世界初の量産ハイブリッド乗用車であり、1997年に初代モデルが登場して以来歴代モデル全てがヒットし続けてきたエコカー、それがトヨタ・プリウスです。
今もその人気は高く、2018年度の販売台数ランキングでは1位こそ日産のノートに奪われてしまいましたがそれでも十分ヒットしているといっていい3位を記録しました。2位にも同じくトヨタのハイブリッドカー、アクアが入っていますから合わせれば(アクアは旧モデルのプリウスがベースとされています。)実質1位のようなものです。ちょっと乱暴ですが。
そんなプリウスが2018年12月17日、4代目のデビューから3年を経てビッグマイナーチェンジを施し、そのイメージを大きく変更してきたのです。
目次
評価の分かれた4代目プリウスの
アクの強いデザイン
(引用:トヨタ公式HP)
現行型プリウス(2019年1月現在)は、2015年12月にデビューした4代目モデルです。トヨタのハイブリッドカーにおけるイメージリーダーですから、このモデルが登場すると、もちろんすぐに注目を浴びました。中でも話題となったのはそれまでのプリウスよりもあきらかに個性的になったその外観デザインです。
空力を重視したフォルムこそ歴代モデルと似ていましたが、新型はどちらかというとアクのないクリーンな印象のプリウスのイメージを、ガラリと変えるかなり挑戦的なデザインが採用されたのです。
プリウスの優等生的な印象がこれによって大きく変わった、というポジティブな評価もされています。このような大胆なイメージチェンジはトヨタのハイブリッドカーラインナップが増えてきていることも関係しているのかもしれません。
ただ、そんな、個性的になったプリウスのデザインに対して、必ずしも全ての人が高く評価したわけではありませんでした。あまりにアクが強く、特にまるで涙を流しているかのように見える独特なデザインのヘッドライトレンズに関して、その評価が大きく分かれたのです。要するに否定的な意見も思いのほか多かったということです。
むしろ、同時に登場したプリウスPHEV(プラグインハイブリッドカー)のほうが、より個性的だけれどまとまりがあるという意見も一部で聞かれました。
肝心のパフォーマンスや燃費性能が向上したことに関してはおおむね好評だったのですが、そのデザインに関してだけ賛否両論だったのです。
では売れなかったのかというと、販売台数ランキングは今でも3位ですから十分に売れていると言っていいはずです。ただ、トヨタとしては今や乗用車の主力車種ともいえるプリウスが、販売台数ランキング3位では、納得でなかったのでしょう。
また、おそらくトヨタにもユーザーによって評価の分かれるデザインに関して、販売店などを通して意見も届いていたのでしょう。3年目にしてついに外観のデザインにテコ入れがなされることになったのです。
2018年12月17日
ビッグマイナーチェンジを実施
そして2018年12月17日、プリウスはデザインをガラッと変える、ビッグマイナーチェンジと言ってもいい、マイナーチェンジを発表すると、同日販売を開始しました。
特に変わったのはその評価を分けていたヘッドライトとテールライトのデザインです。写真を見てもらえればわかると思いますが、アクが弱まり、とてもスッキリとしたデザインに変わっています。並べてみると新旧でその違いは明らかです。よりシンプルになり、筆者の個人的な意見ですが、優等生イメージのプリウスが戻ってきたという印象です。
とはいえ、実際に新型プリウスだけを画像で見ると、マイチェン前のプリウスオーナーでない限り、どこがどう変わっているのか今一つ分かりにくいかもしれません。それに、デザイン以外にも変更された装備などもあります。そこで、マイナーチェンジを受けた新型プリウスは、どんな所がどう変わったのか、あらためて整理してみましょう。
シルエットは変わらず。
ディテールに手を加えて見た目を一新
(引用:トヨタ公式HP)
一番の注目点は何と言っても外観のデザインでしょう。基本的なシルエットは変わっていませんが最も目立つフロントまわりに大きく手が加えられています。ヘッドライト、バンパー、フロントグリルが新デザインに変わりました。ここまで大きな変更だと相当コストもかかっているはずです。ただしフェンダーやボンネットなどはどうやら大きな変更はないようですが、でも印象は明らかに大きく変わっています。
何より評価を分けていた、レンズの一部がバンパーまで食い込んだ、涙を流しているかのように見えるヘッドライトレンズがごく普通の(と言ってしまうと語弊がありますが…。)デザインとなった点が何より大きいのではないでしょうか。これだけでずいぶんとすっきりした表情になっています。
さらにヘッドライトの下、バンパー左右に配置されたLEDアクセサリーランプの新設定と、バンパー下の開口部がより大きくなったことで、フロントまわりがワイドかつシャープな印象となりました。派手さは減りましたが全体的に以前よりもスポーティでスッキリとした顔になっていますね。
リアもフロント同様に大きくデザインが大きく変更されています。特徴的だったリアウインドウ周りの造形は変わっていませんがテールランプのレンズのデザインが大きく変わりました。従来はタテ型でバンパーまで食い込むデザインだったのが、新型はヨコ型で中央のエンブレムに向かって伸びるレンズによってボリューム感あるリアスタイルを演出しています。こちらもスッキリとしたまとまりでとてもクリーンな印象。もともとこうであったかのような違和感のないデザインになっています。
