幅広い層から人気を集めているクルマのタイプといえば、クロスオーバーSUVです。見た目がスタイリッシュで室内が広く、なおかつ視点が高く運転もしやすい。4WDを選べばアウトドアでも活躍してくれ、乗用車ベースなので快適性も高い。そんな万能に使える一台がクロスオーバーSUVなのですから人気なのも当然です。
人気のクロスオーバーSUVですが、その中でも特に支持を集めているのがトヨタのハリアーとRAV4ではないでしょうか。同じトヨタのSUVでありながら一方は都会的でクーペ的なスタイリッシュさを持つハリアー。対してRAV4は、アウトドアテイストが強く、ハードなイメージ。どちらも販売は好調で、販売台数ランキングでも常に競い合っています。
でもこの2台、実はプラットフォームが共通の兄弟車ということをご存じでしょうか。印象が大きく違っているのですがその中身は共通点も多く、価格的にもバッティングしています。そして、この2台を比較してどちらを購入するべきか悩んでいるという方もきっといるはず。そこで、このハリアーとRAV4、ベースは同じながら何が違っていてどちらにどんな魅力があるのか比べてみました。
目次
- 1 ハリアーとRAV4ならどちらがおすすめ? 人気の2車種を徹底的に比べてみた
- 2 ハリアーとRAV4 それぞれどのようなクルマなのか
- 3 ボディサイズを比べてみると わずかにハリアーのほうが大きい
- 4 エクステリアには どのような違いがあるのか
- 5 ラグジュアリーなハリアーに対して カジュアルで上質感があるRAV4
- 6 搭載するパワーユニットは全く同じ 燃費にはわずかな違いあり
- 7 4WDに違いあり。RAV4にはハリアーにはない 「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載
- 8 どちらも充実した予防安全機能を 全グレードに標準装備
- 9 ハリアーとRAV4新車販売価格の 違いはどれくらいあるのか
- 10 兄弟車でありながらどちらも個性が光る デザインの好みと予算で選ぶのが正解?
ハリアーとRAV4ならどちらがおすすめ?
人気の2車種を徹底的に比べてみた
(引用:トヨタ公式HP)
「GA-Kプラットフォーム」と呼ばれる、基本となるプラットフォームが共通だといっても、いったい具体的にどんなところが共通なのか。まず、プラットフォームについてですが、クルマを構成する基本部品の一連の組み合わせのことを指します。
フレームやサスペンション、ステアリング、パワートレインといった、クルマにとって必要不可欠な要素がプラットフォームで、クルマの基礎部分のことをいいます。
以前はこのプラットフォームのことをシャーシ(またはシャシー)などと呼ぶのが一般的でした。しかし、近年では海外の例にならってクルマの基本骨格部分をプラットフォームと呼ぶようになったようです。
つまりハリアーとRAV4はそんなクルマの基本構成部分が一緒ということです。とはいえ見た目には全く別のクルマにもみえますよね。でも、諸元表や装備などを比べてみると確かに基本構成部分が同じで、スペックなども共通している部分がたくさんあります。
しかし、多くの方はそれぞれの特徴を見て、興味を惹かれ別のクルマとして購入したいと思うはずです。ただ兄弟車なことは間違いなく、もしかしたら、じっくり比べてみると同じようなシーンに使えて、なおかつ車格も変わらない、価格的に検討の余地があるかもしれません。
ハリアーを狙っていたけれど、実はRAV4のほうが自分の使い方にもマッチしているということもあるかもしれません。そこで、ハリアーとRAV4じっくり比べてみてどんなところに共通点があって、何が違っているのか詳細に比較してみましょう。
ハリアーとRAV4
それぞれどのようなクルマなのか
(引用:トヨタ公式HP)
まず、あらためてハリアーとRAV4がどのようなクルマなのかみてみましょう。まずハリアーですが、都会派クロスオーバーSUVの先駆者であり、このジャンルの基礎を作ったいわば元祖といえる存在です。SUVでありながらラグジュアリーな高級モデルというジャンルを確立したのがハリアーです。
誕生は1997年で、もともとは北米向けのレクサスRXを国内のトヨタ向けに展開したモデルでした。現在はレクサスRXとハリアーは全く別のモデルとなっています。ただしレクサスRXよりも小型のレクサスNXはハリアーとプラットフォームを共通とする兄弟車(つまりRAV4とも兄弟車)です。
現行モデルは2020年6月に、モデルチェンジした4代目モデルで以後販売台数ランキングの上位に常に食い込むほどのヒットモデルとなっています。ただし、あまりに人気が高いため大量のバックオーダーを抱えており、現在は納期が長期化しています。
