購入するのではなくリースでクルマを利用する、便利でお得で合理的なクルマの利用方法がカーリースです。月々定額のリース料金を支払うだけで面倒な手続きや、ランニングコストの負担が不要。まとまったお金を用意しなくても最新のモデルに乗ることができるとあって、最近は幅広い年齢層のドライバーの利用が増えています。
そんな便利でお得なカーリースですが、年単位ではなく月単位で利用できる短期カーリースという仕組みがあるのをご存じですか?レンタカーと一般的なカーリースのちょうど間のような?そんな短期カーリースについて、いったいどのような利用方法が向いているのか?長期リースやレンタカーに対してどんなメリットがあるのか?また利用の際の注意点やデメリットなどはないのか、調べてみました。
目次
新型コロナで免許取得者が増加
カーリース市場も活況に
若者のクルマ離れは随分以前から叫ばれていましたが、2020年に入り新型コロナ禍の中、その流れが大きく変わってきました。それまで「クルマは使わないから免許なんて必要ない!」と考えてきた若い世代が、密を避けられる便利な移動手段であるクルマを見直し、学生を中心に免許取得に走る人が増えているというのです。
これには、新型コロナのせいで、免許を取得するための時間がとれたというのもありますが、何かと話題のGoToトラベルが、合宿免許の対象(現在は終了しています)だったということも、おそらく大きかったのでしょう。高額な合宿免許の費用が割安で済むなら、このチャンスに取っておくべきだ、と考えたのかもしれません。
クルマ業界にとっては若者のクルマ回帰はよろこばしいこと。これでクルマの販売も上を向くのではと期待しているかもしれません。でも、そうは簡単ではないようです。そもそも免許を取得したからといってクルマを購入するかどうかは別の話。なんといっても今どきの新車は高価です。かつてはちょっとがんばれば新車が買えた軽自動車でさえ、今では最上級グレードなら200万円近くします。オプションを付けた支払総額は軽く250万円オーバーです。さらにコンパクトカーなどもちょっと装備の充実したグレードならトータル300万円越えも珍しくありません。
この金額では、とてもじゃありませんが若者に買える(学生ながら起業されている方や両親がお金持ちなど懐に余裕があれば別ですが)ものではないでしょう。
でもせっかく免許を取ったのだからクルマに乗りたい!となるのも人情です。そこで、注目されているのが、会員間でクルマをシェアし、必要な時に短時間の利用も可能なカーシェアリングサービスや、まとまったお金が不要で、月々定額の支払で新車に乗ることができるカーリースです。ようするに高額なクルマを買うのではなく借りればいいというわけですね。実に合理的な考え方です。
クルマのサブスクカーリースに
大手自動車メーカーも本格参入
音楽や動画、服や家電などのシェアリングサービスになじみがあれば、クルマを借りて使うことに特に抵抗はないのでしょう。またモノを自分の所有物としてキープしておきたいという欲もあまりないのかもしれません。
確かにクルマは消耗品ですし、いずれ買い替える(よほど思いいれがあれば一生モノとして所有することもできなくはないですが)ものですから、だったらはじめから買わずに借りて、新しいクルマがリリースされたらそちらに乗り換えるというのはとても賢いといえるかもしれません。
カーシェアリングの拠点などもどんどん増えていますし、必要な時にだけ短時間利用するならそちらが便利。また、カーリースに関しても、今やトヨタやホンダ、日産など大手自動車メーカーなども市場に本格参入しています。借りて乗るというクルマとの付き合い方が、より利用しやすい環境となっているのです。こうなると今後さらにカーシェアやカーリースの利用者は増加していくことは間違いないでしょう。
実際、クルマのサブスク的サービスは年々充実してきています。しかし、利用する方が増えれば、もっと自分の使い方にマッチしたサービスはないのか?その仕組みにと不満を覚える人が増えてくるのも当然のこと。そこで、注目されてきているのが「短期カーリース」なのです。
短期カーリースの仕組みとは
レンタカーと比べてどれだけお得?
