南北に長い国土を持つ日本。北は北海道から南は沖縄まで、同じ季節であってもその気候は地域のよって大きく変わります。特に冬場はその違いが大きくなります。その理由は雪です。ひと冬の間にまったくふらない地域があれば、毎日のように積雪があり何メートルも積もってしまう地域もあって、その気候の幅広さは他の国ではなかなかないのではないでしょうか。

そして、クルマを運転するドライバーにとってそんな冬場の雪はとても悩ましい存在です。ちょっとした操作ミスでタイヤがスリップを起こし、それが事故につながってしまうことも。そんなことにならないように降雪地域では本格的な冬に突入する前に夏タイヤをスタッドレスタイヤに交換するのが当たり前となっています。

そんな、冬場にかかせないスタッドレスタイヤですが、カーリースの車両の場合スタッドレスタイヤへの交換は契約者が勝手にやっていいものなのでしょうか？それともリース料金に組み込まれていて、頼めばリース会社にやってもらえるものなのでしょうか。調べてみました。

都会ほど準備が必要
スタッドレスタイヤの必要性

カーリースの車両は、あくまでリース会社のものです。リース期間が終了したらリース会社に返却するのが基本です。その際、車両は原状回復が必要となります。つまり極力元の状態を保ったまま返却しなくてはいけないということ。もしもリース契約期間中に車体に傷をつけたり、車内を汚してしまった場合には、原状回復のための費用、いわゆる違約金が発生します。また、原状回復困難な改造やドレスアップした場合も同様に、違約金が請求されてることになります。

もし雪道でクルマをスリップさせていまい、塀やクルマ止めに車体をぶつけてへこませてしまったらどうなるか。前述のとおり原状回復のための修理が必要となります。そしてその費用はユーザーの負担となります。さらに、修理をしてもクルマのダメージが大きく、事故車扱いになるような状態になれば、クルマの価値を大きく損なったとして違約金が請求されることになります。カーリースの車両はユーザーが自由に使うことができますが、最終的には車両を返却するということになるので、より慎重に維持していかなくてはならないのです。

だからこそスリップなどのリスクの高まる冬場は、積雪がそれほどない都会でも、早めにスタッドレスタイヤに交換しておくべきなのです。年に1～2回雪が降る程度だから大丈夫、という考えは危険です。ここ数年、東京でも大雪に見舞われることが珍しくなくなってきました。その際、幹線道路で難題もの夏タイヤを履いたクルマが立ち往生したり、ガードレールや橋の欄干などに、スリップしたクルマをぶつけてしまうケースも見かけました。もしカーリースのクルマでそのようなことになったら最悪です。スタッドレスタイヤをケチったために、違約金が発生ということになってしまうことになります。

さらに、修理で済めばまだしも、スリップによる事故でクルマが全損となってしまったら目も当てられません。クルマが廃車となり手元からなくなった上に、残ったリース料金やリース契約中途解約費用を払わなくてはならなくなってしまいます。そうならないためにも、本格的な雪のシーズンとなる前に、都市部でもスタッドレスタイヤに交換しておくのがやはり間違いありません。

スタッドレスタイヤは普通の夏タイヤに比べると、溝が深くコンパウンド（ゴム）が柔らかく作られています。柔らかなコンパウンドが路面に密着し、深い溝やトレッド面のサイプが雪をかむこと手滑りやすい積雪路やアイスバーンでもグリップ力を発揮します。

スタッドレスタイヤはその複雑な構造から夏タイヤよりも価格は少し高めです。さらに夏タイヤからスタッドレスタイヤに交換するにも、手間がかかります。そのため雪のシーズンになったら早めに交換しましょうといっても、そのための費用も気になりますよね。そもそもカーリースは各種諸費用が月々の支払いに含まれているというのが特徴ですが、スタッドレスタイヤの交換に関してはどうなっているのでしょうか。

