カーリース車両はリース契約の期間マイカー同様に契約者が自由に使用できる便利なサービスです。でも、自由に使えるといっても、どれくらいまで許されるのでしょうか。車内での飲食、車中泊、ペットの乗車。よほど車内にダメージを与えなければどれも問題ありません。
それでは喫煙は?リース車両の中でタバコを吸うことは果たして何の問題もないのでしょうか?昨今の嫌煙の流れを考えると気になります。でも車内でタバコが吸えるか吸えないかは愛煙家にとっては重大な問題。そこで、カーリース車両での喫煙はOKなのかNGなのか、また喫煙車輛はそのまま返却しても問題なのかなど調べてみました。
目次
愛煙家にとって車内は
唯一残された最後のオアシス!?
嫌煙運動の盛り上がりや周囲からの白い目、さらに健康増進法の改正やたばこの増税など、年々厳しくなる喫煙環境。愛煙家にとっては日に日に肩身が狭くなるばかりです。中でも健康増進法の改正によって2019年7月からは学校や病院、行政施設などの敷地内で原則禁煙となりました。さらに、2020年4月1日からは、飲食店やオフィス、交通機関など全ての施設でも屋内が原則禁煙となっています。
もはや、どこなら吸えるのか?愛煙家は頭を悩ましているのではないでしょうか。正直元々タバコを吸わない筆者にはわからない悩みなのですが、周囲を見ても、もうタバコやめる…。といって昨年くらいから禁煙をはじめた友人も少なくありません。
ただし、結局やめられず禁煙を断念して「電子タバコなら周囲への迷惑も少ないから」と言い訳しながらタバコを吸い続けている人も少なくありません。いずれにせよ、都市部ではもはや街中で堂々と煙草を吸える場所なんてもうほとんどありません。仕方がないから自分だけの密閉環境であるマイカーの中でタバコを楽しんでいるという方も少なくないはずです。確かにクルマは密閉空間であり、同乗者がいなければ一人でタバコをたのしむ分には誰にも迷惑もかけません。そう考えると車内は愛煙家にとっては最後のオアシスなのかもしれませんね。
では、最近利用者が右肩上がりに増えているカーリースの場合は、喫煙に関してどうなのでしょうか?カーリースはマイカーと同様にリース契約者が自由にクルマを利用できるクルマのサブスクです。カーリース車両は、リース契約期間中マイカーのように自由にクルマを使うことのできるものですね。でもクルマそのものの所有者はあくまでカーリース会社です。契約者は使用者でしかありません。そしてリース契約期間が終了したら原状回復をしてリース会社に返却するのが基本です。
その場合、リース車両の車内でタバコを吸うことは一切問題ないのでしょうか。あらためて聞かれると難しい問題ですよね。その答え次第で愛煙家にとってはカーリースを利用すべきか、あきらめるべきかの選択を大きく左右することになるのではないでしょうか。
車内での喫煙ではなく
ペットの同乗についてはどうなのか
レンタカーやカーシェアリングの場合、車内での喫煙は禁止となっています。不特定多数の人がクルマを共有するのですから当然ですね。ではペットの同乗はどうなのか。ペットをクルマに乗せると、室内を汚したり傷つけてしまうリスクがあります。また動物の臭いが気になる方もいるでしょうし、アレルギーの問題もあります。
調べてみると、レンタカー会社によってはケージを使用し安全に乗車させる限りOKというケースもあるようです。カーシェアリングの場合は大手のタイムスカーシェアリングの場合禁止!となっていました。カーシェアリングは車両の管理がそこまで徹底していない(毎回貸し出すたびに掃除などは行われないということ。)ので仕方がないのでしょう。
では、カーリースはどうなのか?そのクルマを使うのは基本契約者(およびその家族)のみです。そこで調べてみましたがほとんどの場合ペットの同乗は禁止されていないようです。もちろん安全に配慮してケージを使い、車内をペットたちが動き回らないようにするのは当然ですが。
つまりカーリースの場合ペットを同乗させても大丈夫ということです。もし車内を汚してしまったり、臭いがついてしまったらクリーニングは必要です。もしペットを乗せたことで車内にキズが残ったり、取れない臭いがこびりついてしまった場合はリース満了後に違約金が請求されることになるでしょう。カーリースは原状回復して返却が基本なので、そうでない場合はもとに戻すための費用がかかるので仕方がありません。
