矢継ぎ早に新しいSUVを投入し、そしてそれらがすべて大ヒットしているというトヨタ。そんなトヨタがまた新たに新型SUVを投入しました。それが「カローラクロス」です。
2021年9月14日に新たに登場した完全な新型車でカローラシリーズとしては初となるSUV。なんといってもカローラというビッグネームを背負って登場したSUVだけに、否が応でもその注目度は上がります。
そんなカローラクロスですが、豊富なトヨタのSUVシリーズにおいてどんな位置づけのクルマなのでしょう。また、どのような特徴があってライバルや兄弟車に対してどんなアドバンテージがあるのか、詳しく検証してみました。
目次
SUV王国トヨタにカローラの
名を関した新型SUVが登場
(引用:トヨタ公式HP)
ライズにヤリスクロス、CH-RにRAV4、ハリアー。さらにランクルプラドにランクル300。トヨタ的にはピックアップトラックのハイラックスも同じくくりとなっていますが、それも含めてトヨタは気が付けば国産メーカーとしては屈指のSUV大国を築いています。
ランクルシリーズという世界中から頼りにされているゴリゴリの超硬派なSUV(というかクロスカントリーカー)から、お手頃コンパクトのライズ。さらに高級感満点のSUVブームの先駆者であるハリアーに、乗用車プラットフォームながらオフロード車的なイメージをうまく取り込んだオンオフ万能のRAV4など、車種が多いだけでなくそれぞれ個性があってうまくすみ分けているというのが見事としていいようがありません。
そして、そんなトヨタのSUV王国に新たに加わったのが「カローラクロス」です。そう、トヨタを代表するカローラというビッグネームを受け継いだ全く新しいSUVです。
発売は2021年9月14日。最初に投入されたのは2020年で、それも日本ではなくタイでした。ネットニュースでその姿が取り上げられると国内でも「いったいつ日本に投入されるのか?」と話題になり、その登場を今か今かと待ちわびていた方も少なくなかったでしょう。それがついに投入されたのです。
登場直後から注目度は非常に高く、注文もすでに数多く入っているようです。しかし、新型コロナの影響もあって部品の供給が滞りなかなか納車は進んでいないよう。そのため街中でもまだ走っている姿を見かけることはまだありません。
しかし、すでに発表直後から人気となっていますので、生産体制が整えば一気に多くのカローラクロスが街中を走りだすことになるのでしょう。
もちろんリースナブルでもカローラクロスのリース車を設定しています。新車の供給が滞っている今だからこそあえてリースでカローラクロスを選ぶというのも実は意外に賢い選択。リース会社がすでに在庫としてキープしている可能性があるからです。とにかくいち早くカローラクロスに乗りたい! という方はリース車も検討してみて下さい。
カローラの名前を背負っているからこそ
あらゆる面でレベルの高い仕上がり
(引用:トヨタ公式HP)
カローラクロスの一番の特徴は信頼のカローラブランドであるということです。カローラと言えば世界中で販売されているいわばトヨタの顔であり(最近はプリウスのほうがトヨタ代表だという意見もありますが)、トヨタを支えている屋台骨というべきクルマです。その品質の高さや信頼性、そしてコストパフォーマンスの高さはもはや疑いようもありません。
カローラは大衆車ですがトヨタを代表するクルマですからそもそもその開発にも万全を期している。開発コストに関しても相当投入しているはずです。そのためクオリティに関しても一切妥協がない。そんなカローラのプラットフォームを使用したSUVなのですから、その出来が悪いわけはありません。
また、カローラという名前を持つことでどれくらいの車格なのかもイメージしやすく、他のクルマからの乗り換えの際もスムーズにいくのでしょう。歴代カローラオーナーで、次はSUVにしてみようかな、などという方なら、きっと真っ先に飛びつくのではないでしょうか。
さらに重要なのがその価格です。最近のカローラはそれなりに高くはなっていますが、トヨタにとってはベーシックカー中のベーシックカーですから、車体価格も買い得感の高い設定しており非常にコスパが高い。ゆえにカローラクロスの価格設定もかなり買いやすい設定(後述)になっています。
