いまかいまかと待ちのぞまれていた、トヨタの最上級Lクラスミニバン新型アルファード/ヴェルファイアが2023年6月21日についに発表されました。アル/ヴェルといえば、今や日本だけでなくアジア圏で絶対的な人気を持つ高級ミニバンであり、国内でも特にアルファードは圧倒的な人気となっています。

そんなアルファードですから、フルモデルチェンジに対して非常に高い期待が寄せられていたのは当然で果たして新型となった4代目アルファードは期待通りのクルマとなっているのでしょうか。先代の30系と比べると何が進化しているのでしょうか。今回は速報的に新型アルファードについてわかる範囲で詳しくご紹介します。

ミニバンの王者アルファードは
さらに堂々としたスタイルへと進化!

ミニバンの王者アルファード
(引用:トヨタ公式HP)

ミニバンファンの憧れのクルマアルファードが8年振りに新型へのフルモデルチェンジを実施しました。先代はモデル末期まで売れ続けていたので、トヨタとしてもタイミングは難しかったのかもしれませんがようやくの発売です。アルファードとヴェルファイアの兄弟車はともに完全な新型へと移行し、それぞれ全く新しいクルマになっています。

特に気になるのはやっぱりLクラスミニバンのベストセラー、アルファードでしょう。アルファードは先代の30型、先々代の20型もオーナーの方は非常に多いので最新型はどんな風に変わったのか、威圧感たっぷりのあの迫力のスタイリングはどのようにアップグレードされているのか、インテリアはどれだけゴージャスになったのかとても気になっているのではないでしょうか。

すでに画像が多数で回っているのでどんな見た目になっているのか、インテリアのデザインがどう変わったのかなどご存じの方も多いと思いますが、特に先代との違いを中心に詳細にチェックしてみましょう。

押し出し感満点の
オラオラ系エクステリアはどう変わった?

アルファードのエクステリアでフルモデルチェンジによって大きく変わったポイント
(引用:トヨタ公式HP)

アルファードのエクステリアでフルモデルチェンジによって大きく変わったポイントといえば、標準系といわゆるエアロ系といった2つのスタイルがなくなり1つのスタイルとなったことでしょう。イメージ的にはアルファードが標準系で、ヴェルファイアがエアロ系という感じになっています。ただこれは現時点でのことですので、のちのちエアロモデルが追加される可能性はあります。

そしてアルファードといえば、ギラギラのメッキが特徴の巨大なフロントグリルですが新型はどうなったのか。フロントグリルが巨大という点は変わっていませんが、ギラギラ感が先代よりも抑えられています。カラーはラメの入ったガンメタでこれにメッキ加飾のパネルが40個以上組み合わせたものでとても複雑な造形。そして、先端が先方に突出する形で逆スラント上になっていて中央にはトヨタのエンブレムを装着。こちらも先代からの大きな変更点です。たしかに迫力満点ですが、以前よりもシックな雰囲気もあり、いわゆるオラオラ感が薄れて上品(先代に比べれれば)さも感じられます。

ヘッドライトまわりのデザインも個性的で、薄型の3眼LEDヘッドランプ(ハイ・ロービーム)とLEDクリアランスランプ(デイタイムランニング機能付き)、そしてLEDコーナリングランプ+LEDシーケンシャルターンランプを組み合わせたものとなっています。またフロントバンパーのフォルムもとてもアグレッシブ。ボリューム感満点なのは変わりませんが複雑な曲面を使用した有機的な造形となっています。バンパーからフェンダー、ボディサイドにつながるプレスラインが美しく融合しておりただの箱ではなくスポーティなイメージも醸し出しています。

立体感のあるアスリートのような
たくましさのあるサイドビュー

アルファードのサイドビュー
(引用:トヨタ公式HP)

サイドビューもとても印象的です。フェンダーからつながるエッジの効いたキャラクターラインがリアへ向けて地面を蹴りだすようにはしっており、まるでアスリートの肉体のようなたくましさや力強さを感じさせるダイナミックな造形となっています。

ウインドウグラフィックもとても凝っていてリアのスライドドアの前方で一段上がってから再びボディ後方に向かって曲線を描きながら下がっていく。後席ウインドウの面積が小さいのと、個性を演出するためにちょっとやりすぎの感もありますが新しさを感じさせるデザインとなっています。

