日ごろから慎重な運転を心がけていても、ちょっとした気のゆるみでやってしまうのが駐車違反です。周りに駐車しているクルマもあるし、トイレに行くくらいのわずかな時間ならクルマを停めておいても大丈夫だろう…。と油断している時に限って、なぜか駐車監視員がその周囲を取り締まっていて、戻ってきたらあの嫌なステッカーが貼られていた、などということは、ドライバーであれば一度や二度くらい経験があるのではないでしょうか。

ではもし、駐車違反となってしまった場合どのように対応するのが正解なのでしょうか。人によっては、わざわざ警察に出頭して減点されなくても、そのまま待ってあとで違反金を払えばいいという人もいます。でも、それってリース車の場合でも同じような対応して問題はないのでしょうか。駐車違反の仕組みや違反点数などと合わせて詳しく調べてみました。

駐車違反といっても
その種類には2つある

そもそも駐車違反とはどのようなことをいうのでしょうか。まず辞書で駐車を調べるとこのように書かれています。

駐車(ちゅうしゃ)は、車両等が継続的に停止すること。また、車両等の運転を止めて車両等から離れる事を指す。

道路交通法的には、荷物を積み降ろしたり、人を待ったりする際に5分以上クルマを停め、運転者が離れていて、すぐに運転できない状態が駐車とされています。駐車禁止とされている場所、このようにクルマを停めドライバーが離れてしまうとそれが駐車違反ということになるのですね。

ちなみにこの駐車に似ているものに停車があります。この停車とは法律的には前述した駐車以外のクルマの停止のことを言うそうです。ようするに人の乗り降りのための一時的なクルマの停止であったり、荷物の積みおろしのために停止をして、なおかつドライバーが5分以内にすぐに発車できる状態にあるのが停車と考えればいいでしょう。

ややこしいですが、クルマをとめハザードランプなどで周囲に知らせたり、エンジンをかけたままにしてあったとしても運転者が自動車から離れたら、その時点で駐車とみなされると考えればわかりやすいですね。

例えば駐停車禁止ではない、駐車禁止の場所で、荷物を載せるために一時的にクルマを停めた場合に、ドライバーがクルマに乗っていれば停車なので違反になりません、しかし、荷物の移動のためにクルマからドライバーが降りてしまったらその時点で駐車になります。つまり違反となるわけですね。

クルマを停めても5分以内なら停車だ!と中には誤解されている人もいますが、短時間であってもクルマからドライバーが降りたらそれは駐車なのです。そしてそれが停車は許されても駐車が禁止とされている場所であれば、その時点で違反となるのですね。

駐停車違反とはドライバーが
すぐに車を移動できる状態

駐車違反といわれるものには厳密には2種類あるというのをご存じですか。その一つが『駐停車違反』です。駐停車違反とは、駐車禁止もしくは、駐停車禁止場所に車両が断続的に停車しておりドライバーがすぐにクルマを移動できる状態であるものと定義されています。では駐停車が禁止されている場所とはどのような場所なのか。それは以下になります。

  • ①交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂やトンネル。
  • ②交差点の側端や、道路のまがりかどから5メートル以内の部分。
  • ③横断歩道や自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に5メートル以内の部分。
  • ④安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分や、当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に10メートル以内の部分。
  • ⑤乗合自動車、トロリーバス、路面電車の停留場を表示する標示柱や標示板が設けられている位置から10メートル以内の部分(当該停留所や、停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス、路面電車の運行時間中に限る。)
  • ⑥踏切の前後の側端からそれぞれ前後に10メートル以内の部分。

こうしてみると常識的に駐車は危険と思われる場所すべてですね。では、このような場所に誤ってクルマを停めてしまった場合、ドライバーが乗っていたとしても駐停車違反に該当するので直ちに取り締まられてしまうのか?さすがにそのようなケースはあまりありません。よほど悪質でない限り注意をされた際素直にクルマを移動させれば駐停車違反で取り締まられるということはまず。いわゆる駐禁とは、これとは別のもう一つの駐車違反『放置駐車違反』で取り締まられるケースがほとんどです。

