2022年9月1日、トヨタはクラウンのフルモデルチェンジを実施し、4つのスタイルの新型「クラウン」を発売すると発表しました。そしてその第一弾として登場したのが「クラウン クロスオーバー」です。

クラウンといえばトヨタを代表するセダンです。「いつかはクラウン」のキャッチコピーは有名ですが、庶民には中々手の出ない高級セダンであり、キャッチコピー通りいつかクラウンに乗ってみたいと多くのドライバーが憧れたクルマでいた。

そんな日本を代表するプレミアムセダンであるクラウンがフルモデルチェンジして、それまでのイメージを一新し全く新しいクルマへの生まれ変わったのです。クラウンといえばコンサバな、悪くいうとおじさんくさいセダンというイメージがありましたが、新型クラウンは「クロスオーバー」、「スポーツ」、「セダン」、「エステート」という4つのボディタイプへと生まれ変わり大きな話題となりました。

そして第一弾として2022年7月に発売された新型クラウン CROSSOVER(クロスオーバー)は、インパクト満点でクールかつスタイリッシュなエクステリアが特徴となっています。クロスオーバーと名乗りつつも、いわゆるクロスオーバーSUVとはちょっと違ったセダンとSUVを融合させたようなその革新的なパッケージで、駆動方式やパワーユニットも大きく進化しています。そんなクラウンクロスオーバーにはどのような特徴や魅力があるのでしょう。またどんなグレードが用意されているのか詳しく探ってみました。

いわゆるSUV的なスタイルながら
独立したトランクを持つ個性的なエクステリア

新型クラウンクロスオーバーの一番の特徴
(引用:トヨタ公式HP)

新型クラウンクロスオーバーの一番の特徴はそのエクステリアでしょう。ボディサイズは、全長4,930mm×全幅1,840 mm×全高1,540mmと先代クラウン(全長4,910mm×全幅1,800mm×全高1,455mm)よりもわずかに大きくなっています。

そして、クロスオーバーというだけあって高めの車高に大径ホイールとタイヤを組み合わせたいわゆるSUV的なスタイルをもっています。クラウンがSUVという点ですでに意外性がありますが、横一線のシャープなヘッドランプやリヤコンビネーションランプも実に個性的で力強さやスポーティなイメージを強めています。

また、SUVの定番的な2ボックスのハッチバックのワゴンスタイルではなく、クラウンらしくちゃんと独立したトランクが設けられているのも特徴となっています。クラウンらしい都会的で上質なイメージとスポーティなクーペSUV的な雰囲気を見事に融合した、とてもスタイリッシュなエクステリアとなっています。

それだけでなくフェンダーやサイドシルにブラックの樹脂パーツを装着するなど、ワイルドさもあって若々しさもあります。上質なサルーンのイメージとスポーティでワイルドなSUV的な要素をセンス良く融合させており、それでいてトヨタのフラッグシップらしい堂々とした存在感もあります。このクラウンクロスオーバーなら、従来のクラウンオーナーとは違った層からも興味を持たれるのではないでしょうか。

インテリアは優れた機能性を持ちながら
デザインはすっきりとスマート

新型クラウンクロスオーバーのインテリアは優れた機能性
(引用:トヨタ公式HP)

大きく変わったのはエクステリアだけではありません。インテリアも従来のクラウンとはイメージが大きく変わっています。クラウンというとクラシックでわかりやすいゴージャスなセダン(先代、先々代などは実はスポーティだったのですが)というイメージがありますが、クラウンクロスオーバーはすっきりとしたシンプルで上質なデザインのインテリアになっています。

まずメーターパネルやディスプレイ、操作スイッチなどがすっきり配置されています。水平方向に操作系などを集約してレイアウトすることで視認性や操作性を向上させ、さらに運転席だけでなくどの席からも直感的に操作ができるよう機能性を持っています。

装飾類もあまりありません。メッキや木目でギラついているような、昔のクラウンっぽさは全く感じられません。解放感もあって輸入車の高級SUVのようなスマートなデザインでディテールにも温かみがあり実に落ち着いた空間を作り出しています。プレスリリースには「どの席に座っても特等席と感じられる、上質で居心地のいい室内空間」を目指したと書かれていますが、その通りシートの座り心地も抜群で、落ち着いた空間でゆったりと過ごすことが可能です。

インテリアカラーもすっきりと質感が高い高級感のあるものが設定されています。バリエーションは全4タイプでグレードによって選べるカラーは変わっていますが、ブラック/イエローブラウン、フロマージュ、ブラック/ダークチェスナット、ブラックの全4種類から選択することが可能です。