そして、リアのLEDコンビランプはフロントグリルのデザインとマッチした大型のセパレート型でこちらのデザインは先代のアルファードに近く、後ろから見ると一目でアルファードということがわかります。アウターレンズの表面にはエアロスタビライジングフィンを設定されておりこれが操縦安定性にも貢献するとのこと。そしてリアゲートはスムージングされているかのようにバンパーと段差なく滑らかにつながっている点は高級感が感じられます。

ボディサイズは先代30系とほぼ同じ
立体駐車場でも不便のないサイズを確保

アルファードのボディサイズ
(引用:トヨタ公式HP)

全体的に先代モデルよりもメッキ加飾の部分を抑え気味にして、上品かつ高級感が増したという印象が強くなっています。アルファードはオーナーカーとしても圧倒的な人気がありますが、いわゆる送迎などのショーファードリブンカーとしも需要が高いので王道の高級車スタイリングを目指したということなのかもしれません。

そして兄弟車であるヴェルファイアは押し出し感を増したオラオラ系のスタイルを強調して兄弟車の個性を際立たせたということなのかもしれません。先代と比べると見た目のボリューム感は増していますがサイズ的にはどうなのか。新型アルファードと先代アルファードのボディサイズの比較が以下です。

●新型40系アルファード(Executive Lounge)ボディサイズ
全長4,995㎜×全幅1,850㎜×全高1,935㎜

●30系アルファード(3.5 Executive Lounge)ボディサイズ
全長4,944㎜×全幅1,850㎜×全高1,935㎜

比べてみると全幅と全高は先代モデルとの違いがなく、全長が50㎜ほど大きくなっています。これは、一般的な機械式駐車場のサイズ制限である「全長5,000mm未満、全幅1,850mm以下」が利用できるようなサイズ感を維持するためにこのサイズとなったようです。それでいてより広い室内空間を実現したとトヨタはアナウンスしています。

インテリアは豪華さがさらにアップ
セカンドシートはファーストクラス並み

アルファードのインテリア
(引用:トヨタ公式HP)

インテリアはやはりゴージャスです。インパネ中央に14インチという大型ディスプレイがそそり立っておりかなり存在感が目立ちます。合成皮革巻き+スパッタリング仕様のセンターコンソールは全体的に高さがあって、ラウンドした形状のインパネからサイドのつながるトリムもあってフロントシートは非常に包まれ感のあるインテリアとなっています。またスイッチ類も整理されているのでごちゃごちゃ感がなくとても落ち着いた空間にもなっています。

フロントシートは全グレードパワーシートでシート地はプレミアムナッパ本革もしくは合成皮革で座り心地も満点です。さらに快適温熱シート+ベンチレーションシート(運転席・助手席)助手席肩口パワーシートスイッチ(シートスライド&リクライニング)を搭載しています。

セカンドシートもエグゼクティブラウンジシートもしくはエグゼクティブパワーシートで、ロングスライドやパワーリクライニング、パワーオットマン、大型アームレスト(カップホルダー各席 1 個+ポケット付)、快適温熱シート+ベンチレーションシート、折りたたみ式サイドテーブルが全グレード標準です。

最上級のExecutive Loungeではさらにパワーロングスライドやリフレッシュシート、メモリー機能(パワーリクライニング・パワーオットマン・チルトアジャスター)、マニュアルウォークインレバー、快適温熱シート(オットマン&アームレストヒーター付)+ベンチレーションシート、回転格納式テーブル(防汚処理付バニティミラー付 / 各席 1 個)、リヤマルチオペレーションパネル(脱着式)、ファイルホルダー(物落ち防止スペーサー付)なども装備されます。まさにファーストクラス並みのゴージャスさです。

インテリアは機能性もレベルアップ
ユニバーサルステップで乗降性も向上

アルファードのインテリア機能性もレベルアップ
(引用:トヨタ公式HP)

そして、セカンドシートのルーフには照明や各種スイッチ類、エアコン吹き出し口などを天井中央に集約したスーパーロングオーバーヘッドコンソールが装着されています。反対側の窓を開閉したり照明を調節したりできるなど後席のどこにいても使いやすい操作性を実現しており、また間接照明も内蔵しておりとてもゴージャスです。

他には、スライドドア部にユニバーサルステップをトヨタ自動車として初めて右側にも採用していることも新しい点です。さらにセンターピラーや左右の天井にロングアシストグリップを設置したことで、お年寄りから小さなお子さんまで快適な乗り降りをサポートしてくれます。