クルマを停めドライバーが
離れてしまえば放置駐車違反

『放置駐車違反』は、前述の『駐停車違反』とは違って、運転者が車両を離れ、直ちに運転することができない状態の駐車違反です。いわゆる、「駐禁で取り締まられた!」というケースはほとんどがこれ。つまり気を付けなくてはいけないのがこの放置駐車違反なのです。駐車禁止、および駐停車禁止の場所にクルマを停め、わずかな時間でもクルマから離れてしまえばその時点で駐車違反です。ほんの数分なのに、などという言い訳は通用しません。そのように法律で定められているのですから。

ではもし、放置駐車違反をしてしまい、それが警察官や民間の駐車監視員によって発見されるとどうなってしまうのか。そう、皆さんご存じ、あの黄色い駐禁シール(確認標章)がクルマにベタっと貼られてしまうわけです。もしそうなってしまったらどうしなくてはいけないのか。未だ駐車違反で取り締まりを受けたことがない、という善良なドライバーなら気になりますよね。

まっとうな対応としては、まずは最寄りの交番や警察署に出頭します。するとその場で直ぐに交通反則告知書(いわゆる青切符)が切られ、あわせて「納付書・領収証書」(仮納付書)が渡されます。もちろん違反点数の加点も受けます。

そして渡された仮納付書を使って期日以内にキチンと反則金さえ納付すれば刑事責任は追及されず前科もつかず、行政処分である所定の点数が加算されるだけで終わりです。これで完了です。あとは二度と駐車違反などしない! と心に誓って、それまでより慎重な運転を心がけるようにすればいいでしょう。

反則金はコンビニでは
支払えないので注意

ちなみに気になる駐車違反および放置駐車違反の違反点数と反則金ですが以下のようになっています。

思ったよりも高いですね。この反則金の納付関してですが、気を付けないといけないのは、反則金は公共料金のようにコンビニでは支払うことができない(一部の都道府県ではできる場合もある)ということ。なんとなくコンビニで払えるものだと思い込み、期日ぎりぎりに支払いに行ったら、結果的にできなくて期限が過ぎてしまった!などということのないように注意してください。納付期日は「7日間」です。思いのほか短いので、忘れずに速やかに納付するのが正解です。

ちなみのこの期限の7日の間に納付しないとどうなるかというと、だいたい1か月後くらいに交通反則告知センターから仮ではない『本納付書』が届くはずです。その金額は、ちょっと高くなっていて反則金に800円ほどプラスされています。これは郵送料が加わっているためです。この本納付書を受け取ってから11日以内に反則金を納付すれば、しっかりと反則金を納めた扱いになるので大丈夫です安心してください。

ただし、それさえも無視しているとどうなるかというと、最後には『反則金未納通知書最終通知』が届きます。これには納付の催促だけでなく、納付がなかった場合警察庁に送致するとの旨が記載されています。ようするに支払わないと警察に出頭をしてもらうよ、という最後通告ですね。これでさすがにヤバイと考え、キチンと支払えば警察への出頭もなくなり、それで放置駐車違反に関しては終了となります。

さすがにそれ以上にゴネる人は、そうそういないと思いますが、それでも支払わなかったらどうなるか。そう、警察から出頭要請が来るのです。さらにこの出頭要請さえ無視すると、最後には裁判にかけられます。そして裁判で有罪となった場合は罰金刑が科されます。つまり前科がついてしまうわけですね。

さすがに、放置駐車違反程度でそこまでの時間や手間をかけて警察と裁判で争うなどというケースはほとんどありませんが、よほど悪質な場合(繰り返し放置駐車違反を繰り返し、反則金納付や警察への出頭を無視するなど)はその限りではありませんのでくれぐれも気を付けてください。

このように通常放置駐車で取り締まりを受けた場合、警察に出頭、青切符を切られ、違反点数が加算され、反則金を支払うという流れになります。でも、実は反則金を支払わなくてはなりませんが、違反点数が加算されないという方法もあるのです。ご存じでしょうか。それが以下の方法です。

放置駐車違反は警察に
出頭しないほうが良いって本当!?

