トヨタのコンパクトSUV「ライズ」の人気が全く衰えません。2019年末の発売直後から注文が殺到し、翌2020年2月にはあまりにも注文が多すぎてオーダーストップがかかるという予想外の大ヒットが話題になりましたが、その人気の高さは2021年の今も続いています。
人気の理由はデザインの良さや手ごろなサイズ、そしてお買い得なプライスにあるのでしょう。コンパクトながら存在感満点のSUVが167万9,000円~228万2,200円で買えるのですからこれは魅力的です。
ただ、いざ購入やリースでの利用を考えた時、迷うのがグレード選びです。選択肢は多くないのですが、コスパや安全性、将来的なリセールバリューを考えたらどのグレードを選ぶと何が正解なのか? そこで、ライズの機能や装備などを詳細にチェック、選ぶべきベストなグレードは何なのか、検証してみました。
目次
2020年販売台数ランキング
実質的な1位は実はライズ
(引用:トヨタ公式HP)
空前のSUVブームの中、国内自動車メーカーとして圧倒的な存在感を放っているのがトヨタです。ハリアーにRAV4、そしてヤリスクロスと立て続けにヒット車をリリースし、SUVのリーディングメーカーとしてライバルメーカーを圧倒しています。そして、そのトヨタのSUVの中でも、特に人気を集めているのが「ライズ」です。
2020年の軽自動車を除いた登録車販売台数ランキングではライズが驚きの2位。1位は同じトヨタのヤリスなのですが、実はこのヤリスの1位は、コンパクトカーのヤリスとGRヤリス、さらにヤリスクロスも合算したもの。つまり実質的な1位はライズなのです。2020年の一年間で12万6038台も売れたのですから驚きです。
ライズはトヨタブランドのSUVの中でも最もコンパクトなモデル。5ナンバーに楽に収まる全長3,995㎜×全幅1,695㎜×全高1,620mmという大きさで、車量も980kgと軽量。日本の決して広いとは言えない道路で使用するにはまさにベストマッチなサイズ感です。それでいてSUVらしいワイルドさを持ったデザインは魅力的ですし室内も荷室も広い。さらに安全装備も充実していますし、なにより価格がお手頃。トヨタお得意のハイブリッドが用意されていないことは残念ですが、これだけみれば売れない理由がないですね。
ただ、トヨタとしてはライズはダイハツロッキーのOEM車なので、それが2020年実質一番売れたクルマ、という点はちょっと微妙なのかもしれませんが。
そんなライズですが、グレード構成がシンプルという特徴があります。2WDと4WDがありますがそれぞれ「X」、「X“S”」、「G」、「Z」の4種類しかありません。エンジンも一種類で、ハイブリッドもありません。このように選択肢が狭いのでグレード選びも簡単なような気がしますがこれが意外に難しいようなのです。
価格だけでいえば167万9,000円(税込)で買えるエントリーグレードのXが魅力的に思えます。しかし装備内容を見てみると選ぶべきグレードとは言い難い。なんといっても先進安全装備が標準でないのは今どきあり得ません。ではどのグレードがベストなのでしょうか。まずはグレードによる違いを整理してみましょう。
グレードの構成はわずかに4つ
その違いを整理してみるとこうなる
(引用:トヨタ公式HP)
各グレードをおおざっぱに分けるとこうなります。
- ●「X」=低価格のエントリーグレード。
- ●「X“S”」=「X」に先進安全装備を追加したベーシックグレード。
- ●「G」=アルミホイールやオートエアコンなど装備の充実したミドルグレード。オプションなどの設定も幅広い。
- ●「Z」=ACC(アダプティブクルーズコントロール)や17インチアルミホイール、オートエアコンなども標準装備した最上級グレード。
こうなります。前述したように最も安いのはエントリーグレードの「X」です。ただ、このXには先進安全装備が一切搭載されません。オプションでも選べません。さらにホイールもスチールホイールでスピーカーもチープな2スピーカー。少しでも安くライズに乗りたいというのでもない限り、選ぶべきではないでしょう。
