クルマを運転する際のシートポジション、あなたは正しくできていますか? いつの間にか自分なりのクセがついていて、おかしなことにはなっていませんか。周囲をキチンと見渡せて、スムーズな操作ができて、クルマを安全、快適に運転するには、周囲がキチンと見渡せてスムーズな動作が行える正しいシートポションに調整する必要があります。
正しくないシートポジションや変な乗車姿勢のクセがついていると事故などの危険が迫った際に気づくのが遅れたり、緊急回避の操作に遅れがおきることもあるでしょう。
もし、自分のシートポジションや乗車姿勢に自信がないなら、今一度自分のシートポションを見直してみませんか。そこで今回は、どうすれば正しいシートポジションになるのかシートの調整方法など分かりやすく解説します。
目次
あなたは正しいドライビング
ポジションで運転できている?
街中を走るクルマのドライバーを見ていると、正しいドライビングポジション(ドラポジ)で運転できていない方をよく見かけます。さすがに都内では、片膝を立てて片手でステアリングを握るなんて今どきヤンキーでもしないようなひどいドラポジを見るようなことはありませんが、はたから見ていて「それでちゃんと周りが見えているの?」と、こちらが不安になってしまうような個性的なドラポジで運転している方を見かけることはあります。
おそらくですが、ちゃんとしたシートポジションに調整ができてない、もしくは正しいシートポジションや乗車姿勢がどのようなものなのかきっと理解していないのではないでしょう。
でも、そもそも正しいドライビングポジション、乗車姿勢の基本となるシートポジションとはいったいどのようなものなのでしょう。おそらく教習所などで教えられているはずなのですが、最近免許を取ったばかりという方でない限り、ちゃんと覚えているという方はあまりいないのではんないでしょうか。
簡単に説明すると、運転中に常に周囲を見渡せる視界が確保でき、そしてクルマと一体感をもってステアリングやペダルの操作が行える運転姿勢が取れるシート位置が、正しいシートポジションです。ペダルの踏み間違え事故などもそんな正しいシートポジションが取れていればある程度は防げるのです。
クルマの運転中は、アクセルやブレーキによる加速や減速、コーナリングに路面の凹凸、道路の継ぎ目などでクルマが上下左右に動くので、ドライバーの体も前後や左右、上下に揺すられてしまいます。そのためどうしても徐々に体の一がずれてきてしまうもの。運転姿勢を一定に保とうとするのは意外に難しい。
しかし、正しいシートポジションであればしっかりと踏ん張りがきき、体の位置もずれにくく、安全快適な運転が可能になります。シートポジションに関してあまり重要にとらえていない方もいますが、実は運転の基本としてとても大切なことなのです。
ではどう調整するのが正解なのか。前述の説明では具体的にどう調整すればいいのか分かりにくいので、誰にでもできる正しいシートポジションの調整方法や、気を付けるポイントなどを次のパートから詳しく解説していきましょう。
シートバックに背中やおしりが
触れるように深く腰を掛ける
まずはシートにどのように腰を掛ければいいのかです。ダイニングのイスに腰かけるようにただ座ればいいというわけではありません。ポイントは深く座るということです。
シートバックとお尻の間に隙間があいてしまうような浅い腰掛け方はNGです。それでは急ブレーキなどをかけた際にお尻が後ろに下がってしまうので、ブレーキペダルを強く踏むことができません。急ブレーキをかけたいのに十分な減速ができないということになります。危険ですね。
さらに、長時間運転をする際にも、そういった座り位置は問題があります。お尻の後ろに隙間が空いているとシートバックで十分に体を支えることができず骨盤が後傾してしまうからです。その状態では、後傾した骨盤の上に上半身の体重がかかってしまうため腰に大きな負担がかかります。そのせいで運転中に腰が痛くなったり疲れやすくなる、ということがあるのです。
