ようやく落ち着き始めたこの年末年始、去年はあきらめたクルマでの帰省や、家族そろっての冬のドライブを今年は計画している、という方もきっといるはずです。クルマなら家族だけで移動できるので密を避けられるという点も安心ですし。
帰省となると当然長時間ドライブになります。そんな時にあると便利なのが車載専用Wi-Fiルーターです。そんなものがあるのをご存じでしたでしょうか。
ようするにポケットWiFiのクルマ専用版です。スマホを普段からカーナビ代わりに使っているドライバーにとっては、より安定した通信が行える上、専用の回線なので長時間ナビアプリを使っていても、スマホの速度制限がかかる不安もありません。経済的ですしとても便利なものなのです。その手軽さと便利さから利用者も増えているようです。
そんな、車載専用Wi-Fiルーターについて、どんな機器なのか、またサービス内容はどうなっているのか。さらに、気になる料金はいくらくらいなのか、今回あらためて紹介しましょう。導入を検討中の方も、またそんなものあるなんて知らなかった! という方も是非参考にしてみてください。
目次
スマホはもはやライフライン
クルマでの移動中も通信はできて当たりまえ
老若男女かかわらず、もはやどこに行くにしても、片時も手放すことのできないデジタルツールといえばスマホです。メールのやり取りにSNSの更新、さらにスマホ決済に各種情報収集、音楽や動画コンテンツを楽しむのだって今どきスマホは欠かせませんね。
それはドライブ中でも同じです。運転中はもちろんスマホの操作は厳禁ですが、カーナビがわりにスマホのナビアプリを使っているという方も多いはず。そんな方にとっては、普段の生活も、クルマの運転中もかわらずスマホがなければ間違いなく不便でしょう。もはやライフラインといってもいい。
そんな私たちの生活に欠かせないツールとなりつつあるスマホですが、普段から使っていて時に気になることがあります。それは通信環境です。都市部ではさすがに電波が届かないなんてことはめったにありませんが、ちょっと郊外にでかけると場合によっては電波が入らないなんてことも珍しくありません。
特にドライブ中の高速道路では、道中携帯電話会社の通信アンテナのない場所を走ることもありますし、また高速での移動中はどうしても電波が不安定になりがちです。
とにかく電波が届かなければスマホは全くの役立たず。高価なただの薄っぺらい板です。ナビアプリだって地図が表示できずルートの案内も当然できません。そうなったら非常に困りますよね。
それは、スマホのナビアプリに頼っているドライバーだけでなく、同乗する家族も電波が不安定だとネットも見れませんし、音楽も聞けずSNSのチェックできない。そうなったら間違いなく運転中のお父さん、お母さんに不満を漏らすはず。電波が届かないのは別にドライバーのせいではないので理不尽なのですが。
でも、そんなときにあると便利なのが車載専用のモバイルWi-Fiルーターです。
これがあれば電波が不安定になりがちな走行中でも安定したモバイル通信が可能になるというもの。さらに、WiFiなので、スマホの通信容量とは関係がない。つまり長時間データ通信してもスマホの回線に速度制限がかかるということもないわけです。これはありがたいですよね。
パイオニア・カロッツェリアの
車載専用WiFiルーターDCT-WR100D
(引用:パイオニア公式HP)
そんな車載専用のWi-Fiルーターとして、2020年12月に、カーAV機器でおなじみのパイオニアのカロッツェリアブランドから発売されたのが「DCT-WR100D」です。
参考サイト:https://jpn.pioneer/ja/carrozzeria/wifi_router/wifi_router/dct-wr100d/
こちらはクルマ専用のポケットWiFiで、サイズは非常にコンパクト。91.5mmm×16mm×44.5mmと手のひらサイズでたった50gしかありません。電源はシガーライターソケットからとる形式で電源をつなげば即車内にネット環境が構築できます。簡単ですね。
このコンパクトな本体にUIMカード(SIMカードの拡張版)が入っていて、回線としてはNTTdocomoの車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」のLTE(4G)回線を使用します。
気になる通信速度は下りが最大150Mbpsで上りが最大50Mbps。これぐらいの通信速度があれば不満はありませんね。YouTubeのFullHD動画だって余裕で再生できます。
DCT-WR100Dは一度に5台までの通信機器をつなぐことができるので車内の家族全員、運転中のお父さんのナビアプリの通信だって問題なく使えてしまうわけです。
価格は税込み27,500円で安くはないですが、なかなか魅力的な手ごろなプライス。利用にはdocomoのdアカウントが必要ですが、アカウントを持っていなくてもその場でスマホなどを使ってdアカウント登録するだけですぐに使用がはじめられます。もちろんその際に別途専用の回線契約を結ぶことになります。ではその通信料金はいくらくらいなのか。専用の回線というくらいだから何か特別なことがあるのでしょうか
利用料金は550円/1日から
1年契約なら月当たり1,100円とお得!
