頭金もいらず、月々定額の負担だけで最新のクルマに自由に乗ることができる新車カーリース。リースといえば以前は法人のものというイメージがありましたが、最近はそのメリットが理解されつつあり個人向けのカーリースの人気が高まっています。

カーシェアリングやレンタカーと違って自ら管理するクルマとしていつでも好きな時につかえるかーリースはとても便利でなおかつお得なサービスです。しかし、お得で便利だからといってすべての方にカーリースが向いているとは限りません。実は使用目的やクルマとの付き合い方によって、カーリースに向いている人と、そうではない人がいるのです。では、実際どのような方がカーリースに向いていて、またカーリースに向いていない方とはどのような人なのか、まとめてみました。

カーリースの特徴とそのメリットとは

まずは、個人向け新車カーリースのその仕組みについてあらためて整理してみましょう。カーリースというのは簡単に言ってしまえば月額定額のリース料金を支払うことで好きなクルマに乗ることができるというサービスです。今人気のサブスクリプションサービスに似たものといえばわかりやすいでしょうか。クルマを買うのではなく、リース会社から一定期間借り、リース契約期間中はユーザー自身がそのクルマを管理して好きな時に自由に使うことが可能というものです。

借りるといってもレンタカーやカーシェアリングとは違って、そのクルマはリース契約した方の自分専用となるので、誰かと共有するわけではなく、まさにマイカーとして一定期間そのクルマに乗り続けることができます。

また、税金や自賠責保険、踏力諸費用に車検費用などの諸費用が毎月のリース料金に含まれているため、クルマにかかるコストは毎月一定。車検がきたからまとまったお金を用意しなくちゃ! などということがないので家計の管理がとてもやりやすいというのも特徴です。とても魅力的なサービスですね。

このようなカーリースという仕組み自体は実は昔から利用されてきたものです。元々は、企業などが社用車などに利用していたもので、個人向けカーリースは最近急激に注目を浴びるようになってきました。これは、サブスクリプションサービスなどが当たり前になってきたこともあり、リースというサービスが自然に受け入れられるようになったためでしょう。

サブスクと同じような仕組みで手軽にクルマを使用することができてメリットも多い、そんな新たなクルマとの付き合い方が注目を集めているのわけです。カーリースにはほかにも様々なメリットがあるのですが、まとめると以下になります。

①頭金がいらない

オートローンの場合、通常はまとまった頭金が必要です。おおよその相場は車両価格の2~3割ほど。もし300万円のクルマを購入する場合は60~90万円くらいを用意するのが一般的です。もちろん頭金0円で購入することも可能ですが、月々の負担が大きくなりますし、金利を考えてもある程度用意しておくべきとされています。

また、車両価格の高いクルマの場合、頭金を用意してあればローン審査のときに落ちる可能性も低くなりますし、さらに、金利の低いローンを選ぶことが出来るというケースもあります。しかし、90万円などまとまった金額を必要というのは大きな負担です。それに対してカーリースであれば基本的に頭金は不要です。そのため、初期費用を抑えることができ好きな新車に自由に乗ることが可能です。

②契約期間中常に定額の支払い

オートローンの場合、月々のローンの支払いは車両価格と新車登録時に負担する諸費用に対してのコストです。そのためそれ以外の費用は別途負担が必要となります。しかし、カーリースの場合は月々のリース料金の中に自動車税、自動車重量税、自賠責保険料など新車登録時の諸費用に加え、登録後3年後に必要となる車検の際の税金や保険、車両整備代、リース契約によっては各種整備費用から消耗品であるタイヤやバッテリーなどの費用まですべて含まれています。毎月一定の支払い額だけでこれらがカバーされているので家計の管理がしやすくなります。

それに対して、オートローンの場合は、車検の度に別途費用を準備して支払う必要があります。これらは毎月のローン支払いとは別に用意しなくてはならず。クルマに関する支払いが額は月によってバラバラになってしまいます。また、タイヤやバッテリーなどの交換の際にも別途費用が必要です。

③残価設定

あらかじめリース契約満了時のそのクルマの価値(下取り価格)が設定されており、車両本体価格からその分を差し引いて金額でリース料金が算出されるので、新車を購入するよりも月々の負担が軽く済みます。ただし、これはオートローンの残価設定ローンでも同様です。

④税金や保険、車検などの管理が楽

カーリースの場合、クルマの使用者は契約するユーザーですが、クルマの所有者はリース会社です。そのため税金や自賠責保険の支払い、さらに車検の費用から手続きなどもすべてリース会社に任せることができます。面倒な手続きが不要なのでクルマの管理が簡単です。

⑤メンテナンスやクルマの管理が不要

各種メンテナンスパックや任意保険、故障時のロードサービスまで用意されている場合もあり、契約者はサブスクリプションサービスのようにクルマを使うだけで良い。メカニズムやメンテナンスに関する知識がなくても、安心してクルマに乗ることが可能です。

このようにオートローンでクルマを購入するよりも多くのメリットを持つのがカーリースなのです。しかし、メリットがあればカーリースだからこそのデメリット、というかカーリースゆえの制限ももちろんあります。それは次のようなことです。

カーリースならではの
デメリットとは

カーリースはクルマを購入するわけではなく、一定期間リース会社からクルマを借り、使用するというもの。そしてリース契約終了後は原則としてそのクルマは返却することになります。そのため純粋なマイカーとは違った不自由な点もいくつかあります。それが以下です。

