5年や7年といった長い期間相棒として使用し続けたリース車両。自分も家族もすっかり気に入ってしまったからいっそ買い取りたい!そんな風に考える方もいておかしくはありません。でも、リース車両というのはあくまで一定期間借りているもので最後にはリース会社に返さなくてはいけないはず。気に入ったからといって買い取れるものなのでしょうか?もし可能なのであればその場合どうすればいいのでしょう。さらにリース車両を買い取るというのはローンで購入するよりも良い選択なのでしょうか?リースを利用されているなら気になる問題でしょう。そこで詳しく調べてみました。
目次
長い期間付き合ってきたクルマ
マイカーとして買い取りたい
カーリースはリース会社から一定期間好きなクルマを借り、毎月定額のリース料金を支払ってマイカーのように乗り続けることができるとても便利なサービスです。なんといってもリース料金の中に、各種税金や保険、さらに新車登録から3年後、5年後の車検費用まで含まれているので、事故などのトラブルは別としてクルマのために急な費用負担が必要となることもありません。そのため車検が近いからそろそろまとまったお金を用意しておかなくちゃ…、などということもなく、毎月のリース料金以外の出費を気にすることなく安心して乗り続けることができます。
さらにリース満了後はクルマを返却し、新たなリース契約を結ぶことでまた定額のリース料金で最新の車種に乗り換えることもできるというのも大きな特徴といえるでしょう。安全装備は常に進化しているし、なるべき最新のクルマに乗りついでいきたい、という人にとっては非常に合理的なクルマとの付き合い方といえるかもしれません。買うのではなく定額を支払い、サービスを利用するというのはいわゆるサブスクに近く、そういった仕組みが当たり前のものとなった昨今は、こういった考え方を受け入れる人も増え、カーリースの人気も高まっています。
でも、クルマというのは実用品でありながら趣味のものでもあります。最新モデルのほうが機能については優れているとわかっていても、誰もが常に最新のクルマに乗りたいと考えているわけではありません。すでに絶版車となった、もう買うことのできないかつての名車が好きだ! という人もきっといるはずです。
また、リース期間長くそのクルマと付き合ってきたことで家族の一員のように愛着がわき、出来ることなら買い取ってリース契約満了後もそのまま乗り続けたい!そんなことを考える方もきっといるのではないでしょうか。
さらに、スポーツカーなどの場合、リース契約期間中にクルマが絶版になり、気が付けばマニア垂涎の貴重な車種となっていたなどということもないとはいえません。もしかしたらそのクルマがやがてプレミアカーとなり、驚くような高値になる可能性も。だったらいっそ買い取って自分の手元に残しておきたい、などというケースもないとはいえませんね。このようにリース車両であっても、リース契約満了も返却をせずに買い取りを希望するケースもないとはいえないのです。
とはいえ、カーリースの車両は、そもそも買い取ることがルールとして可能なのでしょうか?カーリースはリース契約満了後にクルマを原状回復しリース会社に返却するというのが基本のはずです。確かにそれで間違っていません。しかし、それはあくまでクローズドエンド契約の場合です。カーリース契約には実はそんなクローズドエンド契約ではないオープンエンド契約というものがあります。そしてこのオープンエンド契約であれば、カーリースの車両を買い取ることが実は可能なのです。
オープンエンド契約であれば
クルマを買い取ることは可能
カーリースには大きく分けてクローズドエンド契約とオープンエンド契約というものがあります。カーリース会社によって双方を用意している場合と、クローズドエンドのみを用意している場合などがありますが、カーリースを利用する場合はその違いをキチンと理解しておかなくてはいけません。簡単にいってしまうとその違いはリース満了時の返却車両の残価(金額)があらかじめ明示されているのがオープンエンド契約で、明示されていないのがクローズドエンド契約です。リース契約満了時の残価がクローズド(オープンになっていない)なのか、オープンになっているかという違いですね。
そして、前述したようにクローズドエンド契約の場合はリース満了後クルマを返却しなくてはいけませんが、オープンエンド契約の場合はリース期間満了後、クルマを返却してもいいし、気に入ったらそのクルマを買い取ることも可能となっています。リース車両をいずれ買い取る可能性もあるという場合ははじめからこちらのオープンエンド契約を利用すればいいのです。
ただし、リースで乗り続けたクルマを最終的に買い取りするという場合、新車を現金やオートローンで購入よりも、トータルでの支払金額は高くなることがほとんどです。そのことを理解していればいいですが、「とりあえずリースでクルマを借りて、気に入ったら最後に買い取ればいいや」というような、軽い気持ちで買い取りを計画すると無駄な出費がかさんでしまうことにもなりかねませんので注意が必要です。
カーリースは家計管理に便利で、なおかつ頭金などまとまったお金を用意しなくても最新のクルマに乗ることのできるサービスですが、トータルの支払額で考えると、必ずしも現金やローンでクルマを買うよりも負担が軽くなるわけではありません。月々定額の支払で、クルマやお金の管理が楽にはなりますが、カーリースの場合、そのリース料金には元々の車両の費用に加えて税金や保険、メンテナンス代までが含まれています。そしてそれらの費用にも金利がかかっているのです。
さらに、すべてではありませんが多くのカーリースの場合、金利の利率は一般的なオートローンよりも高いケースがほとんどです。ということは、リース契約が満了したカーリースのクルマを買い取って自分のものにすると、はじめから購入した場合と比較してトータルでの支払額はより高くつくということになるのです。その分リースには様々なメリットがあるのですから決して損ではないのですが、トータルでの負担額を考えれば軽々しくリース車を買い取りたいと考えるのは決して賢明ではないのです。
