手軽でお得、面倒な登録や車検手続きもすべてリース会社に任せられるから初心者でも安心とされているカーリース。しかし、利用者は登録から納車、各種手続きの全てをカーリース会社に丸投げできるわけではありません。

例えばクルマを登録するのにあたって必要なのが車庫証明。これはユーザー側で準備しなくてはなりません。車庫証明がなければ基本的に(一部地域や軽自動車は除く)クルマを登録することはできません。ではカーリースを利用するとなった場合、どのようなタイミングで、またどこで車庫証明が取ればいいのか。これからカーリースを利用しようと考えているなら是非知っておくべきことについて解説します。

車庫証明ってそもそも何?
なんで必要なの?

カーリースはクルマを購入するよりも手軽に利用できる便利なサービスです。残価が設定されているので車両価格は抑えられますし、登録にかかる手続きなどもリース会社に任せることができるうえ諸費用などもまとめて月々定額のリース料金として支払うことができます。さらに、車検などの際も面倒な手続きや費用負担も(月々のリース料金に組み込まれているので)ありません。

そのため、クルマの知識があまりなくても、またまとまった頭金を用意できない初心者であっても気軽にクルマを持つ(利用する)ことが可能なのです。このように手軽に利用できるのがメリットのカーリースですが、利用するにあたって、ユーザー側で各種手続きや書類の取得などが必要なものもあります。当然ですね。そしてその中の代表的なものの一つが車庫証明です。そう、カーリースであっても車庫証明の取得は必要なのです。

そもそもこの車庫証明とはなんなのか、またなぜ取得が必要なのか。まず車庫証明の正式名称は「自動車保管場所証明書」といいます。そのクルマの購入者(カーリースの契約者)が保管用の場所を自宅から直線距離で2km以内に確保していることを証明するための書類のことです。この自宅から2km以内というのは、歩くのには遠いし、交通機関を使うには近いなかなか絶妙な距離ですがこれは、自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)で定められたものです。

この車庫法という法律は昭和27年に制定されたもので、実はそれ以前は、国内ではクルマを所有するために車庫を用意する義務はありませんでした。というかそこまで厳密にクルマの保管場所を管理するほど当時の日本にはクルマの台数そのものも多くなかったのでしょう。

しかし、日本の経済が復興しはじめ、徐々にたくさんのクルマが街にあふれだすと、そうはいかなくなります。それまでのように勝手に道路を保管場所にされていては渋滞や事故の原因となってしまいます。そこで、そのような路上駐車を制限することを目的にこの車庫法が制定されたのです。

カーリースを利用する前に
まずは2km以内の駐車場を確保

ちなみに当初、車庫は自宅から500m以内でなければならないとされていました。かなり厳しいですね。しかし、クルマの所有台数が爆発的に増えると特に都市部では車庫を自宅近くに確保するのが困難となってしまいました。そして、車庫が確保できないからクルマの購入をあきらめなければならない、などということにもなってしまったわけです。そこで、車庫までの距離が緩和されることになり現在の自宅から直線で2km以内となったのだそうです。

広い土地がたくさんある地方の方にとって自宅なら2kmなんて遠くにクルマを停めることは考えられない、と思うかもしれません。しかし、都市部では2kmでもなかなか駐車場を確保するのは容易ではありません。これから、カーリースを利用したいと考えている方にとってはまず自宅近くで、直線距離で2km以内にある駐車場を探すのが意外なハードルとなるかもしれません。

ではリースの場合、この車庫証明を取得するのはどのようなタイミングとなるのか。普通車の場合はクルマの登録の際には必要なものなので、正式なリース契約の際には用意しておかなくてはなりません。クルマを決め、商談を行い契約内容が確定したら、駐車場(車庫)を確保し車庫証明を取得するという順番になります。リースであっても当たり前ですが駐車場の確保やリース契約者です。また車庫証明の名義ももちろんリース契約者となります。

もし、駐車場を探すにあたって、自宅から直線距離で2kmというのがわからないという場合は、Googleマップを使用するのが便利でおススメです。やり方は簡単です。使用中のPCのブラウザーでまずはGoogleマップを開きます。

次に地図上の距離を測りたい任意の始点となる場所(自宅)でマウスの右ボタンをクリック、開いたメニューから“距離を測定“を選んで、次にもう1点(駐車場)を左クリックして直線で結ぶと、地点間の距離が下に表示されます。これで正確な距離が簡単に測れます。ぜひ試してみてください。

軽自動車は車庫証明がいらない
それって本当なの?