他には、64色から選択できるイルミネーションが設定されるほか、下降式の後席サイドシェードや左右独立のムーンルーフも設定されています。新型アルファードはインテリアもこのようにエクステリア同様大きく進化しています。

ボディ剛性を見直し、新設計のサスペンション採用で
操安性や乗り心地、静粛性も高級車らしいものに

アルファードの走りや乗り心地
(引用:トヨタ公式HP)

では走りや乗り心地に関してはどうなのか。アルファードは先代もモデルについては乗り心地に関して少し物足りなさがありましたが、新型はシャシーの基本骨格を見直してTNGAプラットフォーム(GA-K)をミニバン用に最適化したものを採用。乗員に伝わる振動・騒音の低減に徹底して取り組むことで快適さ性能も向上させています。

さらに剛性に関して不利な箱型&スライドドアのアルファードですが、車体底部の後方にブレースをV字型に設けることで、車両剛性を従来型比で約50%もアップしています。さらに構造用接着剤を足元付近には高減衰タイプを、車両後方のねじれ等が生じやすい箇所付近には高剛性タイプのものを最適に塗布してボディの変形を効果的に抑制、優れた操縦安定性と乗り心地を実現しています。

サスペンションは、フロントをTNGA用のマクファーソンストラット式に刷新し、リアは従来のダブルウィッシュボーン式をベースに新たに開発。地面から伝わる振動の周波数に応じて減衰力を機械的に可変させる周波数感応型ショックアブソーバーも設定することでしっかりとした操縦安定性と同時に地面からの不快に感じるような微細な振動を吸収します。

さらに2列目のシートにはクッションフレームの取り付け部分にゴム製のブッシュを配置し、背もたれ・アームレストにも低反発のフォームパッド採用することで振動を従来型比約3分の1まで低減しています。

ロードノイズや風切り音についても様々な対策を実施したとのこと。新開発の低騒音タイヤ採用や吸音材も設定。そしてエンジンフードの先端やドアミラー、フロントピラーといった風圧を強く受ける部分の形状を最適化して風切音発生の対策などを行って心地の良い静けさを追求しています。とにかくワンランク上の静かさと高級車らしい乗り心地の良さを手に入れたということです。

3.5L V6の設定はなし。2.5Lガソリンエンジンと
ハイブリッドで燃費性能は大幅向上

アルファードのパワーユニット
(引用:トヨタ公式HP)

新型アルファードのパワーユニットですが、先代にあった3.5LV6エンジンはなくなりました。おそらく今後も燃費に不利な大排気量ガソリンエンジンは追加設定されることはないかと思います。設定されているのは2.5Lガソリンエンジンと、2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドの2つのパワーユニットです。どちらも十分なパワーを持ちながら燃費性能にも優れているのが大きな特徴です。

2.5Lガソリンエンジンのスペックは最高出力134 kW (182 PS)で、最大トルクが235 N・m (24.0 kgf・m)です。特別パワフルではありませんが十分といえる数値です。2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドは エンジンの最高出力が140 kW (190 PS)で最大トルクが236 N・m (24.1 kgf・m)。これに、最高出力134 kW(182 PS)、 最大トルク 270N・m(27.5kgf・m)のフロントモーターと、4WDの場合は最高出力40 kW(54 PS)、 最大トルク 121N・m(12.3kgf・m)のリアモーターの組み合わせとなります。

ハイブリッドのシステム最高出力は184kw(250ps)と3.5LV6エンジン並みの高出力なので走りには十分な余裕が感じられるはずです。また燃費性能はハイブリッドのWLTCモード燃費が17.5km/L(2WD)でガソリン車のWLTCモード燃費が10.6kmLとなっています。ガソリンエンジン車に関しては動力性能も燃費性能は先代とほぼ同等です。

一方ハイブリッドに関しては先代のWLTCモード燃費が14.8km/L(4WD)だったので同じ4WD(E-Four)でも16.5km/Lと大幅に伸びています。ハイブリッドはパワーについても先代がシステム最高出力197PSだったものから250PSに大きくアップしているのでそれでいて燃費は大きく向上しているのですから性能的には相当なレベルアップといっていいでしょう。

