月々定額の支払いで、各種諸経費の支払いやメンテナンス、さらに車検の手間もいらず、ピカピカの新車に無理なく乗れるとても便利なサービスがカーリースです。最近は自動車メーカーも参入するなど、選択肢も増え、初心者でも利用しやすくなっています。
そのためはじめてのマイカーがカーリースだ、という方もきっといるはずです。そんな初心者が街中で運転しはじめると最初の障害となるのがガソリンスタンドでしょう。どう利用すればいいのかがわからないのですね。
そもそも教習所ではそんなこと教えてくれません。でも、カーライフを送るうえで基本ともいうべきこと。それなのに誰も教えてくれない。また、もしかしたら正しく利用できていると思っているベテランドライバーのあなたも、実は間違っているかもしれません。そこであらためてガソリンスタンドの正しい利用方法について、わかりやすく解説します。
目次
必要なのに教習所では教えてくれない
ガソリンスタンドの利用方法
「なんで教習所ってガソリンスタンドの使い方を教えてくれないの?」
こんな書き込みを先日ネットで見かけました。以前も見た気がします。定期的にこのような書き込みがありますが、どれも免許を取得した初心者によるものです。そういわれてみれば確かに、筆者も16歳からバイクに乗っていますが、ガソリンスタンドの利用の仕方を誰かに教わった記憶はありません。教習所でも教えてくれませんでした。でも、教わっていませんが問題なく使えています。
でも、それっておそらく昔はフルサービスのガソリンスタンドばかりだったからでしょう。特に利用方法に詳しくなくてもスタッフにお願いすれば何とかなっていましたから。
ただ、ガソリンスタンドのスタッフ任せにしていたら、必要のない整備をすすめられたり、特に必要のない水抜き剤を買わされたなんとこともなかったわけではありません。でも、クルマに詳しくない方にとってすべて任せてしまえるというのは確かに心強いですよね。そのような経験を経ているので、セルフスタンドになっても特に問題なく使うことができています。
しかし、今の初心者はそうはいきません。残念ながら今は、スタッフにクルマを任せられるフルサービスのガソリンスタンドはあまりありませんから。街中でみかけるのはほとんどがセルフ式のガソリンスタンドとなっています。
となると今の初心者ドライバーは、はじめてクルマに給油をするというときも、いきなりセルフ式のガソリンスタンドに行かざるをえないのですね。でもその使い方を教わっていない。だからネットで「なんで教習所ってガソリンスタンドの使い方教えてくれないの?」などと書き込んでいるわけです。
給油の方法なんて、知っている者にとっては「そんなの簡単でしょう」と思うかもしれませんが、まったくの初心者であれば、何をどうすればいい?油種ってなに?お金はいつ払うの? かってにスペースにクルマを停めていいのか?などわからないことだらけでしょう。戸惑うのも当然かもしれません。
そこで、そのようなクルマを手に入れたばかりの初心者のために、あらためてセルフ式ガソリンスタンドの正しい使い方をお教えします。自分は知っている、という方ももしかしたら勘違いしていることがあるかもしれません。もう一度確認のために是非チェックしてみてください。
ガソリンスタンドの
フルサービスとセルフはどう違う
まず、ガソリンスタンドには大きくわけるとフルサービスタイプとセルフ式があります。それはご存じですよね。もしかしたら初心者の方はこの違いもよくわからないかもしれないので詳しく説明しましょう。
まずフルサービスタイプのガソリンスタンドは、昔からある給油作業などを行うタッフが常駐する(セルフ式も常駐はしていますが)ガソリンスタンドです。ガソリンの給油作業は利用者が行う必要はなく、すべてスタッフが行ってくれます。
また、窓ふき、ごみ捨て、タイヤのエアチェックなども無料で行ってくれ、さらに、洗車やオイル交換、さらにタイヤやバッテリー交換なども依頼すれば(もちろん有料で)行ってくれます。そのため、ちょっとしたメンテナンスや点検は、近所のガソリンスタンドにお願いしている、なんて方も昔は少なくありませんでした。今はそこまで頼めるスタンドはあまりありません。
