カーリースに興味を持って調べ始めると、「やめとけ」「損をする」「後悔した」など、否定的な意見が目につくことがあります。しかし、そうした情報の多くは、正しい理解がないままに語られていたり、利用目的に合っていなかったことによるものだったりします。すべての人にカーリースが最適とは限りませんが、決して“やめるべき”と一括りにできるものでもありません。本記事では、カーリースに関してよく挙げられる「やめとけ」と言われる理由を5つ取り上げ、それらが本当に問題なのかを解き明かします。

カーリースが「やめとけ」と言われる5つの理由とは?

カーリースに対するネガティブな意見は、SNSや掲示板などでもしばしば見かけます。そうした意見には一定の根拠があるものの、その多くはカーリースの仕組みを正確に理解していないまま、感覚的に語られていることも少なくありません。ここでは、なぜ「やめとけ」と言われるのか、その代表的な5つの理由を客観的に整理してみましょう。

購入よりも総額が高くなると感じるから

カーリースは、月額で支払いが続く形式であるため、契約期間全体で見たときに購入よりも高くつくと感じる人がいます。特に、車両価格だけを基準に比較すると、分割払いのリースは割高に映るのも無理はありません。

契約途中での解約が基本的にできないから

カーリースは「◯年契約」という形式で車を借りるため、その契約期間中に解約した場合は、原則として違約金や残りの支払いが発生します。引っ越しや家庭の事情などで車が不要になっても、柔軟に解約できないことを不安に思う人が「やめておいた方がいい」と感じる原因の一つです。

走行距離に制限があるから自由に乗れないと思われがち

カーリースには「年間〇kmまで」という走行距離の制限が設けられていることが一般的であり、この制限を超えると追加料金が発生するため、自由にドライブできないという不満につながることがあります。

傷や汚れに対して原状回復費がかかるから精神的負担がある

リース車は返却を前提とした契約のため、返却時には「原状回復」が求められます。そのため、小さな傷や車内の汚れでも、一定の修理費や清掃費用が発生することがあります。

カスタムや改造が原則禁止だから自由度が低いと感じる

カーリース車は契約終了後に返却されるため、基本的にカスタムや改造は認められていません。自分好みに車をアレンジしたいと考える人にとっては、自由度の低さが不満要因になることがあります。

実は誤解?デメリットと感じる理由の背景

カーリースに対してネガティブな印象を持つ人の多くは、「リースの仕組み」や「自分の利用スタイル」との相性を正しく理解していないケースが目立ちます。前章で紹介した5つの“やめとけと言われる理由”について、それぞれが本当にデメリットなのか、冷静に見直してみましょう。

総額の比較は“条件次第”で変わる

カーリースが割高と言われる背景には、現金一括購入との比較があります。しかし、実際に現金で車を購入する人は少数派で、ほとんどがローンを組んで分割払いを選択する場合がほとんどです。ローンの場合は利息が発生するうえ、税金や車検費用、保険料などの維持費も別途かかります。一方、カーリースではそれらの費用が月額料金に含まれているプランも多く、維持費を含めて比較しなければ正確な判断はできません。総額だけを見て損だと断定するのは、早計であると言えるでしょう。

中途解約リスクは「選び方」で回避可能

カーリースは基本的に途中解約ができませんが、これはあらかじめ決められた契約期間に基づいてリース会社がコストを算出しているためです。しかし近年では、中途解約金を抑えたプランや、短期リース契約も選べるようになってきています。また、家庭環境の変化や転勤などの不確実性がある場合には、契約年数を短めに設定するなどの対策も可能であり、無理のない期間で契約すれば途中解約できないという不安を軽減できます。

走行距離制限は実は“平均的”

リース契約で設定されている走行距離制限は、年間10,000km〜15,000kmが一般的です。日本国内における普通乗用車の平均年間走行距離(約7,000km〜9,000km)よりも多めに設定されているケースが多く、通常利用であれば制限に達することはそれほど多くありません。ただし、営業職やドライブ好きの人など、月に1,000km以上走る場合は事前に確認しておくべきです。過剰な心配をするよりも、自分の利用ペースと合っているかをチェックすることが大切です。

原状回復費はリース以外でも発生する

「傷をつけると追加費用がかかる」という指摘は、確かに正しい部分もあります。しかし、これはリース特有の話ではありません。自家用車であっても、下取りや売却時には傷や凹みの程度によって査定額が大きく下がることがあります。つまり、「原状回復費」ではなく「査定減額」という形で、結局同じような費用が発生しているのです。むしろ、リース車は定期点検が義務付けられており、コンディション管理がしやすいというメリットもあります。

カスタム不要な人には無関係な話

カーリースでは原則として自由なカスタムは認められていませんが、それを不満と感じるかどうかは利用者次第です。たとえば、通勤・買い物・子どもの送迎など、日常利用程度で車を使う層にとっては、カスタムの必要性はあまり高くありません。カスタムを前提にするような車好きでなければ、リース車でも十分満足できるはずであり、無理に「カスタムできない=デメリット」と捉える必要はありません。

