クルマを所有するためには各種税金や保険に加え、消耗品やガソリン代など様々なお金が必要です。その大きなランニングコストがネックでクルマの所有をあきらめているという方も決して少なくありません。
しかし、そんな悩みを解決してくれるのがカーリースです。税金や保険、車検費用まですべて毎月定額のリース料金を支払うだけ。まるでサブスクサービスのような仕組みで新車を持つことができる便利で経済的なサービスです。
とはいえ、いくらカーリースでも、クルマを走らせるための燃料、ガソリンや軽油に関してはリース契約者がその都度負担しなくてはいけません。そもそも燃料代が高いとされている日本ですから、せっかくお得なカーリースであれば燃費に関しても節約したいと思いませんか。そこでそんな燃費について、その基礎知識や、燃費を節約できるクルマの選び方、またエコドライブの方法などをご紹介します。
目次
カタログの燃費表記
JC08モードとWLTCモードとは?
まずみなさんはクルマの燃費に関してキチンを理解されていますか。クルマのカタログや公式サイトなどのスペック表を見ると、各車種のグレードごとの燃費が必ず記載されています。17km/Lなどの表記がそれで、これはガソリンや軽油1L当たり、そのクルマは何キロ走行できるのかということを示しています。これがカタログ燃費です。
このカタログ燃費は実燃費と厳密には同じではありませんがメーカー間で不公平がないように国土交通省の定めた厳密な基準のもとで測定されています。つまり実際の燃費とは多少かけ離れていますが、車種間で比較する際には非常に役立ちます。
ちなみにこの数値に関して不正を行ったということで某自動車メーカーが炎上したこともありました。炎上というより大事件といったほうがいいかもしれません。それくらい重要で厳密なものなのです。
しかし、このカタログ燃費ですが、時代とともに試験方法が変わっているということをご存じでしょうか。現在日本で使われているのはJC08モードと呼ばれる試験方法と、新しいWLTCという試験方法です。また、かつては10・15モードという試験方法で計測されたカタログ燃費が表記されていました。ベテランドライバーであれば、この10・15モードのほうがもしかしたらなじみ深いかもしれません。
しかし、この10・15モード燃費は実際に走行した際の実燃費とのあまりにも違いが大きく (カタログ燃費が良すぎる)あてにならない、ということから、より現実の走行に即した試験方法で燃費を計測しようとなり2011年に設定された試験方法がJC08モード燃費です。
これによって実燃費により近い数値を得られるようになったのですがそれでも実燃費の数値との乖離があるといわれてきました。単純にどれくらいの実燃費との差があるのか車種や乗り方によっても変わりますが、JC08モード燃費の3割引きくらいが実燃費だろうとされてきました。
実際どうでしょう。カタログの30km/Lなどという数値を信じて最新のハイブリッドカーを買ってみたら、実際には20km/Lくらいしか走らなかった、などという経験をされた方もいるのではないでしょうか。カタログ通りならもっと走るはずだ!と頑張ってエコドライブを徹底しても結局はカタログ燃費には届かない。これではせっかくの燃費表記も意味がないですよね。
より現実に即した燃費の
試験方法WLTCモード
そこでJC08モードに変わって2018年10月より新たに導入されたのが「WLTCモード燃費」です。このWLTCモードとは「世界統一試験サイクル」といわれる国際的な試験方法で、JC08モード燃費は日本独自の燃費測定方法でした。実はこのWLTCモードができる前は燃費の測定試験が国や地域の基準ごとに行われていたのです。自動車メーカーもその国ごとに燃費試験を行わなければならず、余計なコスト負担があったわけです。しかし、WLTCモードが導入されたことで1回の燃費試験で済むようになったというわけですね。まだ完全にWLTCモードに移行しきれていません(WLTCモード燃費とJC08モード燃費が併記されている)が今後発売される新車の燃費はすべてこのWLTCモード燃費の数値がカタログに記載されることになっています。