基本的に利用者は何もすることはありません。というか給油作業を利用者がやることは禁じられています。せいぜい窓拭きくらいなら自分でやっても構いませんが、給油をはじめ各種作業に関してはすべてガソリンスタンドのスタッフが行います。
支払いも直接スタッフに現金またはクレジットカードなどを渡して行います。初めてでも、とにかくガソリンスタンドに行ってしまえば、どこに停めればいいのかも誘導してもらえるので何も悩むことはありません。実に簡単ですね。はじめてのガソリンスタンド体験でも、これなら不安は少ないでしょう。
利用者が自分の手で給油を行う
セルフ式ガソリンスタンド
ただ、現在はこういったフルサービスのガソリンスタンドはあまりありません。スタッフの人数が必要なため人件費がかかるからです。激しい価格競争のあるガソリンスタンドでは少しでも価格を抑えるためにはセルフ式にするしかないからです。これは仕方ありません。
では、そのセルフ式ガソリンスタンドはどういったものか。文字通り、利用者が自分で給油作業を行うガソリンスタンドです。登場したのは20年以上前で、1998年に消防法改正による規制緩和があり一般ドライバーによる給油作業が可能となったことで一気に広まりました。実はそれ以前は危険物であるガソリンは危険物取扱者立ち合いが必要で一般ドライバーによるセルフ給油が許されていなかったのです。
ただ、セルフ式といっても無人ではありません。危険物取扱者の資格を持つ人が常駐することが義務づけられているので給油は行ってくれませんがちゃんとそのスタッフが監視しています。万が一危険なことが起こりそうなら給油機のバルブの閉鎖などを行うこともあるので、安心して給油作業を行ってください。
それに、セルフ式といっても実はお金を入れれば給油機が自動的に使用可能となるわけではありません。常駐のスタッフがカメラで監視をしていて利用者側に問題がないと判断したうえで給油機の解除ボタンを押しています。その解除作業がないと給油ができない仕組みになっています。これは危険な行為をしていないか、また、油種を間違えていないかなどをチェックするための仕組みです。
セルフスタンドでは、ガソリンや軽油を利用者が給油できるのは利用者が乗ってきた自動車や自動二輪車のみです。その他の容器、例えば携行缶や発電機、トラックの荷台に乗せ農機具などには給油できないので注意が必要です。その場合はスタッフにお願いして給油することになりますがその際使用目的を聞かれたり、身分証明書などの提示が義務付けられています。
給油口の位置は右なのか左なのか?
実はメーターを見れば一発でわかる
ガソリンスタンドの違いが分かったらさっそくガソリンスタンドに行ってみましょう。フルサービスは特に難しいことはないので、ここではセルフ式ガソリンスタンドの利用方法を説明します。
まずクルマに給油をする際に迷うのは、自分のクルマの給油口が右なのか左なのかどちらにあるのかということではないでしょうか。これは、長年乗っているマイカーであっても意外に迷うものです。この給油口がどちらにあるのかで給油機のどのレーンに停めればいいのかが変わってきますので把握しておきたいところです。
いったんクルマを降りて確認するのが確実なのですが、後ろに他のクルマが並んでいる状況では焦ってしまいますよね。でもそんなことをしなくても車内から一発で確かめる方法があります。それはメーターの燃料計を見ることです。
どのクルマであっても燃料計には給油機をデフォルメしたアイコンが描かれているはずです。そしてそのアイコンの横などに三角形のマークがあるはず。その三角形の先端が指している側にそのクルマの給油口があります。これはすべてのクルマ共通なので、覚えておきましょう。
給油口の位置を確認したらセルフ式ガソリンスタンドにクルマを入れましょう。先客がいて並んでいるようなその後ろに並びます。自分の番が来たら空いている給油機の前にあるガイドラインに沿ってクルマを進めます。そして給油機のノズルが給油口に近づくようにクルマを駐車しましょう。
