中古車検索サイトなどで「リースアップ車」と表記された中古車を見たことはないでしょうか。詳細を見ると、他のクルマと同じ中古車であることには間違いないのですが何らかの理由で区別するためわざわざリースアップ車などと書かれています。ではなぜそうなっているのか。またリースとついているからにはカーリースと関係していることは間違いありませんがリースアップとはそもそもどういうものなのか?知っているようで意外に知らないそんなリースアップ車についてあらためてご紹介します。
目次
リースアップ車とは
そもそもどういうクルマなのか
そもそもですがリースアップとはなんなのかご存じでしょうか。おそらく想像つくとは思いますが簡単にいえばリース契約が満了することをリースアップといいます。リースとは、個人や企業がコピー機や機械設備、車両などを導入する際に、購入(所有)するのではなく、リース会社が購入した物を貸借(使用) するという仕組みです。リースを利用すれば高額な購入資金を用意しなくても月々一定のリース料を払うだけで、最新の機械設備や車両を使用することができるというもの。利用する側にとっては経済的にも非常にメリットのある仕組みでそのため最近は個人向けのカーリースの人気も高まっています。
リースでは期間が決められている(延長も可能)ので、3年や5年、7年といったリース期間が満了したらリースしていた機械設備や車両は、そもそもの所有者であるリース会社に返却するか、再リースするかを選択することになります。機械設備などの場合はリース期間を延長することも珍しくありませんが、カーリースの場合は、それまでリースしていた車両を返却し、新たに別のクルマをリースするという場合がほとんどです。よほど思い入れがない限りは同じ車を再リースするということはありません。なぜならメリットがあまりないからです。
再リースとなればまた月々一定のリース料金を払うことになり、さらに払い続けてもそのクルマは買い取れるわけではありません。また、再リースならクルマの価値が下がっているのでリース料金も安くなるはずと思われるかもしれませんが、そうならないケースも多いのです。
再リースでは、再リース期間が満了した時点でのそのリース車両の下取り価格を予想して、契約時に設定した価格(リースアップした中古車両の価格)から差し引いてリース料金を計算します。税金や保険、車検やメンテナンスなどといったリース期間中に生じる諸費用もそこに上乗せされます。
新車の場合は下取り価格が高く査定されるので、その分支払い額を低くすることができるのですが、再リースとなった場合はそのクルマはすでに中古車。そのためその価値は低く査定されてしまいます。リース期間を終えた5年落ち、7年落ちとなった中古車のさらに5年後、7年後の下取り予想価格ですから安くて当然ですよね。
結果的にわずかしか下取り額が設定できず、リースアップ車両の再リースなのに毎月のリース料金は思ったよりも安くならないというケースが多いのです。だったら高額な下取り価格が期待できる最新のクルマをあらためてリースした方がお得ですよね。安全性能などは年々進化していますし。結局カーリースの場合の再リースはよほどそのクルマに思い出があるなどというケースでない限り正直あまりメリットがないというわけなのです。
ただし、リースアップ車両そのものに価値がないということではありません。中古車として見ればその価値は普通の中古車よりもむしろ高いといっていいでしょう。実際中古車市場でもリースアップ車の人気が非常に高いのです。ではその理由とはなんなのでしょうか。
リース車は丁寧に乗られていて
整備もゆきとどいている
カーリース車両であろうと、普通に購入されたクルマであろうと一度登録され利用したクルマはすべて中古車となります。中古車となったリース車両は中古車販売に回るか、中古車カーリースとして貸し出されるか、また、レンタカーなどに利用されることもあります。
この中で中古車販売に回ったリース車両が、カーオークションに出品されたり、リースアップ車として中古車販売店などの店頭売られることになるわけです。