①カスタマイズやドレスアップNG

リース車はあくまで借りているクルマなので、契約期間中はクルマのカスタマイズやドレスアップが制限されます。インテリアアクセサリーの追加や、シガーソケット式ドライブレコーダーの装着といった軽いものであれば問題ないでしょうが、純正部品に加工を加えるような、エアロパーツの装着や車高調の取り付けなどといったカスタマイズは基本的にNGです。自分好みにカスタマイズがしたいという方にとってこれはデメリットといえるでしょう。

②走行距離に制限がある

カーリースでは多くの場合走行距離の制限があり、走りすぎると返却時に超過料金などが発生します。一般的な契約ではだいたい1,000km/月程度となっています。日本のドライバーの平均的な走行距離は10,000km/年なので約833km/月ですから通常のクルマの使い方であれば特に問題ありません。しかし、ロングドライブやアウトドアレジャーが趣味という方は、この制限を超えてしまうこともあり得ます。はじめから長距離走行を設定したプランが用意さえているリース会社もありますが、その分リース料金も高額となります。

③中途解約ができない

原則としてカーリースは途中解約ができません。ただしリースの期間中に、海外に転勤になるといったリース車両を利用できなくなるようなやむを得ない事情があった場合には解約はすることはできます。しかし、その場合は多額の解約金の支払いを請求されます。

解約金はリース期間の残りの未払い分料金を一括で請求されるので、残っているリース期間が長いとそれだけ高額になってしまいます。そのような可能性があるのならリース契約が大きなリスクとなる可能性もあります。

④リース後の買い取りが高額

リース車両はあくまで借りているもので契約期間終了後は返却が原則です。しかし、そのリース車両に愛着がわき、リース期間終了後も乗り続けたいという場合は買い取ることも可能です。ただし、カーリース契約は残価が設定されており、その残価を引いた金額でリースの料金は計算されています。そのためリース終了後にクルマを買い取る場合はその設定されていた残価分を一括で支払う必要があるのです。

さらにそれまで払ってきたリース料金には車両の価格だけでなく自動車税や自賠責保険、重量税、手数料なども含まれており、それらにも金利がかかっています。それまでのリース料金に加え、残価を一括で払った場合は総額ではオートローンでの購入よりの高額となるケースがほとんどです。

もし1台のクルマに長く乗りたいのであれば、はじめからオートローンで購入するほうが間違いなく無駄がありません。よほど手放したくないという事情がない限り買い取りはおススメできません。ただし、リース会社によってははじめからリース終了後の買い取りを前提としたプランが用意されている場合もあります。

このようにカーリースは確かにお得で便利ですが、クルマの使い方、条件によってはオートローンで購入したほうがむしろお得となるケースもあるのです。カーリースが自分に向いているかどうか見極めたうえで、購入か、リースかを慎重に検討する必要があります。

カーリースに向いている人と
向いていない人のまとめ

カーリースに向いている人について簡単にまとめるとこうなります。

●カーリースに向いている人

  • ①頭金無しで新車に乗りたい
  • ②極力毎月の出費を抑えたい
  • ③定期的に新車に乗り換えたい
  • ④面倒な手続きや車検は誰かに任せたい
  • ⑤メンテナンスは面倒。整備などの出費もさけたい
  • ⑥クルマは純正が一番。カスタマイズに興味はない
  • ⑦リース料金を経費にできる個人事業主


クルマを使用するにあたってこのように考えている方にはカーリースというサービスが向いています。逆にカーリースの利用に向いていないという人をまとめるとこうなります。

●カーリースにあまり向いてない人

  • ①クルマのカスタマイズに興味がある
  • ②ドライブが趣味で月の走行距離が長め
  • ③リース期間中解約となる可能性がある
  • ④クルマは自分のものとして所有したい
  • ⑤一台のクルマに長く乗りたい


このようにクルマはあくまで自分のもの。一台のものを長く乗り、また自分好みにカスタマイズして時にはロングドライブも楽しみたい。そんなクルマそのものが趣味となっているような方にはカーリースはあまり向いていないといえるでしょう。そういった方は、残価設定ローンなども使用せず、十分な頭金を用意して、通常のオートローンを使いクルマを購入することをおススメします。しかし、前述した項目に該当し、カーリースというクルマの利用方法が自分に合っていると思えたら、是非新車カーリースの利用を検討してみて下さい。

誰でも契約できるわけではない
カーリースにも審査がある

カーリースは、頭金などの準備もいらず手軽に新車に乗ることができるとても便利なサービスですが、だからといって誰でも簡単に利用できるというわけではありません。カーリースの契約にもローンのように審査があるからです。自分にはカーリースがあっていると思っても、そもそもカーリースの審査をクリアしなければ、カーリースを利用することはできません。

カーリースの契約期間は3年、5年、7年などの長期になります。この契約期間ユーザーは毎月リース料金を滞りなく払い続けなければなりません。カーリース会社はそのユーザーが、毎月の支払に関して間違いなく可能なのか経済的な面で利用条件にかなっているかを確認のために審査を実施しています。高額なクルマを扱うのですからリスクを考えれば当然のことですね。

その審査の詳細は公開されていませんが、おおよそオートローンの審査に近く、安定した収入があり、多額のローンがなく、信用情報機関のブラックリストに載っていないことが条件となっていると考えられます。

もし、そうでない場合はカーリースの審査に落ちてしまう可能性が当然あります。このような審査はどのリース会社でも行われており、それぞれの基準に基づいて実施されているのでこれからカーリースを利用しようと検討しているのであるなら、自分自身が、カーリースの審査合格の条件を満たしているかどうかは必ず確認しておきましょう。

また将来にわたってカーリースが自分にあっているのかもしっかりと検討してください。個人向け新車カーリースはリース会社によって様々なプランが用意されています。どのプランが自分に一番マッチしているのかも慎重に検討することをおススメします。