残価の精算のほかに
名義変更や税金などの費用も必要
また、オープンエンド契約でリース車両を買取する場合、リース契約満了時にそのクルマに初めに設定した残価と、リース満了時に改めて査定したそのクルマの査定額との差額を計算してそれを一括で支払わなくてはなりません。査定額が当初設定した残価よりも高ければ差額を返金してもらえこともありますが、そのようなケースはあまり多くはないでしょう。
多くの場合、リース契約時には毎月の負担をなるべく小さくするために、ある程度その残価を高めに設定しておき、毎月のリースの支払いを安くしよう、と考える方のほうが多いはずだからです。
しかし、もしそのようにしていた場合、リース満了後、はじめに設定していた残価と、実際の査定額との差が大きく開いてしまう可能性があります。例えば5年後の残価を120万円と設定していたのに、査定したら80万円にしかならなかったら、リース満了時にはその差額である40万円を一括でリース会社に払わなくてはならないわけです。これはクルマの買取をしなくても同じなのですが、最後に買い取りをする可能性があるのなら、そのようなケースを避けあまり無理のある残額設定を避けなくてはいけません。ただし、そうすると毎月のリース料金が高くなってしまうのでその適切な残価設定は難しいところです。
さらに、買取の際はこの残価の支払いだけでは当然すみません。それに加えてリース車両の所有者名義変更の事務手数料や自動車税の相当額。そしてリサイクル料金や消費税、さらに自動車税や自賠責保険料なども負担しなくてはいけません。それだけまとまったお金を、別途用意しなくてはそのクルマを買取ることができないわけです。
そもそも毎月無理のない一定の支払い額で済むのがカーリースのメリットですから、別途それだけのお金を用意しておくというのはかなりの負担ですよね。正直あまり現実的とは言えないでしょう。先のことを予測するのは困難ですが、もし先々買い取りたくなる可能性があるのではあれば、はじめからオートローンなどでクルマを購入する方が間違いなく賢いといえるでしょう。
リース満了後の買取を
前提としたリースプラン
しかし、リースの利便性を活用しながら最終的にはクルマは自分のものにしたい!そういったニーズも確かにあります。そのため、単なるオープンエンド契約ではなく、はじめからリース契約満了後にクルマを引き渡すというのが前提となっているカーリースサービスというものも実は用意されています。これは、ようするに最初の設定残価を0円とし、リース満了後の精算を0としておき差額支払いなしにクルマの引き渡しを可能とするカーリースです。
7年間のリース契約の後、2年リース契約を延長し、計9年リースを利用すると、精算金なしでクルマが引き取れるといったものや、はじめから長期の9年リース契約を結び、リース満了後にそのまま車両が引き取れるとなっているものなどがあるようです。
でも、それって結局9年の長期ローンでクルマを購入するだけじゃないの?と思われるかもしれませんがちょっと違います。リース期間中は、毎月定額のリース料金を支払うだけで各種メンテナンスから保険や税金支払い、車検費用などまで通常のカーリースと同様にリース会社に一括で任せられるのです。その分日常のクルマの管理や家計の負担は軽減されるわけですからリースならではのメリットを享受できるわけです。なかなか賢いプランですよね。
ただ、こういったリースプランはすべてのカーリース会社が提供しているものではありません。でもWEBなどで検索すれば簡単に見つけることが可能なので興味があるのならチェックしてみるといいでしょう。カーリースはクルマをリースして乗るというのが基本ですが、中にはこういったユニークな選択肢も用意されているというのは、覚えておいて損はありません。
買い取りをするとリース期間中には
必要のなかった負担が増える
また、いうまでもありませんがリース車両を引き取ったあとは車検証の所有者と使用者の名前が完全にリース契約者の名義となり、そのクルマのオーナーはあなたとなります。その後は通常の中古車を所有するのと同じですので車検を受けるには重量税や自動車税、自賠責保険料やリサイクル料金は自己負担となり、以後のメンテナンスに関してもオーナーの負担となります。
リースであればこういった諸費用やランニングコストの負担について考えなくてもいいのですが、そのクルマのオーナーとなればそうはいきません。日常的な整備やトラブル際のメンテナンスなども整備工場を自分で探し、手配や持ち込みなどもすべて自分で対処しなくてはいけません。
つまりそれまでカーリース会社にすべて任せることができた面倒を、すべて手放すことになるわけです。
愛着のあるクルマが自分のものになり、リース期間にはできなかったドレスアップや改造などを施すことも自由にできるというのは確かに魅力ですが、クルマを所有するということは、日常のクルマ管理という負担が増えるということでもあるわけです。
でも、自分のクルマになれば
売却することが可能になる
ただ、リース車両を買い取ることで一つ大きなメリットもあるのも確かです。それはそのクルマを中古車として売却ができるというもの。リース車両は自分のクルマではありませんから勝手に売却することはもちろんできません。もしリース会社の許可なく勝手に売却してしまえば横領になってしまいます。
でもリース車両を引き取り、自分名義にした後であればそれは自分のクルマです。売却してその分の利益を得ることも可能です。また下取りに出して新たに別のクルマを購入する資金に充てることもできるでしょう。クルマが後に人気車となりプレミアなどがつくような事態になればもしかしたら想定外の利益を得られる可能性もないとは言えません。もちろんそんなケースまずないでしょうが。
このようにリース車両の買取には、メリットだけでなくデメリットもあるということがご理解いただけたでしょうか。気に入ったリース車両を買い取りたいという気持ちは確かにわかりますが、費用面での負担は、結果的に新車を購入するよりも大きくなってしまうことがほとんどです。ですからくれぐれも安易に考えず、じっくりと慎重に検討することをおススメします。