タバコによるダメージがあれば
違約金が発生する可能性が
そして、肝心のタバコの場合ですが、カーリース車両での喫煙は基本的には禁止されていません。その辺はペットの同乗と変わらないわけです。ただし、これもペットの同乗と同じですが車内での喫煙によって内装が黄ばんでしまったり臭いがこびりついてしまったなどクルマにダメージを与えてしまった場合には違約金が発生します。特に臭いに関しては注意が必要です。
喫煙されている方はタバコの臭いに関して鈍感になっていますが、タバコを吸わない人は車内でたった一本タバコを吸われただけでその臭いが気になるものなのです。一本くらいなら換気をすれば臭いなんてなくなるはず、と思っているかもしれませんが大きな間違いです。過去に指摘されたことはないというならそれは同乗者の方が気を使って注意しなかっただけでしょう。それぐらい気になるものなのです。
それにいったんこびりついたタバコの臭いは、完全に取り除くに手間がかかります。素人が掃除した程度では完璧に取り除くことは困難です。プロの手が必要でしょう。そのためクリーニング&現状回復のために多額の費用が掛かるわけですからその分の結構な違約金請求される覚悟が必要です。
中古車買い取りでも
喫煙車の査定は大幅減点
「そんな、タバコくらいで大げさな」と、喫煙者の方は思うかもしれませんが例えば中古車の査定を考えてください。禁煙車と喫煙車では査定が大きく変わってきます。実際の査定額の違いを調べてみると例えば同じ年式の同じ車種、同グレードで走行距離や状態がほぼ同様だった場合、禁煙車と喫煙車では、いったいくら程の減点、減額になるのか。
喫煙車でもっとも減点になるのはシートの焦げ穴です。タバコの火で穴が開いてしまったシートの原状回復となるとシートを交換するしかありません。中古車を買う立場から見た場合タバコで穴の開いたシートなんて論外ですよね。つまりそれだけ価値を下げてしまったということになります。これはかなりの減点要素です。
次にタバコのヤニです、ルーフや内装にヤニが付着して黄色く変色してしまっていたらどうでしょう。これをクリーニングで元に戻すのは簡単ではありません。専門業者に依頼すれば不可能ではありませんがそれだけでの費用がかさんでしまいます。ヘッドライニング(ルーフの内張り)などの交換ともなれば、さらに費用がかかります。このようなことがあれば当然クルマの査定は大幅な減点、減額になります。この2つだけでも15万円程はマイナスになってしまう可能性が高いでしょう。さらにエアコンのクリーニングなども必要となれば返却時それ以上の違約金を請求される可能性があるということになるわけです。
シートや内装の交換とまでいいかなくてもルームクリーニングやシートの焦げ穴修理だけでも5万円以上のマイナスとなるはず。このように本来なら負担しなくても違約金を、カーリース車両の返却時に支払う羽目になるのです。
喫煙しても構わないが
後々のリスクも考える必要あり
つまり、リース車両は自由に使用してかまわないので車内で喫煙することは禁止されていない。でも、車内でタバコを吸ったことが原因で、最終的に違約金としてペナルティを払う可能性があるということになります。喫煙者に対してずいぶん厳しすぎるんじゃないか。と思うかもしれませんが、これは仕方のないこと。なぜならリース車はあくまでリース会社から借りているクルマであり自分のクルマではないからです。そのことを十分に理解しておく必要があります。
確かに自分のクルマのように自由に使えますが、リースが満了したその車両はリース会社に返却となり、さらにそのクルマはリースアップ車となり、中古車市場で販売されるものなのです。いまあなたの乗っているクルマが5年後や7年後、中古車として販売されることを想像してください。
リースアップ車は丁寧に乗られてきたクルマが多い(違約金が発生しないように丁寧に乗られているうえ、距離制限から走行距離も少ない場合が多い)ので、年式のわりに程度が良いというのが大きな魅力なのですが、そのクルマにタバコの臭いがこびりついており、内装が黄ばんでいたら(実際には違約金などによってクリーニングや補修が行われるのでそのようなことはありませんが)どうでしょう。だれが購入したいと考えるでしょうか。そう考えれば商品価値を大きく下げる行為である喫煙に対して違約金が発生するというのは当然のことではないでしょうか。
