軽スーパーハイトワゴンというジャンルに、豊富なラインナップを設定するダイハツ。その代表格ともいえるのがスーパーハイトワゴンの元祖にして基本形ともいえるタントです。そして、その逆に個性派の代表ともいえるのがウェイクでしょう。ウェイクは軽乗用車として最も高い全高を持ち圧倒的な広さを実現。そしてその広さを居住スペースではなくレジャーユースのために積載性の高さにふったという点が実にユニーク

デザインもミニバンというよりSUV風で、アウトドアスポーツの相棒として多くのファンに支持されています。そんなウェイクですが、グレードのバリエーションも意外に多彩。その中でマルチに使えるグレードを選ぶとするとどれになるのか?装備やスペックを詳細にチェックしてオススメの一台を探ってみましょう。

軽乗用車ナンバーワンの車高を持つ
ウェイクとはどんなクルマ?

軽自動車で最も人気のジャンルと言えばいうまでもなくスーパーハイトワゴンです。街中を走る軽自動車に目をやればほとんどがそうです。中でもその代表がホンダのN-BOXでしょう。今や軽自動車におけるナンバーワンどころか、全ての国産乗用車の中で販売台数ナンバーワンなのですから驚くばかりです。

でも、そんな軽スーパーハイトワゴンというジャンルを確立した立役者はダイハツのタントです。登場した当時はいくら差別化のためといってもこんなに車高を高くしてどうするの?なんて正直疑問を感じたものですが、やはり軽であっても広いほうがいい、というのが多くの人の素直な反応なのでしょう。あっという間に大ヒットとなり、すぐに各社から同様のコンセプトを持つライバル車が投入され、気がつけば軽自動車といえばスーパーハイトワゴンばかりになってしまいました。

そうなると、次はスーパーハイトワゴンというジャンルの中で、いかに個性を発揮するのが重要になってきます。広いのは当然、他にどんな特徴や魅力をもっているかです。そこにダイハツが投入したのが「ウェイク」でした。

スーパーハイトワゴンは背が高いのが当たりまえ。全長と全幅は軽規格いっぱいだから、差別化は難しい。だったら、さらに背を高くしてやろう!ということで、軽乗用車の中でも、最も背が高い全高1835㎜のスーパーハイトワゴンとして2014年にウェイクは登場したのです。

徹底した低重心化で
バランスのより走りも実現


(引用:ダイハツ公式HP)

ベースとなったのは、3代目のタントです。もともと背の高いタントをさらに85mmも上回るとにかく高い車高が与えられました。デザインもシンプルでクリーンなタントに対して、ハードで個性的なSUV風。もちろん、ただ全高を高くしただけでは重心が無駄に高くなってしまって、広くはなってもバランスが悪い。走行中の安定性も悪化してしまいます。

しかし、スーパーハイトワゴンと作り慣れているダイハツ。その辺のぬかりありません。足回りは剛性を高めつつ、ロールを抑える太めのスタビライザーを装備しフットワークを固めました。さらに、ボディの外板に軽量な樹脂パーツを使用することで車体上部をできるだけ軽くし、重心位置をきっちり下げているのです。

結果タントに比較しても重心高は10mmしか上がっていないといいますから凄い。各メディアの走行インプレッションでも見た目ほどには不安定さはなく、乗り心地は硬めだが十分快適だといいます。

ウェイクはSUV風の見た目通り、各種アウトドアギアを積載できるように、ラゲッジスペースも工夫されています。荷室の床下には大容量のアンダートランクを装備し、また、助手席シート下やグローブボックスなどといった、収納スペースも多彩に設定

加えてオプションで、上下2段調節式デッキボード(固定フック付)やユーティリティフック、荷室床面フック、固定ベルトといった各種アウトドアギアを収納するためのオプションも用意されています。家族のために室内の広いスーパーハイトワゴンが欲しいけれど、出来れば趣味のためにも使い倒したい、という方にとっても魅力的な一台となっているといえるでしょう。

ドレスアップグレードは未設定
パワーや装備内容で選ぶ

個性派スーパーハイトワゴンとして、非常に魅力的なウェイクですが、いざ購入を検討するとどのグレードを選ぶのが賢い選択なのでしょうか。

ウェイクは今時の軽スーパーハイトワゴンとしては珍しく、エアロパーツやクロームグリルなどが装備されたカスタム系のドレスアップバリーションは用意されていません。その分多少グレード構成はシンプルとなっていますが、それでも結構な種類が用意されています。詳細なグレード構成と価格は以下のようになっています。

 

ウェイクグレード別価格一覧
D 2WD 135万円
D “SA Ⅲ” 2WD 141万4,800円
特別仕様車 L”スペシャルリミテッド SA Ⅲ” 2WD 149万400円
4WD 161万4,600円
L”SA Ⅲ” 2WD 155万5,200円
4WD 167万9,400円
L”レジャーエディション SA Ⅲ” 2WD 159万8,400円
4WD 172万2,600円
特別仕様車 L”リミテッド SA Ⅲ” 2WD 161万4,600円
4WD 173万8,800円
Gターボ “SA Ⅲ” 2WD 167万4,000円
4WD 179万8,200円
Gターボ “レジャーエディション SA Ⅲ” 2WD 171万7,200円
4WD 184万1,400円
特別仕様車 Gターボ”リミテッド SA Ⅲ” 2WD 171万7,200円
4WD 184万1,400円

 

大きくはベーシックグレードのDと、NAの中間グレードであるL、そしてターボを搭載する上級グレードのGとい3つに分かれており、それぞれにレジャーエディションや特別仕様車が設定されているという形になっています。

ちなみにSAⅢとあるのはダイハツの先進安全性能である「スマートアシストⅢ」が搭載されているグレードということです。スマートアシストⅢで搭載される先進安全機能は以下になります。

