トヨタのコンパクトSUVライズに待望のハイブリッドが加わりました。ライズは小型で手ごろなSUVで見た目もよく、実用性も満点。さらに低燃費のハイブリッドとなれば当然ですが注目も集まります。

ただ気になるのはトヨタにはもう一台コンパクトで手ごろな価格のSUVハイブリッドであるヤリスクロスがあるということ。
この2台微妙に車格が違っているのですが、ハイブリッドに関しては価格帯が一部かぶっています。もちろんクルマの方向性も微妙に違っているのですが比べてみるとどちらがいいのか選択がなかなか難しい。

そこで、この2車どちらにしようかと迷っている方のために、双方のスペックや特徴、コスパなどを比べ、どう違っているのか、それぞれどんな人に向いているのか検証してみましょう。

ライズハイブリッドはTHSⅡではない
シリーズハイブリッドを採用


(引用:トヨタ公式HP)

ライズといえば、リッタークラスのコンパクトボディながらオフロードテイストのデザインを採用し、なおかつ車内も広く価格も手ごろというのが大きな魅力でした。そのためトヨタSUVの中でも屈指の人気車車種で、2020年の登録車売り上げ台数ランキングでは、2位となるほどの大ヒットを記録しています。そんなライズのハイブリッドとなれば否が応でも期待は高まります。

では、ライズハイブリッドはどのようなクルマなのか。なんといっても一番気になるのはもちろんどんなハイブリッドシステムなのかということでしょう。トヨタ車なので、やっぱりプリウスやヤリスクロスハイブリッドと同じシリーズ・パラレル方式のTHSⅡなのか? そう考えるのが普通ですよね。

でも、実はそうではありません。ライズのハイブリッドはいわゆるシリーズハイブリッドです。複雑で高コストなTHSⅡではなく、シンプルで車内スペースなども圧迫せずコスト的にもあまりかからない、シリーズハイブリッドシステムを採用しています。確かにこれならコンパクトで低価格が魅力のライズには適しています。

でも、コンパクトカーのヤリスにはTHSⅡが搭載されているのになんでライズはシリーズハイブリッドなのか。その理由は簡単です。ライズはそもそもトヨタが開発したクルマではなくダイハツが開発したロッキーのOEM車だからです。

つまり、このハイブリッドシステムはダイハツが開発したものなのです。ではこのシリーズハイブリッドシステムとはどのような仕組みなのか。

仕組みとしてはシンプルで、エンジンと電気モーター、バッテリーを搭載しておりエンジンはクルマの駆動力として一切使われません。発電機として働いて電気モーターを駆動するための電気をひたすら作っています。

そして、その電気をバッテリーに溜めて、電気モーターを駆動して走行するというもの。ようするに日産のe-POWERなどとまったく同じ仕組み。エンジンと電気モーターの役割をきっちりと分けているのでTHSⅡのような動力割機構などの複雑なメカニズムも高度な制御不要で、それでいて効率は非常に高いので、燃費にも優れるという小型車にはぴったりのハイブリッドシステムとなっています。

メリットはシンプルな仕組みなのでコストがあまりかからず、またライズハイブリッドの場合はバッテリーも小型のものを使うことでスペースを圧迫しないということ。欠点はTHSⅡに比べると、高速道路などの走行で、燃費性能が少し劣るということになるでしょうか。

ヤリスクロスハイブリッドは
トヨタ自慢のTHSⅡを搭載


(引用:トヨタ公式HP)

対してヤリスクロスのハイブリッドシステムはトヨタ自慢のTHSⅡです。このTHSⅡは、ガソリンエンジンとモーターと発電機を高度に組み合わせたハイブリッドシステムで、シリーズ・パラレル式やスプリット式などと呼ばれるもの。シンプルなライズハイブリッドのシリーズ式ハイブリッドに比べるととても複雑な仕組みを持っているのが大きな特徴です。

その仕組みは、エンジンとモーターの動力が動力分割機構によってタイヤに伝えられ、パワーコントロールユニットが走行状況に合わせてハイブリッドシステムを緻密にコントロールするというものです。

発進時や低速走行時はバッテリーの電力を使いモーターのみで走行し、通常走行時はモーターとエンジンの動力を組み合わせて走行。そして、急加速時はエンジンの動力で走行と発電を行い、発電した電力でモーターも駆動して走行する。このように
状況に合わせて最適な制御を行うことで、低燃費かつ力強い走りが味わえるわけです。

