軽自動車の中でも、圧倒的な人気を誇り、最も注目されているのが軽スーパーハイトワゴンというジャンルです。代表的なのはホンダのN-BOXスズキのスペーシア日産のデイズルークスなどですが、そんな人気ジャンルを開拓した元祖ともいうべきクルマはダイハツのタントです。

スーパーハイトワゴンは、今や国内において、最も競争が激しいマーケット。気がつけば軽自動車ばかりでなく、登録車(普通車)を含めて、最も売れているジャンルとなっています。

そんな激戦の中にあって現行モデルのタントは、登場からすでに5年以上経過しているいわばロングセラー。目新しさという意味ではライバルに比べると不利といえるでしょう。それなのにもかかわらず、その人気は変わっていません。現在でも販売台数ランキングの上位をキープし続けている驚くべき大ヒットモデルなのです。

タントが長く人気をキープし続けられている理由として考えられるのは、その独自の個性と、常に話題となるようタイミングよく特別仕様車を投入され続けてきたことでしょう。ダイハツの賢い戦略が成功しているのです。最近も、タントにとても魅力的な特別仕様車が投入されました。それが“VSシリーズ”です。では、それはどのようなタントなのか。はたしてお買いなのか? 詳しく見てみましょう。

ミラクルオープンドアという
独自の個性で今も人気は抜群


(引用:ダイハツ公式HP)

ダイハツタントはスーパーハイトワゴンの元祖であり、ライバルが増えている中今の高い人気をキープし続けられている理由の一つといわれているのが、独自の個性『ミラクルオープンドア』です。

スーパーハイトワゴンは、後席ドアがスイングドア(通常のヒンジ式ドア)ではなくスライドドアとなっているのが定番です。他のライバルもみなスライドドアを採用しています。しかし、タントのミラクルオープンドアは単にスライドドアとなっているだけでなく、助手席側にセンターピラーがないため、前後のドアを同時に開ければ幅約1.5mという大開口部が得られるというものです。

その大きな間口があれば、子供を抱えながらの乗り降りもでき、荷物の積み下ろしがとてもしやすく、使い勝手は抜群。そのため特に小さなお子さんなどを持つファミリー層に大きな支持を受けているのです。このドアがあるから、タントを選んだという方も少なくないようです。

また、それだけでなくタントは燃費にも優れ、もちろん室内も広々、さらにベースモデルの、その柔らかくソフトな印象のデザインも人気を呼んでいる魅力の一つなのでしょう。モデルチェンジの噂(2019年3月現在)はありますが、その人気はいまだ衰えを見せていません。

逆に人気があるからこそダイハツもそのモデルチェンジに慎重になっているのかもしれません。

そんなタントに2018年12月、「VSシリーズ」という特別仕様車が追加されました。タントにおける特に人気の高い装備を搭載しつつ、お買い得度をアップさせたというそのVSシリーズとは、詳しくはどのような仕様のクルマなのか。次のパートからは、気になるその特別装備の内容を細かくチェックしていきます。

右側パワースライドドア他
タントなら絶対欲しい装備が満載


(引用:ダイハツ公式HP)

特別仕様車VSシリーズは、次の3タイプになります。まず標準モデルであるタントに設定された「X“VS SA III”」。そしてタントカスタムXをベースとした「カスタムX“トップエディションVS SA III”」。さらにタントカスタムRSをベースとした「カスタムRS“トップエディションVS SA III”」です。

そのモデルもインテリアやエクステリアにVSシリーズならではの特別装備が追加されています。例えば右側パワースライドドアなどが標準装備されたというのは大きな目玉といえるでしょう。

標準ボディである、タントX“VS SA III”を例に具体的にその装備を上げてみると、まずシックな黒を基調としたブラックインテリアパックが装備されています。これはシートの表皮がブラックのファブリックとなり、合わせてインパネやドアトリムもブラックとしたもの。

加えエアコンのスイッチまわりやインナードアハンドルにもメッキの加飾が施され、運転席/助手席のSRSサイドエアバッグも装備されました。これだけで通常なら3万2400円のオプション装備です。

さらに、自発光式大型3眼センターメーターやプレミアムシャインブラック&ファブリックドアアームレストなども追加となっており、かなり豪華なインテリアになっています。

エクステリアでは、14インチのVS専用アルミホイールやLEDヘッドランプ(ロービーム、オートレベリング機能付き)が搭載。加えて右側パワースライドドア(ワンタッチオープン機能、予約ロック機能付き)も標準で装備されているというのもうれしいポイントでしょう。

また、通常はオプション価格5万5240円もするパノラマモニター対応純正ナビ装着用アップグレードパックがはじめからついているのも見逃せないところです。

ではタントカスタムXとタントカスタムRSに設定された特別仕様車の装備内容はどうなのか。すでにアルミホイールやインテリア加飾など、装備が充実しているので追加装備の数は多くありません。

まず共にフロントグリルLEDイルミネーション(ホワイト)と、 パノラマモニター対応カメラが標準装備として搭載されています。さらにカスタムX“トップエディションVS SA III”には右側パワースライドドアも追加(RSにはもともと標準装備)されました。