 

  • ・衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)
  • ・衝突警報機能(対車両・対歩行者)
  • ・車線逸脱警報機能
  • ・誤発進抑制制御機能(前方・後方)
  • ・先行車発進お知らせ機能
  • ・オートハイビーム

 

高齢ドライバーによる事故などが注目されている今、これらは是非欲しい装備です。価格はDの135万円からGターボリミテッドSAⅢの184万1,400円までと、ドレスアップグレードが設定されていないので幅はそれほど広くありません。では、見た目はあまり変わらないから安いのが良いかというと、その判断は早計です。

今時先進安全機能は必須ですし、家族構成によってはエンジンのパワーも重要。レジャーに使うならラゲッジスペースを活用できる便利な装備も欲しいはずです。しっかりとスペックや装備内容をチェックして、家族構成や環境、使用シチュエーションにあったものを選ぶべきです。

軽自動車ながら車重は1tと重め
エンジンはターボ付きが必須か


(引用:ダイハツ公式HP)

とにかくグレード一覧を見て最も安いのはDというのが分かります。しかし、このDはエントリーグレードで、安いですが装備的にはちょっと見劣りします。なにより先進安全機能スマートアシストⅢが標準装備されていないといのは痛い。後席のスライドドアもパワースライドドアではないですし、スライドドアイージークローザーも装備されていません。

さらにエアコンもマニュアルタイプ。広々とした室内は手に入りますがどうしても価格を抑えたい、というのではなければ、あまりオススメはできないグレードです。少なくてもスマートアシストⅢが装備されたD”SA Ⅲ”以上を選びたいところです。

もう一つ、気をつけないといけないのがウェイクは軽乗用として最も全高の高いクルマであるということ。つまり、それだけボディが大きい(天地方向に)ということなので当然車重も重くなります。グレードの中で、最も軽いDの2WDモデルでさえ990kgもあります。そして、最も重いGターボのSAⅢの4WDとなると1tオーバーの1,060kgもあります。

加えて全高が高いということは、前面投影面積(車両を正面から見たときの車両全体の面積のこと)が大きいということ。つまりは空気抵抗もそれだけ大きい、となると、ターボのないNAエンジンでは動力性能的にかなり厳しいといっていいでしょう。

ちなみにパワーですがDやLなどのターボのないNAエンジンは52ps/6,800rpmでトルクは60 N・m [6.1kg・m] / 5,200rpm です。車重650kgのミライースなどならこれで十分でしょうが、同じ軽でもそれよりも350kgも重いウェイクには正直荷が重い。

やはり、64ps/6,400rpm、92 N・m [9.4kg・m] / 3,200rpmのターボエンジンは欲しいところです。高速道路はあまり使わず、乗車人数も基本は1~2人だからNAで十分!という考え方も間違いではありませんが、長い上り坂や、ウェイクの個性である広い室内を生かして荷物満載した時などストレスを感じる可能性が高いです。ということを考えると、ターボエンジンを搭載するグレードを選ぶのが間違いないと思います。

ターボ搭載で装備も充実
GターボSAⅢ以上を選びたい

以上のことを加味したうえで検討すると、オススメはターボを搭載の最上級グレードのGターボSAⅢとなりました。これならパワーも十分な上に安全装備も満載。加えてオートレベリング機能付きLEDヘッドランプや、LEDクリアランスランプ、LEDフォグランプが装備されるLEDスタイルパックもついています。またGターボSAⅢ専用デザインの14インチアルミホイールも標準装着と魅力的。

インテリアなどもステアリングホイールやシフトが本革巻きになり、メーターもタコメーター付きの自発光式大型3眼センターメーターに。さらにインナードアハンドルやエアコンレジスターノブなどメッキになるなど質感もアップ。価格は高めですがそれに見合った満足感が得られるのは間違いないでしょう。

さらに、アウトドアスポーツギアなど満載してレジャーユースに使いたいというなら、Gターボ”レジャーエディションSA Ⅲ”もオススメです。ここちらはGターボ”SA Ⅲ”の装備に加えてレジャーエディションならではの特別装備がプラスされたグレードです。  

具体的にはフロアが防水の樹脂製フロアとなる「イージーケアフロア」になるほか、荷物の固定に便利なユーティリティフックや荷室床面フック、固定ベルトを搭載。さらにLEDパーソナルランプやラゲージルームランプななども装備され、上下2段調整式のデッキボードも追加。ちょっとした汚れものも気にせず積み込むことができます。またアルミホイールも15インチになります。

また、Gターボ”SA Ⅲ”に、室内のLEDランプやパノラマモニター対応純正ナビ装着用アップグレードパックや、15インチアルミホイールの追加装備されたGターボ“リミテッド SA Ⅲ”も魅力的ですね。どちらもベースのGターボ”SA Ⅲ”に比べてわずか4万円アップですので、お買い得度も非常に高い。15インチのアルミホイールだけでもその価値は十分あるといえるでしょう。

レジャーユースに使いたいならGターボ”レジャーエディションSA Ⅲ”を。パノラマモニター対応純正ナビを装着するのなら、Gターボ“リミテッド SA Ⅲ”を。ターボモデルを少しでも安く購入したいならGターボ”SA Ⅲ”という選択になるでしょう。

でも、少しでも安い方が良いという方もいるはず。その場合でも、使い勝手やリセールなどを考えればパワースライドドアは必要でしょう。また先進安全機能のスマートアシストⅢも必須。となると最低でもL“SAⅢ”は選ぶべきです。もちろん予算や好みもありますが、購入の際には、ここで紹介したことを参考にあなたの使い方にぴったりのウェイクをしっかり選んで下さい。