ハリアーといえばなんといってもスタイリッシュなデザインと高級感満点のインテリアが特徴です。乗り心地も快適で走りのパフォーマンスにも余裕があるので、クロスオーバーSUVに高級感を求めるという方には圧倒的な人気となっています。
ではRAV4はどんなクルマなのか。RAV4は乗用車的なSUVの元祖ともいえる存在です。誕生はハリアーよりも古く1994年。当時はSUVなどとは呼ばれていなくて、シティユースの4WD車などと呼ばれていました。ただし、セリカ譲りのフルタイム4WDを搭載しており、走破性が意外なほどが高いという特徴も持っていました。
現行モデルは2018年に発売が再開(4代目モデルは国内販売がなかった)された5代目モデルで従来のRAV4よりも、ハードなイメージの外観を持ち、ボディサイズも堂々としたもとなって一気に人気を取り戻しています。
ハイブリッドやPHEVなどによる経済性の高さ、優れた4WDシステムによる外観に負けない走破性の高さ、さらに室内も広く居住性も高い上、インテリアはハードなイメージを醸しだしつつ高級感もあるということから、従来のRAV4ファン以外からも人気を集めています。
それぞれハリアーとRAV4にはこういった違いがあります。どちらも先駆者という点でも共通点がありますが、他にはどのような違いあるのでしょうか。
ボディサイズを比べてみると
わずかにハリアーのほうが大きい
(引用:トヨタ公式HP)
まずボディサイズの比べてみましょう。ハリアーとRAV4のボディサイズは以下になります。
●ハリアーボディサイズ
全長:4,740㎜×全幅:1,855㎜×全高:1,660㎜
ホイールベース:2,690㎜ 車重:1530~1,690kg
●RAV4ボディサイズ
全長:4,600~4,610㎜×全幅:1,855~1,865㎜×全高:1,685~1,690㎜
ホイールベース:2,690㎜ 車重:1500~1,700kg
比べてみると、どちらも似たようなサイズであることがわかります。ボディサイズでいうとハリアーのほうがわずかにRAV4よりも大きいですね。全長で14cmもちがうと、かなり印象は変わってくるかもしれません。
ただし、イールベースは2,690㎜でまったく一緒です。この辺はプラットフォームが共通であることをうかがわせます。車重もほぼ一緒となっています。ということは運転感覚に関してもそれほど違いがないのかもしれません。
エクステリアには
どのような違いがあるのか
(引用:トヨタ公式HP)
ではエクステリアを比べてみましょう。ハリアーはまるでクーペのような、なだらかな流線形のプロポーションが特徴です。これは初代からのアイデンティティともいえるもので、クロスオーバーSUVというジャンルの基本的なデザイ(先駆者がハリアーなのでこのスタイルの元祖です)といってもいいかもしれません。
フロントにはシャープなヘッドライトと躍動感あるスタイリッシュなバンパーを採用しており、後方に向かって絞り込まれた肉感的なボディラインも相まってクールでスポーティなスタイルに仕上がっています。
RAV4は、オフロードをイメージさせる力強さを表現したタフなスタイルが特徴的です。プラットフォームは乗用車的なものなのですが、本格派のクロスカントリー4WDを思わせるような迫力があります。
それでいて、泥臭さはなく洗練されたプロポーションとなっているのがRAV4ならではといったところでしょう。未塗装のフェンダーアーチモールやサイドのスカッフプレートなどはアウトドア走行をイメージさせており、標準のアルミホイールなども力強さを感じさせるデザインとなっています。
あらためて比べてみると、サイズ感はとても似ています(同じプラットフォームなので当然です)が、エクステリアの印象は全く別モノですね。トヨタは非常に巧みにイメージ変えることに成功しているといっていいでしょう。では見た目の印象が違うだけなのでしょうか。
ラグジュアリーなハリアーに対して
カジュアルで上質感があるRAV4
(引用:トヨタ公式HP)
インテリアに関してはどのような違いがあるのか。ハリアーは高級サルーン的な、居心地のよいラグジュアリーなインテリアデザインを採用しています。
各部に触り心地も意識したレザー調素材が多く使われており、ディテールまでこっています。また、センターコンソールは馬の鞍をイメージしたとても個性的なデザインとなっており、質感も満点です。
一方RAV4は、ハリアーよりは少しカジュアルなイメージです。アウトドアで使われることを想定したシンプルかつ使いやすさを重視したデザインとなっています。といっても質感は非常に高く、一部グレードにはオレンジをアクセントに使いアクティな演出もされているなど、ハリアーとは違った個性が魅力的です。
また、豊富な収納スペースも用意されているほか、ドアミラーの付近には三角窓を取り付けており、前方斜めの視界も考慮されているなど、実用的な面にも優れています。