また、体がシートでキチンと支えられていないと加速や減速、コーナリング時に体が動きやすくなり、正確な操作がしにくくなります。ですからシートバックとお尻の間に隙間ができないように深く座るというのが大切です。
次にシートの高さを調整します。最近のクルマのシートには様々な調整機能が装備されていますが、それらを使用して高さを調整し、アイポイント(ドライバーの目の高さの位置のこと)を正しい位置にしましょう。
アイポイントはできるだけ高くして下さい。理由は視界を確保するためです。視点が低くすぎると周囲が良く見渡せなくなり死角が増えてしまうからです。そのような状態で、クルマの死角に歩行者や自転車、バイクなどがいたらいうまでもなく非常に危険です。事故につながりかねません。
視界を広く確保するために、メーターが見やすく、かつ姿勢が苦しくならない程度までシート位置を高くしましょう。
座席の高さはシートにあるシートリフター機能を使用します。運転席の右側にあるレバーを自分で動かして調整する手動タイプと、スイッチを押すだけでいい電動タイプがありますが、車種によって異なるので説明書などを確認してください。
その機能を使用してアイポイントの位置はできるだけ高めにします。もちろん調整できる範囲、かつ頭上にある程度の余裕を確保した上でなるべく高くしてください。
シートクッションで
踏み間違い事故を防ぐとは?
(引用:トヨタ公式HP)
もし自分のクルマにシートリフター機能がない場合は座席に敷くシートクッションなどを活用しましょう。カー用品店などに行くと様々なタイプ、高さのものが売られています。
シートクッションには座布団タイプ、座席とおしりの後ろのすき間を埋めるタイプ、背もたれのあるものなどがあります。
また、先日はこのようなシートクッションがトヨタから発売されました。それがこちらです。
安心ドライブサポートクッションBasic
https://toyota.jp/dop/safety/cushion/
このクッションを使用すると運転時に起きる踏み間違いの要因の一つ、足の開きを低減してくれ、シートに座っているときに足先にいつでもブレーキがある体勢を保ってくれるとのこと。
そのためとっさの時にも無意識にブレーキを踏むことが可能になるのです。
さらに高齢者など筋力が落ちている方なら、クッションが筋肉の負担を軽減してくれるのでアクセルやブレーキペダルの踏みやすさを向上させる効果も期待できるとのことです。
身体のポジションをある程度矯正してくれるので、強力なサポート機能を持つスポーツシートではないクルマにお乗りならこういったクッションを使ってみるのもおすすめです。
ちなみにこちらのアイテムは全国のトヨタディーラーで購入でき、価格はスウェード調のラグジュアリータイプが6,160円(税込)。ニットのベーシックタイプが4,290円(税込)となっています。手ごろなので試しに導入してみてもいいでしょう。クルマにお乗りの高齢の父親や母親にプレゼントするのもいいかもしれません。
シートの高さが足りない、またシートリフターを使っても調整幅が足りないといった場合、こういったクッションのように高さ調整だけでなく、腰痛予防や疲労軽減など、目的に合わせてクッションを選ぶというのも良い方法です。
緊急時にしっかりと脚を踏ん張れるように
シートの前後位置を調整する
そして、次はシートの前後スライド機能を使用して、適切な前後位置にシートを移動しましょう。適切なシートの前後位置とは、左足をフットレストに置いた状態で、右足がアクセルやブレーキをしっかり奥まで踏みこめる位置です。その状態で膝が伸び切ることなく少し余裕ができるくらいにシートを前後にずらして調整しましょう。
こうすることで各ペダルとの適切な距離を保つことができ、繊細なアクセルワークや、またとっさの際の急ブレーキを確実に踏むことができます。
左足をしっかりとフットレストに踏ん張ることができれば、下半身も安定します。下半身が安定すれば、上半身はハンドル操作に集中することができきるはずです。
