2018年にフルモデルチェンジを実施した、トヨタのフラッグシップセダンがクラウンです。伝統であったロイヤルやアスリートといったシリーズを廃止し、スタイリングもクーペスタイルのスポーティなものに一新。一気に若返りを図ったことで大きな話題を呼び予想を超えるヒットとなりました。そんな新型クラウンの登場から1年、先日、初の特別理仕様車となるElegance Style(エレガンススタイル)が加わりました。新型クラウンをさらに上質に装ったその特別仕様車とはいったいどのようなクルマなのか?装備や価格などを詳しくチェックしてみましょう。
目次
伝統の王冠まで廃止し
イメージを一新した新型クラウン
(引用:トヨタ公式HP)
2018年7月、定番の国産高級セダンというそれまでのクラウンから大きくイメージチェンジを図った15代目となる新型クラウン(220系)が登場しました。クラウンといえば、よく言えば落ち着いた上品なセダンという印象でしたが、悪く言えばおじさん臭いというイメージがどうしてもぬぐいきれませんでした。しかし、この新型では見た目も中身も、大きく方向転換し若がえりを達成しました。
まずは先代の210系クラウンまで3世代にわたって使い続けてきたプラットフォームを一新しています。TNGA(Toyota New Global Architecture)FRと呼ばれる新開発のGL-Nプラットフォームを採用し、走行性能と安全性、さらに居住性まで向上させています。
さらに、伝統のロイヤルや、人気のアスリート、高級モデルのマジェスタといったシリーズまでも廃止。これまでのクラウンとは違うんだ!というトヨタの強いメッセージを感じます。
また、スタイリングもヨーロッパの高級セダンのような6ライトウインドウを採用。従来の太いCピラーを持つ明確な3ボックスのセダンスタイルではなくスポーティなクーペ風のファストバックスタイルに大きくイメージチェンジしています。
加えて、クラウンのアイデンティティともいえるCピラーに配されていた王冠のエンブレムまで廃止(オプションでは設定されています)するなど、トヨタが本気でクラウンユーザーを若返らせたいと考えていることが伝わってくる見事なフルモデルチェンジでした。
実際それは成功し、セダン不振の中、販売は予想以上に好調です。フルモデルチェンジとなった2018年7月から、2018年の12月までの累計販売台数は3万7980台。ということは、月販平均台数は約6330台です。トヨタがこの新型クラウンに設定していた月販目標台数が4500台なので、それを大きく上回っているということになります。
さすがに最近は(2019年8月現在)その人気も落ち着いてきていますが、筆者が住む地域でも、街中で見かける機会は確実に増えてきました。
そんな新型クラウンですが、フルモデルチェンジから1年たった2019年7月、現行モデルとしては初めてとなる特別仕様車、S“Elegance Style(エレガンススタイル)”が設定されました。ベースとなったのは、かつてのクラウンロイヤルに相当する標準的なSグレードで、2Lターボエンジン搭載のSと、2.5Lハイブリッドモデルの同S、そして2.5Lハイブリッド+4WDのS Fourの3モデルです。
トヨタのプレスリリースによると、これらをベースに内外装の上質感を高めたということですが、いったいどんな特別な装備が搭載され、何がベースのクラウンSグレードと違っているのでしょうか。次のパートから具体的に見ていきましょう。
ベースグレードのSをもとに
上質感をアップ。そのお得度は?
(引用:トヨタ公式HP)
新たにクラウンに設定された特別仕様車がS“Elegance Style(エレガンス スタイル)”です。ベース車にインテリアやエクステリアに特別な装備や仕様を施して上質感を高めたものとなっています。
ただこのS“Elegance Style”は、装備内容などをよく見てみると、Sがベースと言うよりも、Sに安全装備の「セーフティパッケージ」と「セーフティパッケージPlus」をセットにしたS “C package”がベースとなっていると考えた方が正しいようです。
細かく見てみると“C package”には装備されているカラーヘッドアップディスプレイとナノイー機能は装備されませんが、そのほか安全装備の内容などはほぼS “C package”と同様となっています。ということは、“C package”からカラーヘッドアップディスプレイとナノイー機能をのぞき、“Elegance Style”だけの特別仕様を施したもの、というのが正しいでしょう。
そのため、差額などもS “C package”と比較したほうが現実的です。具体的に各SグレードやS “C package”グレードとの差額に関しては以下のようになっています。
クラウン“Elegance Style”/S“C package”/S 価格表
グレード名 | 価格 | Cpackageとの差額 | Sとの差額 |
---|---|---|---|
2.5 S Four”Elegance Style” | 541万2,960円 | 3万9,960円 | 21万8,160円 |
2.5 S”Elegance Style” | 519万6,960円 | 3万9,960円 | 21万8,160円 |
2.0 S”Elegance Style” | 498万0,960円 | 3万9,960円 | 23万4,360円 |
2.5 S Four”C package” | 537万3,000円 | ||