デメリットは、シリーズ・パラレス式はシステムが非常に複雑なのでコストがかかるということです。ただ、トヨタのTHSⅡは完成度が高い上、これまでにトヨタが大量生産していますからコスト的にはかなり下がっている。シリーズハイブリッドに比べてものすごく高い! ということはありません。

あとは部品点数が多く、バッテリーも大型なのでクルマのスペースを圧迫してしまうということでしょうか。ただこちらもシステムの小型化や電池の効率化が進んでいるので、さほど気にすることはないでしょう。

ライズハイブリッドとヤリスクロスハイブリッド
実際のところ燃費はどっちが優秀なの?


(引用:トヨタ公式HP)

このように、同じトヨタの小型ハイブリッドSUVでありながら、ライズハイブリッドとヤリスクロスハイブリッドは根本的にそのシステムが違っています。これによって走り味なども違ってくるのですが、普通に使っている分にはどちらもスムーズかつ電気モーターによるトルクフルな走りが味わえるのであまり気にする必要はないかもしれません。

スペックだけで比較すると、ヤリスクロスハイブリッドのほうがパワフルで、エンジン12.2kgf・m+モーター14. 4kgf・mとトルクもあるので、余裕ある走りはヤリスクロスハイブリッドのほうが味わえると思います。

ただ、ライズハイブリッドも基本EV(電気自動車)なので、トルクはガソリン車よりも大幅に大きな17.3kgf・m。ガソリン車でいうと1.8Lクラスのトルクがあるのでかなりパワフルな加速が得られると思います。

ちなみに、エンジンはヤリスクロスハイブリッドが1.5Lでライズハイブリッドは1.2Lですが、ライズハイブリッドはエンジンを動力として使わないのでエンジン排気量によるパフォーマンスの差はありません

そして一番気になるはやっぱり燃費性能でしょう。そこで、それぞれの2WDモデル(ライズハイブリッドには4WDの設定がないため)のWLTCモード燃費を見てみましょう。まずはライズハイブリッドです。

こちらのWLTCモード燃費は28.0㎞/Lとなっています。高速道路が苦手とされるシリーズハイブリッドなので高速道路モードのWLTCモード燃費も確かめてみるとこちらは26.1㎞/L。やっぱり高速道路では燃費が少し悪くなっています。ガソリンエンジンだと高速道路では一般道よりも燃費が伸びるものなので真逆ですね。

とはいえどちらも優秀な値。ちなみライズの新型の1.2Lガソリンエンジン車は、WLTCモード燃費20.7㎞/L、高速道路モードのWLTCモード燃費は22.8㎞/Lです。ガソリンエンジン車としては思った以上に燃費がいいですね。またやはり高速道路での燃費の伸びが光ります。

これに対してヤリスクロスハイブリッドの燃費はどうなのでしょう。こちらもカタログをチェックするとWLTCモード燃費はグレードによってちょっと違っていて27.8㎞L~30.8㎞/L。そして高速道路のWLTCモード燃費は26.1㎞/L~29.0㎞/Lとなっています。比べてみるとこの2車ほとんど変わりません。

ただ、ヤリスクロスハイブリッドの方が、ライズハイブリッドよりも車重が100kg以上重いということを考えると、ヤリスクロスハイブリッドの方が燃費性能的には優秀ということになるのでしょう。やはりトヨタのTHSⅡは非常に優れたシステムなのだということですね。

双方のサイズは似ているが
ヤリスクロスハイブリッドは3ナンバー


(引用:トヨタ公式HP)

同じコンパクトSUVですがボディサイズの違いはどうでしょうか。まずライズハイブリッドですが、全長3,995㎜×全幅1,695㎜×全高1,620㎜。全高が高く立派に見えますが5ナンバーサイズでまさにコンパクトカーサイズです。見た目はちょっとワイルドで、オフロード車っぽい雰囲気があり(2WDですが)、サイズ以上の存在感が感じられます。

対して、ヤリスクロスハイブリッドですが、こちらは全長4,180㎜×全幅1,765㎜×全高1,590㎜と、全長は4mちょっととコンパクトですが、幅がワイドでこちらは堂々の3ナンバーサイズ。逆に全高はライズハイブリッドよりも少し低くなっています。見た目はどちらかというとスタイリッシュで都会派SUVというようなイメージ。サイズだけで見ると幅以外は、差は大きくないといえるのではないでしょうか。

