2018年10月25日、トヨタは、人気のLクラス高級ミニバン、アルファードとヴェルファイアにマイナーチェンジを実施し、販売を開始しました。
アルファードとヴェルファイアといえばLクラスミニバンの中でも圧倒的な人気を誇る車種。そのゴージャスなスタイリングと充実した装備はライバルを圧倒しミニバンファンにとってはあこがれの存在です。いつかは手に入れたいと思っている方もきっと多いはず。
となれば、このマイナーチェンジのニュースが気になっている方も少なくないのではではないでしょうか。
でも、マイナーチェンジといえば、アルファードとヴェルファイアは2017年末にマイナーチェンジが実施され、2018年1月から新型が発売になったばかりのはず。それからわずか9カ月しかたっていません。普通は何かしら不具合が起きたときや、その車種の人気が落ちてきた際に実施されるのがマイナーチェンジですが、一体どういうことなのか?
それに、アルファード&ヴェルファイア兄弟はわざわざマイナーチェンジを実施するほど人気が落ちていたわけではありません。むしろ大人気で、生産が追い付かず注文しても納車まで待たされていたくらいです。じゃあ何か問題があったのか?そういう話題は一切聞かれません。
ではどうして、また、どのような変更が施されたのか気になりますよね。実際どんな内容のマイナーチェンジだったのか、どのような理由が考えられるのか調べてみることにしましょう。
目次
何が変わったマイナーチェンジ
変更点は安全装備の標準化
(引用:トヨタ公式HP)
では、今度のマイナーチェンジで、アルファードとヴェルファイアにはどのような変更が施されたのか?トヨタのプレスリリースを見てみると、そこには以下のように書かれています。
今回の一部改良では、駐車場などでのアクセルの踏み間違いや踏みすぎなどで起こる衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ<静止物>)を全グレードに標準装備しました。
さらに、安全装備の充実を求めるお客様ニーズにお応えし、ナビゲーションとのセットオプションとしていたブラインドスポットモニターをデジタルインナーミラーとの組み合わせとしました。
となっています。実にあっさりした内容で文章もとても短い。というかこれだけの内容でマイナーチャンジとわざわざリリースを発表することか?と思えるほどです。結局大きな変更が施されたわけではなく、装備の一部設定の見直しがされたということしかわかりません。
外観やインテリアなど、マイチェン前のオーナーが特に気になるような部分での変更はありません。また、マイチェン前とマイチェン後を見た目から見分けることはできないでしょう。
車両価格に関しては従来メーカーオプション設定だったインテリジェントクリアランスソナーを全車標準装備したことで約3万円アップしています。これがインテリジェントクリアランスソナー代ということでしょうか。
ではインテリジェントクリアランスソナーに3万円を払うだけの価値はあるのでしょうか?そもそもインテリジェントクリアランスソナーとはどのようなものなのか、もしかしたら3万円を超える価値があるのかもしれません。それであったらとてもお得ですよね。気になるのでこちらについて詳しく調べてみました。
踏み間違い事故が約7割も減る?