ハイオク、レギュラー、軽油
油種の違いとは
クルマを正しい位置に停め、サイドブレーキをかけ。エンジンを停止したら、運転席もしくはハンドルの右下にあるレバーやボタンを操作して給油口のカバーを開けましょう。
そしてクルマを降りて、ドアを閉め、給油機の前に進みます。クルマを降りる際は、キーを持ち歩く習慣をつけておくことをおすすめします。エンジンは止めなくてはいけませんし、盗難防止やインロックのリスクも避けられます。給油機の前にたったら、タッチパネルの表示にしたがって次のことを選びます。
- ①支払い方法
- ②油種
- ③給油量(金額)
①の支払い方法は現金、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済、プリペイドカードなどが利用できます。精算もほとんどは給油機の端末で行いますが、店舗によっては別途精算用の機械が用意されている場合があります。
現金払いの場合は、前払いで5,000円や10,000円など一定の金額をチャージしておき、給油終了後にお釣りが出てくるものや、レシートをスキャンしてお釣りを受け取る形のものがあります。
クレジットカードや電子マネー、QRコード決済は先に清算用の端末に情報を読み取らせてから、給油を行い、レシートを受け取ります。気を付けないといけないのは電子マネーやQRコード決済です。店舗によって利用できるものとできないものに違いがあるので注意が必要です。しかし、現金やクレジットカードなら確実に利用できますので不安ならどちらかは別途用意しておくといいでしょう。
次に油種を選びます。油種は3種類あります。
- ・レギュラー(ガソリン)
- ・ハイオク(ガソリン)
- ・軽油
この油種選択で初心者は躓いてしまうことが多いといいます。なぜか、それは自分のクルマの指定燃料がどれなのかちゃんと把握していない方が少なくないからですね。燃料ならどれも同じではありません。そのクルマにあった正しいものを入れなくてはいけません。
同じガソリンであるハイオクとレギュラーであれば、たとえ間違ったとしてもほとんどの場合致命的なミスとはなりません、しかし、ガソリンと軽油の間違いは最悪エンジンを壊してしまう可能性があります。なので絶対に間違えてはいけません。
笑い話のようですが、ガソリンよりも安いからと軽自動車に軽油を給油してその結果走行不能になってしまった、というケースもあるのです。また、“軽”自動車だから“軽”油だろうと勘違いする(軽自動車にディーゼルエンジン車はありません)方もいるといいます。わからないではないですが非常に危険です。
ガソリンエンジンに軽油を給油してもすぐに抜き取れば大丈夫ですが、そのまま走り続ける(ガソリンがタンクに残っている場合しばらく走れてしまう)と最悪の場合エンジンが再起不能となり、廃車となってしまうこともあるのです。
どうしてもわからない場合は、クルマの取扱説明書を見ましょう。必ず書かれています。またはクルマの給油口カバーの内側に、使用する油種が記載されていることも多いのでそちらで確認してください。とりあえず軽自動車であればガソリンであるのは間違いありません。また、ハイオクガソリン指定の軽自動車はほぼないのでレギュラーガソリンのはずです。
油種を選んだら次に給油量もしくは金額を設定します。給油量は満タン以外にも〇リットルと量を指定することもできますし、3,000円分など金額を指定して入れることも可能です。こちらもタッチパネルで入力します。
エンジンは確実に停止させ
放電プレートに必ずタッチする
油種や金額を設定できたら給油をはじめます。給油作業のする際にはいくつか注意しなくてはいけないことがあります。それが以下です。
- ●引火の危険があるのでエンジンは必ず停止する。
- ●気化したガソリンが車内に入らないよう給油前にクルマのドアと窓は閉める。
- ●火気厳禁。喫煙しながらの給油は絶対にダメ。
