国土交通省の保安基準の改正で2016年10月、オートライトの義務化が決定しました。新型車だけでなく2021年10月からは継続生産車も義務化となり、自動車メーカー各社はこれに合わせて現行車すべてにオートライトの標準化を行っています。

2021年5月にこの動きに先行する形でマイナーチェンジを実施しオートライトを標準化した一台がダイハツのウェイクです。合わせてお買い得な特別仕様車「VS」も設定しました。

このマイナーチェンジではオートライトの搭載が注目されましたが、実はこの追加された特別仕様車「VS」もなかなか魅力的でかつお買い得度も高い一台となっています。

そこでそんな新しいウェイクのオートライト機能と特別仕様車「VS」に注目して、その魅力を今回は掘り下げてみましょう。

オートライト機能が継続車にも義務化
無灯火のクルマがこれでなくなる?

LEDヘッドライトが普及したこともあって、対向車のライトがやけに眩しいな、と感じる機会が増えてきました。LEDはハロゲンランプよりも明るいというのもありますし、さらに光の指向性が強いというのもあって、より眩しく感じるのでしょう。

また、以前ならマナーとして交差点などで停止した際クルマのヘッドライトをスモールランプに切り替えて対向車が眩しくないようにする、などという習慣もありましたが、今は暗くなったら常時ヘッドライトを付けたままにしておくべきというのが常識になりつつあります。そのせいもあるのでしょう安全のためと思えば仕方はありません。

それに、新型車であればオートライトの機能が搭載されているので、そもそもヘッドライトは周囲が暗くなれば基本的に消灯(操作によって一時的に消すことは可能)しません。

さらに2021年10月以降は継続車にもオートライトが義務化。ようするに今後購入する新車には有無を言わさず全てについているのです。でも、それで交通事故のリスクが減るのであれば、ドライバーとして受け入れるべきでしょう。

薄暮時昼間に比べて事故率が4倍!
だからオートライトの機能は効果的

オートライトの義務化によってとにかく無灯火が減るのは良いことに間違いありません。とはいえこのオートライト、義務化スタートしたばかりですのでまだ搭載されていないクルマに乗っている方も多いでしょう。そこで、どういったものなのかあらためて簡単に説明します。

その機能はシンプルです。周囲の明るさに合わせてクルマがヘッドライトの点灯と消灯を自動的に行ってくれるというものです。特に操作は必要なく、常にオートライトONが基本。そしてオートライト機能をOFFにすることは(一時的にライトを消灯することはできますが、オートライト機能は自動で復帰します)できません。

周囲が暗い状況は何といっても交通事故のリスクが増します。内閣府が調査したところによると、特に危険なのが薄暮時。薄暮時とは日の沈みはじめる夕暮れの時間帯のことで、この薄暮時は明るい昼間に比べると、自動車と歩行者による事故率が4倍も上回るのだそうです。

多くの人が視界を確保するためにライト類を点灯する真っ暗な夜ではなく、ライトの点灯を迷うような中途半端な薄暮時が特に危険ということなのですね。

そこで、そんな薄暮時の事故を防ごうという目的で2016年10月から「道路運送車両の保安基準」が一部改定となり新車販売されるクルマの「前照灯(ヘッドライト)の自動点灯機能」、ようするにオートライト機能が義務化されることになったのです。

ヘッドライトを点灯することで周囲からの視認性が格段に増すので、接触事故などを防ぐことが期待できるというわけですね。

ヘッドライトを手動で消すことはできても
オートライト機能をOFFにはできない

この義務化によって、「すれ違い用前照灯(ヘッドライトのロービームです)は、周囲の明るさ(照度)に応じて、自動的に点灯及び消灯する機能を有さなければならない、ということになりました。さらにこの「自動点灯に係る機能」は「手動による解除ができないものでなければならない」ともなっています。

つまりオートライト機能を任意でOFFにすること(ライトを一時的に消灯することはできます)ができないということ。結果、夜間対向車や後続車のヘッドライトが眩しい! となっても、これはドライバーのせいではなく、新たに義務化となったオートライトのせいなのですね。確かに眩しいと思うこともありますが、この機能のおかげでヘッドライトの点灯し忘れが防げるのは間違いありません。