リースを選ぶべき人・選ばない方がよい人

カーリースに向いているかどうかは、単純な「得・損」ではなく、その人の生活スタイルや価値観によっても変わります。ここでは、カーリースを選ぶことで満足しやすい人と、購入の方が向いている人の違いを明確にしていきましょう。

カーリースと相性が良い人の特徴

まず、カーリースと相性が良い人には、以下のような特徴が見られます。一つは、車にかかる維持費を一定にしたい人です。カーリースは車両代だけでなく、税金や車検、メンテナンス費なども月額に含められるプランが多いため、突発的な出費を避けたい人にとっては非常に安心感のある仕組みです。次に、車にこだわりがない人もカーリースとの相性が良好です。例えば、メーカーやグレード、装備に強いこだわりがなく、移動手段としての機能性や快適性が満たされていればよいと考える人にとっては、リースで十分満足できます。さらに、定期的に新車に乗りたい人や数年後にライフスタイルが変わる予定がある人にも、リースは柔軟な選択肢となります。

購入・ローンの方が向いている人の特徴

一方、カーリースよりも購入の方が向いている人も存在します。たとえば、車を長く乗り続けたい人は、購入の方がコストパフォーマンスに優れます。カーリースは契約年数を過ぎた時点で車を返却するため、10年以上乗り続けるような使い方には適していません。また、走行距離が多い人や、アウトドアなどで車を酷使する人も、リースでは追加費用の対象になりやすいため注意が必要です。さらに、カスタムや改造を楽しみたい人や、資産として車を所有したい人にとっても、カーリースは向いていません。

後悔しないカーリース選びのポイント

カーリースを選んだものの、「思っていたのと違った」「こんなはずじゃなかった」と感じる人は少なくなく、その多くは、契約前に内容を十分に確認していなかったことが原因です。ここでは、契約時に必ずチェックしておきたい重要なポイントを紹介します。

契約年数・走行距離の条件確認

カーリース契約の中心となるのが、「契約期間」と「走行距離制限」です。この2つの条件は、月額料金にも直結するため、事前確認が非常に重要です。契約期間は3年〜7年程度が一般的ですが、将来のライフスタイルの変化を考慮して無理のない期間を選ぶことが大切です。また、年間走行距離が実際の使用予定と合っているかをチェックしておかないと、後で追加料金が発生する原因となります。普段の通勤距離や週末のレジャー利用を想定し、月に何キロくらい走るかを計算したうえで、余裕のあるプランを選ぶと安心です。

メンテナンス込みかどうかを確認

カーリースの月額料金には、車両代だけでなく税金・車検・メンテナンス費用が含まれている場合があります。ただし、すべてのリース会社が同じ内容を含んでいるとは限りません。「フルメンテナンスプラン」と「メンテナンスなしプラン」では、費用や手間に大きな差が出るため注意が必要です。例えば、フルメンテナンスプランでは、定期点検やオイル交換、タイヤ・バッテリーの交換なども含まれることがあり、突発的な出費を抑えられます。一方、メンテナンスなしの場合は、自分で手配する必要があり、費用と手間を見落としがちです。契約時には「何が含まれているのか」「何が自己負担になるのか」を細かく確認しましょう。

中途解約時の対応について明確にしておく

カーリースは基本的に契約満了まで継続することを前提にしています。しかし、万が一の事情で車が不要になった場合にどうなるのか、事前に把握しておくことが大切です。多くのリース会社では、中途解約時に違約金や残リース料の一括支払いが求められますが、近年では「乗り換えサポート」や「中途解約可能プラン」を提供するサービスも増えています。自分のライフプランに不安がある場合は、契約前に解約時の対応条件や金額について、営業担当に具体的な数値で説明してもらうことが重要です。

まとめ

この記事では、カーリースに関する5つの代表的な誤解とその背景を整理し、どのような人にカーリースが向いているのか、契約前に確認すべきポイントについて詳しく解説しました。カーリースに対して「やめとけ」といった否定的なイメージを持つ人がいるのは事実ですが、その多くは誤解や情報不足に起因しています。すべての人に最適な選択肢とは言えないものの、仕組みを正しく理解し、自分のライフスタイルに合った使い方をすれば、非常に利便性の高いサービスであることも確かです。また、カーリースは車にまつわるさまざまな手続きや維持費を一本化できる、合理的な仕組みです。「費用が高くなる」と感じる方もいますが、それは車検や税金、整備費用などを別で管理する煩雑さから解放されることへの対価とも捉えられます。また、所有できないという点をデメリットと見るか、むしろ所有リスクから自由になると見るかでも、印象は大きく異なります。大切なのは、インターネット上の意見だけで判断するのではなく、自分自身のライフスタイルや価値観をもとに、最適な選択肢を見つけることです。