では、車内スペースはどうなのか? ライズハイブリッドは室内長1,955㎜×室内幅1,420㎜×室内高1,250㎜となっています。ちなみにライズのガソリンエンジン車もスペースは変わりません。

もう一方のヤリスクロスハイブリッドは室内長1,845㎜×室内幅1,430㎜×室内高1,205㎜。こちらもガソリンエンジン車とスペース的な差はありません。

比べてみると室内幅以外は、車内はライズハイブリッドの方が広いということになります。意外な気もしますがハイブリッドシステムもコンパクトで、全高も高いライズハイブリッドの方がスペース効率には優れているということなのでしょう。

ヤリスクロスハイブリッドのほうが車格も上だから広いはず、と期待して購入してしまうともしかしたらがっかりしてしまうかもしれません。

ただし、荷室のスペースに関してはヤリスクロスハイブリッド2WDが371Lなのに対して、ライズハイブリッドは369Lです。ヤリスクロスハイブリッドのほうが少しだけ大容量になっています。

価格はどちらも200万円台前半と
ハイブリッドSUVとしてはかなりお買い得


(引用:トヨタ公式HP)

最後に価格とグレードを比べてみましょう。ライズハイブリッドは2WDモデルのみでグレードは2つ、ZとGのみです。価格はZが232万8,000円で、Gが216万3,000円となっています。

ヤリスクロスハイブリッドですがこちらは2WDと4WDがありますが今回はライズハイブリッドとの比較なので2WDのみの価格を見てみましょう。こちらはグレードが3つ。HYBRID Z、HYBRID G、HYBRID Xとなっています。価格はHYBRID Zが258万4,000円、HYBRID Gが239万4,000円、HYBRID Xが228万4,000円です。

ライズハイブリッドのトップグレードと、ヤリスクロスハイブリッドのミドルグレードが絶妙にバッティングする価格帯です。これは実に悩ましい。

コンパクトだけど広くて見た目もワイルドなライズハイブリッドか、それとも車内スペースはライズハイブリッドに劣るけれどスタイリッシュで燃費性能に優れたヤリスクロスハイブリッドか、難しいところですね。

ただ車格的にはやはりヤリスクロスハイブリッドのほうが上なので装備的にはライズよりもヤリスクロスハイブリッドのほうが豪華になっています。

例えば、インテリアがピアノブラック塗装となりゴージャスですし、ハンズフリーパワーバックドア機能などもオプション(ライズハイブリッドには設定もありません)ですが用意されています。

さらにカーAV機能です。ヤリスクロスハイブリッドはディスプレイオーディオが全グレード標準装備。手持ちのスマホをつなげばそのままカーナビとしても使えるのに対して、ライズハイブリッドは全グレードオーディオレス。

つまり、オプション(9インチディスプレイオーディオのメーカーオプション価格は9万7,900円)を追加しないと、カーナビどころかオーディオさえ付かない(6スピーカーは標準装備です)。これは気になるところ。

やはり車両価格だけでなく、オプションを含めてトータルでいくらになるかで判断すべきかもしれません。いずれにしてもどちらも人気車種ということで、魅力的なのは確かです。

もし本気で両車どちらにするかもし検討されているなら、一度ディーラーなどで試乗し、その走りや広さ、インテリアの質感、装備の違いなどを実際に自らの目で比較してみる方が間違いないでしょう。

カーリースでライズハイブリッドや
ヤリスクロスハイブリッドに乗るという選択もあり


(引用:トヨタ公式HP)

今回は、ライズハイブリッドとヤリスクロスハイブリッドという人気のコンパクトハイブリッドSUVの2車を細かく比較してみました。結果、似ているようで明らかな違いもあるということが分かったと思います。

しかし、どちらが上ということはないので、最終的には好みの問題。ただ、どちらもSUVのハイブリッドカーながら新車で200万円代前半というのは間違いなくお買い得です。

リースナブルではこのヤリスクロスとライズの双方ともリース車両として用意しています。どちらも魅力的だけど買うとなるとやっぱり高い! というのであれば、毎月定額のリース料金だけで新車に乗ることができる、リースナブルのカーリースの利用ありでしょう。是非検討してみて下さい。