周囲が明らかに暗くなっているのにヘッドライトを頑なに点灯しないクルマというのもいまだにみかけますが、あれは危険極まりない。歩行者や自転車などを明らかにリスクにさらしています。そんな危険な無灯火のクルマを減らせるのですからオートライトの義務化は必要なことなのです。

いずれにしても今後新車を購入する場合、全てのクルマにこのオートライトが搭載されていることになります。新型車だけでなく継続車であっても2021年10月以降に販売されるものは全てオートライト標準装備(ただし、軽トラックやハイエースバンなどといった小型商用車は対象外)となっています。

ただ、当然ですが、すでに販売されているクルマに関してはオートライトの義務化はありません。メーカー独自基準のオートライト機能が搭載されているクルマもありますし、ないものもある。ドライバーの判断で早目の点灯を心がけるようにしましょう。

ダイハツのウェイクがベースグレードにも
オートライト機能を標準化


(引用:ダイハツ公式HP)

ということで、そんなオートライトを新たに標準装備としたクルマの一台がダイハツのウェイクです。軽スーパーハイトワゴンの個性派モデルで新型車ではなく継続車に当たります。

このウェイクにオートライトが標準化となったのは2021年5月10日のマイナーチェンジのタイミング。このマイチェンで廉価なエントリーグレードである「D」グレードにもオートライト機能が標準装備となりました。

マイチェン前のウェイク上級モデルにもオートライト機能が搭載されていましたが、その機能も少し変わり、運転中常に作動し、さらに自動再点灯する仕様に変更となっています。

これは新しい保安基準変更の「オートライトの義務化」にそったもので、「手動による解除ができないものでなければならない」というルールに合わせたためです。

新しいオートライト機能では、点灯しているライトを手動で消灯することはできても、車速が3km/hを超えたり、車速が3km/h以下の状態が約30秒経過した(停車時を除く)場合や、再度スイッチをオフにしたり、エンジンスイッチを再度オンにした場合にライトが再点灯します。

そして、オートライト機能自体はOFFにはできず、スイッチをOFFにして手を離すと自動的にオートの位置に戻ります。

ということで、新型「ウェイク」では、信号待ちなどで対向車が眩しくないように、一時的にライトをOFFにすることはできますが、ライトを消灯したまま走行することはできない様になったわけです。

マイナーチェンジによる具体的なウェイクの変更点は以下です。

  • ●Dグレードにオートライトを追加(全グレード標準装備化)
  • ●全グレードのオートライトを運転中常に作動する仕様に変更
  • ●サイドミラーを拡大

マイチェンというよりは本当に一部変更といった内容です。しかしこのマイチェンの発表では、それよりも注目すべきトピックがありました。それが特別仕様車「VS」の設定です。

アウトドアユースで便利な
特別装備を満載!


(引用:ダイハツ公式HP)

この新たに設定されたウェイクの「VS」は、ターボ搭載のGターボ“SAⅢ”がベースの「Gターボ“VS SAⅢ”」NAのL“SAⅢ”をベースとした「L“VS SAⅢ”」が設定されています。

特別仕様車として追加された装備の多くは共通で、汚れに強い防水の樹脂製イージーケアフロアやマルチフックなどのアウトドア・レジャーに最適な装備に加えて、ドライビングサポートパックやLED室内灯が備わっています。具体的に上げるとこちらになります。

  • ●LEDスタイルパック(G ターボ“SAⅢ”はもともと標準)
  • ●ドライビングサポートパック
     ・ステアリングスイッチ
     ・チルトステアリング
     ・運転席シートリフター
  • ●パノラマモニター対応純正ナビ装着用アップグレードパック(別途ディーラーオプションの純正ナビが必要)
  • ●上下2段調節式デッキボード(G ターボ“SAⅢ”はもともと標準)
  • ●ユーティリティフック/荷室床面フック/固定ベルト
  • ●LED室内灯
     ・フロント/リヤパーソナルランプ
     ・ラゲージルームランプ
     ・バックドアランプ
  • ●イージーケアフロア
  • ●15インチアルミホイール(Gターボ“VS SA Ⅲ”のみ)

