高速道路の逆走が原因で交通事故が発生!などというニュース、皆さんも一度や二度でなくなんども耳にしたことがあるのではないでしょうか。もしかしたら実際にそれを目撃した経験があるという方もいるかもしれません。
実際国土交通省などの調べによると逆走が原因による高速道路の事故は増加傾向にあるとのこと。恐ろしいですね。
実は筆者も過去に一度、そんな現場を目撃した経験があります。高速道路の走行車線を走っているときに筆者の走っていたレーン横の路肩を、ハザードを点滅させながらバックで逆走していく軽トラックに遭遇したのです。
その時は一瞬のことだったのでドライバーがどのような人だったのかはわかりませんでした。しかし、堂々とハザードラインプを点滅させながら路肩を逆走していたのですから、本人も危険を自覚したうえで逆走をしていたのでしょう。ICに向かっていたのか、それとも分岐を間違えてしまったのかわかりませんが非常に驚きました。
その後、走行していた高速道路で大事故が発生したなどのニュースはなかったので、おそらく軽トラックは目的のICなり、分岐なり、パーキングなりにたどり着けたのかもしれません。しかし大変に恐ろしかったのを覚えています。
そんな愚かな過ち、皆さんはやったことはありませんよね。免許を持ったドライバーであれば、そのような高速道路の逆走することが、どれくらいとんでもないことか想像できますよね。当然です。それなのに、こういったことはいまだになくなりません。なんとかならないのでしょうか。
動画サイトにも多くの
逆走動画がアップされている
逆走といっても、例えば認知症の高齢ドライバーが間違って高速道路に侵入してしまったために逆走となってしまった、というケースであれば、納得はできませんがまだ理解はできます。
しかし、そうでないケース、例えば単に降りるはずであったICに降りそびれてしまったから、バックして目的のICに戻りたかった、などというたいしたことのない理由で、平気で逆走をしてしまうドライバーもわずかですがいるようなのです。
確かにカーナビなどの指示に従って高速道路を走っていると、つい案内を見逃して降りるべきICを逃してしまうというケースはあります。でもそんな時も、そのまま走行すれば、賢いカーナビならすぐにリルートを行ってくれ、新たなルートを指示してくれるはずです。
そしてその誘導に従って走行すれば、目的地への到着時間は多少遅くなってしまうかもしれませんが、間違いなくたどり着けるはずです。それなのに、あえて命をかけてまで高速道路を逆走するなんて信じられません。
でも、残念ながら誰もがそのような当たり前の選択をするわけではないようなのです。実際そういった高速道路をバックのまま逆走している映像も数多く残されています。つまり短絡的に逆走という手段を選んでしまう人が少なからずいるということなのでうね。
ドライブレコーダーが普及により、動画サイトなどにもそういった動画がたくさんアップされています。興味のある方は一度、高速 逆送 などで検索してみてください。恐ろしい映像がすぐにみつかるはずです。是非ご覧になってご自身の反面教師としてください。
もしそのような逆走するクルマを発見したらどうすればいいのか。NEXCO中日本によると、
①同乗者が110番する。
②最寄りのサービスエリア・パーキングエリアの非常電話で連絡する。
③料金所の係員へ申し出る。
こういった対応を取ってほしいとのこと。通報があれば逆走車があることを情報板やハイウェイラジオで直ちに知らせてくれるので、他のドライバーにも注意を促すことができます。
また、自分が情報板やハイウェイラジオなどで逆走情報を見聞きした場合は、まず速度を落として、十分な車間距離をとりつつ前方に注意して走行するようにしましょう。そして前方に逆走車を発見したら路肩等の安全な場所に停車して、衝突を避けるようしてください。
高速道路を逆走してしまうその理由は、おそらく前述したように目的のICを降りそびれてしまったので、戻りたいというものなのでしょう。それは、料金がもったいないからなのか? それとも一般道路を走って戻るのが面倒だからなのか。でも実はそんな無謀なことをしなくてもキチンと目的のICに戻る手立てがあるのです。それが「特別転回」です。
料金がかからず目的にICに
戻れる「特別転回」とは
では、もしあなたが高速道路を走行中に降りるべきICを通り過ぎてしまったらどうすればいいのか? その時は素直に次のICを目指してください。そしてそのICでいったんおりて一般道を戻る…、のではなくて特別転回を利用すればいいのです。