2.5 S”C package” | 515万7,000円 | ||
2.0 S”C package” | 494万1,000円 | ||
2.5 S Four | 519万4,800円 | ||
2.5 S | 497万8,800円 | ||
2.0 S | 474万6,600円 |
このように単純に比較してみると、ほぼ同様の装備を持つS“C package”より3万9,960円のアップということが分かります。ベースとなった素のSからだと20万円ほど高くなっているということになりますね。この差額がいったお得なのかどうか、次のパートではその装備内容や仕様の違いなどを細かく見ていきましょう。
エレガンススタイルの
気になる特別仕様の内容とは
では気になる特別仕様ですが具体的に何が変わっているのでしょう?まずエクステリアに関してですが、プレスリリースや公式サイトを見ても、どうやら大幅な仕様変更はありません。しかし、アルミホイールがベース車であるSや、S “C package”ではメーカーオプションとなっている、18インチノイズリダクションアルミホイール(ハイパークロームメッキメタリック塗装)&センターオーナメントとなっています。複雑なスポークデザインを持つかなりスタイリッシュなアルミホイールです。
このホイール、Sや、S“C package”にオプションで追加可能なのですが、そのオプション価格は7万1,280円です。結構高いですね。
先ほどの表で、車体の差額が3万9,660円でしたから、それで7万円以上高いホイールが装着されると考えると、これだけでも3万円安い。お得に思えますね。
しかし、注意すべきはSやS“C package”にも元々アルミホイールが装備されているということ。17インチでタイヤサイズも215/55なのでグレード的にはちょっと落ちますが、シンプルなスポークホイールはクラウンにふさわしい高級感もあります。これとの差引で差額を考えるとお得度は2万円くらいでしょうか。
他にはドアハンドルがボディ同色からメッキに変わっています。エクステリアではその2点のみが違っています。ちょっとあっさりしていますね。
でも、その分インテリア関係はかなり上質感が高められた特別仕様になっています。まずはシートの表皮が大きく変わっています。最高級ヌバック調表皮であるブランノーブと合成皮革の組み合わせとして実にゴージャスな見た目と肌触りに変わっています。さらに、これに合わせてドアトリムやインストルメントパネル、センターコンソールのサイドにも、同じくスエード調で手触りのよい上質な素材、グランリュクスを使用されているのです。
また、内装飾として、標準のブラックのほか、落ち着いたキャメル系の色あいの「こがね」を選ぶことができます。この明るすぎない上品な色あいがとても落ち着いていて、実にゴージャス。確かにベースモデルよりも確実に上質感が高められています。
加えて、センターコンソールパネルにも美しい木目が特徴的な欅調の黒木目を採用。エレガンススタイルの名に恥じない上質でエレガントな室内空間を実現しているのです。
この仕様は、通常のオプションなどでは選ぶことのできないエレガンススタイルならではの特別仕様です。それがわずか3万9,660円の差額で、前述の高級感満点の18インチアルミホイールと、このゴージャスなインテリアが手に入ると考えると非常にお得です。
ちなみにS“C package”にレザーシートパッケージのオプションを追加すると28万4,040円かかります。こちらは本革でシートベンチレーションなども装備されるので合皮のS“Elegance Style”よりもさらに高級なもの。この金額から考えると、S“Elegance Style”のシートやインテリアの金額をもしオプションとして設定したら最低でもその半額、14万円以上はするのではないでしょうか。つまりはそれだけ、S“Elegance Style”お得であるということのなるというわけですね。
安全装備の充実度も大きな魅力
新型クラウンは、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が全モデル標準となっていますのでもちろんS“Elegance Style”にも標準装備です。加えてS “C package”と同じく、隣の車線を走るクルマだけでなく、後方車両への接近警報が可能なブラインドスポットモニターや、接近してくる車両や歩行者に対しても自動(被害軽減)ブレーキが作動して、衝突被害の軽減をサポートしてくれるリヤクロストラフィックオートブレーキ(パーキングサポートブレーキ)なども装備されています。
さらに、安全装備ではありませんが、便利なオートワイーパーやスマートエントリー&スタートシステムなどといった、素のSグレードではオプションとなっている(S “C package”には装備されています)各種快適装備も満載です。
フロントウインドウにスピードやレーン表示のほか、カーナビと連携したルート案内などを表示してくれるカラーヘッドアップディスプレイが装備されておらず、またオプションでも追加できない(Sはセットプション、S “C package”には標準装備)というのはちょっとだけ残念ですが、あくまで付加的な装備ですので安全装備のように誰もが必要とするものでありません。
その分シックでゴージャスな特別なインテリアが手に入ると思えば、やはり非常にお得でとても魅力的な特別仕様車だといっていいでしょう。クラウンの購入を検討しているならS“Elegance Style”は必ずチェックしておくべきです。