に、冷却液が減っていたからと水などを補充していたり、経年によって性能が低下している場合、そのまま使用すると気温の低い寒冷地などで冷却液が凍結してラジエーターが破損してしまうおそれがあります。冷却液の量と濃度を確認して、必要であれば交換しましょう。

エンジンオイルの交換はオイルチェンジャーがあればDIYでも可能ですが、冷却水の交換はDIYでは難しいため、ディーラーや整備工場などに依頼して交換してもらうといいでしょう。

【ポイント5】
降雪時も視界補確保するために冬用ワイパーへ交換

冬用ワイパー

雪道を走る機会が多いのであれば、ワイパーも雪に対応した冬用ワイパーへの交換を行うのがおすすめです。夏用ワイパーを気温の低い冬に使用していると、ワイパーゴムが硬くなりフロントガラスに密着しづらくなります。

そのためガラス面の雪や水滴をうまく取り除くことができず、視界が悪くなってしまうのです。さらに、ブレードの可動部分が凍り付いてしまい動かなくなってしまう可能性もあります。

しかし、冬用ワイパーなら、通常の雨用ワイパーよりも低温に強く、気温が低くてもゴムの柔軟性が確保されるので、雪の払拭にも適しています。

また、凍結を防ぐために、ワイパーブレードの金属部分がゴムなどで覆われているため可動部分の凍結やウインドウへの張り付いてしまうことも防げます。ワイパーの交換は簡単ですので是非変えておきましょう。交換方法は、クルマに適したサイズの冬用ワイパーをカー用品店などで購入し、ワイパーアームとワイパーブレードのロックを解除し、ブレードごと取り外して冬用ワイパーに交換するだけです。

注意点としてはブレードの交換時にワイパーアームでフロントガラスを傷つけないように、ウインドウをタオルなどで養生しておくことくらいです。ワイパーブレードのパッケージ裏などにも交換方法は記載されていますし、簡単なのでチャレンジしてみてください。

【ポイント6】
真水では凍結してしまう危険も。ウォッシャー液も交換しよう

ウォッシャー液の交換

忘れてしまいがちですが、ウィンドーウォッシャー液も冬用タイプへの交換をおすすめします。もしウォッシャー液の代用として水などを入れているのならすぐにでも適正な濃度のウォッシャー液に変えてください。

真水や濃度の低いウィンドーウォッシャー液は、気温の低い環境で使用すると噴射したそばから凍結してしまい、視界を遮ってしまう危険があります。注意してください。

ウォッシャー液のボトルなどには気温によって適正な希釈濃度が記載されていますのでそちらを確認して低温環境に適した濃度でタンクに注入しましょう。

また、寒冷地では、その地域の気温にあった濃度ウォッシャー液が売られていますので、そちらで購入し、入れ替えるという方法もあります。ウォッシャー液の交換はタンクから抜き取って、入れ替えるという方法もありますが、残りが少なければ、元のウォッシャー液を噴射しきってから、新しいものを注入するというのが簡単です。

【ポイント7】
雪に閉じ込められた際の脱出用に解氷剤やスコップなども準備

雪からの脱出

気温が下がった朝など、クルマの窓ガラスやキーホール、サイドミラー、ライトなどが凍結してしまうことがあります。そんな時に用意しておくと役立つのが解氷剤です。解氷剤があれば、吹き付けるだけで、短時間で氷を溶かすことができ、キーホールが凍ってドアが開けられずクルマに乗れない、ウインドウが凍結してしまって溶けるまで発進できない、などというトラブルを簡単に解決できます。

解氷剤は高いものではないので、冬場は一つ用意しておくことをおすすめします。ただし、スプレータイプの解氷剤は、車内の直射日光の当たる場所においておくと缶が爆発してしまう危険があるので保管場所には気を付けてください。

またスコップや軍手、長靴なども常備しておくと安心です。クルマが雪で埋もれてしまった場合に、何も道具がないと取り除くのに苦労します。

また、雪かき作業を素手するのは寒さでかじかんでしまい大変ですので軍手や長靴も必須です。新聞紙やビニールシートなどもあると便利でしょう。さらに万全を期すなら、スタックから脱出するためのラダーや、けん引ロープなども用意しておくと安心です。

冬特有のトラブルを
未然に防ぐためには準備が肝心

冬の運転トラブル対策

冬のカーライフを安全、快適に過ごすために必要な、クルマの冬支度や、おすすめのアイテムに関してご紹介しました。今どきのクルマであれば、信頼性も非常に高い上、バッテリー上がりやエンストなどのトラブルもめったに起きません。またトラブルが起きても山の中などでない限り、比較的簡単に救助を頼むことは可能でしょう。

ですから、これら7つのことを全て絶対やらなくてはならないというわけではありません。ただ、トラブルが起きるかもしれないという心構えを常にしておき、万が一のケースを想定して、準備をしておいたり、役立つアイテムを用意しておけば、それだけで安心感が違ってきます。

特にこれからの時期、家族で帰省などを予定されているのなら、トラブルの可能性に対して、やりすぎるくらいの備えをしておくくらいがちょうどいいのです。もし何も準備していないというなら、この機会に一度マイカーの冬支度に関して見直してみてください。