さらに、その見た目です。最新のカローラはデザインがスポーティで格好良くなった、と評判が高いのですがカローラクロスもその流れを汲んだスタイリッシュなSUVとなっています。
それでいて、決してやりすぎていないのも良いですよね。例えば同じトヨタのSUVであるC-HRなどは、格好いいですがクーペ的なフォルムで居住性などではネガな面もあります。しかし、カローラクロスはそんなことはありません。ステーションワゴンの全高をちょっと大きくしたような堅実なフォルムを採用し、しっかりとした車内スペースが確保されています。
世界中のドライバーからのあらゆるニーズにこたえるのがカローラシリーズに与えられた使命ですので、デザインもスペックも安全性も、経済性も高い水準で実現しながらそれでいて決してとがりすぎている部分がない。
見た目がそれなりに格好良く、値段もお手頃、そして実用性も高いカローラの名前を持つ最新のSUV。これで売れないわけはないですね。
カローラといえば今まではセダンというイメージが強かったですが、このカローラクロスが街中にあふれるようになれば、カローラといえばSUV、というイメージにもしかしたら変わってしまうかもしれません。それくらい注目の一台となっているのです。
カローラクロスはトヨタSUV
ライナップでどのような位置づけ?
(引用:トヨタ公式HP)
そしてカローラクロスが登場したことでトヨタのSUVラインナップがさらに充実してきました。というか車種が多くてどれを選んだらいいか迷ってしまうくらいです。カローラクロスは最新モデルなので確かにスペックも魅力的ですが、トヨタのSUVはどれも個性的で、なおかつ価格帯も微妙にかぶっています。
では、カローラクロスがトヨタにおいて、どのような位置づけのSUVなのでしょう。単純の車体のサイズだけで見るとC-HRとRAV4の間になります。C-HRよりもちょっとだけカローラクロスの方が大きい。
しかし、C-HRはSUVのスペシャリティカーというイメージなので単純に車体の大きさだけでカローラクロスの下とするのは正しくはないですね。万人向けのカローラクロスに対して、スタイリッシュなSUVを求める層に向けたクルマがC-HRといったイメージでしょうか。
そのため価格帯ではカローラクロスよりもC-HRのほうが高めになっています。ですので位置づけとしてはヤリスクロス、カローラクロス、C-HRという順番とするのが正しいでしょう。
ヤリスクロスとカローラクロスの
価格差は思いのほか小さい
(引用:トヨタ公式HP)
ただ、価格で見るとヤリスクロスとカローラクロスの差はあまりありません。例えばヤリスクロスの最廉価グレードであるX“Bパッケージ” 1.5L・CVT・2WDが179万8,000円なのに対して、カローラクロスの最廉価グレードG“X” 2WDは199万9,000円です。わずか20万円の差。これは悩ましい。
さらに、最上級グレードで比較しても、ヤリスクロスのハイブリッドグレード、HYBRID Z 1.5L・E-Fourが281万5,000円なのに対して、カローラクロスのハイブリッドモデルHYBRID Z E-Fourが319万9,000円です。38万4,000円の差になります。
この差は小さくありませんが、1.5Lエンジン+モーターのヤリスクロスに対してカローラクロスは1.8Lエンジン+モーターですから動力性能に差(もちろんカローラクロスの方が上)があります。そう考えるとカローラクロスの安さが際立ってきます。さらに比べてみれば、車内の広さや質感などに関してはやはりカローラクロスの方が高級感もあります。
ただ、Toyota Safety Senseなど先進安全装備の面や、LEDヘッドランプ、駐車支援機能、タイヤサイズなどに関してはさほど差はありません。とはいえやはりヤリスクロスはコンパクトカーであるヤリスのSUVバージョンであり、より上級のカローラをベースとしたカローラクロスに比べるといろいろな面でカジュアルなSUVという位置づけになっているのでしょう。
価格帯はバッティングしていますが、ヤリスクロスはコンパクトで手軽に使えるSUVが欲しいという方に向いているのではないでしょうか。例えばカップルや独身者向け。
