あなたのクルマにはバックフォグ(リアフォグ)ランプは装備されているでしょうか。そんなのあったかな? そんな、よくわからない、という方もきっと多いのではないでしょうか。バックフォグランプは、以前からヨーロッパ車などにはついていましたが、国産車にはあまり装備されていなかった装備です。しかし、最近のクルマでは装備されることも増えています。
でも、その使い方についてはちゃんと理解されていない方も少なくありません。というか自分が点灯しているのかどうかかさえ分かっていない方も中にはいます。夜間走行していて、前を走るクルマが必要もないのにバックフォグを点灯していたらたぶんそのドライバーは自分がバックフォグを点けていて、それが後続車のドライバーの迷惑になっているということがわかっていないのでしょう。
バックフォグは必要なシチュエーションで、正しく使えば、ちゃんと使えば、とても役立つものなのですが、ほとんどの方が正しく使えていません。それどころかよくわからず点灯しっぱなしにしていて、後続車に迷惑をかけているというケースが多いのです。きっと、そんなバックフォグによって、目潰す攻撃を受けたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
そんなバックフォグについて、本来の役割や、使い方のマナーなどについてご紹介します。
目次
LEDのバックフォグランプは
後続車のドライバーの大迷惑
最近のクルマはヘッドライトにLEDを使用しているクルマも増え、以前よりも夜間の視認性が向上しています。以前のハロゲンランプやHIDランプよりもヘッドライトが非常に明るく、暗い夜道をしっかりと照らしてくれるのでドライバーとしては安心感も増しています。
ただ、明るくなったクルマのライトのことをよく理解せず、意味もなくフォグランプを点灯しっぱなしで走っているクルマも少なくありません。対向車のクルマが、天気がいいのにフォグランプを点灯していてそれがまぶしすぎてイライラさせられるということも決して珍しくありません。
通常のフォグランプですらまぶしくて迷惑なのに、さらにやっかいなのがバックフォグランプ(リアフォグランプ)です。バックフォグは保安基準の条項のなかでは「後部霧灯」と呼ばれているものです。
目的としては、後方から来るクルマに対して、自車の存在を知らせるためのランプです。フォグ(霧)ランプというくらいですから本来は霧の時に使用するもので、濃い霧や激しい雨、雪などといった視界が悪い道路状況のときに点灯するためのもの。
極端に視界の悪い状況では、ヘッドライトの点灯だけでは前方の視界が確保できず、そんなときに前方を走る車の後ろにバックフォグランプがあれば、その赤い光によって、前方にクルマがいるということがわかるのですね。
そういった視界不良時に点けるためのランプですから、とても明るいのが特徴でだいたいブレーキランプと同等の明るさを持っています。それぐらいでないと、濃霧の時などには役に立たないのです。
なぜ意味もなくバックフォグを
点灯しているクルマがいるのか?
そんなバックフォグですが、なぜか霧どころか雨でもないのに夜間点灯しっぱなしのクルマを見かけることがあります。視界良好の夜間にそんなバックフォグを点灯したクルマに後ろに運悪くついてしまうとまぶしくて苛立たしいことこの上ありません。ブレーキランプと同等の赤い光でずっと自分のクルマが照らされ続けるのですから、鬱陶しいですしイライラしますよね。
特に最近のクルマのバックフォグランプはLEDランプになっていますので余計にまぶしい。LEDランプは昔のハロゲンランプよりもくっきりとした明るさが特徴です。つまり目への刺激も各段に強いということ。だからより迷惑なのです。また幻惑されて障害物の接近に気が付かずトラブルに見舞われてしまう可能性もあります。厄介なだけでなく危険でもあるのです。不要なバックフォグランプの点灯は本当に迷惑この上ありません。
でも、なんでそんな風にバックフォグを点灯しっぱなしにしている人がいるのか。なぜ消さないのでしょうか。おそらくですが、正しい使い方を知らない人が多いのでしょう。もしくは点灯しているということにさえ気づいていない人がいるのかもしれません。
そもそも日本ではバックフォグランプはあまりなじみのあるものではありません。実際装備されているクルマも最近こそ増えていますが以前はほとんどの国産車には装備されていませんでした。せいぜい寒冷地仕様のSUVに装備されていたくらいでしょう。
とはいえ、そんな昔もバックフォグを点灯しっぱなしにしている迷惑なクルマはいました。ただ、そのほとんどはヨーロッパ車でしたね。国産車ではあまりなじみのあるものでもなかったですし、その機能も使い方もあまり知られていないゆえにそのようなことになっていたのでしょう。
教習所などでも教えていいない
バックフォグランプの正しい使い方
装備されているクルマは全てのクルマではないうえに、装備することが当たり前でないバックフォグランプですので、その存在や使い方を知らないという方がいても仕方がない面もあります。そもそも、教習所などでもバックフォグランプの正しい使い方を教えていないのではないでしょうか。
フロントのフォグランプの役割や使い方、使い方によって対向車の迷惑にもなるので正しいマナーで使いましょう、といったことは教えているようですが、バックフォグランプに関しては、装着車が少ないということもあって、教えられていないようです。そのため、むやみに使うと後続車に迷惑であるということが知られていないのではないのだと思います。
また、必ずしも必要ではない装備であり全車に装備されているというものでもないために、自動車ディーラーなどでも、購入したドライバーにその正しい使い方を教えていない、もしくはディーラーの担当者も正しい使い方を理解していないというケースもきっと少なくないのでしょう。
結果、正しく使えば役に立つ安全装備ながら、バックフォグランプは本来の使い方がされず、後続車への目つぶし攻撃になっているということではないでしょうか。
バックフォグランプは
どういったシチュエーションで使うものなのか
バックフォグランプの正しい使い方ですが、道路運送車両の保安基準の第37条の2には以下のように記載されています。
「後部霧灯(バックフォグランプ)は、霧等により視界が制限されている場合において、自動車の後方にある他の交通からの視認性を向上させ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」
ということは、バックフォグランプは霧や吹雪といった悪天候時など、視界不良の場合にのみ点灯するのが正しい使用方法ということになります。暗いからと言って普段から多用することはNGです。
場合によっては、そのまぶしいバックフォグランプの光に腹を立てて、後続車からあおり運転を受けるリスクさえあります。自分が知らないうちにバックフォグを点灯させていないか、そもそもスイッチがどこにあるのか、消灯するにはどうすればいいのかなど今一度確認してみましょう。
バックフォグランプのスイッチはどこにある?