気になる通信料ですが、1日プランなら税込550円、30日プランなら税込1,650円となっています。例えば帰省の行きと帰りだけ使いたいというなら、2日で税込1,100円です。ちょっと使いたいというだけならこれは便利です。
利用も簡単で、DCT-WR100D 購入後docomo in Car Connectネットに登録しておけばマイページが作られるのでその都度利用期間を設定し手続きをして使えばいいのです。その際の事務手続き費用などはかかりません。そして支払いはクレジットカードかdポイント支払いとなっています。
割安なのは長期プランです。365日プランを選ぶと税込1万3200円/年となります。この1万3200円を12カ月で割るとひと月あたり1,100円。本体の価格27,500円を加えると、(27,500円+1万3,200円)÷12ヶ月=3,391円/月。これでLTE(4G)によるデータ使用が無制限で使えると考えると非常にお得ではないでしょうか。
ちなみに年間契約×2年とした場合はさらにお得で月々の支払い価格は2,246円となります。ちなみにこの契約には2年契約縛りとかはないので、必要な時だけその都度契約をして使うというのでも全然かまいません。
でも、安いのは確かですが、通信容量制限とかはないのか? なんとdocomoさん太っ腹。定額使い放題でデータ量超過による速度制限などもないそうです。普通ポケットWiFiとかだと“速度制限なし!“をうたっていても、3日間で10GBの通信容量を超えた場合翌日には速度制限がかかる、などということが多いのですが、このdocomo in Car Connectではそのような制限はないとのこと。これはうれしい。
定額使い放題で通信制限なし!
だったら自宅に持って帰って使えるのか?
そんな情報を知ってしまうと、「じゃあ、このDCT-WR100Dを自宅に持ち帰って家でもWiFiとして使ったらお得なのでは?」 なんて不届きなことを考える方もいるかもしれません。
しかし、そんな都合の良いことはできません。なぜなら、「DCT-WR100D」は車載専用のWiFIルーターであり「docomo in Car Connect」も車内でデータ通信専用のインターネット接続サービスだからです。
docomoが、この利用料金で使い放題をOKとしているのは、利用条件として「車載であること」としているから。どうやらジャイロセンサーが搭載されており、このセンサーが加速度を検知しないと通信が切れるような制御を行っているようなのです。
とはいえクルマが停止するたびに通信が切れるなんてことはなく、エンジン始動後の30分はクルマが停止していても通信が切れません。さらに走行をはじめるとそのまま途切れることなく快適な通信が可能となります。
そして目的地に到着してクルマを停車しても、クルマの電源がON状態(アクセサリーON)ならその後60分は通信が途切れることもありません。なので車内で使用している限りは通信は途切れることないわけです。
ただし、60分クルマが動かなければ走行していないとなって通信が自動的にOFFとなります。ですからDCT-WR100Dをクルマから取り外し車内でDC12Vをつないでも、通信はできないということなのです。
じゃあ、キャンプや車中泊の場合はどうなのか? 車中泊で一晩中WiFiによるネット環境が使えれば確かに便利。でも、その場合は走行中ではなく長時間の停車中の通信となるので、DCT-WR100Dの電源は切れてしまうでしょう。そういった使い方はイレギュラーですしNGなのです。
あくまで車載専用のものでありクルマの走行中にWiFi環境を提供してくれるモバイルルーターだということを理解しておきましょう。