2006年の道路交通法改正によって、放置駐車違反に関する違反点数についていわば法の抜け道ともいえるグレーゾーンができてしまいました。それはどのようなことか。2006年以前は、放置駐車違反をした場合そのクルマを運転していた人の責任だけが問われていました。しかし、放置駐車の場合そのクルマから運転者が離れているわけですから誰が運転していたのかはわかりません。そのためで悪質なドライバーの中には違反ステッカーを貼られても警察に出頭せず「自分がやったんじゃない!」として、違反の点数の加算や反則金から逃れるものがいたのです。

そのように言い張れば取り締まりをした側はそのドライバーが運転していたということを証明しなければならないのですからそんなの無理ですよね。つまり悪質ドライバーにとっていわば逃げ得だったのです。

だったら、法律を変えてそのクルマの運転者(ドライバー)じゃなく、放置駐車違反となったそのクルマの持ち主に責任を取ってもらおうということに法律が変わったのです。そして放置駐車の違反者が出頭しない場合、そのクルマの所有者に放置違反の「放置違反金」を払ってもらうということになりました。ただ、違反したのが誰なのかは特定されないので違反点数も当然加算されません。というか加算できません。

納付する反則金の金額は放置駐車違反の反則金と一緒です。しかし、点数に関しては加算されないのでゴールド免許であってもこの場合免許には傷がつきません。ということは結局、放置駐車違反のステッカーをクルマに貼られてしまっても、すぐに警察に出頭せずに放置違反金の納付者が送られてくるのを待つのがちょっとずるいですが賢い方法ということになるわけなのです。逆に素直に出頭してしまうと、点数が加算されるは反則金を支払わなければならないはで損(違反をしているのでこのような言い方は正しくないですが)ともいえるのです。

ただ、だからといって短期間に何回も(半年間に3回など)このような放置駐車違反行為を繰り返すと、そのクルマの所有者責任としてクルマの使用禁止命令が出ることもあるということも覚えておいてください。また反則金を支払わないと車検を受けることもできませんので支払は期日内に必ず行うようにしてください。

リース車の場合放置違反金の納付書が
リース会社に届かないのか?

さて、ここまで長々と駐車違反について説明してきましたが、カーリース利用者にとって気になるのは、カーリースの車両でも同じような対応しても問題ないのかということではないでしょうか。つまり上記のように放置駐車違反をしても出頭せず「放置違反金」納付書が送られるのを待っていればいいのかどうかということです。

カーリース車両の場合、クルマの所有者はリース会社です。それは車検証に記載されています。そうであれば、この「放置違反金」の納付書は、リース契約者ではなくリース会社に届いてしまう可能性はないのか。もしそのようなことがあればリース会社からなんらかのペナルティが課せられるのではないか、非常に気になりますよね。

でも安心してください。放置違反金の納付書は車検証に記載されている使用者の住所に送られてきます。つまりリース契約者の住所に放置違反金の納付書は送られてきます。では、引っ越しをした際に車検証の住所変更などを忘れていたという場合はどうなのか。その場合リース会社に所在確認等を照会されたりはしないのか。こういったケースでも通常は住民票などが調査されるのでいきなりリース会社に照会されるようなことはないようです。安心ですね。

ただし、反則金の納付を無視していると最終的に公安委員会がそのリース車両の所有者(リース会社)に対して照会するケースも考えられるので、反則金の納付書が送られてきたら速やかに納付するのが間違いありません。

もちろん「自分が違反をしたのだからキチンと出頭して違反点数の加点を受ける!」というのもドライバーとして正しい対応です。ただ、リース車両であっても駐車違反の際、このように対応しても問題はない、ということは、覚えておいてきっと損はないはずです。最終的にどのように対応するかは皆さんにおかませします。