花粉シーズンやGWが終わると、そろそろ雨のシーズン梅雨がやってきます。雨はついつい気分も暗くなりがちですが、洗濯が乾きにくくなったりカビが生えやすくなったりするうえ、出かけるのもおっくうになるなど実際に困りごとも多くなります。また、ドライバーとしてもクルマが汚れますし、サビの原因にもなるうえ運転にも気を使わなくてはいけません。雨で視界が悪くなりますし、路面が滑りやすくなるので事故も起こりやすくなるからです。

だからこそ雨の日に運転は普段以上に気を付けなくてはいけません。一瞬の気のゆるみやちょっとした操作ミスが重大な交通事故につながることもあり得ます。では、雨の日の運転ではいったいどのようなことに注意すればいいのでしょう。雨の日にトラブルを回避するために注意するポイントや、事故を回避するにはどうすればいいのかなどこれからの梅雨のシーズンに向けて、ドライバーとして気を付けなくてはいけないことをご紹介します。

雨によって起こりやすいスリップ事故
晴天時に比べると約5倍も事故が増加している。

雨によって起こりやすいスリップ事故

晴天時に比べて雨の日は事故が起こりやすい。それはなんとなくわかりますね。雨で視界が遮られますし、路面も濡れて滑りやすくなる。当然晴れているときよりも運転のリスクが増えるわけですから事故も起こりやすくなるでしょう。では、雨によって実際どれくらい事故が増えるのか。JAFが以下のようなデータを発表しています。

参考サイト:https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-natural/subcategory-heavy_rain/faq317

こちらのデータによると雨天時の時間当たりの事故件数は、晴天時と比較するとなんと約5倍も高くなっています。さらに、雨天時の夜間となるとさらに事故が増え晴天時の約7倍にもなります。雨で事故が増えやすいだろうということはなんとなく感覚的に理解できますが5倍や7倍というのはちょっと驚きです。では雨は具体的にドライバーに対してどんなリスクを及ぼすのか具体的に上げてみましょう。

雨によって視界が遮られることには
どのように対処すればいいのか

雨によって視界が遮られる

まずわかりやすいのが雨によって視界が遮られるということでしょう。これは運転するうえで大きな問題です。ワイパーを作動させてもフロントウインドウやリアウインドウに付着した雨粒を確実にふき取ることはできません。また、サイドミラーにも雨が付着して見えにくくなりますしリアウインドウも湿気によってくもりやすくなり後方視界を悪化させます。そのため周囲の交通状況を把握しにくくなり、他のクルマや歩行者、自転車などが接近してきても判断が遅れ、事故となってしまうこともあるわけです。

そのようなリスクを避けるため最近のクルマには予防安全装備がありますが、それだって完ぺきではありません。とにかく雨が降り始めたらドライバーはいつも以上に注意を払い慎重にドライブするしかないのです。でも常に周囲に注意を払って運転するというのもなかなかストレスが溜まりますね。

視界の問題といえば、雨の日はヘッドライトのグレア現象にも注意が必要です。グレア現象とは対向車と自分のクルマのヘッドライトが重なった部分で、お互いの光が反射し合って、道路を横断している歩行者や自転車などが見えなくなる現象のことです。蒸発(グレア)したように見えなくなってしまうのでグレア現象と言います。

これは雨でなくても起きるものですが、雨が降ると路面にたまった雨水にヘッドライトの光が乱反射してしまい、対向車がいなくてもグレア現象が起きることがあります。そのためセンターラインや停止線、横断歩道といった道路標示が見えなくなってしまうこともあるのです。雨の運転ではこのグレア現象にも注意しなくてはいけません。

磨耗したタイヤはとても危険
スリップサインが出る前に交換を

磨耗したタイヤはとても危険

雨によってタイヤがスリップしやすくなるというのは一番の問題ですね。路面に雨がたまるとタイヤと路面との摩擦が減り、グリップ力が低下してカーブなどでタイヤがスリップしやすくなってしまいます。雨が降り出したらいつもよりもスピードを落とす、ブレーキを早めにかけるなどといった運転が必要です。