また、新たな燃費表示では、WLTCモード燃費に加えて、「市街地モード」「郊外モード」「高速道路モード」の3つの走行モードによる燃費も表示されます。より現実に近い燃費がわかるというわけですね。
ではJC08モード燃費とWLTCモード燃費ではどれくらい違うのか?ホンダのFITで見てみると以下になります。
FIT e:HEV BASIC(FF) |
---|
JC08モード燃費 38.6km/L |
WLTCモード燃費 29.4km/L |
市街地モード燃費 30.2km/L |
郊外モード燃費 32.4km/L |
高速道路モード燃費 27.4km/L |
比較してみると、結構というか相当違います。いくらハイブリッドとはいえJC08モード燃費のリッター38.6kmというのはちょっと現実と乖離しすぎですよね。WLTCモード燃費でもこの数値を記録するのは結構大変そうな気がしますが。とはいえ、JC08モード燃費よりもWLTCモード燃費のほうが現実に即しているというのはこの数値を見ればお分かりだと思います。
もちろんWLTCモード燃費となっても、クルマの運転方法や環境、クルマのコンディションなどによって燃費は変わってくるので必ずしもそのクルマであればWLTCモード燃費通りの数値となるとは限らないのでその点は注意が必要です。
カタログの燃費数値
ばかりに注目するのはNG
WLTCモード燃費によって、そのクルマの実際に近い燃費が分かったこともあって、クルマの燃費への関心は以前より高まっています。燃費が良ければそれだけクルマを維持するためのランニングコストも節約できるわけですから当然のことでしょう。それに月々のランニングコストに関して、よりシビアなカーリース利用者にとっても燃費は非常に重要です。月々のリース料金をせっかく抑えられるようにとリース契約したのに、実際にクルマを使用してみたらガソリン代や軽油代が思いのほかかかってしまって結局あまり節約にならなかった、では意味がありませんから。
もし日々の燃料費負担を抑えたいならまずクルマ選びの際に、より燃費の良いクルマを選ぶことが肝心です。燃費が良いクルマといえば、ハイブリッドカーに軽自動車などですね。しかし、そういったクルマであってもメーカーのカタログなどの数値にはちょっとした落とし穴もあります。なぜなら公式サイトなどで大きくアピールされている燃費数値は、そのクルマのすべてのグレードの中で、燃費が最も優れた燃費スペシャル(そんな名称は本当はありませんが)である可能性が高いからです。
この燃費スペシャルとは、そのクルマに設定されているグレードの中で、特に燃費数値をよく見せるために設定されたいろいろと簡略化されたグレードのことです。もちろんカタログにはそのような「燃費のためのグレードです」などとは書かれてはいませんが。
そういったグレードは多くの場合快適装備などを省き軽量化して、なおかつ転がり抵抗の少ないタイヤなどを装着し見た目上の燃費数値を向上させているケースがあります。また、軽自動車の中には、燃料タンクの容量をわざと小さくして車両重量を軽くすることで燃費をよく見せているなどという反則気味のクルマもあります。
それでも燃費がいいならいいじゃないか、と思うかもしれませんが、燃費のためだけに本来装備されていてほしい快適装備やなくてはならない安全装備が省かれていることがあるのです。そのようなクルマを5年や7年という長いリース期間、安心して乗り続けることはできますか?大切なのは、まずそのクルマが自分の好みに合っていて、なおかつ快適で家族みんなが安心して乗ることができ、加えて燃費の良いクルマが本当にベストな選択のはずです。
リース契約を検討中のクルマがもし複数あるのであれば、まずは自分が気に入ってた車種を選ぶましょう。それは基本です。好きでもないクルマに長い期間乗るなんてナンセンスです。そして気に入ったクルマが複数あるならそれぞれの車種の中から、自分にとって必要な装備や安全装備が設定されたグレードを選びます。さらにそれらの自分の求めるグレードどうしで燃費の数値を比較するのです。
クルマ選びにとって燃費は確かに重要なことですが、燃費だけでクルマを選ぶとあとで後悔することになります。カタログ上の数値に振り回されることなく、好きなクルマ、自分に合ったクルマの中からより燃費性能に優れたものを選ぶのが賢明です。
燃費を悪化させない
