2020年5月、マツダは安全装備や快適装備を満載した特別仕様車「SMART EDITION(スマートエディション)」をMAZDA2、CX-5、そしてCX-8に設定しました。その中でも特に注目すべきなのはCX-8でしょう。

なんといってもCX-8といえば実用的な3列シートを持つSUVとして、登場以来熱い注目を浴びてきたクルマです。スタイリッシュなSUVでありながらファミリーカーとしても使え、カーリース用の車両として非常に人気の高い一台となっています。ただ価格に関しては、ちょっとお高めなのがネックでした。

しかし、そんなCX-8に、お買い得度の高い特別仕様車が新たに設定されたのですからこれは期待度もあがります。CX-8を次期愛車として考えている方も、どんな特別仕様車なのか気になっているはず。そこで話題のCX-8の「SMART EDITION」について、何がどう特別なのか、お買い得という噂は本当なのか、あらためて検証します。

堂々としてボディサイズを
持つマツダのフラッグシップ


(引用:マツダ公式HP)

マツダCX-8は国内におけるマツダのフラッグシップカーです。最上級グレードになると500万円もするマツダの国内モデルとしては最も高価なクルマ。一つ下のクラスになるCX-5とは兄弟の関係で、ちょっと乱暴に言ってしまうとCX-5の全長を伸ばしたロングボディのクロスオーバーSUVという位置づけです。

登場は2017年の12月で比較的新しいモデル。その特徴はなんといってもこの国内向けクロスオーバーSUVとしてはトップクラスの4,900㎜という長い全長でしょう。あの巨大なトヨタランドクルーザー200とほぼ同じなのですからどれだけ長いかは想像できるのではないでしょうか。そしてこの長さを生かした実用的な3列シートを持っているというのがCX-8の個性であり大きな魅力となっています。

3列シートを持ったSUVというのは別に珍しいものではありません。前述したランクル200も3列シートを持っています。しかし、そんなランクル200をはじめクロスオーバーSUVの3列目シートはほとんどが実用性の低いものばかり。正直「緊急時に小柄な人ならなんとか乗せることができなくもない…」といった程度のおまけ的なものでしかありませんでした。

しかし、CX-8は違います。さすがにLクラスミニバンと同等とはいきませんが、十分に使える3列目シートを持っているのです。広々とは言えませんが平均的な体格の成人男性であればさほどストレスなく乗ることができるスペースが確保されている。だから、クロスオーバーSUVながらミニバン的にも使えるわけです。この実用性の高さがライバルとの大きな差になっているのです。

ミニバンをラインナップしないマツダとしては、こういった特徴を持つCX-8はそのミニバンかわりでもあるわけで重要なクルマであり、それだけ力も入っています。それゆえにクルマとしての完成度も高く、デザインもスタイリッシュ。さらに魅力的な装備も満載。デビュー以来人気は衰えることなく多くのファン、特に家族の多い(そして街中にあふれているミニバンには乗りたくない)ファミリードライバーの心をつかんでいるわけです。

実際2020年度上半期の3列シートを持つSUVの販売台数ランキングではなんとCX-8が1位!その人気は本物といっていいでしょう。そしてデビュー以来頻繁に細かな改良が実施されていてその魅力を磨き続けています。こういった改良も人気につながっているのはないでしょうか。このようにCX-8はとても魅力的なのですが、ただ、一点ファンにとって悩ましいのがその価格です。そのスペックや装備を見れば仕方がないのですがやはり安くはない。

最上級グレードは450万円!
しかし、コスパに優れたグレードもある


(引用:マツダ公式HP)

ではどれくらいなのかというと、ガソリンエンジン車の主力グレード25S PROACTIVE(プロアクティブ)で350万円。装備の充実した25S L Packageでは400万円という車両価格。ディーゼルエンジンだとさらに+50万円ほどになります。

クロスオーバーSUVらしいスポーティなデザインに高級なインテリア、そして実用的な3列シートなどは非常に魅力的なのですが、正直思いのほか高価なのです。購入するのではなく、カーリースであれば、諸経費などの費用は月々定額の支払いとなるので、お得に乗ることはできますが、それでも負担は小さくありません。

かといってエントリーグレードでは装備も物足りないですし予防安全装備などは誰もが妥協したくないはずです。CX-8は特に全長が長いですから、駐車や発進時に周囲の危険を検知して警告や自動ブレーキでサポートしてくれる安全機能は絶対に欲しいですし、できればクルマの上空から映し出しているような画面が表示してくれる360度モニターもあるとありがたいですよね。

でもそういった装備を持つグレードとなるとどうしても価格は高くなってします。結果その価格に二の足を踏んでCX-8は欲しいけれど決断できないでいるという方もきっといるはずです。でも、そんな方への朗報ともいえる特別仕様車が2020年5月発売となったのです。それが「CX-8 SMART EDITION(スマートエディション)」です。

25Sスマートエディションは
309万8,700円~


(引用:マツダ公式HP)

ではスマートエディションはいったいどれだけお買い得度が高いのか?まずはその価格です。比較対象としてCX-8の他のグレードを見てみましょう。まずガソリンエンジンの最もリーズナブルなグレードである25Sのガソリンエンジン2WDモデルですがこちらは294万8,000円です。ぎりぎり300万円をきりますが、4WDモデルは318万4,500円です。ベーシックモデルでもやはりそれなりにしますね。

そして同じくガソリンエンジンの2WDで装備が充実したグレードの25S プロアクティブとなるといくらになるか、なんと340万6,700円。4WDなら364万3,200円です。一気に値段が上がります。

さらに豪華なグレードとなる25S Lパッケージにもなると2WDで396万8,800円、4WDで420万5,300円と諸経費を含めれば軽々と400万円オーバーです。もうこうなると高級車のレベル。まあマツダのフラッグシップカーとして考えればむしろ安いのかもしれませんが。

