人込みに巻き込まれることもなく、密を避けられる移動手段として見直されてきているクルマ。年末年始も公共交通機関ではなく、少人数の家族などでクルマでの移動をするという方もきっと多いでしょう。クルマなら時間に縛られることなく、また荷物なども一緒に乗せて快適な移動が可能です。これほど便利なものはありません。
でも、気になるのがガソリン代や高速料金などの出費です。移動距離が長くなるとこれらの負担は思いのほか大きくなってしまいます。少しでも移動にかかる費用を抑えるには燃費の向上が効果的。それに、実はちょっとしたことを実践するだけで、費用もかけずにクルマの燃費を向上させることは可能なのです。そこで、今回は年末年始のクルマ移動に役立つ、誰にでもすぐに実践できる、燃費向上のための10のコツをご紹介しましょう。
目次
- 1 燃費に優れた最新のクルマでも 少しのコツでさらに燃費がアップする
- 2 無駄な荷物はトランクから降ろす クルマが軽くなれば燃費もアップ
- 3 タイヤの空気圧は定期的にチェック 減っていたらすぐに補充する
- 4 エンジンオイルの交換で 燃費が向上する
- 5 エアクリーナーエレメントが 汚れていると燃費に悪影響
- 6 アイドリングストップは 効果的だが使い方に注意
- 7 暖房を使用する際は A/CをOFFにしてみよう
- 8 急アクセルは禁止! しかし、 だらだら加速も燃費に悪影響
- 9 上り坂の手前にさしかかったら スムーズかつ緩やかに加速しておく
- 10 クルーズコントロールを 積極的に使用する
- 11 カーナビを活用して 無駄のないルートを走行する
- 12 ちょっとしたことの積み重ねで 燃費は確実にアップする
燃費に優れた最新のクルマでも
少しのコツでさらに燃費がアップする
最近のクルマは、以前のものに比べると燃費に優れています。それはハイブリッドカーだけでなく普通のガソリンエンジン車でもコンパクトカーなら実燃費で15km/L以上走ります。さらに軽自動車なら20㎞/L以上走るものも珍しくありません。ハイブリッドカーにもなれば実燃費で25㎞/Lなんてクルマもあります。
筆者が若い時に乗っていた車は7~8km/L(東京の都市部なので余計に燃費が悪かった)なんて燃費が普通でしたから、それを比べると隔世の感を禁じえません。とはいえそのころはガソリン価格も100円/L(2000年前後)でしたので、経済的な負担は今より多少ましでしたが。
でも、さすがに大型のミニバンやSUVともなると最新のものでも燃費は悪くなります。とはいえ実燃費で10㎞/Lを超えるものもあるので車重2t、空力的にもかなり不利な背高ボディと考えれば優秀といってもいいでしょう。これ以上を望むならハイブリッドやPHV、EVなどにするしかないかもしれません。
でも、この数値を見て「あれ、自分の愛車はそんなに走らないぞ?」と感じた方も中にはいるかもしれません。そんな方はもしかしたら燃費を悪化させる運転や、車の使い方をしているかもしれません。年末年始にクルマを使って燃料費がばかにならなかったという方はこのタイミングで一度、燃費について見直してみてはいかがでしょう。
じつはちょっとしたことを実践するだけでも、クルマの燃費を向上させることが可能です。改造するなんて大げさなことは必要ありません。もちろんカーリースの車両でも効果は期待できます。本当にちょっとしたコツを抑えるだけで燃費は明らかに変わってくるのです。ではどんなことをすればいいのか?