どうやって点灯と消灯を行えばいい
バックフォグランプのスイッチですが、どこにあるのかというとそれは車種によって様々です。インパネなどに単独でバックフォグランプ専用のスイッチが装備されているものもありますし、ウインカーレバーにあるヘッドライトのスイッチに、フロント用のフォグランプスイッチと共に併設されているものあります。
注意が必要なのは、輸入車で多いヘッドライトスイッチとは別に単独でリアフォグランプのスイッチが用意されているパターンです。そういったものの場合、バックフォグランプのスイッチがONになっていることに気づかないと、ヘッドライトを点灯させるとそれに連動してバックフォグランプのスイッチが勝手にONになってしまいます。そういったクルマが、ようするにドライバーが気付かず、いつのまにかバックフォグの光で後続車を幻惑する目つぶし攻撃を行っているのでしょう。
国産車の場合は、そういった独立したタイプのスイッチではなく、ステアリングコラムの右側にあるウィンカーレバーに組み込まれているヘッドライトスイッチに、フロントフォグランプスイッチといっしょに併設されていることが多いようです。
ウインカーレバーには、回転させることでヘッドライトが点灯するスイッチがありますが、フォグランプやバックフォグが装備されていると、さらにその内側に回転式のフォグランプスイッチが装備されているはずです。
よくわからないという場合はレバーをよく見てください。フォグランプ装備されていれば、レバーにフォグランプのマークが刻まれているはずです。左側が欠けた半月のような形の左横に、少し下を向いた3本の斜め線と、それを貫くような縦の波線一本が並んでいるのがフロントフォグランプのマークです。
そして、右側が欠けた半月の形の右横に3本の横線とそれを貫く1本の波線があればそれがバックフォグランプのマークです。こちらのマークがあればバックフォグランプが装備されている可能性が高い(マークがあってもオプション設定で装備されていないものもある)です。
点灯方法はフォグランプスイッチを回すだけです。回転するとまずはフロントフォグランプが点灯しますが、さらに奥まで回すとバックフォグランプが点灯するという仕組みとなっているものが多いはずです。
バックフォグランプの点灯位置までスイッチを回すと、バックフォグが点灯されてもスイッチがその場所では固定されずにフロントフォグの位置までスプリングで戻ってくるものもあります。そのせいで消灯し忘れが多いのかもしれません。そういったスイッチの場合は、一度最奥まで捻って点灯、戻ってきたスイッチをもう一度奥まで捻ると消灯するという仕組みになっています。
メーターパネルにもフォグランプと
バックフォグランプのインジケーターランプがある
スイッチが戻ってしまうので、点灯しているのか消灯しているのかよくわからないという場合は、メーターインジケーターランプを確認しましょう。メーターパネルにもフォグランプ、バックフォグランプの点灯の状態が確認できるインジケーターがついているはずです。
先ほど紹介したマークと同じランプがメーター内に点灯していれば、フォグランプやバックフォグランプがONになっているということです。今までもこのマークが点灯していたことはなかったでしょうか。ついていたような気がするけれど、なんだかわからず放置していたのであれば、バックフォグが常にONになっていて、後続車に迷惑がられていたかもしれません。気を付けてください。
上記は一般的な国産車の場合です。この例にないものも中にはありますので、バックフォグのON/OFF操作に関してわからないという場合はクルマの説明書をしっかりとチェックしましょう。
また、できれば一度バックフォグランプを点灯させ後方からその光がどれほど強烈なのかも確認してみるといいでしょう。バックフォグランプが点灯しっぱなしだとどれだけ後続車には迷惑なのかがきっとわかるはずです。
正しく使えば役に立つけれど
不用意に使えばいらぬトラブルを招く元
バックフォグランプの本来の目的と、その使い方、スイッチの操作方法など、基本的なことがわかったでしょうか。本来の使い方を理解して、霧や強い雨が降ってきたときに点灯させれば、後方の安全も確保できる役立つものですが、そこまでの悪天候はそうそうないでしょう。必要がない場合は必ず消灯しておきましょう。キチンと使い分けることが重要です。
悪天候でもないのにバックフォグランプを点灯するのは、交通マナー違反でもありますし、場合によって後続車に迷惑をかけるだけでなく、その光にイラついた後続車ドライバーからあおり運転をされてしまうというような余計なトラブルを引き起こしかねません。
装備されているからと言って安易に多用するのは絶対に避けてください。基本はOFFで、視界を悪化させる霧や豪雨、大雪の際にのみ使うものだということをくれぐれも覚えておいてください。