さらに、足元を飾るアルミホイールも、17インチはチタン調の加飾塗装を施し、また15インチはツインスポーク形状を採用。より上質かつスタイリッシュなデザインに変更となっています。
このようにマイナーチェンジによってプリウスの外観デザインは大きく変更されました。全体的に質感がアップしており、より高級な印象を受けます。
個性という意味では多少薄れたかもしれませんが、完成度はとても高いと感じられます。プリウスらしい優等生イメージは間違いなく強くなりました。
マイチェン前のほうが良かったという方ももちろんいると思いますが、この新型プリウスの新たなデザインはおそらく、多くの人に好意を持って受け入れられるのではないでしょうか。
インテリアもバージョンアップ。話題の
コネクティッド用DCMも全車標準に
(引用:トヨタ公式HP)
インテリアも外観ほどではないが手を加えられています。まず運転中も目にする機会の多いインパネやフロントコンソールトレイにブラックの装飾を施すことで従来モデルよりも落ち着きあるイメージでまとめています。マイチェン前のホワイト装飾も明るくPOPで悪くありませんでしたが、新しいピアノブラック調の装飾のほうが、上質感があり、さらに高級なイメージになっています。
またコンソールトレイの内部に装着することのできる「おくだけ充電」(Qi規格に対応したワイヤレス充電機能。スマホなどの充電が可能。A以上のグレードに1万2960円でオプション設定。)のスペースを広げて、大型のスマートフォンの充電にも対応しました。
他には、Aプレミアムと同ツーリングセレクションの運転席と助手席に、エアコンの冷気を吸い込むシートベンチレーションも採用して夏場の快適性を高めています。
装備ではトヨタが力を入れているコネクティッドサービスのためのDCM(専用通信機)が全車に標準装着されました。オプションのT-Connect対応ナビを装着することで、専任のオペレーターによる24時間365日の対話による目的地設定や情報検索が可能です。さらに、このT-Connectサービスは3年間無料です。これはうれしいですね。
価格はわずかにアップ。
ただし内容を考えれば十分納得
見た目や快適性だけでなく、安全面の強化もぬかりはありません。夜間だけでなく、昼間の歩行者も検知対象とすることができるプリクラッシュセーフティ機能から、車線の逸脱回避をサポートしてくれるレーンディパーチャーアラート、そして全車速に対応したレーダークルーズコントロール機能に、夜間の見やすさをサポートするオートマチックハイビームまでセットにした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」が全車に標準装備となっています。
このように外装、内装、装備ともかなり進化していますが、パワーユニットに関して特に変更はありません。4代目が登場した時に、以前のプリウスに比べて走りの質感やフットワークがレベルアップしたと高く評価されていましたから、特に変更する必要がないということなのでしょうか。
パワーユニットの変更がないということですから当然燃費も変わりません。JC08モードで37.2km/L(4WDは34.0km/L)となっています。さすがに燃費は優秀です。価格に関しては以下の表の通り少しだけアップしています。
グレード名 | 駆動方式エンジン | 新価格 | 旧価格 |
---|---|---|---|
E | 2WD | ¥2,518,560 | ¥2,429,018 |
S | 2WD | ¥2,565,000 | ¥2,479,091 |
S | E-Four | ¥2,759,400 | ¥2,673,491 |
Sツーリングセレクション | 2WD | ¥2,732,400 | ¥2,628,327 |
Sツーリングセレクション | E-Four | ¥2,926,800 | ¥2,822,727 |
A | 2WD | ¥2,842,560 | ¥2,777,563 |
A | E-Four | ¥3,036,960 | ¥2,971,963 |
Aツーリングセレクション | 2WD | ¥3,006,720 | ¥2,926,800 |
Aツーリングセレクション | E-Four | ¥3,201,120 | ¥3,121,200 |
Aプレミアム | 2WD | ¥3,175,200 | ¥3,107,455 |
Aプレミアム | E-Four | ¥3,369,600 | ¥3,301,855 |
Aプレミアムツーリングセレクション | 2WD | ¥3,284,280 | ¥3,199,745 |
Aプレミアムツーリングセレクション | E-Four | ¥3,478,680 | ¥3,394,145 |
グレードによって差はありますが、だいたい6万円から8万円くらい高くなっていますね。とはいえ、安全装備やDCMの標準化、T-Connectの3年無料など内容を考えればこれも納得できるものでしょう。十分リーズナブルに感じられます。
今まで、そのアクの強いデザインから、新型プリウスを敬遠していたという方も、新たに手に入れたそのシックで落ち着いたデザインと、より充実した安全装備や装備内容を見れば、新しいプリウスがとても魅力的なクルマに映るはずです是非購入を検討してみてはいかがでしょう。