雨の降り始めは路面にたまったホコリや油分が浮き上がり、タイヤはより滑りやすくなります。雨が降りはじめたから早めに家に帰ろうなどとちょっとスピードを出しすぎると、いくらABSがあってもスリップしてスピンなどということにもつながりかねません。いつも以上に慎重なブレーキが必要です。

スリップに関しては一般道以上に注意が必要なのが高速道路です。なぜなら高速道路では走行速度が速いためハイドロプレーニング現象が起きることあるからです。ハイドロプレーニング現象とは、濡れた路面を高速で走行しているときにタイヤと路面との間に水の膜ができてしまい、その上にタイヤが乗って路面からクルマが浮いた状態になってしまうことです。

そうなるとタイヤはグリップしていませんのでハンドルやブレーキによるコントロールできなくなってしまいます。水の上をすべるように進む1t以上の重さを持つクルマがコントロールを失えばそれは走る凶器です。止まることも曲がることもできないのですから重大な交通事故につながる可能性があります。

ハイドロプレーニング現象は、大雨でかつスピードを出しすぎると発生しやすいですが、タイヤが摩耗していて排水性能が落ちている場合ならそこまで高いスピードでなくても発生することもあります。梅雨に入る前にタイヤの磨耗状態はしっかりチェックしておきましょう。

タイヤの溝が十分残っているかどうかはタイヤのトレッドにあるスリップサインで確認します。スリップサインは溝の中にある小さな盛り上がりで、スリップサインがタイヤ表面にまで露出(スリップサインの高さまでトレッドが摩耗している)とそのもうタイヤは交換時期です。そこまで摩耗が進む前にスリップサインがそろそろ露出しそうだなとなったらすぐに履き替えてください。

まだスリップサインが露出しておらず溝が残っていてもゴム自体が硬化して表面に細かなひび割れがある場合も注意しましょう。ゴムが柔らかさを失い本来のグリップ性能を失っている可能性があります。その場合も迷わずに交換です。

ワイパーは最低限1年に1回は交換しよう

ワイパーは最低限1年に1回は交換

このように雨の日には運転のリスクが高まりますが、できるだけそのような避けるためにはどうすればいいのでしょうか。気を付けるポイントをご紹介します。まずは雨による視界の悪化をできるだけ防ぐために、ワイパーのコンディションを確認します。ワイパーゴムは消耗品です。最低でも1年に1回は交換すべきものです。

もし砂やホコリなどがウインドウに積もった状態や、黄砂のシーズンに黄砂を洗い流さずにワイパーを使ってウインドウの汚れを払うなどしてしまった場合、すぐにワイパーもしくはワイパーゴムを交換してください。黄砂の粒子がワイパーゴムとウインドウガラスの間でこすられてワイパーゴム(ガラスもです)が傷んでいるはずです。本来の拭き取り性能は期待できず、雨の時に視界を確保できません。

ワイパーゴムの交換は比較的簡単です。ワイパーゴムだけを交換できるものなら対応するサイズのワイパーゴムを通販やカー用品店で購入し、古いワイパーゴムと差し替えるだけです。ゴムが摩耗しているだけでなくブレードにサビが浮いている場合はブレードも一緒に交換してしまった方がいいでしょう。ワイパーゴムが装着されたワイパーブレードもカー用品店で入手が可能です。見つからない場合は通販や正規ディーラーでなどで購入しましょう。

デフロスターを積極的に活用して
ウインドウのくもりを除去する

ウインドウのくもりを除去

また、雨の日でも視界を確保するためにウインドウがくもったらすぐにデフロスターを使う習慣もつけましょう。リアウインドウがくもったまま走り続けているクルマを見かけることがありますが、おそくらその車のドライバーはデフロスターの使い方を知らないのか、もしくは後ろに注意を払っていないのかどちらかでしょう。