それぞれ乗り比べてみると、兄弟車とは思えないほどどちらも個性的なインテリアとなっていますが、実はインパネ回りを画像などで並べて比べると、エアコンのダイヤルなどの操作系や吹き出し口の位置、メーターパネルや中央の液晶パネルのサイズや配置、シートのデザインやサイズ、グローブボックスなど共通する部分が発見できます。こうしてみるとやはり兄弟車なのが理解できます。
搭載するパワーユニットは全く同じ
燃費にはわずかな違いあり
(引用:トヨタ公式HP)
ハリアーとRAV4それぞれのパワーユニットに違いはあるのでしょうか。比べてみましょう。まずハリアーのパワーユニットのラインナップです。
●ハリアー
2Lガソリンエンジン
2.5Lガソリンエンジン+モーター(ハイブリッド)
2.5Lガソリンエンジン+モーター(プラグインハイブリッド)
そしてRAV4のパワーユニットのラインナップがこちらです。
●RAV4
2Lガソリンエンジン
2.5Lガソリンエンジン+モーター(ハイブリッド)
2.5Lガソリンエンジン+モーター(プラグインハイブリッド)
このように全く同じです。当たり前ですね兄弟車なのですから。ではスペックに違いがあるのか?
■ハリアーパワーユニットスペック
●2Lガソリン
最高出力126kW(171PS)/最大トルク207N・m(21.1kgf・m)
●2.5Lハイブリッド
エンジン:最高出力131kW(178PS)/221N・m(22.5kgf・m)
フロントモーター:最高出力88kW(120PS)/202 N・m(20.6 kgf・m)
リアモーター:最高出力40kW(54PS)/121 N・m(12.3 kgf・m)
●2.5Lプラグインハイブリッド
エンジン:最高出力130kW(177PS)/219N・m(22.3kgf・m)
フロントモーター:最高出力134kW(182PS)/270 N・m(27.5 kgf・m)
リアモーター:最高出力40kW(54PS)/121 N・m(12.3 kgf・m)
■RAV4パワーユニットスペック
●2Lガソリン
最高出力126kW(171PS)/最大トルク207N・m(21.1kgf・m)
●2.5Lハイブリッド
エンジン:最高出力131kW(178PS)/221N・m(22.5kgf・m)
フロントモーター:最高出力88kW(120PS)/202 N・m(20.6 kgf・m)
リアモーター:最高出力40kW(54PS)/121 N・m(12.3 kgf・m)
●2.5Lプラグインハイブリッド
エンジン:最高出力130kW(177PS)/219N・m(22.3kgf・m)
フロントモーター:最高出力134kW(182PS)/270 N・m(27.5 kgf・m)
リアモーター:最高出力40kW(54PS)/121 N・m(12.3 kgf・m)
スペックにも違いがありません。RAV4はオフロードよりなので、低速トルクが太いなどの差があるかと思いましたが数値を見る限り違いはないようです。ただし燃費に関しては多少の差があります。
■ハリアーWLTCモード燃費
2Lガソリン/14.7㎞/L(4WD)
2.5Lハイブリッド/21.6㎞/L(4WD)
2.5Lプラグインハイブリッド/20.5㎞/L・充電電力使用時走行距離93㎞(4WD)
■RAV4WLTCモード燃費
2Lガソリン/15.2㎞/L(4WD)
2.5Lハイブリッド/20.6㎞/L(4WD)
2.5Lプラグインハイブリッド/22.2㎞/L・充電電力使用時走行距離95㎞(4WD)
全て4WDのグレードで比べてみましたがこのようにわずかに差があります。ガソリンエンジンではRAV4のほうが燃費が良いのに対して、ハイブリッドではハリアーのほうが燃費が良いと逆転するのが面白いですね。ただ、数値的には誤差の範囲というかほぼ同じと考えていいでしょう。
4WDに違いあり。RAV4にはハリアーにはない
「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載
(引用:トヨタ公式HP)
パワーユニットには差はありません4WDシステムには違いがあります。ハリアーの4WDにはダイナミックトルクコントロール4WDとハイブリッドのE-Fourが採用されています。RAV4はハリアーと同じダイナミックトルクコントロール4WDとハイブリッドのE-Four、さらにダイナミックトルクベクタリングAWDも採用されています。
ダイナミックトルクコントロール4WDは、基本はFF(前輪駆動)がベースで、滑りやすい路面などでは瞬時に前輪駆動と四輪駆動を切り替えることで、路面状況に応じたトルクの制御が可能とした4WDシステムです。
車両の状態に応じて、最適な駆動力を四輪に配分してコントロールしてくれるので操縦安定性を高めてくれ、安定した走りを楽しめるというのがこの4WDです。走破性よりも、雪道などでの安定性に優れたシステムといえるでしょう。