それに対してカローラクロスは手ごろなサイズながら広い室内を持ち、ファミリーカーとしてちょうどよいSUVという位置づけでしょうか。ベースとなったカローラと同様、より万人向けで、どんな人にも勧めることのできるSUVという印象です。
でもやはり価格でみるとカローラクロスのコスパの良さが際立ってきます。これはもうバーゲンプライスと言っていいのではないでしょうか。そもそもこのクラスの最新SUVが199万9,000円~というのはあまりに安すぎます。それでいてエクステリアもインテリアも、各種装備も決して安っぽいところがない。ライバルメーカーから見ればこれは驚異でしかないでしょう。
でも、なぜトヨタはカローラクロスをこんな驚きの価格設定にできたのでしょうか。それにはおそらくこんな理由があるのでしょう。
カローラのプラットフォームを
使用することで優れたコスパを実現
(引用:トヨタ公式HP)
その秘密とは“カローラだから”。これだけでは意味が分かりませんよね。要するに世界市場で圧倒的な数を売るカローラをベースにSUVに仕立てたクルマだからということです。
インテリアなど見るとわかるのですが、カローラクロスは、プラットフォーム(シャシー)や、パワーユニットだけでなく、インテリアなども従来のカローラをほぼ共通のものを使っています。セダンやワゴン、ハッチバックなどカローラシリーズで部品を共通化することによってスケールメリットが生まれより結果低コストで作ることができるというわけなのです。
コストダウンによってクオリティを落とし、低価格実現したのではなく、カローラをベースとしたことでよりコスパに優れたSUVを開発することができたということなのですね。
だからこのクラスのSUVながら、カローラクロスは驚くほどお買い得な価格設定になっています。いまどき軽自動車でもグレードによっては200万円を超えます。それなのに3ナンバーで1.8Lガソリンエンジンを積んだSUVがアンダー200万円なのですから本当にお得です。
しかし、こうなってくると、ヤリスクロスの狙っていたというかたはヤリスクロスとカローラクロスどちらにするべきか迷うとことですね。見た目ではヤリスクロスの方がアグレッシブで格好いい。実用性も十分優れています。燃費だってガソリンエンジン車も、ハイブリッド車もどちらもカローラクロスよりも優れている。
対してカローラクロスは、見た目は落ち着いていますが車格も動力性能も上。車内スペースだって広い。さらにライバル他社に目を向けても同じような車格でここまでお買い得なSUVはない。選ぶのはむつかしいところですね。
最廉価グレードはお得だけれど
狙うなら少し上のグレードを
(引用:トヨタ公式HP)
カローラクロスはこのクラスのSUVで199万9,000円~という点に大きな注目が集まっていますが、いざ購入するとなった場合、そのG“X”という最廉価グレードでいいのかというと難しい所。例えばカローラクロスをカーリースで契約してファミリーカーとして長く使うとなると、物足りない面もあります。
例えばシートはスポーツシートではなくシンプルなノーマルシート(これは最廉価グレードのG“X”のみ)ですし、パーキングブレーキサポートが搭載されません。
また、バッグガイドモニターもなく、ブラインドスポットモニターもオプション追加未対応。今どき当たり前のUSB端子やスマートエントリー機能も付きませんしスピーカーが2スピーカーというのも貨物用のバンみたいでちょっといただけません。
やはり選ぶなら一つ上のグレードであるG(ガソリンエンジン、2WD、224万円)か、ハイブリッドのSグレード以上の方が満足度は高いと思います。
ただ、装備表などをチェックしてみるとし廉価グレードでも意外に内容は充実していて割り切ってしまえばこれで十分と思えるかもしれません。なんといってもアンダー200万円は魅力的。本当に悩ましいですね。
カローラクロスを狙っている方は、注文しても納期がまだまだかかるようですので、是非カタログや公式WEBサイトを入念にチェックして、廉価グレードで本当にいいのか、やっぱりハイブリッドがベストなのか、慎重に検討しつつ自分にぴったりなカローラクロスを選んでみてください。そして人気車種だからこそ、購入ではなくカーリースという選択も有り、ということも是非覚えておきましょう。