「短期カーリース」は、ちょうど前述したカーシェアリングと一般的なカーリースの中間的な位置づけで、カーシェアリングやレンタカーでは、割高になってしまうようなまとまった期間クルマが使用したいけれど、通常のカーリースのような年単位で必要なわけではない。そんな難しい要求にこたえてくれるもの。ホンダが一部地域でスタートした「Honda マンスリーオーナー」もそんな短期カーリースサービスの一つです。
基本的に短期カーリースは、カーリースの契約形態のひとつであり、仕組みとしてはまんまカーリースです。ただ、一カ月単位など短いスパンでクルマをリースでき、その間は好きにクルマを利用できる、というのが一般的なカーリースとの大きな違いです。月単位の短期間でクルマが使いたい人にはとても便利でお得な仕組みとなっています。
限られたその期間でも、頻繁にクルマを利用するのであれば手元にクルマがあったほうが絶対に便利です。毎回レンタカーやカーシェアのクルマを予約して借りるというのでは手間がかかりすぎて非常に面倒。費用だってばかになりません。
例えば、レンタカーなどは、ひと月も借りればかなり割高になってしまいます。調べてみるとトヨタレンタカーでは、マンスリーシステムという一カ月間レンタカーを利用できる仕組みがあります。こちらを利用した場合、割引が適用され約15日分の料金で1ヶ月間クルマを借りることが可能となっていますが、実際の料金はコンパクトカーのアクアで13万3,650円(トヨタレンタカー大阪のサイトに掲載されている料金。http://www.r-shinosaka.jp/ja/TowardsCorporation/Monthly)となるそうです。ひと月クルマを借りて、13万円はやっぱり高いですよね。
また、もう一方のカーシェアリングですが、こちらはクルマを複数人でシェアする仕組み。一人で一カ月も独占して使うようなことは基本的にはできません。最長でもだいたい3日間(72時間)までとなっています。
ただ、マンスリーサービスなどカーシェアリング会社によっては別途特別なプランが用意されている場合もあるようです。しかし、その料金はやはり高い。例えばCareco(カレコ)の場合ですが、コンパクトカーをひと月借りた場合は9万7,000円です。これに距離料金(走行した距離に応じて別途費用が加算される)が加わるのでおそらく前述したレンタカーと同等、走行距離が長ければ、さらに割高になるでしょう。
やはり、どちらもそもそもひと月単位で貸すことを想定したサービスではないので、安くはありませんね。
利用料金は確かに安いけれど
短期カーリースには注意点もあり
では注目の短期カーリースならどれくらいの料金で済むのか?リース会社によっても違ってきますが、ワンコインカーリースなどの安いサービスなら(http://onecoinlease.jp/)1日あたりなんと500円程度。つまり、リース料金は一カ月で1万5000円で済むというのです。これは安いですよね。非常に魅力的です。
ただ注意点もあります。まず契約期間が1ヶ月単位となっていること。つまり、クルマが必要なのが2カ月+1週間だった場合でも、3カ月の契約を結ばなければならないということです。使用しない期間の分まで料金が支払うことになります。もちろんそれでもレンタカーやカーシェアリングに比べれば十分安いのですが。
また、カーシェアリングやレンタカーと違ってあくまでカーリースなので、短期であっても利用には審査が必要となります。そして審査が通ったらそのクルマ名義人になるため印鑑証明や住民票の提出も求められます。さらに、たった一ヶ月の利用であってもそのクルマを保管しておくための駐車場の確保と車庫証明を取得する必要もあります。そしてすべての書類がそろったら名義変更を行います。そのための名義変更手数料なども別途必要となります。
このように短期であっても手続き関係は一般的な長期リースと変わりません。レンタカーやカーシェアのように、即日利用できるわけではないのです。
加えて会社によって異なりますが、このほかに保証金(クルマを返却した際に特に車体に問題なければ返金されます)が必要なケースもあります。リース料金が安いといってもその他の諸費用がかかるということは忘れてはいけません。
任意保険についても注意が必要
カーリース向けの保険に入っておこう
保険に関しても気を付ける必要があります。この場合の保険とは自賠責保険ではなくいわゆる任意保険です。レンタカーやカーシェアリングの場合はその利用料金の中に任意保険も含まれています。任意ですがいわば強制的に加入していることになるのです。