普通車の場合は、この「車庫証明(自動車保管場所証明書)」がないと、一部地域(東京であれば島しょなど)を除いてクルマを自分の名義として登録することができません。では軽自動車の場合はどうなのか。実は軽自動車には車庫証明が必要ありません

しかし、「あれ?前に軽自動車を買ったときには車庫証明を取った記憶があるけれど…。」そういったこともあるかもしれません。でもそれ本当に車庫証明でしたか?また、クルマの登録前に取得をしましたか?

実は軽自動車のいわゆる車庫証明と呼ばれているものは、普通車の車庫証明と同じものではなく、使用の本拠(保管場所)の位置を、管轄する警察署に届け出る「保管場所届出」なのです。普通車で必要な「車庫証明(自動車保管場所証明書)」とは厳密には違うものなのです。

つまり軽自動車の場合、車庫証明(自動車保管場所証明書)は不要ですが、この「保管場所届出」が地域によって必要になることがあるということです。この軽自動車の「保管場所届出」も、普通車に必要な「自動車保管場所証明書」と同様に車庫証明などと呼ばれることがあるので「軽自動車にも車庫証明が必要」と思われている方も少なくないのですね。

ややこしいですが、違いは、普通車の場合はクルマの登録の前に車庫証明が必要となるのに対して、軽自動車の場合は購入(リース契約)して自分のクルマの登録が終わってからこの「保管場所届出」をするという順番になります。つまり事前に取得する必要はありません。また申請手続きもちょっとだけ簡単です。

ちなみに軽自動車はこの保管場所の届け出をしなくてもクルマの登録ができてしまいますが、保管場所の届け出が必要な地域に駐車場(車庫)を持ちながら、この届出を怠った場合10万円以下の罰金という罰則が科せられるので気を付けてください。

さらに車庫証明の必要のない地域から車庫証明の取得や保管場所届出が必要な地域に引っ越しした際には、速やかに車検証の住所変更を行い、合わせて管轄する警察署で車庫証明の取得や、保管場所の届け出が必要です。これらを怠ってしまうと同じく10万円以下の罰金が科せられることになりますので注意してください。

車庫証明の申請に必要な
書類と手続きの方法は

車庫証明はリース会社やディーラーなどに依頼することも可能ですが、自分で取得することも決して難しくありません。自分で取得すればその分の手数料を節約することも可能です。申請する場所は車庫のある場所を管轄する警察署です。その際いくつかの書類を揃える必要があります。

手続きに必要な書類は以下になります。申請書類一式は警察署で入手可能です。また、「自動車保管場所証明申請書」と「保管場所標章交付申請書」の書類はホームページなどからダウンロードすることも可能です。

■手続きに必要な書類■

  • ①自動車保管場所証明申請書
  • ②保管場所標章交付申請書
  • ③保管場所の使用権原を疎明する書面(下記いずれか)
  • ・保管場所使用権原疎明書面(自認書)/車庫が自己所有の場合
  • ・保管場所使用承諾証明書/車庫が賃貸の場合
  • ・「A」又は「B」の書面の代わりの駐車場の賃貸契約書コピー
  • ④使用の本拠の位置が確認できるもの
  •  (三カ月以内に取得した住民票、運転免許証のコピー、公共料金の領収書、郵便物等)
  • ⑤保管場所の所在図・配置図

書類の記載例などは各地域の警察ホームページなどに掲載されているのでそちらを参考にするといいでしょう。また、保管場所所在図ですが、こちらに地図を手書きで書くのが難しいという場合は、該当する地域のGoogleマップをプリントアウトし、そちらに書き込んだものを書類に貼ってもかまわないようです。これなら手間もかからずだれでもキレイに仕上げられるでしょう。

■手続き場所、手続き費用■

車庫証明の申請は前述したとおり車庫を管轄する地域の警察署の交通課で行います。その際に必要な書類と、手数料(2,000円程度)が必要です。手数料は地域によって現金で支払う場合と、収入証紙を購入する場合があるようです。