カーリースでは登録費用や車検費用が
月々の支払いに組み込まれている

まず、オートローンはクルマを購入するよりも手軽で、月々の支払が一定かつ頭金も不要。税金や保険などの費用の管理も不要で手軽に利用できるというが注目されている大きな理由です。高くてとても手が届かないとあきらめていた人気の新車にも、一定の支払いで乗ることができ、家計の管理もしやすいということから、次のクルマはリースにしようかと考えている方もきっといることでしょう。

登録手続きにかかる費用や、税金、保険、そして車検費用まですべて月々の支払に含まれているということは、車検のタイミングとなっても、別途そのための費用を用意しなくてもいいということ。通常車検の際には各種メンテナンスを行います。その整備費用に関しても基本的には月々の支払いに含まれているので、負担も基本的（ダメージを受けたパーツや著しく劣化した消耗品の交換に別途費用が請求されるケースはあり）に必要はありません。

では、日々のカーライフで発生する消耗品に関してはどうなのでしょう。ガソリンなどの燃料はいうまでもなくユーザー負担ですが、エンジンオイルやバッテリー、タイヤなどもクルマを使用していれば消耗してしまうもの。

さらに、前のパートで触れたスタッドレスタイヤへの交換についてもどうなのでしょう。スタッドレスタイヤだけユーザーサイドで用意すれば無料で交換してもらえるのか？それとも、なにも用意せずに時期が来れば無料（毎月のリース代の含まれている？）で交換してもらえるのか？それともスタッドレスタイヤの用意も、交換にかかる工賃もすべてユーザーサイドが負担しなければならないのか？気になるところですよね。

調べてみると、契約するリース会社のサービスや、カーリースの契約プランによって大きく変わってくるようです。そもそもカーリースには大きく分けると二つ仕組みがあってそれが「ファイナンスリース」と「メンテナンスリース」です。あなたが契約したカーリースが、このファイナンスリースかメンテナンスリースかによって、スタッドレスタイヤ交換に関してもどう対応すればいいかが大きく変わってくるのです。

「ファイナンスリース」と
「メンテナンスリース」の違い

では、このファイナンスリースとメンテナンスリース、どんな違いがあるのでしょうか。まずファイナンスリースとは個人向けのカーリースとして一般的なもので、自動車の購入費用から、環境性能割（自動車取得税が廃止となり2019年10月1日より導入）、契約期間中に発生する自動車税、重量税、自賠責保険料などが月々のリース料金に含まれているというカーリースです。また、車検の際に必要となる同じような諸費用も同様です。

いうなれば最もベーシックなカーリースプランで日々のカーライフに必要な消耗品の交換などはユーザーサイドで行う必要がありますが、月々の負担はその分大きくないというのが大きな魅力です。

税金や保険を除いた、車検にかかわる整備費用に関しては、月々のリース料金に含まれている場合もあるようですが、他のメンテナンス費用と同様にユーザーサイドで負担（税金や保険料は別）しないといけないというケースもあるようです。

それに対してメンテナンスリースは、カーリースの料金に、ファイナンスリースと同様に車両価格ほか環境性能割、自動車税、重量税、自賠責保険料、車検にかかる諸費用がすべて含まれています。それに加えて、定期点検費用や、オイル交換費用、消耗部品交換費用（パーツ代含む）、タイヤ交換費用（交換用タイヤ代も含む）などの費用まで、全て含まれいるというカーリースとなっています。つまり、カーライフで必要な各種メンテナンスサービスまで、すべて毎月の支払いだけすれば受けられるということ。

もちろんリース料金はファイナンスリース同様に月々定額です。それでいてメンテナンスリースなら基本的なクルマのメンテナンスもすべてカーリース会社にお任せすることが可能です。自分でメンテナンス先を探す手間も必要ありませんし、メンテナンス作業も一切する必要がありません。自分はクルマに乗るだけで、あとはすべてお任せできるのです。クルマに関してさほど知識がないという方であればこれは非常にありがたいものでしょう。