でもなぜ他の中古車と、リースを終えたリースアップ車両があえて区別されているのか。それはリースアップ車両が状態の良いクルマであるとして人気が高いからです。同じ中古車なのにリース車だとなぜ状態が良いとされているのか。その理由は明確です。
まずリース車両は丁寧に乗られているケースが非常に多い。なぜなら、リース期間満了後の下取り価格を始めて決めているのでその金額を下回らないように丁寧に乗られることが多いからです。また、カーリース車両はクルマに手を入れるようなカスタムやドレスアップが基本NG(やってしまうと違約金が発生したり下取り価格が減額されるから)なので、ダメージも通常の中古車よりも多くの場合少ないといえるでしょう。
加えて、メンテナンスも行き届いています。購入された車両の場合、オーナーがルーズであれば法定点検などを受けていないこともありますし、また走行に影響のない小さなトラブルなどは放置されてしまうケースもあってコンディションはまちまちです。
しかし、カーリース車両の場合は、リース料金に法定点検やメンテナンス代が含まれていることがほとんど。そのため走行距離に応じた整備や、定期点検などもしっかりと行われている。つまり手入れが行き届いているので同年式の同じ車両であっても、一般的な中古車よりもリースアップ車のほうが「状態が良い」ものが多い、もしくは良い状態であることが期待できるのです。
また、リース車両の所有者はあくまでリース会社。つまりは「借り物」であり、使う方も多くの方がそのような意識を持っています。リースが終われば返却するクルマなので事故などにも十分に気をつけて丁寧に乗る人が多い。結果リースアップ車は「状態が良い」中古車となる可能性が高いというわけなのですね。
一人のオーナーが長く使った
クルマだから痛みも少ない
さらに、リースアップ車は走行距離が少ないというのもあります。カーリースでは年間走行距離の限度が決められています。だいたい年間1万キロ前後と一般的なクルマの平均的な走行距離くらいで、厳密に決まっているので結果的に長距離運転の連続で酷使されるといったケースも少ないわけです。
走行距離が少なければいうまでもなくクルマのダメージの蓄積も少ない。また、カーリース車両はリース契約した人が使うのが基本です。そのため乗る人が不特定多数ではないということもコンディションの良さにつながります。なぜならクルマは不特定多数の人が乗ればそれだけ痛みも早いといわれているからです。
例えばレンタカーなどはその代表でしょう。レンタカーはまさに不特定多数の人が使用する仕組みです。実際に借りたことがあればわかるでしょうが、年式や走行距離にしては内装やボディの細かな部分が痛んでいるクルマが思いのほか多い。それはやはり不特定多数が運転してきたからなのです。なんといっても運転技術がまちまちないろんなドライバーが運転してきたクルマです。運転が得意な人も下手な人もいたでしょう。操作に独特の癖がある人もいるはずです。また、物を大切に扱う人、そうでない人もいます。
クルマに無頓着でエンジンが暖まらないうちにアクセルをベタ踏みするような乱暴な人だって乗ってきたはず。ちょっとこすってもキズが目立たなければ黙ってクルマを返却した人だっていないとは限りません。そのように自分のものではないからと決して大事には扱われないので、レンタカーのような不特定多数の人が運転するクルマは、傷みが激しいといわれているのです。
まさにリースアップ車とは逆ですね。同じように買うのではなく一定期間借りて乗るクルマなのですが、中古車としての評価はまったくの真逆なのです。
さらに、リースアップ車が人気の理由は、コンディションが期待できるのに対して販売価格は一般的な中古車とさほど変わらないという点もあるでしょう。どうせ中古車を買うなら状態がよく、なおかつお得なリースアップ車にしたい、そう考える人が多いのも当たり前のことなのです。
リースアップ車だからといって
必ず状態がいいとは限らない
こういった理由から、リースアップ車の中古車市場での人気が高いのです。確かに通常の中古車よりもコンディションが良い(可能性が非常に高い)上にお得なのであればニーズも高くなるのは理解できますね。もし中古車の購入を検討しているならリースアップ車は確かにねらい目です。
