軽自動車を別とすれば現在国内で売れているクルマのほとんどがエコカーです2018年上半期の自動車販売台数ランキングを見てみても、1位は日産ノートで2位がトヨタのアクア、そして3位もトヨタのプリウスとなっています。
しかし、そんな定番エコカートップ3に次いで、高い人気を集めているのが日産のミニバン『セレナ』です。なんと2018年上半期のミニバン売上のナンバー1です。さらに全体で見ても4位というのですから凄いことです。
そんな日産セレナにはもちろんエコなグレードも幅広く用意されていますが、そんな中、特に人気グレードとなっているのはエアロパーツが装着された「ハイウェイスター」シリーズです。自動車誌による調査やネットで検索してみてもやはりセレナはハイウェイスターに人気が集中しているというのは間違いないようです。
セレナのハイウェイスターですがどんなクルマなのか?筆者は日産のミニバンでエアロパーツが装着されたグレード、というくらいの認識しかありません。でもなぜそれほど人気なのか?いったい他のグレードと何が違うのか?そもそもどのような経緯で誕生したのかなど、考えてみると意外に知らないことも多い。そこであらためてセレナのハイウェイスターについて調べてみました。
目次
ハイウェイスターとはどんなクルマ
いつ頃誕生したのか?
(引用:Wikipedia)
今やセレナの一番人気グレードであるハイウェイスター。でも実はこのハイウェイスターはセレナだけのものというわけではありません。公式サイトなどを見ると、エルグランドや軽自動車のデイズなどにも同様にエアロパーツを装着したグレードとしてハイウェイスターが設定されていることがわかります。
また、かつては、リバティやプレサージュ、ラフェスタなどといった車種にも設定されていたようです。
ではそもそもこのハイウェイスターが設定された元祖のクルマは何なのでしょうか?さかのぼって調べてみると1995年に発売されたラルゴハイウェイスター、これこそが、ハイウェイスターシリーズの元祖となるようです。
でもラルゴといわれても、今や存在しない車種なのでどんなクルマかわからない、という方のほうが多いかもしれません。ラルゴとは、かつて日産がラインナップしていた1.5ボックススタイルの3ナンバーミニバンです。
このラルゴは1993年にそれまでワンボックスカーだったバネットラルゴからモデルチェンジしたミニバンで、ミドルクラスミニバンのセレナよりも上級に位置づけられるミニバンでした。ちなみにこの当時のセレナとラルゴは兄弟モデルでシャシーなどは共用されスタイリングもとても似ていました。
ラルゴはワンボックスカーから今のモノスペースミニバンへの過渡期に生まれたモデルで、ボディスタイルは短いボンネットのある1・5ボックススタイルでしたが、メカニズムとしてはワンボックス車と同じキャブオーバー(エンジンの上の運転席がある)のFR車です。
ライバルはトヨタのエスティマです。でも、新世代のミニバン的なイメージの強いエスティマに比べるとラルゴはバン(貨物車)的な印象も強く、スタイリングもちょっと地味であまり注目されていませんでした。そんなラルゴに特装車として1995年に設定されたのが「ラルゴ ハイウェイスター」です。そのインパクトはとても強く、登場後にすぐに注目を浴び、ラルゴそのものの人気も急上昇したのです。
もともとは1グレードではなく
ラルゴに設定された特装車だった
(引用:株式会社オーテックジャパン)
ただ、そんなラルゴハイウェイスターは、ディーラーで購入することはできましたが、通常のカタログモデルではなくオーテックジャパン(日産グループの一つで日産車をベースとしたカスタムカーや特装車を手掛ける会社)による特装車でした。つまり製造自体がオーテックジャパンとなるため、ナンバーを取得するにも一台いちだい運輸支局への持ち込んだ上での登録が必要だったのです。
そのため注文はディーラーでできるのですが納車までの時間が他のモデルよりもどうしてもかかってしまう、という欠点があったのです。
しかし、ラルゴハイウェイスターは登場後、そのスタイリングが大いに受けて注文も増加。特装車としての扱いでは多くのニーズに応えきれなくなってきました。そのため翌年の1996年より、完成車両としてついにカタログにラインナップされることになったのです。
さらにハイウェイスターが人気なのであれば、他車にも展開しよう!となったのでしょう。日産ではそれ以後ラルゴだけでなくセレナやプレサージュといったミニバンにもハイウェイスターシリーズがラインナップされることになっていったのです。
だったら日産車全車に設定すればいいのにとも思いますが、ハイウェイスターは元々がミニバンであるラルゴからはじまったものだからなのか、基本的には日産のミニバンシリーズにのみラインナップされます。そのため同じ日産車でもセダンのスカイラインやコンパクトカーのマーチなどには用意されてはいません。