「X“S”」はこの「X」に衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)やブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)先行車発進お知らせ機能やADB(アダプティブドライビングビーム)が、追加されたグレードです。装備充実とはいきませんが、なくてはならない先進安全機能は標準化されています。予算をなるべく抑えつつライズを選ぶなら、最低でもこの「X“S”」を選ぶべきです。
「G」はライズのグレードの中でも人気のグレードです。「X“S”」よりも装備が充実していて、先進安全機能はもちろん標準化されていますし、加えて16インチアルミホイールや7型TFT液晶のマルチインフォメーションディスプレイ付きLEDデジタルスピードメーター、運転席の上下アジャスターが標準装備となっています。さすが多くの方が選んでいるだけあって、快適度を高める装備に不足はありません。とてもバランスの取れたグレードと言えるでしょう。
そして価格は2WDモデルなら189万5,000円。4WDは213万3,700円。2WDのアンダー200万円というのはかなり魅力的ですね。
充実した装備内容と価格の
バランスを考えるとおススメは「Z」だ
(引用:トヨタ公式HP)
そして最上級となるのが「Z」です。まずホイールが切削光輝+ブラック塗装スタイリッシュな17インチのアルミホイールとなります。またACC(アダプティブクルーズコントロール)や、シーケンシャルLEDウインカー、ADB(アダプティブドライビングビーム)に前後フォグランプ、シートヒーターが追加となり、ステアリングやシフトノブが本革巻(G以下のグレードはウレタン)にグレードアップ。
この中では特にACCやADBが見逃せません。長距離ドライブの時はこのACCがあればストレスはかなり軽減されます。また対向車や前走車の眩しさを軽減してくれるADBも、今話題のあおり運転の予防に役立ってくれるはず。そしてこれらの装備は「G」のオプションとしても設定されていません。つまり「Z」以外では手に入らない。「Z」は「G」よりも16万5,000円価格はアップしますが、これら追加された装備の内容は間違いなくそれ以上の価値があるでしょう。
ちなみに、「Z」に標準装備されている前後のフォグランプとシートヒーターだけを「G」に追加しても、そのオプション価格だけで9万2,400円。他の装備の分を価格に換算すれば+16万5,000円では済まないでしょう。となるとかなり買い得であることになります。
それでいて、2WDモデルなら価格は206万円です。4WDだと228万2,200円。内容を考えれば決して高くない。予算に余裕があるなら選ぶべきはこの「Z」ではないでしょうか。それに最上級グレードを選んでおけばリセールバリューも期待できますのでカーリースでも月々のリース料金がお得となる可能性があります。ということで、ライズで最もおすすめのグレードは「Z」という結論となりました。
さらに2WDか4WDかですが、ライズのデザインや実用性に魅力を感じているなら価格の安い2WDで良いでしょう。降雪地にお住まいであったり、アウトドアスポーツの趣味でないなら2WDでも問題ないはずです。
ライズの4WDは前輪が滑った時にだけ後輪に駆動力を伝えるいわゆる生活四駆。オフロード走行を楽しむというものではありません。ただ、雪道など非常に滑りやすい路面では、四駆を維持するようなセッティングになっているのでかなり頼りにはなるようです。
2WDならアンダー200万円で
買える「G」も捨てがたい
(引用:トヨタ公式HP)
「Z」で以外なら次点は「G」です。「G」にオプションを追加して自分好みのライズにカスタマイズするのもいいかもしれません。ライズには純正のオプションとして、エクステリアやインテリアのドレスアップパーツや、荷室をさらに便利にしてくれるレジャーに役立つアイテムなどが豊富に用意されています。車体の価格を抑えつつカスタマイズで楽しむというのも悪くないかもしれません。
いずれにしてもこのグレード選びが絶対の正解というわけではありません。最後は予算や好みで選びましょう。ただ、先進安全装備のない「X」だけは、選ぶべきではないというのは間違いありません。