トヨタのKINTOに続きホンダが2020年1月にスタートさせたクルマのサブスクサービスが「Honda Monthly Owner(ホンダ マンスリー オーナー)」です。双方ともクルマのサブスクをうたっていますが、一定期間クルマを借りて乗るという意味では、ようはカーリースの一種です。

従来のカーリースとは違った点もありますが、非常に似通ったサービスとなっています。そんなホンダ マンスリー オーナーですが、トヨタのKINTOがイマイチ盛り上がっていないのに対して、規模はまだ小さいとはいえすでに大好評を得ているといわれています。

KITOと同じようなサービスなのに、なぜそのような違いがあるのか?不思議ですよね。そこで、KINTOよりも後発なのに、サブスク度はより高くすでに好評を得ている「ホンダ マンスリー オーナー」について、従来のカーリースとの違い、またKINTOにない魅力などについて掘り下げてみました。

KINTO 苦戦に対して
ホンダ マンスリー オーナーは絶好調!?


(引用:Honda公式HP)

トヨタのKINTOとホンダの「Honda Monthly Owner(ホンダ マンスリー オーナー)」。どちらも2020年より本格的にサービスが開始となった、クルマのサブスクリプションサービス、いわゆるサブスクです。音楽や映像配信でサブスクが多くの方に利用されるようになったため、クルマでも同じようなサービスが展開しよう!と始まったものですが、ざっくりいってしまえばカーリースの一種です。

さすがにカーリースの一種というのはざっくりと言い過ぎかもしれませんが、その中身をチェックしてみると、ほぼカーリースです。例えば毎月定額の料金を払うことでクルマを借りることができ、一定期間自分のクルマ(ナンバーもわナンバーじゃない)として自由に利用できる。自賠責保険や自動車税なども負担は不要で、任意保険料金までコミコミとなっている。

しかし、駐車場などに関しては利用者が用意し、月極なら賃料は利用者が支払い、ガソリンや高速道路の通行料金もユーザーが負担する。そしてリース期間が終わればそのクルマを返却しなくてはならない。こうしてみるとやはりカーリースと非常に似ていますね。

じゃあKINTOやホンダ マンスリー オーナーはカーリースの一種なのか、というと微妙なところでむしろクルマのサブスクリプションサービスの一つとしてKINTOやホンダ マンスリー オーナー、さらに従来のカーリースがあると考えるのが正解だと思います。そんなくくりはどうでもいいかもしれませんが、今カーリースを利用されているかたにとって、このKINTOやホンダ マンスリー オーナーはとても気になる存在なのではないでしょうか。

そんな新しいサブスクサービスであるKINTOやホンダ マンスリー オーナーですが、同じようなサービスのようでいて違いも少なくありません。そして、その評価に関してはどうも明暗を分けているようです。その理由は何なのでしょうか。KINTOに関しては、別のコラムで取り上げているので、ホンダ マンスリー オーナーにスポットを当て、その高い評価の理由を探ってみます。

新規車両が投入されると
すぐに予約でいっぱいに


(引用:Honda公式HP)

ホンダが「Honda Monthly Owner(ホンダ マンスリー オーナー)」をスタートしたのは2020年の1月28日です。この原稿を執筆している時点(2020年5月)では開始からわずか4カ月ほどしかたっていません。しかし、ニュースサイトなどをみても非常に好調な滑りだしを切っているという話題を目にします。

ではどれくらい人気なのかホンダ マンスリー オーナーのサイトを確認してみたところ、用意されている46台の車両は、すべて利用中及び仮予約済となっていて空いている車両がありません。随時クルマが追加されているようですが、すぐに予約でいっぱいになっているよう。どうやら好調な滑り出し、というニュースに間違いはないようです。

ではもう一つのクルマのサブスク、トヨタのKINTOはどうなのか。現状埼玉県の一店舗のみで展開しているホンダ マンスリー オーナーと、全国展開するKINTOでは規模が違いすぎて比較になりませんが、KINTOの2020年の4月での累計実績は3,150件とのことです。思いのほか少ない。KINTOのスタートは2019年7月で、2020年1月にはラインナップの大幅な増加やサービス内容の拡充を図っています。それにあのトヨタの新サービスです。なのにこれではずいぶんと寂しい数字ではないでしょうか。