他にはカスタムRS“トップエディションVS SA III”にVS専用デザインの15インチアルミホイールが特別装備となっています。もともとのカスタムRS用アルミホイールとはデザインの差別化がなされているので特別感が味わえるわけです。

また、VSならではの特別なボディーカラーとして、この3モデルには「レーザーブルークリスタルシャイン」というカラーがオプションで設定されているというのも大きな特長でしょう。そして肝心の価格は、以下です。

 

特別仕様車「VSシリーズ」価格

グレード エンジン トランスミッション 駆動方式 価格
X”VS SAⅢ” NA CVT 2WD ¥1,485,000
NA 4WD ¥1,609,200
カスタムX”トップエディションVS SAⅢ” NA 2WD ¥1,630,800
NA 4WD ¥1,755,000
カスタムRS”トップエディションVS SAⅢ” ターボ 2WD ¥1,695,600
ターボ 4WD ¥1,819,800

 

このように、どれも非常にお買い得な設定となっています。でも具体的にはどれくらいの金額分お得になっているのでしょうか。比べてみないと分かりにくいですね。

ベースモデルと車両価格を
比較してみると20万円もお得!


(引用:ダイハツ公式HP)

そこで、ベースとなったグレード、タントX“SA Ⅲ”と、特別仕様車、タントX“VS SA Ⅲ”で比べてみましょう。VSで追加された特別装備のいくつかは、X“SA Ⅲ”のメーカーオプションとして元々設定されていたもの。それらの金額を上げてみると、まず、LEDヘッドランプですが、こちらのオプション価格は5万4,000円です。そして、もう一つの大物装備である右側パワースライドドアに関しては4万8,600円となります。

さらに、インテリアをゴージャスに飾るブラックインテリアパックですが。こちらが3万2,400円です。

そしてパノラマモニター対応純正ナビ装着用アップグレードパックが5万7,240円で、これらを合計すると、19万2,240円となります。

これ以外にもVS専用の14インチアルミホイールが装備されますが、こちらは他のオプションを参考にすればだいたい5万円ほど。さらに自発光式大型3眼センターメーターや、プレミアムシャインブラック&ファミリックドアアームレストなども特別装備となるので、全て合計すれば約25~26万円くらいの装備が追加されていると考えていいでしょう。

ではベースとなったタントカスタムX“SA Ⅲ”と特別仕様車の価格差はというと、X“SA Ⅲ”2WDモデルの価格が142万200円なのに対して、特別仕様車X“VS SA Ⅲ”の2WDモデルの価格は148万5,000円です。その差額は驚きのわずか6万4,800円! 

つまり、+6万4,800円払うだけで、約25~26万円相当の装備がはじめからついてくる、という計算になります。これは非常に魅力的です。

LEDヘッドランプや右側電動スライドドアは人気の装備ですし、おそらく多くの人がタントを購入する際オプションの追加を検討するはず。それがわずかな追加で標準化されるなら選ばない手はありませんね。ではカスタム系はどうなのか?

カスタム系は装備が追加なのに
逆に価格はダウン!

タントカスタムの特別仕様車X“トップエディションVS SAⅢ”とそのベースのX“トップエディションSAⅢ”を比べてみましょう。まずベース車が165万2400円です。そして特別仕様車が163万800円です。特別な装備が追加されているのに、価格は逆に2万1,600円ほど特別仕様車の方が安くなっています。これは驚きです。

追加された装備は単純計算してみると、おおよそ10万円ほど。それらの装備が追加されている上、なおかつ2万1,600円も安くなっているということになるわけです。

つまり合計で12万円くらいはお得と考えられるわけです。凄いです。

ではタントカスタムでも最も高額となる、カスタムRS“トップエディションSAⅢ”の4WDモデルで比べてみるとどうか? この場合、特別仕様車のカスタムRS“トップエディションVS SAⅢ”が181万9,800円なのに対してベースとモデルは187万3,800円。こちらの差額は5万4,000円ほどでやはり特別仕様車の方が安い!

このグレードは右側パワースライドドアがもともと標準装備なので、特別装備の内容はそれほど多くありませんが、それでも金額に換算すれば5万円ほどの装備が追加されているという風に考えられます。つまり、合計すれば10万円以上安いということになります。こちらも非常にお買い得。

確かに20万円近くお得、と考えられるタントX“SA Ⅲ”ほどのインパクトはありませんが、それでもそのお買い得はどちらもかなりのもの。タントやタントカスタムを狙っているなら絶対に選ばない手はありません。あらためてくわしく検証してみた結果、特別仕様車VSシリーズが、予想していたよりも非常にお買い得であるということが分かりました。

もちろん通常ディーラーでは購入の際に値引きなども期待できるので、単純にそれだけの差額分だけ絶対にお得、とは言い切れません。しかし、面倒な値引き交渉もなしで、お得にタントが購入できると考えればメリットは非常に大。今タントやタントカスタムを選ぶなら、この特別仕様車“VSシリーズ”が一番の狙い目モデル、と言って決して過言ではないはずです。