2020年8月の発売以来、爆発的に売れているトヨタのヤリスクロス。現時点で多数のバックオーダーを抱え、今注文(2021年1月末)しても納車はガソリンモデルで4カ月以上、ハイブリッドでは半年もかかるといいます。そんな人気のヤリスクロスですから、すぐにでも購入したい、カーリースで利用したいと考えている方もきっと多いはずです。ではどのタイプを選ぶべきなのか?

ヤリスクロスにはシンプルなFFと走破性に優れた4WDが用意されています。そしてそれぞれでガソリンエンジンとハイブリッドが選べる。この2つの駆動方式とパワーユニットどの組み合わせを選ぶのが正解なのでしょうか難しい問題です。そこで価格や性能、燃費などのデータを検討してベストバイを探ってみました。

燃費もよくて車両価格もお得
今どきのSUVは2WDが人気!


(引用:トヨタ公式HP)

ヤリスクロスの人気が発売以来全く衰えません。いくらコンパクトSUVが人気だとはいってもこれは驚異的です。トヨタにはほかにもライズやRAV4、ハリアーといった人気のSUVがそろっていますが、ヤリスクロスはその中でも抜きんでて人気を集めているようです。価格が手ごろな上に見た目はSUVらしいワイルドさがあってかっこいい。そのうえコンパクトなのに車内も広く、燃費に優れたハイブリッドも選べる。こうしてその特徴を並べてみると売れるのも当然なのでしょう。

そんなヤリスクロスは言うまでもなくSUVです。SUVといえば4WDというイメージがありますが、最近は走破性よりもSUVらしいスタイルが重要であって、ほとんど街乗りしかしないなら2WDのほうが良いと考える方も増えています。その分車両価格も安くなりますし、軽い分燃費も有利。でもそれも車種によって選択は変わってくるでしょう。

ではヤリスクロスの場合はどうなのか。見た目はいわゆる今どきのクロスオーバーSUV。スタイリッシュでありながらアクティブなイメージも持っている。ちょっとしたオフロードなら十分踏み込んでいけそうに見えます。だったらやはり4WDを選ぶべきなのか。

ヤリスクロスの場合は、リセールバリューやリースの設定残価を考えるとやはり4WDのほうが良いとなるでしょう。口述しますが価格も燃費もさほど差はありません。じゃあ4WDだ! と決めたら次の問題はガソリンエンジンにするのか、ハイブリッドにするのかということになります。

ガソリン車の4WDは生活四駆
ただし特別な機能をプラス


(引用:トヨタ公式HP)

実はヤリスクロスの4WDは2タイプのシステムを動力別に使い分けています。ガソリンエンジン車はマルチテレインセレクト&ダイナミックコントロール4WD。そして、ハイブリッドモデルではE-Four&TRAILモードという別のシステムが搭載されているのです。

これらどのような違いがあるのかというと、ガソリンエンジンの4WDシステムは、大層ななまえはついていますが、ようするに電磁クラッチを使用したオンデマンド式の4WDです。コンパクトカーなどに採用されてきたいわゆる生活四駆と呼ばれるもので、通常はFFで前輪だけを駆動していて、悪路などで前輪が空転すると電池クラッチがつながりと後輪へ駆動力を伝えるというもの。

ただSUVらしく走破性を高めてくれる機能も装備されていてダイヤルでMUD&SAND/ROCK&DIRTを切り替えれば駆動力やブレーキの制御を最適化して、オフロードや滑りやすい路面での走破性を向上させることが可能です。

ランクルのように積極的にオフロードをガンガン走るというのは向いていませんが、最大で後輪の50%のトルクを伝えることができ乗用車の生活四駆よりも間違いなく走破性は上。滑りやすいぬかるみや雪道などでは間違いなく頼りになるはずです。

ハイブリッドの4WDは電気式のE-Four
ただし後輪の駆動は低速域に限られる


(引用:トヨタ公式HP)

そしてもう一方のハイブリッドの場合はリヤにモーターを採用するE-Four。トヨタ得意の電気式4WDシステムです。トヨタのハイブリッドカーに多く採用されているもので基本はFF、前輪駆動で後輪の駆動力はエンジンなどのパワーユニットからプロペラシャフトなどを介して伝えるのではなく、後輪の搭載されたモーターを電気で駆動することで4WDにしています。