あれだけテレビCMなどもバンバン打って、有名タレントをキャラクターとして起用し、トヨタも本気で取り組んでいる姿勢が感じられるのに、結果この数字というのは、正直期待外れの感はいなめません。新型コロナによって出鼻をくじかれたというのもあるでしょうし、まだスタートしたばかりだから仕方がないというのもありますが、苦戦しているのは間違いないでしょう。

その点ホンダ マンスリー オーナーは、規模感が小さくして、サービス展開も現在は埼玉県の一店舗のみ。この店舗での実績を見て徐々に拡大していこうという姿勢です。いきなり大規模な全国展開を図ったKITOとはまったく逆の対応です。まだ結果を出すには早計ですが現状ではホンダのやり方のほうがうまくいっているようです。しかしトヨタもこのまま手をこまねいているはずはないでしょうから今後どのようになるかはわかりませんが。

ただ、KINTOはその名前に関してかなり浸透してきているのに対して、ホンダ マンスリー オーナーに関してはKINTOのようにテレビCMなどもほとんどなく、その他プロモーションもあまりやっていない(埼玉の一店舗のみの展開なのでやる意味がない?)ので、そのサービスの内容に関しても、店舗のある埼玉の方以外にはあまり知られていないようです。しかし、KINTOやカーリースなどと比べてみると非常にシンプルでわかりやすいサービスなので全国に展開してもすぐに受け入れられる気もします。ではどのようにシンプルな内容なのか。

料金は2万9,800円からの
4種類のみとシンプル

まずホンダ マンスリー オーナーは、取り扱い車両がすべて中古車のみです。そして料金体系も驚くほどシンプル。税金やメンテナンス費用、自動車保険料などすべて込みで、軽自動車なら2万9800円(税込み)/月から。年式やグレード、軽自動車か登録車などによって金額は変わりますが、2万9,800円、3万9,800円、4万9,800円、5万9,800円と料金はこの5つしか現状は設定されていません。

クルマはすべて中古車であることを考えると、月額利用料金はちょっと割高にも感じられますがシンプルな点はわかりやすくて良いですね。車両のバリエーションはあまり多くなく、ラインナップはN-BOXやFIT、フリードといったファミリー層に人気の高いモデルが中心となっています。

この月額料金には、税金やメンテナンス費用、自賠責保険や任意保険、登録費用などがすべて含まれています。この辺はトヨタのKINTOと同じです。任意保険が含まれているというのがカーリースとはちょっと違っている点でしょう。

利用するにあたって利用者側で必要となる費用はこのほかにガソリンなどの燃料代に有料道路通行料、そして自宅に駐車場がない人は月極駐車場の賃料です。そして、利用料金の支払いはクレジットカードです。これもKINTOと一緒。従来のカーリースだとリース契約時に契約書類の記入が必要であったり、審査などもありますが、それがいらないのです。たしかに手軽です。まさにこれぞサブスクですね。

そして、ここが最も大きな違いなのですが、ホンダ マンスリー オーナーは、最短1カ月から最長11カ月までの短期間中古のホンダ車に乗れるというサービスとなっていることでしょう。新車ではなく、カーリースのように3年、5年、7年など長期間の利用でありません。必要な時に1カ月単位で借りることができるというものなのです。そもそもの利用目的が違うわけです。その他カーリースとの違いをまとめて比較するとこのようになります。

ホンダマンスリーオーナー 一般的なカーリース
新車or中古車 中古車のみ 新車or中古車
取扱いメーカー ホンダのみ 国産車メーカー・輸入車メーカーから選択
利用期間 1ヶ月以上~最長11ヶ月 3年、5年、7年などから選択できる
料金体系 毎月定額 毎月定額、ボーナス払い併用が選べる
税金・登録費用 利用料金に含まれる 利用料金に含まれる
自賠責保険料 利用料金に含まれる 利用料金に含まれる
任意保険(自動車保険) 利用料金に含まれる 契約者が別途契約する場合が多い
定期点検費用 利用料金に含まれる 利用料金に含まれる
車検費用 最長11カ月なのでなし 利用料金に含まれる
燃料費・駐車場代 契約者負担 契約者負担
距離制限 1,000Km/月 平均1,000〜2,000km/月
審査 なし あり
中途解約 月単位で利用できいつでも解約可能 原則できない(やむを得ないい場合は解約金が発生)
解約金(違約金) なし あり
契約満了後の買取 なし あり
支払い方法 クレジットカード クレジットカード 口座振替
手続き方法 WEB上のみ 店舗およびWEB上

 