RSグレードはシステム出力257kW(349PS)
スポーツカー並みのハイパフォーマンスが味わえる

新型クラウンクロスオーバーRSグレードはスポーツカー並みのハイパフォーマンス
(引用:トヨタ公式HP)

クラウンクロスオーバーの駆動方式は全車ハイブリッドのE-Four(4WD)です。従来のクラウンのようなFRベースではなくFFベースの4WDとなっているのも大きな違いです。設定されたパワーユニットは2.4Lターボエンジンエンジン+モーターのハイブリッドと、2.5Lガソリンエンジン+モーターのハイブリッドという2タイプとなっています。

2.4Lターボハイブリッドはエンジンの最高出力が200kW(272PS)で最大トルク460N・m(46.9kgf・m)。これに最高出力61 kWのフロントモーターと同59 kWのリヤモーターを組み合わせて、システム出力は257kW(349PS)とスポーツカー並みの動力性能となっています。

クラウンクロスオーバーの車重は2tとかなりの巨体ですが、これほどのパワーとトルクがあれば全く問題ありません。特にモーターは発進時から最大トルクを発揮可能なのでRSの加速力は本格的なスポーツカーを凌駕するでしょう。クロスオーバーではありますが本気で走りを楽しむことも可能です。

とはいえハイブリッドとなれば燃費が気になりますが、WLTCモード燃費は15.7km/Lとなっています。さすがにこれだけの動力性能を持っていれば燃費は特に良いということにはなりませんが、このクラスとしては十分優れていると言っていいと思います。

もう一方の2.5Lハイブリッドはエンジンの最高出力が137kW(186PS)、最大トルク221N・m(22.5kgf・m)で、これに最高出力88 kWのフロントモーターと同40 kWのリヤモーターを組み合わせています。そのシステム出力は172kW(234PS)です。2.4Lターボハイブリッドと比べるとちょっと見劣りしますが、234PSであれば全く不足はありません。

さらに燃費に関しては2.4Lターボハイブリッド以上に非常に優秀でWLTCモード燃費は22.4km/Lを達成しています。システム出力172kW(234PS)という十分な力強い動力性能を発揮しながら、コンパクトカー並みの22.4km/Lも走ってくれるのですから十分以上といっていいでしょう。

また、車体の完成度も非常に高く、TNGAプラットフォームによる軽量でバランスの取れた高剛性ボディに加えて、フロントサスペンションにはマクファーソンストラット、リヤに新開発のマルチリンクサスペンションを使用することで、優れた乗り心地とクラウンらしいどっしりとした直進安定性を実現。フラット感が高く、振動の少ない質感の高い乗り心地を味わうこともできます。

トランクの容量は450Lを確保
ゴルフバッグを3つ積載することが可能

新型クラウンクロスオーバーRSグレードはスポーツカー並みのハイパフォーマンス
(引用:トヨタ公式HP)

SUVスタイルいながら独立したトランクを持つクラウンクロスオーバーですが、そのトランクの使い勝手はどうなのか。一見ハッチバックのSUVに見えますが、クラウンクロスオーバーは、キャビンとラゲッジが完全に分かれています。この辺はセダン的です。肝心のラゲッジスペースの容量ですが450Lでトランクスルーも可能です。

ラゲッジスペースの寸法的は長さ1,120mm×幅1,335mm×高さ545mmで、9.5インチゴルフバッグを最大3個まで収納可能です。できれば4個収納が可能ならベストですが決して狭くはありません。ラゲッジの床下にはデッキアンダートレイが設けられておりここにはタイヤパンク応急修理セットが搭載されています。

トランクリッドはRS “Advanced”やG“Advanced ”、G“Advanced・Leather Package”などといった上級グレードでは自動開閉する「ハンズフリーパワートランクリッド(挟み込み防止機能付)」と「ラゲージドア&リアドアのイージークローザー」が装備されています。これは、スマートキーを携帯した状態でリヤバンパーの下に足を出し入れするだけでトランクリッドの開閉が行えるというもの。こういった機能はゴルフだけでなく買い物などでも重宝するでしょう。

全グレードに充実した先進安全装備
「Toyota Safety Sense」標準を搭載

新型クラウンクロスオーバーは全グレードに先進安全装備を標準搭載
(引用:トヨタ公式HP)

先進安全装備も充実しています。最新スペックのトヨタの予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が全グレード標準装備となっています。安全装備の内容は以下のようになっておりベーシックグレードでもかなり充実しています。