無駄な荷物はトランクから降ろす
クルマが軽くなれば燃費もアップ
まずは基本中の基本です。クルマのトランクに余計な荷物が積みっぱなしになっていませんか? 車重がクルマの走りや燃費に大きく影響するというのは皆さんご存じですよね。同じエンジンなら、ちょっとでも車体が軽いほうが燃費は間違いなく向上します。それなのに、トランクを倉庫のように使って、特に必要のないものまで積みっぱなしにしているというのは、言語道断です。
自動車メーカーも、燃費の向上、ひいては排出ガスを減らすことによる環境負荷低減のために、最新のクルマの開発では軽量化にとにかく心血を注いでいます。アルミや樹脂、カーボンパーツを使い血のにじむような努力を重ね、燃費に優れたクルマを作ったのに、それを使うドライバーが荷物を積みっぱなしにしていてその努力が無駄になってしまいます。今すぐいらない荷物はおろしてください。
実際重量がどれだけ燃費に影響するのか。ちょっと調べてみました。一般社団法人省エネルギーセンター(ECCJ)の調べによると2000㏄のクルマに、100kgの不要な荷物を乗せて走ると燃費は3.4%程度悪化するという実験結果が出ています。
参考サイト:https://www.eccj.or.jp/recoo/eco10/eco10_con09.html
100kgというとかなりの荷物ですが、さすがにそこまでいかなくてもキャンプグッズやかさばるアウトドアグッズ、レジャー用品などは、ちょっとしたものでもまとまると軽く20~30gk、工具や使っていない洗車用品などを加えるとそれ以上になるはず。燃費への影響は間違いなくあります。チリも積もればばかになりません。必要のないものは今すぐ降ろしましょう。これは今すぐにでも実践できるはずです。
タイヤの空気圧は定期的にチェック
減っていたらすぐに補充する
クルマのコンディションも燃費には大きく影響します。例えばタイヤの空気圧やオイルの劣化、エアクリーナーエレメントの汚れなどです。中でも燃費の悪化に影響するのがタイヤの空気圧です。
タイヤには空気が入っていますがこの空気は何もしなくても徐々に抜けてしまうもの。そして空気圧が低下すると、タイヤの転がり抵抗が大きくなりクルマのエンジンパワーがロスしてしまいます。そして燃費低下につながるのです。タイヤの空気圧が本来の適正値から0.5kPa(0.5kg/c㎡)低下すると、燃費は2~4.8%低下します。
しばらく空気圧チェックをしていないと0.5kPaの低下というのは普通に起こりえること。それだけで燃費を悪化させてしまうのですからこれもすぐに確認しましょう。
ガソリンスタンドにいけば、空気圧チェックや空気の補充は無料でやってもらえるので次の給油時に点検を行ってください。ちなみに昔は高速道路を使った移動の際にはタイヤの空気圧を少し高めにするといい、とされていましたが現在のクルマはもともとの空気圧が高めに設定されているので、推奨されている空気圧であれば問題ありません。空気圧を高くしすぎるとグリップ力が落ち危険な場合があるので、推奨される空気圧としておけば十分でしょう。
エンジンオイルの交換で
燃費が向上する
エンジンオイルも燃費に影響します。なんでオイルが? と思うかもしれませんが、オイルが劣化すればエンジン内部の抵抗が増え、パワーのロスとなります。そして燃焼効率も低下して燃費が悪くなるのです。定期的な交換を必ず行いましょう。
最近は廃棄物を減らす目的で自動車メーカーはオイルの交換サイクルを以前よりも長く設定しています。1万キロごとでOKとしているクルマも珍しくありません。それだけエンジンの精度もあがりオイルの性能もアップしているのですが、この推奨サイクルはあくまでこれで問題ない、というもの。燃費やエンジンフィーリングのことを考えればもう少し早いタイミングで交換した方がいいでしょう。
特に都市部を主に走る機会が多いならゴーストップが多くなりオイルの劣化もそれだけ進んでいるはず。劣化したオイルは燃費を悪化させるので、半年の一回、もしくは5,000~6,000㎞ごとに交換するのがおすすめです。エンジンオイルを交換すれば、エンジンのフィーリングもよくなり騒音の低下なども期待できます。
頻繁に交換するなら高価なオイルを使う必要はありません。安心できるブランドのそのクルマに指定されている粘度のものを使用すると良いでしょう。カー用品店などにいくと、燃費向上に効果的だ!とうたったエンジンオイルもあるのでそちらを試してみるのもいいかもしれません。
エアクリーナーエレメントが
汚れていると燃費に悪影響