それぞれクルマのサブスクリプションサービスの一種といえますが、比較してみるとこのように相違点も少なくないことがわかりますね。どちらのサービスのほうが優れているというわけではなく、そもそもの利用者の設定ターゲットが違っているのです。

車検証の登録や車庫証明の
取得などの手続きは必要

利用にあたってはホンダ マンスリー オーナーのWEBサイト上で会員登録を行って、あとはスマートフォンやパソコンから気軽に予約するだけ。クルマに空きがあればすぐに契約手続きをすることができます。書類などの記入や送付が完了し、無事契約が済めば初回に販売店に出向いたあとはすぐに利用することが可能です。短期であっても仕様車名義は契約者になるので、ナンバーはカーシェアリングのような“わ“ナンバーではありませんし、借りている期間中は自由に乗り回すことができます

ただし、注意点が一つ。一か月間の利用であっても使用者名義が契約者となるため車検証の登録が必要になります。また、車庫証明も必要です。この辺の手続きには書類の記入(必要な書類自体は送付してもらえる)と郵送での送付なども必要なので、完全にすべてネットで完結とはいきません。とはいえ送ってもらった書類に記入するだけですし、ほとんどの手続きがネットでできてしまうというのはとても便利です。

このような1カ月単位で利用可能なモビリティサービスはこのホンダ マンスリー オーナーが国内の自動車メーカーとしては初のサービスなのだそうです。確かに今まで身近にはなかった気がします。1日や2日などスポット的にクルマが必要なのであればレンタカーやカーシェアリングのほうが手軽で便利ですが、月単位の短期間クルマが必要という人にとっては、確かに便利なサービスではないでしょうか。

また、車両の中には車いす仕様車なども用意されている(現在は空きがないようですが)ので、入院や介護、出産などで、ひと月や半年といった期間クルマが必要というケースにはまさにピッタリかもしれません。

長期間クルマを利用したいなら
やはりカーリースがおすすめ


(引用:Honda公式HP)

現在このホンダ マンスリー オーナーが利用できるのは埼玉県和光市の「ユーセレクト城北」のみとなっています。対象車種は、N-BOX、FITハイブリッド、フリードハイブリッド、ヴェゼルハイブリッド、N-BOX車いす仕様車。さらに2020年4月からは2シーターのオープンスポーツカーS660も対象車種として追加(ただし2020年5月の時点では貸し出し中で空きはありません)されています。

また、オプションとして、ハンディタイプ蓄電機(500円/月)やチャイルドシート(1800円/月)、ジュニアシート(1200円/月)なども用意されています。ご自宅が埼玉で自宅に駐車スペースが確保できるなら、確かに魅力的なサービスなのではないでしょうか。

ただし、あくまで短期利用をターゲットとしたサービスであることも理解しておく必要があります。中古車のリースとして考えると割高ですし、マイカーとして長期間利用したいという方にはあまりむいていません。最長で11カ月までの利用なので、契約期間が満了したらクルマは返却しなくてはいけません。それ以上の長期利用の場合は再度別のクルマでの契約が必要となります。

また、カーリースのようにクルマの買取などもできません。サブスクとして考えればそれで充分ですが、マイカーとして長期間利用したいなら、やはりカーリースやトヨタのKINTOを利用するのが間違いないといえるでしょう。自分がクルマをどのように利用したいのか、しっかりと検討したうえで利用する分にはとても合理的なのでおすすめです。しかし、カーリースよりも手軽そうだから、という軽い気持ちで利用するにはおすすめできません。その理由はホンダ マンスリー オーナーはあくまで、カーリースに近い中古車のサブスクであるためです。

中古車のカーリースと比較して月額利用料金は決してリーズナブルではありません。また、登録や車庫証明などの書類の手続きも必要で、カーシェアやレンタカーのように即日利用も不可能です。そういった点も冷静に見極める必要はあるのではないでしょうか。

現状は埼玉の一店舗のみ。
全国展開にも期待


(引用:Honda公式HP)

ホンダ マンスリー オーナーは、現状埼玉の一店舗のみの展開なので、利用できる層は限られるでしょう。個人的にはS660は1月や2月借りて乗ってみたいという気もしますが、埼玉の和光は遠いですし駐車場の確保や車庫証明の取得など面倒な手続きがある点にはちょっと躊躇してしまいますね。

ただ、すでに予約でいっぱいの人気のサービスとなっているので、今後は全国での展開も期待できます。そうなったらあらためて検討してみるのもいいかもしれません。