レトロモダンなデザインと、かわいらしいツートンカラーなどによって、軽自動車のハイトワゴンの中でも、独自のキャラクターを持っているのがダイハツのムーヴキャンバスです。
ムーヴキャンバスは、スズキのワゴンRやダイハツのムーヴなどと同じいわゆる軽のハイトワゴンなのですが、ベースとなったムーヴよりもちょっと背が高く、またスーパーハイトワゴンであるタントよりは少し背の低い絶妙なサイズで、軽自動車は欲しいけれど普通のハイトワゴンではつまらない、という層から高い人気を集めています。
実際メーカーも発売前はここまで人気となるとは予想もしていなかったようです。数字で見ても、2016年9月の発売直後、翌10月計受注台数はなんと2万台。これは月販目標台数であった5,000台の約4倍ですから、本当に予想外の大ヒット車になったといったわけですね。
そんな、他のハイトワゴンとは差別化された、個性が人気のダイハツムーヴキャンバスですが、2019年4月に、特にカラーにこだわった、一味違った特別仕様車が追加設定されました。さて、それはどんなクルマなのでしょうか?
人気のツートンカラーとは
一味違ったアクセントカラーを採用
2019年4月に、ムーヴキャンバスに追加設定された特別仕様車とは「ホワイトアクセントリミテッドSAIII」と、「ブラックアクセントリミテッドSAIII」です。
ムーヴキャンバスの上級グレードであるG“SAⅢ”をベースとした特別仕様車で、ポイントはもともとムーヴキャンバスが持っていたかわいらしいイメージを、シックでクラシックなものに変えるエクステリアパーツとカラーリングが施されているということ。基本的なイメージは大きく変わってはいませんが、その画像を見る限り、より上質な印象を与えるのに成功しています。
ムーヴキャンバスは、そもそも丸っこくてかわいらしいスタイルから、女性向けハイトワゴンという印象があります。そのため、こういったブラック&ホワイトをテーマにした特別仕様車というのがありなのか?と思われるかもしれません。
でも、実はムーヴキャンバスは個性的なクラシックカー好きからも、ひそかに人気を集めています。その理由はスタイリングが、どこかVWのタイプⅡ、いわゆるワーゲンバスを彷彿とさせるから。
ですから、こういった方向性のシックなイメージのドレスアップもおそらく多くのファンに受け入れられるのではないでしょうか。
そもそも、落ち着いたイメージのインテリアを持つ「ブラックインテリアリミテッド」や、メッキ加飾などでディテールをドレスアップした「メイクアップリミテッド」というモノトーンの特別仕様車がすでに設定されており、そちらが好評であることからも今回の特別仕様車が追加となったのでしょう。
ちなみにワーゲンバスとは、VWビートルをベースとしたワンボックススタイルのヴァン/ワゴンで、1960年代にアメリカで起きたヒッピームーヴメントでは、自由を象徴するクルマとして注目を集めたクルマです。
いまだにファンを魅了してやまず、今でもCMやミュージシャンのMVなどに頻繁に登場し、その人気はおとろえるどころか年々上昇しています。日本でも状態の良い物なら400万円~500万円(希少なモデルならそれ以上)を超える高値で取引されているのでもはや手軽に手に入れることは難しい高嶺の花と言っていいかもしれません。
ムーヴキャンバスは、そんなワーゲンバスのレプリカ、というほどではありませんが、レトロなスタイリングがそんなワーゲンバスを彷彿とさせます。
ダイハツも純正カラーとして、まるでワーゲンバスかのような、ボディのサイドのプレスラインから上がホワイト、下がパステルカラーといういかにもなツートンカラーを設定しています。ワーゲンバスそのものというほどではないですが、恐らくですがそういった層の人気も多少は狙っているではないかと思います。
閑話休題。ムーヴキャンバスの新たな特別仕様車、ホワイトアクセントリミテッドSAIII」と「ブラックアクセントリミテッドSAIII」は、従来からのムーヴキャンバスのイメージ生かしつつ、かわいらしさを上手く抑え、ブラックとホワイトというアクセントカラーを使用することで、上質なイメージもうまく演出しているのがポイントです。