インテリジェントクリアランスソナーとは
(引用:トヨタ公式HP)
マイナーチェンジによってアルファードとヴェルファイアに標準装備となったインテリジェントクリアランスソナーは、カタログなどを見ると従来のインテリジェントクリアランスソナーよりもさらに一歩進化したものになっているようです。
インテリジェントクリアランスソナーの基本は、クルマの前後に搭載された計8個のセンサーで前と後ろをしっかり検知して、間違えてアクセルを踏んでしまったときなどに、まずはブザーとディスプレイ表示で障害物(静止物のみ)の接近の危険を知らせ、さらに近付くと、エンジンの出力を制御します。
それでも障害物との距離が危険なレベルまで接近した場合に自動ブレーキを作動させるというものです。
こういった基本的な機能は同じようですが、では何が違うのか?従来のアクアなどにオプション装着できるインテリジェントクリアランスソナーについての説明を見ると「アクセルの踏み間違いや踏みすぎなどで起こる衝突を緩和し、被害の軽減に寄与するシステム。」となっています。
しかし、アルファード&ヴェルファイアのインテリジェントクリアランスソナーの説明を見るとちょっと違っていて「アクセル・ブレーキペダル操作に関係なく、低速取り回し時における衝突回避、または衝突被害の軽減に寄与するシステム。」こうなっています。
つまりは踏み間違いでなくても(低速走行時なら)障害物(静止物のみ)が接近した場合に被害を軽減してくれるということ。より安全性が高いということですね。
実際トヨタの調査によってインテリジェントクリアランスソナーによる事故低減効果の高さも発表されています。
その発表によると、「インテリジェントクリアランスソナー」を搭載している3車種(アルファード、ヴェルファイア、プリウス)について、2015年1月から2016年6月までの18カ月の間に駐車場で発生した事故を調査。当該車種約6万台分を契約している保険会社による約2500件の事故データを調査の結果、踏み間違い(ブレーキとアクセルの踏み間違い)事故件数は約7割減少。後退時事故件数については約4割減少という結果を得られたと発表しています。そちらのニュースリリースはこちらです。
その上、現在のアルファード&ヴェルファイアのインテリジェントクリアランスソナーは、さらに高度なシステムになっているのですからより効果が期待できるというわけですね。もちろんこれはあくまで運転を支援する機能なので、システムの過信は厳禁。必ずドライバーが責任を持って周囲の状況を把握し、安全運転を心がけなくてはいけないのは言うまでもありませんね。道路状況や車両の状態、天候およびドライバーの操作によっては、システムが正しく作動しないことがあるのでそれも心得ておきましょう。
とはいえこのような高度な安全機能が、たった+3万円程度の車両価格アップで標準装備となったのですから、アルファード&ヴェルファイアのオーナー予備軍にとってはありがたい限りでしょう。
高額なメーカーオプションナビなしで
安全装備の充実が図れるように
ちなみにもう一つの変更点、ブラインドスポットモニターに関してですがこちらはセットオプションの内容が変わっただけです。従来は高額な純正カーナビとのセットでしか選べなかったのが、よりリーズナブルなデジタルインナーミラーとのセットオプションに変更になっています。
ちなみにマイナーチェンジ前は、デジタルインナーミラーとのセットオプションだったのがインテリジェントクリアランスソナーでした。それが全車標準装備となったことで変更になっているのですね。
車体が大きく、どうしても死角ができてしまうアルファードとヴェルファイアですから、死角をカバーするブラインドスポットモニターに対するユーザーのニーズは以前から高かったようです。
しかし、60万円オーバーという超高額なメーカーオプションナビを選ばないと装着できなかったので装着に躊躇するという方も多かったはず。それが、今度のマイチェンで、グレードによりますが約10万円程度のデジタルインナーミラーとのセットオプションで装着できるようになっているのですから、ユーザーのニーズにトヨタが応えたということですね。
これによってカーナビの選択肢の幅が広がったという点もうれしいですし、何より手軽に安全装備の充実が図れるようになったということがオーナーにとって大きなメリットでしょう。
今回のアルファード&ヴェルファイアのマイナーチェンジですが、ニュースを見るだけでは、変更点があまりないな、という印象がありました。
しかし、こうして詳しくチェックしてみると今のクルマにとっても最も大切で、なおかつ注目度の高い安全装備を充実させることが目的で、それによって商品力を増したということだったわけです。
マイチェン直前にアルファードやヴェルファイアを購入してしまった、というオーナーはちょっと悔しいかもしれませんが、マイチェン後も外観や内装などの見た目はまったく変わっていません。それに今までなかった新たな装備が追加されたというわけでもありませんから、リセールバリューにも影響はないでしょう。ですから今回のマイチェンそれほど落胆する必要もありませんね。