もちろんそこまでひどくない状態。内装の黄ばみなどはなく、タバコを吸わない人が乗れば臭いが少し気になるという程度であれば、個人によるクリーニングで査定のマイナスを最小限にできることもあります。
もし何度か車内でタバコを吸ってしまった、タバコが我慢できない家族や上司などを乗せた経験があるという場合は、車両の返却前にインテリア掃除と合わせて臭いを消すためのクリーニングをしておくといいでしょう。それだけでも査定が変わってくる可能性があります。また、どうしてもタバコを吸うことが我慢できない。でもカーリースが使いたいというなら別の選択もあります。
クルマがもらえるカーリースなら
タバコを気にする必要なし
それは買取を前提としたカーリースを使用するという方法です。一部のリース会社に限定はされますがカーリースの中にはリース契約満了時にクルマをそのままもらえるというものもあります。こういったカーリースはリース契約時にクルマの残価を設定していません。つまりリース満了時に残価を精算する必要がないのでクルマを返却する必要がないのです。当然返却時の原状回復費用などを心配する必要もありません。ということはいくらタバコを吸ったって違約金も発生しないということになるわけです。
「月々定額払いで最終的にクルマが自分のものになるって、それって結局マイカーローンといっしょじゃないの?」と思うかもしれませんが違います。あくまでカーリースです。頭金ゼロ、維持費など諸費用コミコミの月々定額で新車に乗ることができるというのは変わりません。車検などの際にもまとまった費用の出費は必要ないので家計の管理が簡単というメリットも変わらないのです。さらにクルマのヘコミやキズができても構いませんし、走行距離制限もない(契約途中でクルマを返却する場合にはあり)のでいくら乗ってもいいわけです。
クルマがもらえるカーリースにも
いくつかデメリットが
しかし買い取り前提のカーリースにもいくつかデメリットがあります。まずは契約が長期となること。月々定額で各種諸経費もコミコミ、毎月の支払いをある程度のレベルに抑えようとなると7年や9年といった長期のリース契約となってしまいます。今どきの新車なら9年乗ってもまだまだ問題など起こることはありませんが、9年同じ車に乗り続けるのはちょっと…。という方には向いていないかもしれません。
また、カーリースですから中途解約は基本的にできません。やむを得ない場合には、その分の精算金を負担しなくてなりませんがこれは通常のカーリースと変わりませんが、7年や9年という長期契約となれば途中で別のクルマに乗り換えたい!ということになるかもしれませんね。
また、費用に関してですが、月々定額であるのは間違いありませんが、このリース代金には金利も含まれています。つまり、リース特有の車両の使用料、新規登録のための諸費用、自動車税、自動車重量税、自賠責保険料、車検代、点検、整備費用といったものにも金利がかかってくるのです。ということは長期間のリース契約となるとトータルの支払総額はクルマを購入するよりもどうしても高くなってしまうということです。毎月の負担が定額でリーズナブルだからという理由だけで、長期カーリースを選んでしまうと後々公開する可能性もあるので注意が必要です。
クルマがもらえるカーリースよりも
購入したほうがお得な可能性も
カーリースの毎月定額を支払うだけで新車に乗ることができ、突発的な出費が不要というのは大きなメリットです。しかしそれが長期の契約となるとトータルでいくら払うことになるのかなどキチンと計算しておくべきです。
もし、最終的にそのクルマを自分のものとして所有したいのなら、マイカーローンなどとしっかりトータルの費用を比較するべきでしょう。タイミングによっては、正規ディーラーが低金利キャンペーンなどを打ち出していることもあるので、様々な選択肢を検討してみるべきでしょう。結果的に近所のディーラーで長期のマイカーローンで購入したほうがお得だった!など後悔することがないようにしっかり情報収集をするようにしましょう。カーリースはたしかに魅力的ですが、時には周囲を見渡し冷静に判断することが大切です。