とはいえ、DCT-WR100Dは価格もお手頃ですし、「docomo in Car Connect」の利用額も前述のようにかなりお得感があります。さらに、DCT-WR100Dを今(2021年11月現在)買うと、Huluが一カ月無料で利用できるので、年末年始に、長時間家族を乗せてクルマ帰省する予定などがあるなら手に入れておいて損はないのではないでしょうか。
付属のUIMカードは通信利用期間に
2年に縛りがあることには注意を
車内でネット通信を行うならDCT-WR100Dがあると非常にお得ということをご紹介しましたが、一つ注意点があります。それはDCT-WR100Dに付属のUIMカードについてです。UIMカードはスマホなどのSIMカードの簡単にいえば進化版のもの。このカードがハードに差されていないと通信が行えないというのはスマホもDCT-WR100Dも変わりません。
しかし、DCT-WR100Dに付属するUIMカードは通信利用期間に2年の縛りがあるのです。使用から2年経過したら新たに別売りの車載用Wi-Fiルーター更新用UIMカード「UIM-100」を購入し、古いUIMカードと差し替えないと通信ができなくなってしまいます。
そのUIMカードの金額ですが公式サイトによると税込5,500円。案外高いですね。このUIMカードを2年ごとに買い替えないといけないので、タイミングが悪いと、いざ使いたいとなった時に通信ができないなんてことになってしまうかも。もしDCT-WR100D を使うのであれば、付属のUIMカードの更新時期がいつになのかはちゃんと頭に入れておかないといけません。その点には注意が必要ですね。
ホンダは純正のHonda CONNECTの
オプションとして車内WiFiを用意
(引用:ホンダ公式HP)
こういった車内WiFiですが、自動車メーカー自身が提供しているものもあります。例えばホンダです。コネクテッドサービスHonda CONNECTに対応したホンダ車および、コネクテッドサービス対応の純正ギャザズカーナビを使用している方向けのサービスとして提供されている、ホンダトータルケアプレミアムで車内Wi-Fiサービスが提供されています。
こちらはオプションで1GBあたり利用料金は330円。先に紹介した、通信容量の制限なしで一日550円のdocomo in Car Connectと比べてしまうとちょっとお高いですね。
あくまでHonda CONNECT用の地図更新や緊急通報、エアコン操作などのコネクテッドサービスが主であり、そのおまけとしてWiFiサービスもオプションで提供しますよ、というもの。おそらく日常的に車載WiFiを使う人は想定していないのでしょう。
Honda CONNECT対応のヴェゼルなどのホンダ車オーナーでも本格的に車内でスマホやPCなどを使ったネット通信を行うなら、DCT-WR100Dとdocomo in Car Connectの組み合わせを別途用意した方が賢明かもしれません。
あくまで車以外では使えない車載専用の
WiFiルーターであることを忘れずに
DCT-WR100Dとdocomo in Car Connectの組み合わせ、ドライバーにとっても便利ですが家族にドライブ中でもスマホが命というお子さんがいるのであれば、間違いなく喜ばれるはずです。
ただし、DCT-WR100Dはあくまで車載用のWiFiルーターであるということも忘れてはいけません。クルマ以外では基本使えませんので、もし、車中泊やオートキャンプ用にWiFiルーターを用意したいというのであれば、DCT-WR100Dではなく、通常のポケットWiFiルーターを用意しておいた方が間違いないでしょう。
いずれにしてもネット環境は今やライフラインのようなもの。DCT-WR100Dなら一日単位で利用期間が選べるのでうまく活用すれば、手軽で快適な車内WiFi環境がスマートに構築できます。現在は半導体不足の影響もあって店頭では品薄になっているようですが、手に入れらそうなのであれば、この年末年始に向けて一つ入手を動いてみてはいかがでしょうか。家族にも喜ばれること間違いなしです。