クルマの乗り方とは
では、すでにリース車両を利用されていて、思いのほか燃費が悪かった場合は、リース契約満了となるまで我慢して乗り続けるしかないのでしょうか。そんなことはありません。燃費はクルマのそもそものスペックで大きく変わりますが、ドライバーの運転方法などによっても大きく変わってきます。燃費が悪いのであれば、なるべく悪化させないような運転を心がけ、ついついやってしまう燃費を悪化させるような要因を取り除けばいいのです。
まず燃費を悪化させる行為といえば、急加速や急減速です。このようなことを繰り返すと燃費が悪化します。例えば、アクセルいっぱいに踏み、急加速をしても、次の信号で急ブレーキを踏んで急減速しているのであれば、せっかく燃料を消費して得た速度というエネルギーがブレーキによって熱エネルギーに変換され空気中に無駄に放出されているだけになります。意味がありませんね。
とはいえ、ただノロノロ運転をすればいいわけではありません。発進時、だらだらと加速するとそれだけアクセルを踏んでいる時間が長くなるのでかえって燃費が悪くなることもあります。スタート時はアクセルをそれなりにしっかりと踏み、法定速度を守ってある程度の速度まで加速します。十分な速度になったらアクセルを緩め、あとは周囲に流れに合わせ一定の速度をキープします。このようなメリハリのある運転をしつつ、無駄にアクセルを踏む行為を減らせばいいのです。
燃費悪化を防ぐには
エアコンの使い方にコツがある
また、エアコンなどの使用方法にも気を付けるべきでしょう。ハイブリッドカーなどを除くと多くのクルマはエアコンのコンプレッサーの動力としてエンジンの力を使用しています。つまりエアコンを使用するとその分だけエンジンへの負荷が大きくなり燃費の低下につながるのです。
ということは、できるだけ無駄なくエアコンを使用すればその分負荷も減り燃費の悪化を防ぐことできるということです。
例えばエアコンの欠かせない真夏などは、外気温よりも極端に高温となった車内をいきなりエアコンで冷やすのではなく、いったん換気を行います。こうすることで外気との温度差を少なくすることで適温になるまでの時間を短縮できエアコンの負担を減らすことができます。
そして、車内温度が十分下がったら内気循環モードに設定すると、熱い外気が車内に入るのを遮断できエアコンの負荷も減るので燃費の悪化を防ぐことが可能です。ただし、定期的に内気循環と外気導入は切り替えるようにしてください。内気循環のままで車内の換気が悪くなるとCO2濃度が高くなり眠くなってしまうことがあります。気を付けましょう。
無駄な荷物を減らして
車体をできるだけ軽くする
さらに意外に忘れがちですが、車内に積まれている荷物に関しても気を付けるべきです。ゴルフバッグやキャンプ道具、使っていない工具類など必要のない荷物を積みっぱなしにしていませんか。そのような行為は車体を無駄に重くして結果燃費を悪化させます。片づけるのが面倒だからとクルマのトランクを物置代わりにするのはやめましょう。すぐに降ろしてください。
またタイヤの空気圧も定期的にチェックする癖をつけておいた方がいいでしょう。クルマのタイヤの空気は何もしてなくても徐々に抜けてしまうもの。空気圧が不足したタイヤは、たわみが大きくなり走行中の抵抗が増えます。すると当然燃費が悪化してしまうのです。一般財団法人省エネルギーセンター実験によると、タイヤの空気圧が適正値より50kPa低いと市街地で約2.5%、高速道路では約4.8%も燃費が悪化するとされています。これは見逃せない値です。
また、燃費悪化だけでなく空気圧不足ではクルマの操縦安定性も低下しますし、最悪の場合タイヤのバーストなどにもつながる可能性があります。常に適正地を保つように一か月に一回は空気圧をチェックし、不足していたら空気を入れるようにしましょう。
これらはちょっとしたことで、明日からでもすぐに実践可能なこと。でも気を付けておけば燃費の悪化を確実に減らすことができます。自分のクルマは思いのほか燃費が悪いなぁ、などと感じているならば、燃費悪化につながるようなことをしていないか改めて見直してみましょう。家計負担を減らすためにリース契約をしたのであれば、なおさらこういった細かなポイントにも注意するようにして下さい。