そのためレンタカーやカーシェアの車両を利用中に万が一事故などのトラブルに巻き込まれた場合でも、自賠責保険でカバーし切れない分は、ちゃんと任意保険によって補償が受けられるのです。
しかし、これは短期長期かかわらずですがカーリースの場合任意保険に関しては別途利用者が加入しないといけないというケースが少なくありません。つまり加入するかどうかはまさに任意ということ。もし任意保険に入っていないクルマで万が一事故を起こしてしまったら、莫大な賠償金を支払わなければならないことにもなるでしょう。もちろんクルマのダメージに関しても責任を負うことになります。
そういった万が一のことを考えれば任意保険は必ず入っておくべきです。短期カーリースサービスを提供している会社では、短期のリースに対応した任意保険を、別途加入できる仕組みがあるようなので、そちらを必ず使用するようにした方がいいでしょう。その分利用のための費用はかさみますが、それでも利用料金は十分リーズナブルなはずです。
選べるクルマの選択肢は少ない
新車でなく中古車がほとんど
短期のカーリースは短期間の利用を想定しており、料金も格安となっています。そのため、用意されているクルマは車両価格が安く、以前にリースで貸し出されていたであろう中古車が中心です。「Honda マンスリーオーナー」なども用意されているクルマは中古車です。
一般的な長期リースでは利用者が好きな新車を選ぶことができますが、短期カーリースではちょっと古めの中古車から選ばざるを得ないことがほとんどです。そのことが気になる人にはデメリットと言えるかもしれません。ただ、その分安く利用できるのですから、贅沢はいえないでしょう。
また、短期といえどもリースならではの注意点がいくつかあります。まず、走行距離の制限があります。リース会社によって違いますが1か月あたり500㎞~1,000㎞の範囲で設定されていることが多いようです。もしこれを超えると超過料金を請求されることもあります。
さらに、中途解約も基本的にできません。3カ月の契約をしたら、途中でクルマが必要でなくなっても契約期間が終わるまでクルマを借り続けることになります。どうしても解約したいなら別途解約金が請求されるでしょう。
ほかにも、車両返却時にクルマに故障やダメージがあれば、その分の違約金が請求されます。こういった注意点は長期カーリースと変わりません。
予定の見通しが立っているなら
短期カーリースは検討の余地あり
短期カーリースは安いプランなら一日あたり500円~と非常にリーズナブルな費用で利用することが可能ですが、借りるための手間は通常のカーリースと同じで時間もかかります。また、リース料金以外に名義変更のための諸費用や、駐車場を確保するための費用なども必要となるので、安易に「一日500円ならレンタカーや、カーシェアより安い!」と飛びつかないようにした方がいいでしょう。
例えばいますぐに1週間程度クルマを使いたい、というならレンタカーなどを利用した方が合理的だといえます。先の予定で、名義変更や車庫証明の取得の時間も待て、月単位でクルマを利用したいというケースなら短期カーリースを検討してもいいかもしれません。
大切なのはいつ、どれくらいの期間クルマが必要なのかしっかり見通しを立てておくこと、そしてトータルでかかる費用がいくらなのかもキチンと計算しておくことです。おそらく2ヶ月や3ヶ月といった、短期といえどもレンタカーやカーシェアでは賄いきれない比較的長い期間クルマが必要というケースなら、短期カーリースはぴったりかもしれません。
年単位の長期でクルマを使うなら
素直に新車カーリースを利用しよう
ただし、それよりも長い期間、年単位でクルマが必要という場合は、リースナブルなど一般的な新車カーリースを素直に使用するのが賢明です。自分の好みのまっさらな新車を自分専用として長期間自由に使うことができますし、頭金ゼロでも手軽に利用が可能です。また、面倒な手続きや諸費用の支払いに頭を悩ませることもありません。
自分の使用目的、利用期間に合わせて慎重に検討してみてください。ただこういった短期カーリースがあるということを知っておくとクルマの利用方法の選択肢の一つとして、いつか役に立つかもしれません。実際に利用する際にはそのメリットとデメリットを比較して、本当に短期カーリースが自分の使い方にマッチしているかしっかりと検討してから利用するようにしてください。