シートの前後調整は、シートの座面下などに設置されているレバーで行います。レバーを引きながら体ごとシートを前後にスライドさせてベストな位置に固定します。
シートの前後位置の調整で、下半身のポジションが決まったら、続いては上半身の角度のセッティングを行います。ステアリングの9時と3時の位置を両手でつかんで下さい。その状態で背中をシートバックに楽につけます。そして肩は動かさずステアリングを握った手を12時の位置に移動させてみましょう。
シートバックから背中を離さないと12時の位置が握れないという場合はシートバックが寝すぎているかシートの前後位置が離れすぎです。また、ひじが伸びきってしまうというのも問題です。12時の位置を両手でつかんで、少しひじが曲がるくらいにシートバック起こすなどして調整しましょう。
もし一番上を持ったときに腕が伸びきっている、あるいはシートバックから背中が離れてしまうと、ハンドルを切るたびに上半身が前後に動きます。正確な運転の妨げになるので正しい位置に調節して下さい。
ただし、近い方がいいのならば、とハンドルを抱え込むくらいにシートを前方にずらすのはNGです。初心者の方に多い運転姿勢ですがクルマの前をしっかり見ようと意識しすぎてシート位置が前に行きすぎているのでしょう。
しかし、ハンドルにしがみつくような姿勢では、クルマのすぐ前しか見えません。視野が狭くなり周囲の情報が入ってこなくなります。自分のクルマから少し離れた前方で、何かしらのトラブルが起きた際に素早いハンドル操作ができないので危険です。また衝突などされたときに開いたエアバッグが胸部に強打してしまう可能性もあります。前過ぎてもいけないのです。
いざというときに頭を守ってくれる
ヘッドレストの高さ調整も大切
シートポジションの調整の際に意外に見逃しがちなのがヘッドレストです。ヘッドレストは運転時頭に触れることはありません。頭をヘッドレストにあずけながらの運転はやめましょう。そもそもそういったためのものではないのです。
本来の目的はクルマが後ろから衝突されたなどの際にドライバーの首が受けるダメージ、例えば鞭打ち症などの傷害を、低減するために装備されているもの。
もしこのヘッドレストが正しい位置にない状態で、不意に衝突されてしまったらどうなるか。シートバックで支えられ、なおかつシートベルトで拘束された身体はシートバックに押し出されるようにして一気に前へと弾き飛ばされます。
しかし、頭の後ろにヘッドレストがないと体重の約10%の重さを持つ頭はその場に残ろうとして、身体とは反対に、後ろに持っていかれてしまいます。すると頭と体を繋ぐ首に大きな負担がかかって、鞭打ち症になってしまうわけです。
ですから、ヘッドレストの調整は大切なのです。まず上下位置を合わせます。高くする場合はヘッドレストをそのまま持ち上げればよく、低くする場合はヘッドレストの基部にあるロックノブを押しながら下げてください。
そして、ヘッドレストの上端がドライバーの頭のてっぺんと同じ高さになるか、もしくはヘッドレストの中央部が耳の高さになるように調整しましょう。それが正しいポジションになります。以上でシートポジションの調整は終了です。
クルマのセッティングの第一歩が
誰にでもできるシートポジションの調整
正しいシートポジションの調整方法、ご理解できたでしょうか。長年運転をしていると、シートポジションにも自分なりのクセがついていることがありますが、クルマのシートはリラックスするためのいすではありません、もちろん乗り心地などの快適性も重要ですが、安全でスムーズな運転操作のために体をしっかりと支え、ドライビングポジションを保持してくれるクルマの機能パーツの一つなのです。
ですから機能を100%発揮させるには正しく調整することが重要なのです。そうすることで運転がしやすくなり長時間のドライブでも体が疲れにくくなります。いわばクルマのセッティングの第一歩ともいえるものなのです。
やり方は簡単ですし、費用だって掛かりません。ご紹介した調整方法などを参考に、いろいろと試して自分なりのベストなシートポジションを是非見つけてみてください。