■クラウンクロスオーバー全グレードに搭載される予防安全装備■

  • ●プリクラッシュセーフティ歩行者(ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)
  • ●緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付)+フロントクロストラフィックアラート+レーンチェンジアシスト
  • ●レーントレーシングアシスト/レーンディパーチャーアラート+レーンディパーチャーアラート
  • ●レーダークルーズコントロール
  • ●アダプティブハイビームシステム
  • ●ロードサインアシスト
  • ●ドライバー異常時対応システム
  • ●プロアクティブドライビングアシスト
  • ●発進遅れ告知機能
  • ●パーキングサポートブレーキ(前後方静止物)

そのほか“Advanced”グレード以上になると、以下の安全装備も装着されます。

  • ●ブラインドスポットモニター/後方車両への接近警報+安心降車アシスト
  • ●パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)
  • ●ドライブレコーダー(前後方)

また、渋滞時の安全運転支援や駐車時をサポートする高度運転支援技術「トヨタ チームメイト」も採用しており、上級グレードにはオプションで追加が可能です。

グレード構成はRS、G、Xの3タイプが基本
先進機能や快適装備を充実させたグレードも設定

新型クラウンクロスオーバーは先進機能や快適装備を充実させたグレードも設定
(引用:トヨタ公式HP)

クラウンクロスオーバーのグレード構成はシンプルで、大きく分けると「クロスオーバーRS」、「クロスオーバーG」、「クロスオーバーX」となっています。クロスオーバーRSはハイパフォーマンスのハイブリッドユニットを搭載したスポーティな最上級グレード。そしてクロスオーバーGは装備が充実し燃費性能にも優れたミドルグレード。そしてクロスオーバーXがエントリーグレードとなっています。

さらに基本となるクロスオーバーRS、クロスオーバーGには “Advanced”と“Leather package”、 “Advanced・Leather package”という装備をより充実させた3タイプのバリエーションも設定されています。違いはレザーシートなど内外装をグレードアップしたのが “Leather Package”で、先進機能を充実させたのが “Advanced”。さらにその両方の装備をプラスしたのが “Advanced Leather Package”と考えるといいでしょう。それぞれの価格は以下の表のように43,500,000円~6,400,000円です。

グレード パワーユニット 価格
RS “Advanced” 2.4Lターボハイブリッド 640万円
RS 605万円
G “Advanced・Leather Package” 2.5Lハイブリッド 570万円
G “Leather Package” 540万円
G “Advanced” 510万円
G 475万円
X 435万円

 

クラウンですのでどのグレードもリーズナブルとはいきませんが、人気でいうとG “Advanced・Lether Package”やRS “Advanced”などといった高額なグレードに集中しているようです。いわゆるコスパの良いグレードではなく“一番良い“グレードに人気が集中しているというのはさすが高級車のクラウンですね。

筆者的におススメのグレードはミドルグレードのG “Advanced“です。Gグレードの装備に加えてドライバーサポートパッケージ1が標準装着され、カラーヘッドアップディスプレイやデジタルキー、ハンズフリーパワートランクリッドなども追加されて、価格はGよりも35万円+の510万円です。コスパ的にかなり魅力的ではないでしょうか。

全く新しいスタイルを手に入れた新生クラウン
今後リリース予定の他のバリエーションにも期待

全く新しいスタイルを手に入れた新生クラウン
(引用:トヨタ公式HP)

高級セダンから、セダンとSUVを融合させたような近未来的なスタイルとなったクラウンクロスオーバー。新生クラウンシリーズとして2022年9月に発売されて以降、あまりにもイメージが変わってしまったことで、既存のクラウンユーザーからはそっぽを向かれるのではなどという心配もありましたが、2023年は月間3000台から5000台の販売台数をキープしており非常に順調なようです。

人気があるゆえにその納期も延びているようで今注文しても納車は9~12カ月先となっているようです。ただ、地域や販売会社、またグレードやオプションによって納期も多少前後するようですので、できるだけ早くクラウンクロスオーバーが欲しいという方は、ディーラーに足を運んで相談してみてはいかがでしょう。

ただ、2023年の秋には「クラウンスポーツ」が、その後にも「クラウンセダン」や「クラウンエステート」など他のタイプもクラウンの登場も予定されています。クラウンクロスオーバーの注文を焦るのではなく、それらが発売されるのをとりあえず待ち、全てのクラウンがそろったタイミングでどのタイプが自分にベストなのかじっくりと検討するというのも悪くない選択かもしれません。