そんな状態で走り続けるのはとても危険です。後方から接近するクルマやバイク、自転車等の発見が遅れてしまうのでくもり発生したらすぐに取り除きましょう。梅雨時は湿度も高くウインドウがすぐにくもってしまうので気を付けて下さい。ウインドウの内側がホコリやたばこのヤニで汚れていると、よりくもりやすくなるので、まめにウインドウの車内側も掃除するようにしておくといいでしょう。

ウインドウコーティング剤の使用もおすすめです。撥水コートをしておくと走行風が雨粒を弾きとばしワイパー以上にクリアな視界が得られます。対向車が路面にたまった雨水を跳ね上げてそれを浴びてしまっても、視界を素早く取り戻すことができます。撥水コートと合わせて撥水コート対応のワイパー(撥水効果を長持ちさせる)とセットで使うのと効果が長持ちします。

雨が降り出したらヘッドライトを点灯して
自分の存在を他車や歩行者にアピールする

雨が降り出したらヘッドライトを点灯

それ以外に注意すべきことは何でしょうか。頭に入れておきたいのが雨で視界が悪くなるのは自分だけではないとうことです。他車も同様に視界が悪くなります。そのため、雨が降り出したらできるだけ早めにヘッドライトを点灯して自分のクルマがそこにいることをしっかりとアピールすることが重要です。

新しいクルマであればオートライトが標準装備されているので雨が降り周囲が暗くなれば自動的にヘッドライトが点灯してくれますがオートライトが搭載されていない場合は雨が降り出したら早めにヘッドライトを点灯しましょう。「周囲のクルマがまだライトをまだ点けていないからいいかな」などと思わず積極的にヘッドライトを点灯して自分のクルマの存在をアピールしてください。歩行者や自転車にもクルマが接近していることがわかりやすくなり、事故を未然に防ぐ効果が期待できます。

ただの雨ではなく豪雨、最近増えているゲリラ豪雨に遭遇した場合も注意が必要です。特に高速道路走行中にゲリラ豪雨に遭遇した場合は、視界が極端に悪くなるので重大な事故が発生する可能性があります。適切に対応しましょう。天候が急激に悪化し、ゲリラ豪雨に遭遇しそうだな、となったら早めにSAやPAにとりあえず避難するのが賢明です。

雨で視界が悪化しはじめたらヘッドライトを点灯させリヤフォグランプも装備されているなら、衝突を防ぐためにリヤフォグランプも点灯して周囲のクルマに自分がそこにいることをアピールしながら近くのSAやPAを目指します。

NGなのは、いくら視界が悪くなったからといって高速道路の本線上にクルマを停める行為です。これは明らかな違反です。もちろん路肩に停めるのもNG。豪雨によって視界が極端に悪化したらとにかく近くの出口で降りるか、SAやPAに避難しましょう。できればそのような事態に巻き込まれないよう事前に天気予報をチェックしておくのが賢明です。

本格的な梅雨に突入する前に
雨に対する準備をしておきましょう

雨に対する準備

梅雨に向けて、雨の日の運転に関しての注意点や準備しておくべきことなどをご紹介しました。最近はいきなりバケツをひっくり返したような大雨となるゲリラ豪雨が増えていますが、あらかじめ準備をしておき、いざとなったらどう対応すべきか予習しておけば交通事故となることは防ぐことができます。

まずは本格的な梅雨のシーズンに突入する前にワイパーとタイヤのコンディションをチェックして起き必要であれば交換しておきましょう。また洗車の際にガラスのコーティングなサビを防ぐためのボディコーティングもしっかりやっておくべきでしょう。

さらに、雨の日にヘッドライトが点灯しない、などいうことがないようにヘッドライトもきっちりチェックしておきましょう。クルマのコンディションを確認しておくことはドライバーの義務ですので、定期点検だけでなく日常的な点検も習慣づけておき、急な大雨でもあわてないように心がけておいてください。