自動車の販売台数ランキングを見るとその人気は相変わらずトヨタのハイブリッドカープリウスに集中しているのが分かります。自販連(日本自動車番倍連合会)による2017年の年間販売台数ランキングではトップは相変わらずプリウス。これは2018年になっても変わっていません。
しかし、この結果ですが別の視点から観察してみると、筆者には真の1位はプリウスではない別のクルマにあるのではないかと思えてきます。そのクルマとはトヨタのMクラスミニバン、ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3兄弟です。
3車を合わせるのは反則では? という意見もあると思いますが、この3車はシャシーやパワーユニットを含め基本部分を共有する兄弟車です。つまり、大胆に括ってしまえば同じクルマのバージョン違いということもできるわけです。オーナーの方には一緒にするな! と怒られるかもしれませんが大きくは間違っていないでしょう。
この3車の2017年の年間販売台数ランキングをあらためて見てみると、結果はこう。
ヴォクシーが9位で8万8,753台。
そしてノアが17位で5万6,082台。
さらにエスクァイアが24位で4万3,876台です。
それぞれの順には立派なもので十分に売れているのですが、これを先ほど言ったように三兄弟合計するとどうなるか。なんと全部で18万8711台!
こんなにも売れたということがわかりますね。
目次
実はプリウスよりも売れている!?
ヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟
では、2017年の年間1位だったプリウスはと確認してみると、その販売台数は16万912台でした。この結果を比べてみると、ヴォクシー/ノア/エスクァイアの合計のほうがプリウスよりも2万7,799台も多く売れていたということになります。つまり、実質の1位はプリウスではなくヴォクシー/ノア/エスクァイアの3兄弟ともいえるわけなのです。少なくとも筆者はそのように思います。
ミニバン人気は以前に比べるとSUVや軽自動車の人気に押されて徐々に下火になりつつあるという人もいますが、こうしてみると実はそうではなく相変わらずミニバン、それも手ごろかつスペースにも余裕があるこういったMクラスミニバンの人気が高いということがあらためてわかりますね。
そんな、いわば日本一売れているクルマ(といっても過言でない)ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3兄弟車ですがその中でも、最も人気があるのは、その販売台数からもわかるようにヴォクシーです。
おそらく他の兄弟車に比べてより個性的でスポーティなフロントフェイスと、エアロパーツの似合うクールなスタイルが人気を要因となっているのではないかと思います。そしてそんなヴォクシーの人気に大きく貢献している特別仕様車があります。その特別仕様車とは「ヴォクシー煌(きらめき)」です。
ヴォクシーの煌といえば、歴代ヴォクシーに設定されてきたエアロパーツ装着の大人気特別仕様車。先代(60系)、先々代(70系)モデルにも設定されてきたもので、現在(2018年7月現在)設定されているのはマイナーチェンジ後の3代目ヴォクシー(80系)のZSグレードをベースに、煌ならではの特別装備を加えたもの。
3代目ヴォクシーの3代目煌ということで、ヴォクシーオーナーたちの間では、煌3などとも呼ばれています。でも、なぜヴォクシー煌がそれほどまで人気なのか、ベースとなったグレードZSとはいったい何が違うのか、最新の煌3も注目して、その魅力について整理してみましょう。
ZSとは違う“煌“ならではの特別仕様と装備とは
「ヴォクシー煌(きらめき)」は初代から現在の3代目80系ヴォクシーにまで設定されてきた特別仕様車です。
基本はエアロ装着グレードに、煌ならではの仕様や、人気の装備を加えることでお得度と特別感を演出したものです。歴代モデルは発売されるたびに人気を呼び、3代目となる現行のヴォクシーが2017年7月にマイナーチェンジを行ってから、ヴォクシーファンたちからその登場が待ち望まれていた存在です。
そして2017年の11月についに待望のヴォクシー煌3(正しくはZS煌とHYBRID ZS煌)が登場。それ以来以前にも増して人気を呼んでおり、多くのヴォクシーファンから注目を浴びています。
ベース車となっているのは「ZS煌」その名前からもわかるようにヴォクシーのエアログレードであるZSです。これに特別な仕様や様々な装備が標準化することでカタログモデルと差別化を行っています。
どのような装備が装着されているのかというと、
例えば人気の両側パワースライドドアやリヤオートエアコンなど。
ヴォクシーを買ったら是非装着しておきたい定番装備に加え、強力な紫外線・赤外線カット加工を施したガラスや外装のメッキ化、さらにインテリでも差別化を図るなど、嬉しい装備が満載です。
ベース車であるZSとはどのように装備や仕様が違っているのか
まとめたのがこちらです。
ZS “煌” | ZS(ベース車) | ||
外装&メカニズム | |||
フードモール | 中央:メッキ、上:ブラック、下:メッキ | 中央:メッキ、上下:ブラック | |
アウトサイドドアハンドル | メッキ | カラード | |
バックドアガーニッシュ(車名ロゴ) | ダークスモーク塗装 | ブラック | |
UVカットグリーンガラス (フロントドア) |
スーパーUVカット・IRカット機能+撥水機能付 | 標準装備 | |
UVカット機能付プライバシーガラス (スライドドア*6・リヤクォーター) |
スーパーUVカット機能付 | 標準装備 | |
オート電動格納式リモコンドアミラー (サイドターンランプ+助手席側アスフェリカルミラー付)*7 |
メッキ | カラード | |
安全装備 | |||
Bi-Beam LEDヘッドランプ | レンズカバー:ブラック | レンズカバー:メッキ | |
(オートレベリング機能付) | |||