また、ハイブリッド関しては従来型が4WD(E-Four)のみの設定だったのが、燃費的に有利な2WDが新設されたというのも大きなトピックといえるでしょう。

トヨタの最上級ミニバンらしく
先進の安全・運転支援システムも充実

アルファードは先進の安全・運転支援システムも充実
(引用:トヨタ公式HP)

安全装備に関してももちろんトヨタの最高級ミニバンですから非常に充実しています。最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」が」標準装備となっていて、プロアクティブドライビングアシスト(車線内走行時常時操舵支援、信号交差点に対する右左折時減速支援)も全グレード標準装備です。

さらに最上級グレードのExecutive Loungeでは、高度運転支援技術「トヨタ チームメイト」も標準搭載(その他グレードはオプション設定)。駐車時、渋滞時の運転をサポートしてくれます。

このトヨタ チームメイトのアドバンスト パーク(リモート機能付)は、車外から専用スマートフォンアプリ「Remote Park」を操作することで遠隔で駐車・出庫が可能ですし、アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)では高速道路・自動車専用道路での運転の際、渋滞時(0km/h~40km/h)にレーダークルーズコントロールおよびレーントレーシングアシスト作動中にドライバーが前を向いているなど一定の条件を満たすと作動してドライバーの渋滞時の運転負荷を軽減、安全運転をサポートしてくれるというもの。ロングドライブの機会が多いという方は是非ほしい機能といえるでしょう。

価格は540万円からと大幅にアップ
しかしいずれお買い得グレードも設定されるはず

新型アルファードのグレード
(引用:トヨタ公式HP)

新型アルファードのグレードはとてもシンプルです。Zグレードのガソリンエンジン車とハイブリッド車、そしてExecutive Lounge(ハイブリッドのみ)の3タイプのみで、それぞれ2WDと4WD(ハイブリッドはE-Four)が選べるようになっています。乗車定員は7人のみで先代にあった8人乗りは設定されていません。

気になる価格はZグレードガソリンエンジン車2WDの540万円~Executive Lounge (E-Four)の872万円までとなっています。もっとも安いグレードでも540万円ですので先代とくらべるとかなりの価格アップです。これではさすがに手が出ない!という感じる方も少なくないでしょう。ただ、これはあくまで現時点での設定です。

トヨタは通常どのモデルでも最上級グレードのZ、ミドルグレードのG、そしてエントリーグレードのXと3タイプのグレードを用意しています。これは先代アルファードでも同様。しかし6月21日発売開始となった新型アルファードに関しては、Zグレードとさらにその上のExecutive Loungeのみしか用意されていません。上級モデルと最高級グレードのみであればここまで高いのは当然でしょう。おそらく今後、ミドルグレードのGグレードやエントリーグレードのXグレードも設定されることになると予想されます。そしておそらく8人乗り仕様も。

実際、新型アルファードの福祉車両「ウェルキャブ」シリーズにはGグレードが用意されていてこちらはガソリンエンジン車で472万円~となっています。通常のグレードにも後日Gグレードが設定されるのはほぼ間違いないでしょう。

来年以降にミドルグレードや
エントリーグレードが投入される可能性大

新型アルファードは上級グレードのみから投入
(引用:トヨタ公式HP)

しかし、なぜこのように上級グレードのみから投入されたのか。これは筆者の想像ですがアルファードは人気車種のため発表直後から注文殺到が予想されます。現在コロナの影響が長引いていて新車の納期が延びている中、大ヒット間違いないアルファードにいきなりお買い得なエントリーグレードを用意してしまうと、注文をさばききれないほどのオーダーが殺到するのはトヨタとしても目に見えている。そこで、高額な最上級グレードと上級グレードのみをとりあえず投入して、注文が殺到するのを抑えようという目論見だったのではないでしょうか。

しかし、新型アルファードの発表以来その注目度は爆上がりで、オーダーの殺到はどうやら抑えられていないようです。こんなにも高額な車にもかかわらず現在の納期は1年以上となっているのが現実のよう。さすがに大ヒット車種アルファードの最新モデルですね、プレミア価格でも買いたいというアジアの富豪も多そうですので、しばらくは争奪戦となりそうです。

どうしてもいますぐ手に入れたいというのでなければ、来年以降にミドルグレードやエントリーグレードが設定されてから本気で購入を検討するというのが現実的かもしれません。それまでは頭金などの予算をためておくか、お得なリース車が設定されるのを期待して待つことをおすすめします。