特別装備は、主にコスメ的なものがほとんどですが、従来のムーヴキャンバスでは、あまりにかわいらしすぎるし単色はつまらない、と考えていた方にとっては、とても魅力的なものに映るのではないでしょうか。では、気になる特別仕様車には、どのような装備が追加となっているのか具体的に見てみましょう。
6万4,800円プラスで
充実したドレスアップアイテムが追加
(引用:ダイハツ公式HP)
まず、特別仕様車「ホワイトアクセントリミテッドSAIII」と「ブラックアクセントリミテッドSAIII」の価格ですが、共に147万9600円(2WD)~167万9400円(4WD)です。ベースであるG “SA Ⅲ”よりも、6万4,800円ほど価格がアップしています。
名前の通り、それぞれパールホワイトとブラックのアクセントカラーが外装パーツに施されているというのが特長となっていますが、どのようなパーツにアクセントカラーが使用されているかというと以下になります。
- ・ バンパーモール(フロント/リア)
- ・ サイドモール
- ・ ドアアウターハンドル
- ・ フロントグリル
- ・ カラードドアミラー(オート格納式(キーフリー連動))
- ・ ピンストライプ
- ・ LEDフォグランプリング
- ・ 「キャンバス」エンブレム付14インチ2トーンカラードフルホイールキャップ
基本的にどちらも追加されている特別仕様のアイテムは共通ですが、カラーがそれぞれパールホワイトと、ブラックという違いになっています。
ボディカラーは「ホワイトアクセントリミテッドSAIII」にはナチュラルベージュマイカメタリック、ファインミントメタリックと、新色のブルーミングピンクメタリックを設定。パステルトーンの柔らかなイメージです。
もう一方の「ブラックアクセントリミテッドSAIII」には、スムースグレーマイカメタリック、またオプションとしてパールホワイトIIIが設定されています。こちらは落ち着いたシックなイメージになっています。
その他の装備に関しては基本的にベースとなったG “SA Ⅲ”に準じた内容となっていっています。
前述した特別装備以外の違いでは、オーディオパネルやインパネトレイ、ワンプッシュ式オートオープンカップホルダーなどといったインテリアの装飾パネルがそれそれぞれのホワイトとブラックを基調とした装飾が施されているほか、インナードアハンドル他にメッキが追加されています。
さらにSRSサイドエアバッグ(運転席/助手席)が標準で装備されているというのもベースモデルとの大きな違いですね。価格差を考えるとかなり充実した内容といえるのではないでしょうか。
エアロパーツやサスペンションのように、大幅にクルマのフォルムを変えてしまったり、スポーティな走りを実現する、というようなものではありませんが、ムーヴキャンバスには、むしろこれくらいのドレスアップアイテムの方が、イメージにマッチしているのではないかと思います
追加されたパーツの数々を見ても
この価格はかなり魅力的
ムーヴキャンバスは、もともとかわいらしい見た目だけでなく両側スライドや、豊富な収納スペース、さらにリヤシートの240㎜のロングスライド機能などによって使い勝手の良さには定評があります。さらに2WDモデルなら28.6km/Lと燃費にも優れているというのもポイントが高い。
加えて安全性も、衝突回避支援ブレーキ機能や、誤発進抑制機能などがセットになったスマアシⅢが全車標準となっているなど、機能や装備に関しては非常に充実しており、廉価モデルでない限り不足を感じることはまずありません。
ですから、今回追加された特別仕様車のように、エクステリアやインテリアをドレスアップすることで魅力を高める、というのは正しい方向性だと思います。
価格的にもベースモデル+わずか6万4800円のアップですから、追加されたパーツの数々を見ても、間違いなくお買い得といっていいでしょう。
あとからオーナー自身がこれだけのドレスアップを施そうと思ったら、とてもではありませんがこの金額では済みません。ドレスアップを前提でムーヴキャンバスを次期愛車として考えている方は、ちょっと特別感が味わえるこの特別仕様車に是非注目してみてはいかがでしょう。特別仕様車をベースに自分だけの一台にカスタマイズしてみるのも面白いかもしれません。