LEDクリアランスランプ | メッキエクステンション | ブラックエクステンション | |
内装・快適性 | |||
センタークラスターパネル | ピアノブラック塗装+シルバー塗装 | ピアノブラック塗装 | |
マルチインフォメーションディスプレイ | シルバー塗装(フード) | ブラック(フード) | |
インサイドドアハンドル (フロント・リヤ) |
メッキ | ブラック | |
LEDルームランプ | 煌・特別装備 | 設定なし | |
リヤオートエアコン (リヤクーラー+リヤヒーター) |
煌・特別装備 | メーカーオプション | |
シート・収納・操作性 | |||
ワンタッチスイッチ付 両側パワースライドドア (デュアルイージークローザー+挟み込み防止機能付) |
煌・特別装備 | メーカーオプション | |
ナビ&オーディオ | |||
オーディオレス (カバーレス) |
6スピーカー | 4スピーカー |
ヴォクシー煌ならではのエクステリア装備
ヴォクシー煌を狙っている方にとって気になるはまずエクステリアでしょう。
エアロパーツのスタイリング自体は基本ZSと変わりません。しかし、メッキ加飾や塗装などディテールに違いがあります。
例えばフロントフードモールです。フロントフードモールとはボンネットの前のエッジ部分、フロントグリルの上に装着されるエンブレムのあるエクステリアパーツです。これが、ベースのZSとはクロームメッキの処理が変わっています。ZSではモールの上下がブラックだったのですが、煌では下部もメッキ化。クロームの面積が拡大することで高級感とゴージャス感が増しています。
また、ドアハンドルはアウターインナーとも、さらにドアミラーやLEDクリアランスランプのエクステンションにまでメッキが施されています。これらのディテールは特に目に触れやすい部分だけにヴォクシー煌オーナーの所有欲もくすぐってくれるはずです。
単にメッキの面積を増やしたのではなく、LEDヘッドランプカバーのブラック化や、バックドアガーニッシュのダークスモーク塗装などを要所に配してエクステリアを引き締めていて、単にギラギラと派手なのではないゴージャス感とクールさをバランスさせたセンスの良い演出がさすがメーカー純正の特別仕様といったところでしょう。
外装ではガラスに関してもZSからグレードアップ。フロントガラスはスーパーUVカットIRカット機能(ZSもスーパーではないですがUVカットIRカット付き)に加えて撥水機能付きとなっています。またスライドドアやリアクォーターウインドーはスーパーUVカット付きのプライバーシーガラスです。
シルバーで上質感を増したインテリア仕様
そしてインテリアにももちろん煌だけの仕様が施されています。
まずルームランプにはLEDを採用。これはフロント、センター、リア全てがLEDとなっています。
またセンタークラスターパネルがピアノブラック塗装にシルバー塗装が加えられています。さらに同じようにマルチインフォメーションディスプレイフードもシルバー塗装化。ピアノブラック仕様でシックなイメージでまとめられたZSでも十分高級感はありますが、ここにシルバーが加わることでさらに上質な印象となっています。
是非ほしい両側パワースライドドアが標準装備
快適性を高めてくれる装備もヴォクシー煌の大きな魅力です。
まず、後席パワースライドドアとバックドアイージークローザーです。これはベースとなったZSも標準装備なのですが、ZSの場合、後席パワースライドドアは助手席側のみが標準です。運転席側の後席ドアにもこの機能を追加するにはメーカーオプション(6万1,560円税込)が必要となります。しかし煌ではこれがはじめから両側パワースライドドアとなっています。このクラスのミニバンには是非ほしい装備ですからこれはうれしいポイントですね。
さらにエアコンもZSではメーカーオプション(4万3,200円税別)となっているリヤオートエアコンが標準です。ファミリーユースとして使用する上でもかなり魅力的な内容となっています。他にもZSが4スピーカーなのに対して天井スピーカーを設置することで6スピーカーが標準となっているのも見逃せないところでしょう。
ただし一点だけ、少し残念なことが。それはツインムーンルーフがオプションでも装着できないということです。煌のベースであるZSの場合はガソリン車(ZSのハイブリッドは同様に装着不可)であればオプション(11万8,000円税込)で装着が可能です。これがあれば天気のいい日なら室内が明るくなりますし、喫煙者の場合、社内の空気の入れ替えなどに重宝するもの。
とはいえなくても実用面で特にデメリットがあるわけでもありません。必要を感じないのであればこの点もそれほど気にすることはないかもしれません。
+9万3,960円でこれだけの内容が手に入る!
ZS煌とHYBRID ZS煌の肝心の価格ですが、ガソリン車のZS煌は286万9560円(7人乗り2WD)~303万3720円(8人乗り4WD)となっています。そしてHYBRID ZS煌が336万3120円です。
ベースであるヴォクシーZSの7人乗り2WDの価格が277万5,600円で、HYBRID ZSは326万9160円。その差額を比べてみるとともに9万3,960円です。
パワースライドドアとバックドアイージークローザー、さらにリヤオートエアコンといった装備のオプション合計価格だけでも10万4,760円。ならば、これらの装備がほしい方は、わざわざZSを購入してオプションを追加するよりも間違いなくZS煌を買ったほうがお得ということ。
加えてエクステリアや内装など煌だけの特別仕様までも考えると魅力はさらに増します。
それに人気の高い特別仕様車であれば、後々のリセールバリューも期待大。
ベースグレードであるZSに、わずかに9万3,960円を追加しただけで、これだけの内容の装備と特別な仕様が手に入るのです。人気となるのもむしろ当たり前のこと。それでも自分はどうしてもツインムーンルーフが欲しい! という方でない限り、ヴォクシーをこれから購入するなら、一番の狙い目は間違いなく“ZS煌”。
おそらくこれが結論ということになるはずです。