こちらも正確四駆の一種なのですがヤリスクロスのハイブリッド4WDは、TRAIL(トレイル)モードを搭載しておりスイッチをONにすると滑りやすい路面では空転したタイヤにブレーキをかけて高い走破力を発揮してくれます。

オフロード性能が高いことで評価の高いRAV4と同じような仕組みで悪路での走破性能も期待できます。ただ、リヤモーターの出力はRAV4ほど高くないですし、後輪が駆動するのは最高で25㎞/hまで。オフロードへ積極的に踏み込んでいくというのはちょっと難しいでしょう。でもいざというときに頼りになるのは間違いありません。

いずれにしてもどちらもSUVらしい頼りになる4WDシステムではありますが、本格的なオフロード走行に適しているわけではないと考えておいた方がいいでしょう。しかし4WDモデルは走破性が高いだけでなくもう一つ魅力的なポイントもあります。それはリアサスペンションです。

4WDモデルは後輪サスペンション
が上質なダブルウィッシュボーン


(引用:トヨタ公式HP)

ヤリスクロスの4WDモデルは、ガソリンエンジン、ハイブリッドともリヤのサスペンションが独立懸架のダブルウィッシュボーンとなっています。FFは独立懸架ではなく左右リンがビーム(軸)つながったトーションビーム式

トーションビーム式はシンプルで耐久性も高く、軽快な走りを味わえますが、乗り心地という意味では左右輪がそれぞれ別々に動けて設置性能にも優れたダブルウィッシュボーンにかないません。そのため、ヤリスクロスも4WDモデルの方が落ち着いたしっとりとした乗り心地になっているのです。

とはいえそこまで凝った設計ではないので、期待しすぎてはいけませんが、様々なメディアのインプレッションを見ても、乗り心地の差は確実にある(4WDの方が落ち着いていて乗り心地が良い)ようです。軽快な走りよりも心地の良さを重視する方や後席に人を乗せる機会が多いならリアサスペンションがダブルウィッシュボーンの4WDモデルの方が喜ばれるのではないでしょうか。

さらに燃費に関して4WDと2WDのFFでどれくらい差があるのか。WLTCモードで比較するとハイブリッドの2WDが27.8㎞/L、同4WDが26.0㎞/L。ガソリンエンジンの2WDが18.8㎞/Lで同4WDは17.4㎞/Lです。わずかに4WDの方が悪いですがこれはおそらく車重が80~90kgほど増している影響でしょう。しかし、差はさほど大きくありません。これなら燃費が悪いから4WDをあきらめる、という理由にはなりませんね。では価格はどうなのか?

4WDにすると同じグレードなら
車両価格は23万1,000円のアップ


(引用:トヨタ公式HP)

では中間グレードGの価格で比べてみましょう。まずガソリン2WDのGは202万円です。対してガソリン4WDのGは225万1,000円。そしてハイブリッド2WDのGが239万4,000円でハイブリッド4WDのGは262万5,000円です。ということは4WDにすると23万1,000円ほど価格がアップするということになります。

200万円クラスという車両価格からすると決して小さくない差ですが、これでいざというときの安心と、乗り心地の良さ、さらに将来のリセールバリューの高さ(一般に4WDのほうが、買取り価格が10万から20万円高くなるといわれています)が得られるのであればそれだけの金額を払う価値は十分あるはずです。

迷ったら4WD! ただしFFを選んで
装備を充実させる手もあり


(引用:トヨタ公式HP)

ということで、2WDと4WDどちらを選ぶのが賢明なのかという結論は、雪道や悪路を少しでも走る機会があるのならガソリンでもハイブリッドでも4WDが間違いないとします。23万1,000円のプラスで4WDが選べるのなら選ばない手はありません。

ただ、ヤリスクロスのスタイルやコスパの高さが好きで、悪路や雪道なんて走らない! というなら、FFで装備も充実したZグレードを選ぶというのも悪くない選択です。ハイブリッド4WDのGグレードよりも、装備が充実した上級グレードハイブリッド2WDのGグレードの方が4万1,000円安いというのはちょっと見逃せません。

しかしやはり、2WDと4WDでどちらにすればいいのか迷った場合なら、4WDを選んだ方があとあときっと後悔しないはずです。