- ●携帯電話が発する電磁波や静電気で引火の恐れがあるため。携帯電話の使用もNG。
- ●ガソリン携行缶など別の容器に給油は禁止。別途スタッフにお願いする。
これらは厳守です。絶対に守ってください。問題なければ給油機にある放電プレート(静電気除去シート)に手の平でタッチして静電気を除去します。
これも必ず行ってください。ガソリンなどの燃料は、揮発性も高いうえに引火点は-38度なので静電気程度で簡単に発火してしまいます。万が一給油作業中にバチッなど火花が飛べば、引火して爆発など最悪の自体を引き起こす可能性もあるのです。くれぐれも気を付けてください。
プレートに触れたら先ほど開けておいた給油口のカバーの中にある燃料キャップを開けます。外した燃料キャップはひもなどでつながっているなら給油口カバーなどに引っ掛けておきます。外れる場合は給油機に設けられている燃料キャップ置きにおいておきましょう。作業終了後に忘れないように注意して下さい。
燃料キャップを開けたら自分が指定した油種のノズルを給油機から取り外します。大きくレギュラー、ハイオクなど書かれているはずですが、ノズル自体もわかりやすいようにこのように色分けされています。
- ●レギュラー(ガソリン)/赤
- ●ハイオク(ガソリン)/黄
- ●軽油/緑
どのガソリンスタンドでもこの色わけは変わりません。自分のクルマにはどの色のノズルを使うか一度覚えておけば、間違えることもないはずです。
ギリギリまで入れたいからと
継ぎ足しはしないのがベター
給油機からノズルを取りだしたら、レバーに触れないようにしつつ、ノズルに残っているガソリンや軽油が垂れないように口を上向きにして持ちます。そして給油口の奥までノズルを差し込みましょう。ノズルは結構重いので先端やホースでボディを傷つけないように気を付けてください。
ノズルをしっかり奥まで差し込んだら外れないように注意しつつレバーを引いて注入をはじめます。レバーを引いている間はガソリンが注入され続けます。レバーをはなすと注入は停止します。レバーは引きっぱなしにしていて問題ありません。ノズルにはセンサーがついているので満タン、もしくは先に量や金額を指定していればその量や金額に達すると自動的に給油は停止します。ノズルをしっかり奥まで差し込んでおけばガソリンや軽油がこぼれることはないはずです。
自動停止したあと、まだ入りようだなとなってもギリギリまで継ぎ足すようなことはしない方がいいでしょう。目視しながら継ぎ足しをすると、給油口からあふれてしまうことがあります。ガソリンがあふれると非常に危険なのでやらない方が賢明です。
給油作業が終わったらノズルを給油機に戻しましょう。そして燃料キャップを戻し、カチカチと音がするまでしっかりと閉めたら給油口カバーも閉じます。
最後に精算を行って給油は完了
お釣りを忘れないように気を付けよう
給油ノズルを戻すと自動的に精算され給油機からレシートが出てきます。カード払いやQRコード決済の場合は、レシートを受け取って完了です。別の利用者が待っているかもしれませんので速やかにスタンドから立ち去りましょう。
現金払いでお金を先にチャージしていた場合はお釣りを受け取るのを忘れてはいけません。現金払いでは給油機にノズルを戻すと自動で精算され、給油機からお釣りが出てくる場合もありますが、レシートを使って、別に用意された機械やカウンターで精算を行うケースの方が多いようです。その場合はレシートのバーコードが必要なのでレシートは取り忘れないようにして下さい。レシートのバーコードを精算機にスキャンしてお釣りを受け取って給油は完了です。
説明すると長くなってしまいますが、プロセス自体は簡単。細かな違いはありますが、どのガソリンスタンドでも利用方法はほとんど変わりません。これで、セルフ式ガソリンスタンドの利用方法はわかったはずです。とにかく一度経験してしまえば以後迷うことはないはず。自信をもって給油を行って下さい。ただし、いくら簡単に給油ができるからといって、ガソリンや軽油という危険物を取り扱っているということだけは絶対に忘れないようにして下さい。