メンテナンスリースなら負担なしで
スタッドレスへの交換が可能

そしてこのメンテナンスリースでは、面倒なスタッドレスタイヤ交換費用も、多くの場合毎月のリース料金に含まれています。カーリースを利用する際、はじめから、そういったカーリースプランを選べばスタッドレスタイヤ交換に手間やコストがかからず、交換場所や交換時期で頭を悩ますこともありません。だったらスタッドレスタイヤも交換してもらえるし、何も考えずメンテナンスリースを選べば間違いないのか。

そうでもありません。なぜなら同じメンテナンスリースでもスタッドレスタイヤ交換に関しては各社で対応にも違いがあるからです。交換用タイヤとして、スタッドレスタイヤが提供されるカーリース会社もあれば、オプションとして別途スタッドレスタイヤの交換を選択しておかなければスタッドレスタイヤを提供してくれないケースもあるようです。そのプランの中に、スタッドレスタイヤ交換が含まれるかどうかは確認の必要があります。ただ、メンテナンスリースが用意されていれば、標準かオプションかの違いはあれ、まずスタッドレスタイヤ交換サービスは用意されているはずなので契約前に確認しておくのが間違いありません。

スタッドレスタイヤの交換も、メンテナンスに関してもよくわからないし、面倒はできるだけ避けたいという方は、カーリースを利用する際、はじめからメンテナンスリースを選択するのが賢明かもしれません。その際、スタッドレスタイヤ交換に関して、その会社がどのようなサービスを用意しているのかは必ず確認するようにしておきましょう。

手間いらずのメンテナンスリース
でもその分リース料金は高め

ただし、すべての個人向けーカーリースサービスで、スタッドレスタイヤの無料交換を含めたメンテナスリースが用意されているわけではありません。もし、クルマの管理はすべておかませしつつ自分はクルマに乗るだけが良いという方は、はじめからメンテナンスリースが用意されているリース会社を慎重に選びましょう。

しかし、逆に交換用パーツやオイル類選びにもこだわりがあり、クルマの整備の経験もあるという方は、むしろ通常のファイナンスリースを選択するほうが良いかもしれません。メンテナンスリースはメンテンスの内容や、使用するパーツ類の選択に自由度はあまりありません。はじめからその費用が組み込まれているので当然のことですね。

それに、月々のリース料金にメンテンス費用が含まれているということはそれだけ毎月のリース料金もアップすることです。メンテナンスリースの整備費用は一般的なディーラーなどで行う整備費用をベースに計算されているようですが、その金額も決して安くはありません。

ユーザーによってクルマの消耗度などにも差があるので、ある程度幅を持たせて金額が設定されているということもきっとあるのでしょう。それに、オイル交換サイクルや消耗品交換作業なども、リース契約期間中何回まで、などの制限もつけられている場合が多いようです。

全てお任せできるので手間はかかりませんが、スタッドレスタイヤの選択を含め、消耗品パーツ選びやメンテナンスサイクルに関しての自由度はさほど高くないということになります。もちろんそんなことは気にならないという人には何も問題はありませんが。

多少手間をかけたほうが
毎月のリース料金は抑えられる

手間は多少かかりますが、メンテナンスに大手カー用品チェーンを利用したり、簡単な消耗品交換や、パーツ交換などは自分で行なえばそのような制限は受けません。費用もずっと安く抑えることができます。またスタッドレスタイヤなども同じく、カー用品店で購入し、交換作業を行ってもらったほうがトータルでは費用を抑えることができる可能性が高いです。ただし、リース会社によってはメンテンス先に関しても指定されている場合もあります。

もし、自分で手間をかけることが面倒でなければ、ファイナンスリースを選択したほうが、よりお得となるケースのほうがおそらく多いでしょう。

メンテナンスリースはランニングコスト管理がしやすく急な出費の心配をしなくても良いといのが大きなメリットです。そしてスタッドレスタイヤ交換に関してもタイヤの購入や交換工賃、夏タイヤの保管といった面倒を避けることが可能です。そういった点はとても魅力的ですが、それがあなたにとってもベストな選択なのかどうかは、自らのカーライフを考えて慎重に検討する必要があるかもしれません。