なお、警察署は24時間やっていますが、車庫証明の受付時間は平日の午前9時頃から午後5時頃までです。役所などと同じですね。また、土日や休日、さらに年末年始はお休みなので、ウィークデーにお仕事をなされている方は手続きが少し面倒かもしれません。ただ、車庫証明は委任状がなくても第三者が書類の提出や受領は可能なので家族に頼むというのも一つの選択肢です。

提出した書類に特に不備がなければ、引き換えに納入通知書兼領収書がもらえます。これは車庫証明を受取る際に必要となりますので大切に保管しておいてください。車庫証明の交付は即日ではありません。およそ申請から3~7日程度かかります。ですからある程度余裕を持って申請を行っておくのがいいでしょう。

無事申請ができたら後日、受取りのために再び警察署に足を運びます。このように車庫証明の申請を取得する際には合計2回警察署に赴かなくてはいけないわけです。車庫証明をディーラーなどに依頼すると代行費用として1万円前後請求されますが、このように思いのほか手間がかかるもので仕方がないかもしれません。

受け取りの際は申請の際にもらった納入通知書兼領収書を窓口に提示します。さらに標章交付手数料として500円が必要です。現金で支払う場合と申請時と同様に収入証紙の購入をする場合もあります。

保管場所標章の交付を受けたら、シールとなっているのでクルマのウインドウに貼り付けましょう。これは法律で定められた義務となっています。貼り付け場所はリアウインドウです。リアウインドウのないオープンカーの場合はクルマの左側面となっています。まれに貼っていないクルマを見かけることがありますが、貼り付けなくても特に罰則は定められていないので、おそらく別途保管しているのでしょう。しかし、保管場所標章の表示義務は法律で定められていること。場合によっては警察から注意を受ける可能性もあるので、正しく貼り付けておくのが正解です。

軽自動車の「保管場所届出」
の申請方法は

軽自動車の車庫証明ともいえる「保管場所届出」の申請方法ですが、基本的には普通車の車庫証明を大きく変わりません。ただし、軽自動車の場合、クルマの登録前ではなく、購入して自分がクルマの使用者名義となった後に「保管場所届出」をすることになります。

普通車のように納車前の申請手続きが必要ではなく、納車されてから手続きすればいいので、ディーラーなどに依頼せず自分で手続きをするという方も少なくありません。また申請後即日保管場所標章が受け取れるので警察署に赴くのは一回でかまいません。申請に必要な書類は以下になります。

■手続きに必要な書類■

  • ①自動車保管場所届出書
  • ②保管場所標章交付申請書
    • ③保管場所の使用権原を疎明する書面(下記いずれか)
    • ・保管場所使用権原疎明書面(自認書)/車庫が自己所有の場合
    • ・保管場所使用承諾証明書/車庫が賃貸の場合
    • ・「A」又は「B」の書面の代わりの駐車場の賃貸契約書コピー
    • ④使用の本拠の位置が確認できるもの
       (三カ月以内に取得した住民票、運転免許証のコピー、公共料金の領収書、郵便物等)
    • ⑤保管場所の所在図・配置図

    ■手続き場所、手続き費用■

    手続きするのは普通車の車庫証明と同様車庫の地域を管轄する警察署です。普通車との違いは、①の自動車保管場所届出書です。普通車の場合はいわゆる車庫証明である「自動車保管場所証明書」が必要ですが、軽自動車の場合はこれが不要だからです。かわりに管轄する警察署に保管場所を届け出る「保管場所届出」を提出することになるので、申請書類が変わるわけです。

    普通車の「保管場所証明申請」は、申請してからおよそ3日から7日後にもう一度警察署に行き保管場所標章を受け取る必要がありますが軽自動車の「保管場所届出」の場合は、あくまで届出なので、その場で発行されます。手数料も標章交付手数料の500円だけで済みます。

    自分でやれば申請費用は
    500円~2,000円

    車庫証明や保管場所届出の申請に必要な書類は多く、記入などは少し面倒ですが、手続自体は決して難しくありません。検索すると書類の記載方法なども詳しく解説されていますし、PCとGoogleマップを利用すれば地図の作成なども意外に簡単です。それになんといっても自分で手続きすれば500円~2,500円程度と代行費用を節約が可能です。手間をかけるだけの価値は十分あるといえるでしょう。これからクルマの購入、またはカーリースを計画中という方は、車庫証明の取得に是非挑戦してみてください。