タイヤの空気圧やエンジンオイルを気にする方は多いですが意外に見落としがちなのがエアクリーナーエレメントです。エアクリーナーはエンジンに送られる空気をきれいにする、マスクの役割をしています。しかしフィルターであるために使っていれば徐々に汚れていき、やがて目詰まりしてしまいます。そして吸入抵抗が増え燃費が悪化することにつながるのです。
こちらも定期的な交換が必要です。2~3万kmごとの交換が推奨されていますが、都市部や工場地帯などを走る機会が多いとそれより早く汚れで詰まってしまうことがあります。確認して汚れていたらすぐに交換しましょう。
交換はとても簡単ですボンネット内のエアクリーナーボックスを探し、ふたを開け、中にあるエアクリーナーエレメントを新しいものに交換するだけです。エアクリーナーエレメントはネットなどで容易に購入できますし、工具不要で簡単に交換もできます。是非やってみてください。
アイドリングストップは
効果的だが使い方に注意
無駄なアイドリングが燃費に悪影響というのはもはや常識ですね。最近のクルマには勝手にアイドリングストップを行ってくれる機能も搭載されているので特に意識しなくても実践できているでしょう。
ただし、頻繁なアイドリングストップは交差点などではスムーズな走行を妨げることにもなりますし、またアイドリングストップ中はエアバッグ等の安全装置が機能しないので先頭車両付近では使わない方が良いでしょう。さらに、バッテリーの寿命を縮めてしまい経済的には逆にデメリットも多いともいわれ始めています。
常にアイドリングストップを使うのではなく、例えば踏切待ちや渋滞の際に積極的に使用するなどあまり無理をせずに実践するのがおすすめです。それだけでも燃費は確実に向上するはずです。
ただし、アイドリングストップ自体は確かに燃費向上に効果的ですが、アイドリングストップ対応のバッテリーは非常に高価なので、バッテリーを長持ちさせるような使い方のほうが長い目で見れば経済的な負担は軽くなります。クルマ任せにせず、不要の時には機能をオフにするなど使い分けるのがおすすめです。
暖房を使用する際は
A/CをOFFにしてみよう
頻繁にオフにするならエンジンではなくエアコンかもしれません。エアコンの使い方を工夫することも燃費を向上させるポイントです。なぜならクルマのエアコンのコンプレッサーはエンジンによって駆動しているからです。エアコンを使うとコンプレッサーを動かすためにエンジンの抵抗が増えることになるので、結果負荷が増えて燃費も悪化してしまうのです。
とはいえ夏場はエアコンなしなんてあり得ません。でも冬場はエアコンをOFFにして暖房を使うという手があります。クルマの暖房はエンジンの排熱を利用して車内を暖めているのでエアコンのコンプレッサーを使わないでも車内を温めることが可能なのです。エアコンのA/CボタンをOFFにして暖房を使ってみましょう。十分暖かいはずです。
ただし、ウインドウがくもってしまう場合はA/CをONにします。暖房だけだと車内と車外の温度差によってくもりが発生してしまう場合がありますが、エアコンをつけると除湿してくれるのでくもりは除去されます。使い方に注意が必要ですが、エアコンはこまめにONとOFFの切り替えを行ったり、細かく温度調節をすることでエンジンへの負荷も減り燃費のアップが期待できます。
急アクセルは禁止! しかし、
だらだら加速も燃費に悪影響
普段の運転の仕方も見直してみましょう。ポイントとなるのはアクセルワークです。まず発進時はいきなりアクセルを大きく踏み込まずAT車ならクリープ(アクセルを離すだけでクルマが動き出す現象のこと)を利用して、クルマが動き出したらアクセルをジワっと踏みます。そして目標とする巡航スピードまで加速したらアクセルを戻しましょう。
よく、燃費のためには「ふんわりアクセルeスタート」を実践しようといわれていますが、言葉の表面的な部分だけが誤解されています。アクセルをゆっくり踏んで、とにかくのんびりとスタートしましょうという意味ではありません。
スタート時にアクセルを一気に大きく踏むのではなく、アクセルをやわらかくコントロールして、必要十分な発進&加速をしましょうというもの。むやみにだらだら加速するとかえって燃費は悪化します。交通ルールを守って周囲の流れを乱さないようなスムーズで急ぎすぎない(しかし十分なスピードに乗る)加速を心がけましょう。
走り出したら、可能な限り、アクセルを一定に保ちます。車間距離を十分に取って、極力加減速しなくて済むように走りましょう。車間距離を詰めすぎてブレーキングと加速を繰り返すような運転は、もっとも燃費を悪くするので注意してください。