特にアウトドアユースでの使い勝手を向上させてくれる装備が充実しています。例えばイージーケアフロアは車内の床や荷室に掃除がしやすい防水素材を採用したもので、泥のついたアウトドアギアや、濡れた荷物なども汚れを気にせずにおくことができます。

また、荷室床面フックや、ユーティリティフック、上下二段式デッキボードに加え、荷物を確実に固定できる固定ベルトまで付属。ウェイクは軽スーパーハイトワゴン随一の広さを誇りますがこれらがあれば、キャンプ道具などの大きな荷物でも安心して積み込むことができるでしょう。加えて夜間の積み下ろし作業を助けてくれる明るいLED室内灯を装備しているというのもうれしいポイントです。

LEDは室内灯だけでなくヘッドライトやクリアランスランプ、フォグランプにもLEDスタイルパックとしてセットで採用。悪天候時や灯りの乏しい山道などでもこれがあれば安心ですね。

他にも、これはGターボ“VS SA Ⅲ”のみですが15インチアルミ専用のアルミホイールが装着されるというのも見逃せません。ブラックとシルバーの2トーンカラーでオフロード車っぽいアクティブなデザインがウェイクにぴったり。このホイールだけでも自分のウェイクに装着したいというかたもきっといるはずです。

わずか4~6万円ほどの追加で
数々の魅力的な装備がプラスされる


(引用:ダイハツ公式HP)

これだけの装備が追加されて車両価格はGターボ“VS SA Ⅲ”の2WDが174万9,000円で、4WDが187万5,500円。そして、L“VS SAⅢ”の2WDが164万4,500円で、4WDが177万1,000円となっています。

ベース車の価格はそれぞれGターボ “SA Ⅲ”の2WDが170万5,000円で4WDが183万1,500円。そしてL“SA Ⅲ”は2WDが158万4,000円で4WDは171万500円です。その差額を計算してみるとターボ車が+44,000円で、NA車は+60,500円ほど。わずかそれだけの金額で前述のような豪華な装備が追加となるならこれは相当にお買い得といえるでしょう。

ためしに特別装備として追加された装備の価格をざっと計算してみました。すろと「G ターボ“VS SAⅢ”」に追加された装備の総額は約16.5万円。同「L“VS SAⅢ”」では装備の総額が約19.5万円相当となりました。ざっと12万円以上お得なわけですね。

ということは「ベースグレードのDにもオートライトが標準になったし、とにかくウェイクを安く買いたい!」というわけではないなら、この2つの特別仕様車が、現状ウェイクのベストグレードと言っていいのではないでしょうか。

少なくとも筆者がウェイクを購入するなら(そんな予定はありませんが)、グレードは「G ターボ“VS SAⅢ”」を選びたいですね。重いボディにはやはりターボ。それに広いスペースを生かしてウェイクをキャンプなどのアウトドア用に使うなら、特別装備の数々はかなり魅力的だからです。

なんといっても、後から社外アイテムでこれらに近い仕様に仕立てようと思ってもとてもじゃありませんが4万4,000円(G ターボ“VS SAⅢ”の場合)では済みません。本当にお買い得です。

アウトドアテイストをさらに磨いた
特別仕様車「VS」はお買い得度満点!


(引用:ダイハツ公式HP)

軽のスーパーハイトワゴンの中でも特に個性の強いデザインを持ったダイハツのウェイク。販売台数的にはライバルにちょっと差をつけられている感はありますが、今回のマイナーチェンジによって全グレードにオートライトが標準化されるなど、大幅ではありませんが着実な進化を遂げています。

さらに、便利な装備を満載した、お買い得な特別仕様車「VS」もラインナップにあらたに追加となった点も見逃せません。

軽のスーパーハイトワゴンは群雄割拠で魅力的なクルマは他にも数多いですが、家族でアウトドアを満喫できる一台を選ぶなら、このウェイクの特別仕様車「VS」はまさにぴったりでしょう。次のマイカーとして、軽のスーパーハイトワゴンを狙っているという方は、この新しいウェイクも抜かりなくチェックしておくべきです。きっと家族みんなが満足する一台となってくれるはずです。