ちなみにオーテックは現在も特装車を作っています。ハイウェイスターとはテイストの違う、ビレットグリルなどを特長としたカスタム色の強い『ライダー』シリーズです。これもエルグランドなど日産車の様々な車種に設定されディーラーで購入(特装車として)することが可能です。
ただし、セレナに関しては現在ライダーの設定はありません(かつてはありました)。しかし、オーテックの手によるセレナとしては、それとは別に『SERENA AUTECH SPORTS SPEC』と、『SERENA e-POWER AUTECH』の2車種が用意されています。
どちらもボディを補強し、スポーティかつ安定した走りを実現しつつ、専用の内外装パーツの装着によって上質なプレミアムミニバン的な位置づけになっているようです。特装車なので、ハイウェイスターよりも価格は高めですが、なかなか魅力的なモデルなので、興味を持ったのであれば公式サイトなどで確認してみてください。
セレナハイウェイスターの
オススメグレードは
ということで、ハイウェイスターシリーズとは簡単に行ってしまうと、ミニバンをベースに、ハイウェイスター専用デザインのエアロパーツやクロームパーツ、ゴージャスな内装や、モデルによってはスポーティな足回りなどの特別装備をふんだんに装着した純正スポーティカスタマイズグレードということですね。筆者のもともとの認識からはさほど外れてはいなかったようです。
人気のポイントはやはりハイウェイスター専用デザインのエアロでしょう。オプションなどで装着するよりもパーツの一つひとつの完成度が高く、スタイリングとのバランスも良い。加えて後付けのエアロと違ってメーカー保証も受けられるというのはなにより魅力的。
さらに個性的なエアロによるスタイリッシュなエクステリアだけでなくインテリアや装備なども充実した内容になっているのですから、はじめからセレナのドレスアップを考えている人にとっては、まさにぴったりのグレード。人気となるのもむしろ当然といえるのでしょう。
装備の内容に結構な違いのある
ハイウェイスターの各モデル
(引用:日産公式HP)
そんなセレナのハイウェイスターですが、実際には単一のグレードではありません。装備内容の違いでいくつかのバリエーションがあります。
代表的なものをピックアップしてみると、まず、ベースとなるのが、そのものズバリ「ハイウェイスター」です。こちらは専用エアロパーツや本革巻き3本ステアリングなどを装備したモデルでS-HYBRID車(2WD/268万3800円・4WD/297万1080円)とe-POWER車(317万8440円)に用意されています。装備内容はシンプルなのでハイウェイスターの外観がどうしても欲しい、というのでない限り正直あまりオススメできません。
そして、ハイウェイスターの最上級グレードで、セカンドシートの超ロングスライド機構や、LEDヘッドランプ、ステアリングスイッチやピアノ調パワーウインドウスイッチフィニッシャー、さらにハンズフリーオートスライドドアやプラズマクラスターエアコンを装備する「ハイウェイスターG」。こちらはS-HYBRID車の2WDのみに設定で価格は301万6440円です。
また、e-POWER車のみに設定されているのが「ハイウェイスター V」で、e-POWER搭載のハイウェイスター最上級グレードです。価格は340万4160円。価格が張る分LEDヘッドランプや両側ハンズフリーオートスライドドアなどをはじめとした豪華な装備が標準となっています。
さらに、2018年9月に新たに設定された特別仕様車が「ハイウェイスターVセレクションⅡ」です。こちらはLEDヘッドランプや両側ハンズフリーオートスライドドア、16インチアルミホイールや人気の快適パックなどがセットなった従来のハイウェイスターVセレクションをベースに、ハイビームアシストや最高速度標識検知&一時停止標識検知機能や踏み間違い衝突防止アシストなど安全装備をアップグレードしたモデルです。
S-HYBRID車のみの設定ですがもともと人気だった特別仕様車をさらに強化したものなので、装備内容が充実し、お買い得度もかなり高いものになっています。
それでいて価格は2WDモデルなら287万4960円とお手頃。同じS-HYBRIDの最上級ハイウェイスターとなるハイウェイスターGが301万6440円ですから比べると14万1480円も安い。それでいて装備の違いはカタログを見る限り内装など一部のみなので、価格差ほどの違いは感じられません。これは、かなりお買い得度。もし筆者がセレナのハイウェイスターを購入したいけれどどれがいいかな?と相談されたらまっさきにこのハイウェイスターVセレクションⅡをおススメすると思います。
セレナは2018年9月のマイナーチェンジによって装備内容に細かな変更がありました。以前からセレナハイウェイスターの購入を検討されていたという方は、カタログや公式サイトを隅々までチェックし直してみたほうがいいでしょう。