では、スマートエディションではどうなるか。25S Lパッケージ同じエンジンとメカニズムが搭載された2WDタイプでは309万8,700円となります。4WDでは333万5,200円です。ベースグレードの25Sと装備の充実した25S プロアクティブの間の価格帯。どちらかというとベースモデルの25Sに近く、25S+15万円ほどと非常に魅力的な価格設定となっているのです。

でも、いくらお買い得価格であっても装備が物足りないのでは意味はありませんよね。その辺はどうなのか? もちろんその辺も抜かりはりません。

まず気になる先進安全機能ですが、カメラを使った自動ブレーキのアドバンストSCBS(アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート)やAT車の誤発信抑制機能、車線逸脱警報システムや先進ライト機能などは全グレードに標準装備となっています。つまりエントリーグレードの25Sでもこれらは標準装備

充実の先進安全装備は
上級グレードにそん色なし


(引用:マツダ公式HP)

でも、スマートエディションになれば、これらに加えてよりレベルの高い先進安全装備が満載です。例えばカメラだけよりもさらに精度の高い制御が可能なレーダーを使ったスマートブレーキサポート。そしてそのレーダーを使ったアクティブクルーズコントロールも搭載。また、複数のLEDを使用して照射範囲をアクティブにコントロールするアダプティブLEDヘッドライトに、車線逸脱時に警報だけでなくステアリングをアシストする機能も備えたレーンキープ・アシスト・システムなど、驚くほど充実した内容となっています。

スマートエディションよりも価格が高い上級グレードのプロアクティブと比べても、先進安全装備に関してはそん色ありません。というかプロアクティブではオプションとなっている360°ビュー・モニター+フロントパーキングセンサーがスマートエディションでは標準装備なので、先進安全装備の点ではむしろ上といってもいいでしょう。

それに加えてヒーテッドドラミラーやパワーリフトゲート、アドバンストキーレスエントリーシステムなどといった快適装備も標準装備と驚くほど充実した内容となっているのです。こういった25Sにはないスマートエディションならではの特別装備の内容を見ると、300万円強の価格設定は、バーゲンプライスに見えるほど。コスパで見ればCX-8の最強グレードといってもいいかもしれません。

じゃあプロアクティブはコスパが悪いグレードなのか?というともちろんそんなことはありません。プロアクティブにあってスマートエディションにはない装備もたくさんあります。特に高級感の演出にはかかせない快適装備はいくつか省かれています。その辺が大きく違っているのです。

豪華な装備はないけれど
コスパの良さが光る!

具体的には、パワーシートとシートヒーター、ステアリングヒーター。リアドアウインドーサンシェードなどがついていません。リアドアウインドーサンシェードに関してはディーラーオプションで追加装備することも可能ですが、他の装備はスマートエディションにはオプションでも設定されていないので装着することができません。でもプロアクティブにはすべて標準装備です。

また、電動ガラスサンルーフやルーフレールがオプションでも装備できないという点も違いでしょう。こういった装備はなくてこまるというものでもありませんが、パワーシートやシートヒーターなどはあればありがたい装備ですし、高級感の演出にも重要な装備といえるでしょう。

エクステリアでは、アルミホイールが17インチとなるのがプロアクティブとの差でしょうか。CX-8で高級感を味わいたいのであればこういった装備はぜひとも欲しいはずです。

でも、いかがでしょう。スマートエディションはなんといっても先進安全装備は上級グレードと同等になっていて、絶対的になくてはならない装備はほぼ省かれていません。

それでいて豪華装備のプロアクティブとの価格差は、同じガソリンエンジン2WDの比で30万8,000円も安い。逆に装備が簡素な25Sとの比較では15万700円高いだけ。このようにあらためて比べてみると明らかにスマートエディションのお得度が光ります。

もちろんプロアクティブの高級感あるスペックは魅力的ですが、CX-8を家族が快適に過ごせるファミリーカーとして使うのであれば、スマートエディションで不満を感じることはないはずです。それにカーリースでもこれだけ価格差があれば毎月の支払額もそれなりにかわってくるはず。少しでも月々の負担を減らしたい、でも装備には妥協したくないというファミリードライバーにとってはまさにベストなグレードであるといっていいのではないでしょうか。

でもちょっと不思議なのはマツダがこのCX-8スマートエディションについて、あまり大きくアピールしていないこと。お得度が高すぎて他のグレードが目立たなくなってしまうからなのでしょうか、考え過ぎだと思いますがちょっと勘ぐってしまいます。

とにかく、CX-8のグレードの中でもスマートエディションのコスパが良いことについては間違いありません。もしCX-8の購入やリースでの利用を検討していて、シートヒーターやステアリングヒーターなど、雪国などではぜひとも欲しい装備がもし必要ないのであれば、マイカー候補の筆頭として検討するべきでしょう。

CX-8を狙っているなら
候補の筆頭にスマートエディションを


(引用:マツダ公式HP)

ちなみにCX-8のスマートエディションはガソリンエンジンだけではなくXDスマートエディションとしてディーゼルエンジン搭載モデルにも設定されています。マツダ車のディーゼルエンジンは燃費に優れトルクフルで、なおかつ静粛性も高いと評価も高いので、そちらもおすすめです。

ただ価格はガソリンエンジンモデルよりもだいたい50万円ほど高くなるので、そのへんは予算に響いてくるので十分に検討する必要があるでしょう。

CX-8は比較的新しいモデルですし、また人気も高く直接的なライバルもいません。次のマイカーの候補としてCX-8を検討しているなら、このコスパ最高のCX-8スマートエディションに是非注目してみてください。