これを利用すれば一般道を走らずとも、また追加料金を払わずに目的のICまで戻ることができるのです。
ではそんな便利な特別転回を、利用するにはどのようにすればいいのか、その手順は以下の通りです。
①目的のICを通り過ぎてしまった場合、あわてずに次のICに向かいます。このとき、あらかじめETCカードを車載器から抜いておいてください。次のICでETCを使い通信してしまうと、料金決済となり特別転回ができなくなります。注意しましょう。
②到着した次のICの出口では、無人のETCゲートではなく、料金所の係員がいるレーンに向かいます。その料金所に係員がいないレーンしかない場合は、係員呼出ボタンを押して申し出てください。
③係員の方に「降りるインターを間違えてしまった」と事情をキチンと説明しください。そしてあらかじめ抜いておいたETCカードを提示します。ETCを利用していない場合は、通行券を係員に渡して「特別転回承認」の印を押してもらいます。
④次に係員の指示に従って目的のICに向かうレーンへUターンします。Uターンは料金所の構造によってゲートを出てすぐにUターンできる所と、一般道までいったん出て、反対車線を走り、逆方向に向かう入口ゲートまで戻ってくる場合があります。
⑤逆方向に向かうICの入り口でも、必ず係員のいる一般ゲートに並んでください。そこでETCカードか、通行券を提示して、特別転回をするということを伝えます。
⑥高速道路に再進入して、当初の目的地だったIC方向に向かいます。そして、目的のICに戻ったら料金所の係員に申し出て再び特別転回をしたことを伝えます。この手順で戻れば、通行料金も当初の予定通り、流入ICから目的のICまでの通行料金だけで済みます。Uターンして利用した逆方向の通行料金を払わずにちゃんと戻れるわけです。これを知っておけば、無理に逆走する必要もありませんね。
ただし、これはすべてのICでできるかというとそういうわけではありません。ICの構造等によっては対応できない場合もあるので、その場合はあきらめて料金を払った逆方向に向かうか、一般道で目的のIC方向に向かってください。
また、この特別転回を利用して逆方向の当初予定していたICに向かったのに、そのICに戻らず、その他のICで降りた場合は、その利用した区間の通行料金払うことになるので注意しましょう。
さらにパーキングなどに設けられたスマートICなど、係員のいない料金所では、この特別転回は使えないのでこちらも要注意です。
高速道路の通行止めで目的の方向に
向かうことができなくなったら
この「特別転回」は、実は前述した目的のICを通り過ぎてしまった、というケースのために用意されたものではありません。本来は事故や異常気象、自然災害、工事などで目的のICが使えなくなってしまった時のために用意されている特別な救済措置です。
例えば、利用していた高速道路が事故によって通行止めとなり、一般道もどうやら大渋滞しているよう。ならば今日は予定を中止して高速道路を逆に戻り自宅に帰る。こういったケースを想定した休止措置なのです。このようなケースで特別転回を利用すれば、それまで走った分の通行料金がかからないというものなのですね。
ただし、特別転回の制度を利用する場合は、複数の高速道路を経由した場合も行きと同じルートをそのまま戻らなくてはなりません。別のルートを使用して戻るとその分の料金がかかるので気をつけなくてはいけません。
利用方法は先ほどのケースとほぼ同じです。いったん途中のICの一般レーンを利用して料金所スタッフに申し出てETCカードか通行券を提示します。そしてUターンしたいということを伝えて先ほどと同じように料金所スタッフの誘導に従ってUターン。
逆方向に高速道路を戻り、出発時に最初に入ったICに向かいます。到着したら、そこでも料金所スタッフに申し出てETCカードか通行券を提示し、特別転回をしたことを伝えて、出口を出れば良いということです。
利用はちょっと面倒かもしれませんが覚えておくと、便利な制度です。これを知っていればもし目的のICを通り過ぎてしまっても、高速道路が通行止めになってしまってもあわてずに済むはずです。
ただし、特別転回はあまり安易に使用する制度ではありません。あくまでやむを得ない場合の救済措置です。いざという時にはこういった制度があるということを覚えておくといいでしょう。
また、これはすべてのケースで利用できるものでもありません。道路状況や交通量、IC構造などの関係で、利用できない料金所もあります。いつでもどこでも使える制度ではないということもしっかり頭に入れておきましょう。