RAV4だけに採用されているダイナミックトルクベクタリングAWDは、ダイナミックトルクコントロール4WDよりもさらに高度なシステムです。
基本はFF(前輪駆動)がベースで、滑りやすい路面などでは瞬時に前輪駆動と四輪駆動を切り替えるというのは同じですが、トルクを前後で制御するだけでなく、後輪トルクも左右独立で制御して旋回時の安定性とトラクション性能を高める「トルクベクタリング機構」を持っています。
そのため、滑りやすい舗装路では、安定した姿勢を保ちながらのコーナリングが可能なうえ、オフロードでも高い走破性を発揮してくれます。悪路での走破性を重視するならRAV4のダイナミックトルクベクタリングAWDのほうが優れているといえるでしょう。ただしダイナミックトルクベクタリングAWDが選べるのはRAV4でもガソリンエンジンのAdventureグレードと、Gグレードの“Z package”のみとなっています。
どちらも充実した予防安全機能を
全グレードに標準装備
(引用:トヨタ公式HP)
ハリアーとRAV4ともに予防安全機能の「Toyota Safety Sense」が全グレード標準装備です。プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)や、レートレーシングアシスト、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)にパーキングブレーキサポートなどがセットとなっており、どちらも安心して運転に集中できるでしょう。
ハリアーのみに搭載されているのは、アダプティブハイビームシステムやITS Connectです。アダプティブハイビームシステムは、LEDの配光範囲を細やかに制御して、前を走るクルマや対向車にヘッドライトの光が当たる部分だけを自動的に遮光してくれるというもの。ハイビームでの走行がしやすくなり、安全性を高めてくれます。
こちらはハリアーのS以外のグレードに標準装備されています。RAV4にはこの機能はありませんが、代わりに自動的にハイビームとロービームを切り替えてくれるオートマチックハイビーム[AHB]機能が全グレードに標準装備となっています。
また、「ITS Connect」もハリアーだけの装備で、メーカーオプション(2万7,500円)での設定となっています。ITS Connectはクルマに搭載されたセンサーでは捉えきれない視界の外のクルマや人の存在、さらに信号情報などを、道路とクルマ、さらにクルマ同士が直接通信してマルチインフォメーションディスプレイやブザー音でドライバーに知らせてくれるというものです。これがあればより安全な運転が可能となります。
ハリアーとRAV4新車販売価格の
違いはどれくらいあるのか
(引用:トヨタ公式HP)
では肝心の価格にはどのような違いがあるのか。まずハリアーの新車価格ですがこちらはガソリン車が312万8,000円~453万8,000円で、ハイブリッドが371万8,000円~514万8,000円。PHEVが620万円です。
そして、RAV4の新車価格は、ガソリン車が293万8,000円~383万6,000円でハイブリッド車が353万8,000円~450万3,000円。そしてPHEVが563万3,000円となっています。
新車価格で比較すると、ハリアーのほうがRAV4よりも高額となっています。ただしその差は装備内容に準じていて割高ではありません。ラグジュアリーSUVと、オフロードSUVという両者のポジションを考えると妥当な価格設定といえるでしょう。
兄弟車でありながらどちらも個性が光る
デザインの好みと予算で選ぶのが正解?
(引用:トヨタ公式HP)
実は兄弟車であるハリアーとRAV4について比較してきましたが、プラットフォームやパワーユニットは同じであっても、それぞれにデザインや装備に個性があって、別々の魅力を持っているということがわかりました。
ハリアーはエクステリアやインテリアにこだわったラグジュアリーな高級SUVであり、高級車のような快適さが味わえる都会派SUV。RAV4はクロスオーバーSUVでありながら本格クロスカントリー4WDに匹敵する優れた走破性を持ったオフロード志向のSUVということになるでしょうか。
SUVに高級感や快適さを求めるならハリアー、使い勝手の良さやいざというときに走破性をもとめるならRAV4が適しているといえるでしょう。とはいえいずれにしても双方とも、室内スペースに余裕があり、動力性能も非常に高い。またハイブリッドやPHEVなら経済性も抜群で、安全性能もクラストップレベル。となればあとはデザインの好みや予算で決めるしかないかもしれません。
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