ただし、リースアップ車であればどのクルマも必ずコンディションの良い中古車であるとは限りません。あくまで中古車ですから一台一台状態は当然のごとく違っています。当たり前ですがそのクルマのコンディションに関してはキチンと見極めなくてはいけません。
もしかしたら前オーナー(リース契約者)はルーズな人で、リース契約で決められていた点検整備をスルーしてきたかもしれません。ちょっとくらい雑に扱っても「あとで違約金を払えばいいんでしょう!」なんて考えるいい加減な人が乗っていた可能性だってあるでしょう。
加えてそのリースアップ車が、新車ではなく中古車カーリースとして使われたものである可能性もあります。また、リースアップ後にレンタカーとして利用されていたかもしれません。意外な盲点ですが、そのように再リースされたものもリースアップ車には変わりません。そのため中古車情報サイトではリースアップ車として掲載されていることもあり得るのです。
必ずしもそのクルマが新車のリース契約が満了した直後に中古車市場に流れてきたリースアップ車であるとは限らない。その点には十分注意が必要です。
状態の良いリースアップ車を
見極めるポイントは
では、良いコンディションのリースアップ中古車を選ぶにはどのような点に気を付ければいいのでしょうか。まずは内装のチェックをしてください。シートやダッシュボードなどインテリア周りは前オーナーの使い方による影響が顕著に出る場所です。特に前オーナーがヘビースモーカーだった場合、ヤニ汚れやたばこの臭いなどが残っている可能性があります。
またシートなどに焦げ跡がないかも確認が必要です。たばこを吸わない方であれば、ちょっとでもその痕跡が残っていれば間違いなく気になるはずです。
さらにファミリーカーとして使われていたクルマであれば子供の食べこぼしなどによるシートやカーペットのシミなど汚れがこびりついているかもしれません。フロアマットなどもめくってみてカーペットに気になる汚れがないかも確認したほうがいいでしょう。
もちろん通常の中古車と同様に修復歴の有無や修復内容の確認も必要です。修復歴がある場合告知義務があるので中古車の車両の情報でその有無は確認できるはずです。
カーリース車の場合は接触などによってダメージを受けてもそれを直し原状回復したうえで返却するのが原則です。そのためリースアップ車ならキチンと修理はされているはずです。しかし過去に走りに影響がでるほどの重大なダメージを受けている可能性はないわけではありません。
ポイントはそれが修理だったのか修復だったのかです。例えば自宅の塀にこすって塗装に傷がついたものをただ直しただけなら修復歴車にはなりません。この場合っは修理です。またバンパーをぶつけて交換したというのでもフレームを修正していなければ修復ではなく修理です。
修復とは自動車の骨格部分、フレームの交換や修正をした経緯があるものいう意味です。もちろん修復歴があったとしても、走行上や使用上の問題があるとは限りませんが決して喜ばしいことではないでしょう。フレームなどに影響が残っていれば事故の現場に直面し、避けるために急ハンドルを切ったらスピンしてしまった、など何かしら走行に影響がある可能性もあります。修復歴有りとなっていた場合、どのようなダメージを受け、どの部分を修復したのかを確認する必要があるのです。もしそれが大きな修復であれば、見た目にはきれいで状態の良いリースアップ車に見えても避けておくのが賢明でしょう。
リースアップ車はライバルが
多いので情報を常にチェック
中古車市場でも人気の高いリースアップ車。カーリースならではの特徴から、良い状態がキープされている可能性が高いのでわざわざリースアップ車に狙いを定めて好みのクルマを探すという人もいるといいます。
しかし、人気が高いということはそれだけライバルも多いということ。市場に出るとすぐに売れてしまうことも多いので、状態の良いリースアップ車を狙うなら常にアンテナを張り、こまめに中古車情報をチェックする必要があるでしょう。その際、そのリースアップ車のコンディションについてはキチンを確認することも大切です。