運転中は常に前方の車両や交通状況を先読みする癖をつけ赤や黄信号が見えたら早めにアクセルから足を離す習慣がつけましょう。エンジンの回転数が1,500回転以上あるときに、アクセルを戻すと、エンジンへのガソリン供給が一時的にストップ(フューエルカット)します。
この間はガソリンをまったく使わず惰性で走行するので、うまく使えば燃費を向上できます。周囲の状況をしっかりと観察して、できるときには惰性で走行し、また、エンジンブレーキもうまく活用することで燃費は良くなります。試してみましょう。
上り坂の手前にさしかかったら
スムーズかつ緩やかに加速しておく
上り坂では重力が働くので、当然ながらクルマのスピードは徐々に落ちていきます。一定の速度をキープするためにアクセルを踏み増すと、平地よりも走行抵抗が大きくなるので当然ですが、エンジンへの負荷が増え、燃費も大幅に悪くなります。速度の落ち幅が大きいほど、その速度を取り戻すために加速するためのパワーが必要となるので燃費がより悪化するわけです。
仕方のないことですが、どうすれば燃費の悪化を最小限に抑えることができるのか? それには速度が落ち始める前にアクセルを踏み増せばいいのです。エンジンへの負荷がすくない平坦な道のうちにある程度スピードを上げておき、上り坂ではその勢いを生かして上り切るようにするといいのです。こうすることで燃費の悪化を最小限に抑えられます。
クルーズコントロールを
積極的に使用する
装備されているクルマとそうでないクルマがありますが高速道路などの走行では、クルーズコントロールを積極的に活用すると燃費の向上に効果が期待できます。
クルマは速度を一定にキープしながら走れば少ない燃費で走行することが可能です。高速道路を90km/hくらいの一定速度を維持したままで走るのと、80~110km/hなど、加速と減速を繰り返しながら走るのでは燃費が大きく変わってきます。
加速をすればそれだけたくさんの燃料を使うことになりますし、せっかく加速しても前走車においつきブレーキを踏めば、せっかく加速にために使用した燃料は無駄になってしまいます。再度スピードを乗せるためにアクセルを踏み込めがまた燃料が消費される。無駄が多いのですね。とはいえ人間の足では一定の速度をキープしながら走るというのはなかなか簡単ではありません。
そこで便利なのがクルーズコントロールです。アダプティブクルーズコントロールなら前を走るクルマとの適切な車間距離を維持しながら追従走行してくれ運転のストレスも軽減されます。また、渋滞追従機能付きなら前のクルマが停止すれば、自車も自動的に停止してくれ走り出したら、またアクセルを踏めば、追従走行を再開してくれ非常に便利で安全です。もしあなたのクルマにクルーズコントロールが装備されているなら積極的に活用しましょう。
カーナビを活用して
無駄のないルートを走行する
カーナビを積極的に活用するのも燃費向上に効果的です。事前に効率的なドライブルートを設定しておき、できるだけ無駄のないルートを選んで走ればそれだけ燃料の消費を抑えることができるからです。
また、最新の通信対応カーナビや、スマホのカーナビアプリなら、リアルタイムに渋滞情報を入手し、スムーズに走行できるルートも提案してくれます。渋滞を避けられればそれだけ目的地到着までの時間が短縮でき、燃料消費も抑えられるでしょう。結果燃費も向上するというわけです。
カーナビやカーオーディオは電気を使用するため、使用するとオルタネーターへ(発電機)の負荷が増え、そのオルタネーターを動かすためにエンジンのパワーが使用されるため燃費が悪化する、という方もいますが、カーナビの消費電力はエアコンやヘッドライト、デフォッガーなどに比べれば微々たるものです。燃費をよくするためにカーナビはOFFにする! などということはあまり意味がないでしょう。むしろ積極的に活用して効率的なルートの探索に利用する方が燃費の向上には効果的だといえます。
ちょっとしたことの積み重ねで
燃費は確実にアップする
- 無駄な荷物は降ろす
- タイヤの空気圧を頻繁に確認
- エンジンオイルをチェックする
- エアクリーナーエレメントを交換
- アイドリングストップを賢く活用
- 暖房はA/Cをオフにする
- アクセルワークを慎重に行う
- 上り坂の手前で加速する
- クルーズコントロールを使う
- カーナビの活用
以上燃費向上のための10のコツをご紹介しました。どれも簡単なものばかりで、今すぐにでも実践可能なはずです。一つ一つはとても些細なものばかりで、燃費への影響も決して大きくはありませんが、積み重なれば小さくない燃料の節約につながるはずです。一度に全部を実践することはありません。是非明日からでも、できることから試してみてください。